中東北旅行第2日目。
6:07、起床。
朝風呂を浴び、朝食を食べて宿を後にします。
朝の湯本温泉郷。
そこかしこから湯気が立ち上っています。
ここのところ暖かい天気が続いているとは言え、
4月半ばの奥羽山脈の朝は肌寒いです。
湯本局前バス停から7:52発岩手交通バス
ほっとゆだ駅前行きに乗車。
木々が立ち枯れた錦秋湖沿いを走ります。
錦秋湖は和賀川にダムを造った事で生まれた人造湖です。
この深い緑色は温泉に因るものなのかな?
8:03、ほっとゆだ駅に到着。
名物の温泉会館は7時から開いていますが、
流石に温泉に入っているだけの時間はありません。
8:18発JR北上線普通横手行きに乗り換え。
この辺りはまだ雪が残っていますね。
道理で寒い訳だ。
峠らしい峠も無く秋田県に入りました。
奥羽山脈越えです。
8:50、横手駅に到着。
かまくらと焼きそばの街だそうです。
知らなかった(下調べ不足)
35分乗り換え待ちがあるのでちょっとだけ歩いてみます。
かまくら館に置かれていた除雪機。
かまくらを名物と言うだけあって
積雪量は多そうですね。
今年はもう融け切っていますが。
川に辿り着いたところで時間切れ。
乗り換え駅って微妙に都会な事が多いから、
割と見所に欠けるんだよな…
9:25発JR奥羽本線普通新庄行きに乗り換え。
この土日は岩手県、宮城県とも
良く晴れると言っていましたが、
ここ秋田県は雪でも振りそうな雰囲気です。
奥羽山脈を越えると天気もがらりと変わりますね。
奥羽本線は院内駅を過ぎると一気に標高を上げていきます。
板谷峠に次ぐ奥羽本線の難所、雄勝峠です。
と言っても、元スイッチバック駅が4つもある
日本屈指の難所板谷峠とは違い、
こちらはトンネル1本で貫いています。
トンネルを抜けた先は山形県。
最初の駅、及位駅は日本有数の難読駅名です。
「及位」と書いて「のぞき」と読みます。
「乃促」とかの書き間違いじゃないかという読みですが、
これは女甑山という山の崖に赤穴という穴があり、
断崖で宙ぶらりんになってこの穴を「覗いた」修行僧は
高い「位」に「及」んだ事から、
「及位」と書いて「のぞき」と読むようになったとか。
そんなトンチ分かる訳無いんだよなぁ…
10:49、新庄駅に到着。
山形新幹線の終着駅です。
山形新幹線は在来線と同じ線路を走るミニ新幹線で
在来線の向かいのホームに発着しています。
何だか不思議な気分。
ただ、欧州の高速鉄道では良くある方式で
ドイツのICEやフランスのTGV等も
在来線と同じ線路を走る区間が数多く存在します。
ただ、あちらは元々在来線も標準軌なので
在来線改良区間でも200km/hとか出せるのですが。
(山形新幹線は最高でも130km/h。)
海外への高速鉄道の売り込みの際に
「新幹線方式」と呼ばれるあれは、
実は車両が新幹線だというところよりも
在来線とは全く別に高速鉄道専用の
踏切等が一切無い新線を造るという意味の方が大きいです。
新庄駅前。
わざわざ新幹線をここまで延ばす程の場所なのかな…
と思ってしまうのですが、
山形新幹線は全国の新幹線の中でも
かなり高い乗車率を誇っているそうです。
本数が少ないというのもあるでしょうが。
11:21発JR陸羽東線普通鳴子温泉行きに乗り換え。
今回の旅行の目的その三、陸羽東線です。
別名「奥の細道ゆけむりライン」。
その名の通り、沿線には幾つもの温泉が点在しています。
和歌山県の紀勢本線と同じ様に
津波警報発表時の避難方法が書かれていました。
陸羽東線まで津波が来るなんて事があったら
宮城県は更地になるんじゃないか…?
南新庄駅まで山形新幹線(奥羽本線)と併走します。
この柵も何も無い線路に新幹線が走るのです。
俄には信じ難いですね。
雪解けを集めて早し最上川…
って、最上町を通るのにこれは最上川じゃないのか。
小国川という名前だそうです。
あと、松尾芭蕉が詠んだ句では雪解けでは無く五月雨です。
小国川と田んぼを肴に
新庄駅で買ったさくらんぼワインを喫する。
甘口のスパークリングワインで呑み易いです。
最上駅で快速リゾートみのりと行き違い。
観光列車が走るという事からも分かる通り、
この陸羽東線は立派なローカル線。
実はこの先の最上-鳴子温泉間は
何とあの只見線只見-小出間や津軽線中小国-三厩間を抑え、
バス代行区間を除いてJR東日本の中で
最低の輸送密度を叩き出した事もあるのです。
ちなみに、今朝乗った北上線のほっとゆだ-横手間も
ワースト4だったりします。
東北地方を横断する路線は
中国地方を縦断する路線並に過疎っているのです。
堺田駅。
天水を太平洋と日本海へ分ける分水嶺だそうです。
分水嶺なのにトンネルらしいトンネルも無いというのは
結構珍しい気がします。
分水嶺を過ぎて暫くするとトンネルが連続するようになりますが。
トンネルとトンネルの合間に
一瞬だけ見えた鳴子峡。
紅葉の時期は真っ赤に染まる事で有名で、
一部の列車は徐行して景色を見せてくれます。
こんな冬の曇天に走る普通列車は
減速なんて一切しませんが。
12:25、鳴子温泉駅に到着。
近くのそば屋で手早く昼食を済ませます。
やけに具沢山な山菜蕎麦。
美味しいです。
13:05発大崎市営バス鬼首線
リゾートパークオニコウベ行きに乗り換え。
コミュニティバス的な扱いなのか
居酒屋の送迎バスみたいな車です。
荒尾湖の脇を走っていきます。
眠くなってきた…
起きたら細い山道を走っていました。
13:32、間欠泉前バス停に到着。
ここ鬼首温泉は間欠泉がある事で有名です。
入場料を払って園内に入ります。
これがその間欠泉弁天。
約10分間隔で噴き上がるそうです。
傍の足湯に浸かって待っていると
お湯の湧き上がる音がしだし…
一気に噴き上がりました。
おー。
…でも、思ったより細いな。
この施設は間欠泉以外にもこの湯滝があったりします。
見た目は普通の滝ですが、湯気が立ち上っています。
この川全体が温泉!?
