鹿児島市を離れます。
7:30、起床。
朝食を済ませたら出掛けます。

やって来たのは鹿児島港南埠頭。
鹿児島県と言ったら離島の多さでも有名。
本土は結構行き尽くした感もありますが、
離島はまだ屋久島と下甑島しか行った事がありません。
今回行くのは何処かと言うと…

三島村です!
その名の通り、竹島、硫黄島(薩摩硫黄島)、黒島の
3つの有人島から成る村で、
アクセス手段はおおよそ週3便の船便と、
あとは週2便飛んでいる定員3人の硫黄島行きセスナ機のみ。
日本の中でも特に行き難い自治体として知られ、
各島間の移動も儘ならないので村役場は村には無く、
鹿児島市街にあるという有名な話があります。
船便の少なさや所要時間で言えば小笠原の方が上ですが、
宿の少なさで言ったら三島村の圧勝です。
実は昨年末に鹿児島県に来た際も
当初は下甑島では無く三島村を訪れるつもりだったのですが、
年の瀬という事もあってか
物の見事に宿が全部埋まっていたので来られませんでした。

結構大きな船です。
まあ、週2便のこの船であらゆる生活必需品を運ぶんだから
このくらいの大きさは無いと駄目か。
側面に書かれている「M” LINE」は
鹿児島と沖縄を結ぶ「A” LINE」を真似たのかな?
9:30発フェリーみしまに乗船。

大都会鹿児島市に暫しの別れを告げます。
あー、船のこのエンジン音が堪らないぜ。

知林ヶ島。
懐かしいな…
干潮の時だけ砂州伝いに渡れるんだっけ。

開聞岳もはっきりと見えます。
この開聞岳を過ぎた辺りから外洋に出て
急に船が大きく揺れるようになりました。

佐多岬。
薩摩半島に比べて大隅半島は人の気配が無さ過ぎる。
揺れてきて座っていると酔いそうだったので
横になって寝ました。

起きたら第一の島に到着していました。

三島村の玄関口、竹島です。
これまで幾つかの島に行きましたが、
一目で分かるこのヤバさ。
港に生活の気配が感じられない…
知夫里島も港が集落から外れていたけど、
それでももう少し人の営みが感じられたぞ…

荷下しを行います。
港に来ているのは30人程でしょうか。
全島民の3割弱です。

下船したのは14人。
見たところ、観光客はゼロです。
20分程で次の島へと向け出港。

程無くして次の島が見えてきました。
何だこの島!?
人が多いとか少ないとかそんな次元を超えている。
噴煙もくもくです。
霧島や桜島も目じゃ無いです。
これが薩摩硫黄島です。
ここに人が住んでいるのか…

島の縁は湧き出た温泉で海が黄色くなっています。
そして、この距離からでも鼻を刺す硫黄臭。
硫黄島の名は伊達ではありません。

港が見えてきました。

港内の水の色がまた凄い。
真っ茶色です。
当然これは泥や、まして廃水なんかでは無く、
火山由来の温泉に因るものです。

埠頭では軽快なリズムでジャンベを打ち鳴らしています。
何だこの島、面白過ぎる。
ここでは30人が下船していきました。

薩摩硫黄島を出ると次はいよいよ最後の島です。
波が激しくなってきて甲板に出る事は疎か
座っているだけでかなり酔いそうだったので
再び横になって寝る事に。
交通機関の中では幾らでも寝られる体質は便利。

14:50、大里港(黒島)に到着。
三島村の最奥部です。
ここもまた人の営みが余り感じられない港だ…
宿の人は迎えに来ているかな?
…それらしい人が見当たらないな。

仕方が無いので集落まで歩く事に。
20kgの荷物を背負って島の山道を歩くのは辛い…
1km程登って大里ふるさとセンターに辿り着き
宿の場所を訊いたところ、
何と女将さんが居ました。
港に迎えに来ていたそうです。
お互いに気付いていなかったのか…
で、場所は?

