YR(常滑民)の強い要望で
米国赴任中はブログタイトルを変更してみます。
ドメインを変えないよう頭文字はそのままで。
院生として3ヶ月滞在するのみだった
Houston(ヒューストン)の時とは違い、
仕事をして米国で暮らすとなると
様々な行政手続きをする必要が出てきます。
そして気付く、日本の行政が如何に素晴らしかったのかを。
お役所仕事とか言われるけど、
そのお役所仕事をちゃんとこなしてくれるのがどれだけ有難いことか。
何故僕が会社役員用のビザで来ていることになっているんだ…
とにかく仕事が適当過ぎる。
そういう細かいことを気にしないのが超大国になる秘訣なんだろうか…

細かいことを気にしていては超大物にはなれないっぽいので、
気分転換に近郊をドライブしてみます。
Silicon Valley(シリコンバレー)というと
最先端のテック企業が集まる大都会、
みたいな印象を勝手に抱いていましたが、
30分も運転したらもうこんな森になります。
山中のワインディングロードに立つ電柱、
日本の原風景じゃないか!

そんな山中に突如現れたドライブイン。
SR 35(カリフォルニア州道35号線)と
SR 84(カリフォルニア州道84号線)の交差点にあり、
まるで大黒PAの如く数多のスポーツカーが集っています。
ここがBay Area(ベイエリア)の車オタクの聖地なのか。

勿論Chevrolet Corvette(シボレー コルベット)とかもいますが、
日本や欧州の名車も沢山揃っています。
何なら僕の愛車のホンダS2000もいました。

SR 84で海に向かって走ります。
途中、La Honda(ラ・ホンダ)とかいう
ホンダ党ばかり住んでいそうな名前の集落がありました。
いや、スペイン語だから本田じゃなくて恩田か?
でも、Los Angelesも「ロス・アンヘレス」じゃなくて
「ロサンゼルス」になっているし、
英語読みになってやっぱり本田なんだろうか。
La Hondaがあるからなのかは分かりませんが、
海に出るまでの15miだけで5台もS2000とすれ違いました。
日本でもこんな高頻度では遭遇しないのに…

海に出ると先程までの陽気な空気は何処へやら。
曇天で荒波が打ちつける道東や道北みたいな雰囲気です。
風が冷たい!

メッチャ霧多布岬を思い出す。
California(カリフォルニア州)って
南国なイメージだったけど、
実際には寒流のカリフォルニア海流の影響で
かなり冷涼な気候なんだな…

暫くSR 1(カリフォルニア州道1号戦)を南下すると
霧が晴れて快晴になりました。
とはいえ、南国というよりは
やはり北海道や青森県を彷彿とさせる眺めです。

ただ、僕がこの海岸を訪れたのは
単に海を感じたかったからだけではありません。
衛星写真を見ていた際にとある物を発見したからです。

それは鉄道の線路です!
運行しているのかしていないのか、
ネットで調べただけでは判断し兼ねるところがあったので、
現地調査に来てみました。

運行していないですね、はい。
幾ら細かいことを気にしない米国といえど
この状況で列車を運行するという暴挙には出ないでしょう。
残念だが廃線であったか…
衛星写真ではかなりハッキリと線路が敷かれているのが見えたので
もしかしたらと一縷の望みに賭けていたのですが。

沿線の町なら廃駅があるかも知れないと
Davenport(ダベンポート)という町に来てみました。
海沿いの爽やかな空気が香る小さな集落です。

廃線跡は集落より海側にあるようなので、
獣道を辿って海の方に向かいます。

ありました。
レールが錆びてこそいますが、
この辺りはすぐにでも列車を走らせられそうな状態です。

廃線跡に並走して作業道のような道が走っています。
マウンテンバイクで走っている人が居ますが、
サイクリングロードなのでしょうか。
廃線跡それ自体の転用はしなかったんですね。

Davenport駅(ダベンポート駅)であったと思しき建物は
何故か生垣によって線路と隔てられています。
駅舎を払い下げられた今の所有者が
プライバシーを確保する為に植えたのでしょうか。
そもそもここはDavenport駅だったのだろうか?

Davenport駅の方も気になるところではありますが、
上でちらっと見えた海岸も気になってしまいました。
あまりに荒々しい海岸段丘です。
相当な高低差があるけど、砂浜まで下りられるのかな?

