南アフリカ旅行 第10日目

山に登ります。

5:30、起床。
急いで昨日買ったパンを食べて、
6時過ぎにやって来た迎えの車に乗り込みます。


非常に立派な高速道路を140km/hで飛ばします。
南アフリカ共和国のインフラは
とてもアフリカとは思えないほど発達しています。
運転手さんが
「Durban(ダーバン)のCBDにはもう行ったのかい?」
と訊いてきたので、
「いや、行ってないよ。Cape Town(ケープタウン)の人から
Durbanは危ないって忠告されたからね。」
と答えたら、
「それは違う!DurbanとCape Townは
常に経済で国内第2位の座を争っている。
そして、Durbanは黒人の街でCape Townは白人の街だ。
この国はアパルトヘイトが終わった今でも、
極少数の白人が大多数の黒人から搾取して
経済の殆どを牛耳っている。
白人は自分達が何をしているか
分かっているからこそ黒人を恐れる。
だから、Cape Townの人間はDurbanを悪く言うのさ。」
と熱弁していました。


高速道路が終わって下道に入りました。
屡々牛が道路を横断しています。
アフリカン。
まあ、日本でも知夫里島とかは横断していますが。


ところどころに松が植林されており、
何処と無く日本のような雰囲気を感じます。
Kwazulu-Natal(クワズル・ナタール州)は日本っぽい?


大分高地になってきました。
空気が爽やかです。


Himeville(ハイムヴィレ)で車を乗り換えます。
アフリカ旅行の心強い相棒、
トヨタ・ランドクルーザーです。
という事は、ここから先の道は…


…快適ですね。
日本のそんじょそこらの道よりよっぽど滑らかです。
しかし、これから挑むのは奥に聳えるあの山なので、
果たしてこんな快走路はいつまで続く事やら。


終わりました。
ここは山の上から降りてきた人達が
山の下の人達と交易をしていた場所なのだそうです。


この先はMkhomazana River
(ムコマザナ川)に沿って峡谷を登っていきます。


落石注意の看板。
でも、この看板の図だと山が崩れるんじゃなくて
天から岩が降ってきているような…


砂埃を上げて爆走するミニバス。
一応、この道には公共交通機関も走っています。


この峠道は元々野生動物の通り道で、
それを追い掛けたサン族によって道が拓かれたとか。
現在でも多くの動物を目にする事が出来ます。


話題のサーバルキャットも棲んでいるとか。
残念ながら今回は見掛けませんでしたが…


南アフリカ共和国の国花。
割とゴツいです。
匂いはあまりしませんが、蜜を舐めると甘いとか。


その蜜を好物にする鳥なんかもいました。
良くあんな小さな鳥を運転しながら見付けるな…


大胆な洗い越し。
洗い越しとは、小さな沢などに対して架橋せず、
タイヤを洗うように水を突っ切らせる構造の事。
普通はタイヤが取られたり、
削れて水深が深くなったりしないように、
洗い越しの部分だけでも舗装するものですが、
ここは舗装されておらず思い切り削れて
池のようになっています。
一応、全線舗装を目指して道路工事の真っ最中ですが。


峠まではまだまだなのに国境管理所が現れました。
ここで南アフリカ共和国の出国手続きをします。
この先、相手国の国境管理所までの8kmは空白地帯です。


道はどんどん険しくなってきます。
森林限界を超え、辺りの岩も砂岩から磁鉄鉱に変わりました。
そして、車の揺れはますます激しさを増します。
こういう時、ナミビアでも南アフリカ共和国でも、
運転手が決まって
“It’s an African massage! HAHAHA!”
と言うんだけど、
アフリカ南部に共通した持ちネタなんだろうか。
そのアフリカンマッサージの所為なのか、
若干カメラの調子が狂いました。


見えました!
奥の方に見える、山がU字型に窪んだ場所が
目指しているSani Pass(サニ峠)です。
まだ結構あるな…


Sani Passへの道はいよいよ終盤です。
益々路面状況の悪くなった九十九折を登ります。
冬は雪が積もる事もあるとか。
それでも、余程の豪雪でない限りは
通行止めにはならないのだそうです。


一歩間違えたら麓まで真っ逆さまだな…
しかし、事故が起きるのは年に一回程度だそうです。
まあ、交通量を考えたら結構な割合かも知れないけど。


遂に峠に辿り着きました!
標高2,876mのSani Passです。


そして、6ヶ国目のレソト王国に入国です!
日帰りですぐに出国するからか、
入国印と出国印が両方同時に押されていました。

(以降、マセル時間UTC+2.0h)