川が温泉だったら沢登りもさぞ心地良い…
…でも、装備に激臭が付きそうだな。
あと、つるつる滑って危なさそう。
鬼首温泉は源泉の湯温がかなり高いので
温泉卵も作る事が出来ます。
温泉卵って浸ける温泉によって
味が変わったりするのかな?
次にやって来たのは間欠泉の園の隣にある
地獄谷の遊歩道。
先程の湯滝の上流部です。
いきなり道を塞いできました。
今年は雪が少なかった筈なんだけど、
何故木が倒れてきたのか。
それとも、これも演出の内なのか。
少し歩くと歩道脇の岩から
温泉の湧き出す地帯に。
これは雷の湯。
その名の通り、まるで雷鳴の如く音を轟かせて
岩の裂け目から熱湯が溢れています。
湯気だけでも熱い!
しかも、歩道に滅茶苦茶近い!
このおどろおどろしい音といい、
昔の人からしたら地獄以外の何物でも無いよな…
巨大なお灸のような見た目の紫地獄。
近付くのは流石に危ないのか、
これだけは川の対岸から眺めるだけです。
蒸かし芋作れそう(小並感)
こんな何気無い岩の割れ目からも
お湯と蒸気が溢れ出しています。
温泉の力って岩をも砕くんだな…
わらび湯。
嘗てはこの蒸気でワラビを蒸していたとか。
あ、意外と昔の人達も怖がらないものなんですね。
見た目は完全に山火事だな…
っていうか、寧ろ何故周りに木が生えているのだろう。
この辺りの木は硫黄に強いのでしょうか。
衝撃の区間。
何と、間欠泉が噴出すると
歩道に熱湯が容赦無く浴びせられるそうです。
しかも、噴出間隔が数分~数十分とかなりアバウト。
ここだけは歩道が木では無くコンクリートになる仕様。
こんな経路、良く許可が下りたな…
ちょっと期待しましたが、
僕が居る間には噴出しませんでした。
ここで突如遊歩道は終了。
但し、獣道を進む事は出来るそうです。
が、時間が迫っているのでここで引き返します。
14:59発大崎市営バス鬼首線
鳴子温泉駅前行きに乗車。
歩いたし、折角の温泉郷なんだし、
温泉に浸かってゆったりしよう!
ここ鳴子温泉は日本にある11種類の源泉の内、
何と9種類も湧出しているのだそうです。
滝の湯。
鳴子温泉神社の御神湯として千年以上の歴史を持つ温泉で、
入浴料は大人150円ととてもリーズナブルな公衆浴場です。
その歴史の長さもさる事ながら、
pH2.8という極めて強い酸性も特筆すべきでしょう。
これはレモン汁に匹敵する酸性度です。
酢ヶ湯温泉(pH1.9)程ではありませんが。
それでは早速…
熱っ!
何だこの熱さ!
酸でピリピリしているという事なのか?
と思ったら、普通に46℃以上あった。
下風呂温泉と言い、
東北の公衆浴場は熱過ぎませんかね…
奥の浴槽は少しだけぬるめでしたが。
こちらは滝の湯の本殿、鳴子温泉神社。
お参りするとどういう効能(?)があるのだろう。
温泉を掘り当て易くなるとか?
ちなみに、鳴子はこけしでも有名で
こけしポストやこけし電話ボックスがあったりします。
こわい。
ちょっと小腹が空いたので
鳴子名物栗団子を…
と思っていたのですが、
売り切れていたので豆腐屋さんで豆乳スイーツを。
想像以上に美味しかったです。
早稲田桟敷湯。
早大生が実習で掘り当てたという温泉です。
東大も掘り当てよう(提案)
鳴子温泉駅にも無料の足湯があります。
ほっとゆだ駅とは違い、
残念ながらちゃんとした温泉はありませんが。
17:16発JR陸羽東線普通小牛田行きに乗車。
帰ります。
日没。
古川駅で東北新幹線はやぶさ108号東京行きに乗り換え。
17両編成とか長過ぎる。
あと、通過列車の速度も早過ぎる。
乗り換えに殆ど余裕が無かったので
夕食は駅弁です。
おー、生石灰で温める方式だ。
久し振りに見たな…
やはりご飯は温かい方が美味しいです。
19:50、上野駅に到着。
こうして今回の旅行が終了しました。
1週間前に思い付いて
ほんの数日前に行程が完成したような旅行ですが、
島に温泉に癒されました。
やはり東北は良いですね。
脚注
※「輸送密度」
平成26年度のJR東日本管内輸送密度ワーストは
1位 只見線 会津川口-只見(代行バス) 22人/日
2位 岩泉線 茂市-岩泉(代行バス) 23人/日
3位 陸羽東線 鳴子温泉-最上 110人/日
4位 只見線 只見-小出 112人/日
6位 北上線 ほっとゆだ-横手 155人/日
7位 津軽線 中小国-三厩 163人/日
cf. JR東日本 路線別ご利用状況 2010年度~2014年度
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