ここから下っていく踏み跡は付いていますね。
試してみましょう。

巨大な沢が砂浜を横切っていて
向こう側に行けなくなっています。
この沢、線路の向こうから流れてきているけど一体何なんだ?
Davenportの生活排水にしては量が多過ぎるし綺麗過ぎるけど。
そう思って上流へと目を遣ると…

何だこのトンネル!?
いや、水路トンネルがあるのは予想通りなのですが、
そのサイズが予想を遥かに上回ってきました。
比較対象が無いので分かり難いですが、
横幅は4mほど、高さは優に5mはありそうです。
寸法と形だけで言ったら蒸気機関車用でも全くおかしくない。

中を覗き込んでみてもやはり水路トンネルです。
水路であっても蒸気船が通るとかなら分かるけど、
水深が浅過ぎてそれも考えられないし、
一体何を思ってこんな大きな断面のトンネルを掘ったのか…
後で調べてみたところ、この水路はSan Vicente Creek
(サン・ヴィセンテ・クリーク)という名前の水路で、
冬の嵐で引き起こされる洪水の流量にも耐えられるよう
このような大口径のトンネルが設計されたのだそうです[1]。
今の季節の様子からはまるで想像出来ないけど、
冬になるとそんなに雨が降るんだ…

思ってもいなかったスポットが散りばめられていて
予想外に面白かったです。
眺めの良いベンチもありますし、
サンドイッチでも持ってきてのんびりしても楽しそうですね。

折角なので、Davenportの集落の方も巡ってみます。
Davenport Jail Museum(ダベンポート監獄博物館)なる
博物館があるとのことなので来てみました。
あまりに可愛らしいサイズの刑務所ですね。
昔からDavenportは治安が良かったことが窺えます。

博物館の前に座っていたボランティアのお姉さんに
「さっきそこの廃線跡を見てきたんですよ〜」
と世間話をしてみたら、
「あら!この本に詳しく載っているわよ」
とDavenportの郷土史が書かれた本を見せてくれました。
Ocean Shore Railroad(オーシャン・ショア鉄道)という鉄道が
東南東にあるSanta Cruz(サンタクルス)から
このDavenportの少し先のSwanton
(スワントン)まで延びていたんですね。
この写真は1940年代または50年代に
Davenport駅で撮られた観光列車だそうです。

おおっ!?これは凄いな!
起伏の激しい地形を全てガン無視する
脳筋以外の何者でもない規模のトレッスル橋です。
Ocean Shore Railroadってこんな姿だったんだ…
こんな鉄道に乗ってみたかった!

牢屋の方もチラ見。
近くで操業していたセメント工場のセメントを使った地産地消の刑務所で、
2部屋しかない上にその2部屋も滅多に使われなかったそうです。
牧歌的ですね。

昼食もDavenportで頂きます。
SR 1を行き交うドライバーで賑わうドライブインです。
古き良き米国といった空気。

ここはアメリカンに冷コーとアップルパイで。
アップルパイは荒野のドライブインで頂くイメージでしたが、
涼しい潮風を感じながら頂くのも乙なものですね。

再びSR 1を走ってOcean Shore Railroadの起点だった
Santa Cruzまでやって来ました。
Santa Cruzは有名観光地なようでかなりの賑わいようです。

Santa Cruzの中心街は桟橋や遊園地がある
あの辺りなようですが、
法外な駐車料金を取られそうなので遠望に留めます。
ん?汽笛のような音が聞こえてきた気が…

あっ!列車が走っている!
前景がごちゃごちゃしていて大分見辛いですが、
阪急みたいな色のディーゼル機関車牽引客車が走っています。
もしかして、Ocean Shore Railroadの一部は
今も観光列車が走っているのか!?
と期待を抱いてしまいましたが、あれは
Santa Cruz, Big Trees and Pacific Railway
(サンタクルス・ビッグツリー・アンド・パシフィック鉄道)という
海沿いではなくて内陸の森に向かって走る観光鉄道だそうです。
それはそれで乗ってみたいけど。

夕方が近付いて帰宅ラッシュが始まったので
SR 17(カリフォルニア州道17号線)で山越えして
Silicon Valleyに帰ります。

ちょっと寄り道してLos Gatos(ロスガトス)。
高級住宅街だというのでどんな雰囲気なのかと来てみました。
確かに、高そうな一軒家が立ち並んでいる。

ですが、そんな高級住宅街のスーパーマーケットでも
駐車場にはこんな注意書きがあります。
車の中に貴重品を放置すると車上荒らしに狙われるぞ!
という趣旨の看板です。
会社の人の中にも車上荒らしにやられた経験のある人が何人も居ます。
これが米国の治安。

夕食は同じ部の人にオススメされた中華料理店で青椒肉絲を注文。
ホームシックになったりはしていませんが、
正直アメリカンな料理より中華料理の方が遥かに美味しい。
普段は啀み合ってもいますが、
米国にまで来たら同じアジアの同胞なんだなって。
参考文献
[1] Secret History 7 — Sandy Lydon’s Central Coast Secrets


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