いやー、この山道を登ってきたんだなぁ…
流石は「天空の王国」と呼ばれるだけの事はあります。


朝食を満足に食べておらずお腹が空いたので、
まずは「アフリカ最高所のパブ」で昼食を食べます。


本日のスープとバソトの自家製パン。
バソトというのはレソトに住むソト族の事です。
ほんのり甘くて美味しい。
バソトは甘いものが好きなんだとか。


昼食を終えたらバソトの集落を訪ねます。
先程までの悪路が嘘のような快走路です。
まあ、レソトにしてみれば隣の大国
南アフリカ共和国に通じる重要な道だけど、
南アフリカ共和国にしてみればレソトとかいう
どうでも良い国に通じるしょうもない道だからな…


Sekiring(セキリン)という集落に到着。
石造りの壁に茅葺き屋根という
ロケットのような形の家が建ち並んでいます。
でも、その伝統的な住居の前に
最新型のピックアップトラックが置いてあるのがシュール。


中に入ってみます。
暑くもなく寒くもなく快適です。


壁に
「人々はバソト(Basotho)
国家はレソト(Lesotho)
一人はモソト(Mosotho)
言葉はセソト(Sesotho)
通貨はマロティ(Maloti)
1マロティは1ランド」
と書かれていました。
何かの詩みたいですね。
“Sotho”(ソト)というのが民族の名前です。


家の真ん中で焼かれていた
バソト自家製パンを頂きます。
やはり甘くて美味しい。
鍋の蓋に土みたいなものが被せてあったので
調理中だとは全く気付きませんでした。


伝統的な暮らしをしているかに見えるバソトですが、
ちゃっかり携帯電話も使っています。
しかし、こんな場所に電気は来ているのかというと…


まさかの太陽光発電です。
アフリカだって技術は取り入れているんです。
固定電話よりも携帯電話の方が
整備のし易さから普及しているそうですからね。


こんな生活をしている人達も居るんだなぁ…
ケニアの某民族の集落のように
押し売りとかされないか不安でしたが、
土産がただ床に置かれているだけで押し売りはされず、
マサイ族より遥かに好印象です。
全体的に、南アフリカの人達は余裕があるのか
東アフリカの人達よりも真の意味で商売上手だと思う。
バソトの人達と記念撮影をしたりしたら、
入国して3時間足らずながらレソトを後にします。

(以降、プレトリア時間UTC+2.0h)


下りのSani Passは上りよりも怖いです。
良くこんな道を行き来出来るな…


Himevilleに戻って来ました。
これは桜?
やっぱり日本っぽさがありますね。
ここでまた自動車を乗り換えてDurbanに戻りました。

さて、今夜はアフリカ最後の夜。
昨日のお店よりは若干遠いですが、
徒歩圏内にもう一つ飲食店があるようなので行ってみます。


まさかのビーチクラブだった…
DJも居てドンツクやっています。
人生初クラブがまさか南アフリカ共和国になるとは。
出てくるまでに時間は掛かりましたが、
ご飯はボリュームがあって中々美味しかったです。
クラブってテロで良く狙われる場所でもあるけどな…

時間が掛かったのですっかり暗くなってしまいました。
郊外とは言えDurbanだし、早く宿に戻ろう。
急ぎ足で幹線道路脇を歩いていたら、
何やら僕等を見掛けて停車してくる車が。
えっ。
…えっ!?
「警察だ!止まれ!」
いきなり降りてきた私服の三人組。
そう言えば、物の本で読んだ事があるぞ、
警察官を装って制止してきて、
そのまま金品を強奪するというブルーライトギャングの話を。
いや、本物の警察官にしても
難癖を付けて賄賂を要求してくる悪徳警察官の話を!
ましてやここはDurban!
逃げるしかない!
掴まれた腕を火事場の馬鹿力で振りほどいて、
二度転びつつも全力疾走で逃げます。
しかし、自動車と徒歩では勝負の行く末は歴然。
必死の抵抗虚しく追い付かれてしまいました。
僕の悪運もここまでか…
……

…結論から言うと、
偽警官でもないし、賄賂も求めてきませんでした。
ただ単に、夜に徒歩で出歩いていた僕等を見て、
怪しいものを持っていないか職質しようとしただけだとか。
「お前達、この南アフリカを夜出歩くのか!?」
と呆れられてしまいました。
ここまで順調に来ていて気が緩んでいたけど、
やはりアフリカでタクシー代をケチっては駄目だな…
ズボンが破けるわ、肘も膝も擦りむくわで散々でしたが、
擦り傷だけで済んで良かったと思わないといけませんね。
この後は何とか宿に辿り着いて
生きている事の歓びを噛み締めつつ寝ました。

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