通り過ぎていたのかよ!
割と手前でした。
ネコの多い路地裏を歩いて戻ります。

「ちょっと用事があるから
勝手に部屋に入ってくれて良いよ。」と言われたけど、
生活感があり過ぎて何だか躊躇われるな…
基本的に三島村の民宿は観光客向けというよりは
工事や役所の人相手に副業感覚でやっているそうで
殆ど民泊みたいな雰囲気になっています。

おー、四畳半。
5匹程ヤスデを潰しました。
潔癖症の人は島旅をやらない方が良いですね。
ムカデと違って刺したりしないから安全ですが。

宿に荷物を置いて散策開始。
丁度フェリーみしまが出て行くところでした。
あれ?明日は大里港発なのに何処に行くんだろう…

鹿児島中央郵便局黒島分室兼三島村役場大里出張所。
ここに観光案内のパンフレットがあるかと思ったのですが、
大里小学校の生徒が作った大里集落の地図と
山道18kmを4時間で歩かせる
鬼のトレッキングマップしかありませんでした。
離島の主要産業は漁業と観光の事が殆どだから
観光案内には力が入っている事が多いけど、
フェリーにもパンフレットが置いていなかったし、
三島村は全くと言って良い程無いな…
全く以って最高に面白い村です。
こういうの大好き。

標識を頼りに山道を登ります。
段々畑で農作業している人が居ました。

剥き出しになった地層。
三島村の3島の内竹島と硫黄島は鬼界カルデラの外輪山です。
鬼界カルデラと言ったら地学専攻や
考古学専攻の人は目の色を変えるのでは?
約7,300年前の完新世に起きた鬼界-アカホヤ噴火は
日本で起きた噴火としては
人類が経験した中で最大のもので、
海底火山ながら南九州の縄文人を全滅させたという
凄まじい大噴火によって生まれた
超巨大なカルデラなのです。
が、何故か黒島には溶岩流の達した跡が無いとかで
地質学上の謎になっているそうです。

標識に載っていた黒島平和公園。

沖縄にも程近い三島村も嘗ての激戦地。
あの戦艦大和も黒島西方の海域で沈没しました。

黒島平和公園から俯瞰した大里集落。
あの瀬々野浦集落よりも更に鄙びています。
島というのは土地が限られているので
集落は結構高密度になり易いのですが、
土地の有り余っている山奥の如き低密度。
生活は成り立っているんだよな…?

内陸側はひたすら山。
黒島って玄武岩で黒いからなのかと思っていたけど、
黒々した木々に覆われているからなのかな?

実は黒島には大里集落の他にもう一つ、
島の反対側に片泊集落という集落があります。
黒島は三島村の中では最も大きく
大里から片泊までは10km程あるので
徒歩で行くのは厳しいです。
フェリーみしまも普段は大里港だけで無く
片泊港にも寄港していたのですが、
片泊港が台風で壊滅的な被害を受けた為、
現在は大里港にしか寄港しません。

黒々とした木々に囲まれた
人気の無い道を下って行きます。

人は居ませんが牛は居ました。
島外者の僕に興味津々です。
知夫里島の牛と違って放し飼いではありませんが。

一周して大里集落まで戻ってきました。
何やら島に似つかわしくない派手な建物がありますね…
黒尾大明神社って標識があったからそれなのかな?

って、黒尾大明神社ってこれなんかいな!
てっきり農機具置き場か何かかと…

参道は立派です。
苔生していて荘厳な雰囲気。

火山土で出来た黒島は湧水が多いらしく、
川が幾筋も流れています。
湧いている地点は山のもっと上の方なので
今日中にそこまで行くのはちょっと無理ですが。
17時になって防災無線が流れたので宿へ戻る事に。
同じ船でやって来ていた人と意気投合して
夕食で卓を囲みました。
鹿児島大学国際島嶼研究センターの方で
三重出身、京大卒の農学准教授だそうです。
こんなところで中部出身の人と会うとは…
巡り合わせって凄いですね。
明日から3日間全く同じ順に島を巡るようです。
物好きは居るものですね。
夕食後暫くしてお風呂に入って寝ようと思ったら
お湯が出なくて吃驚。
まさか日本の宿でこんな思いをする事になろうとは…
これまで色々な宿に泊まってきた中で、
言っちゃ悪いけど最悪の部類だな…
まあ、山行の事を思えば
ご飯と寝床を用意してくれるだけで感謝すべきか?
ご飯は美味しかったし。
秘境ってそういうものですね。
脚注
※「人口や宿の少なさ」
島の人口(三島村は平成28年2月1日付)は
小笠原村父島…約2,000人
小笠原村母島…約500人
三島村黒島…185人
三島村硫黄島…124人
三島村竹島…79人
島内全ての宿を合わせたキャパシティは
小笠原村父島…1,008人
小笠原村母島…181人
三島村硫黄島…128人
三島村黒島…69人
三島村竹島…28人


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