4:19、起床。
元々、今回の山行は剱岳、槍ヶ岳を共に討ったIT(元・旭丘高)と
残る日本三大岩峰…と呼ばれても良さそうな気がするのだが、
これは私が勝手に呼んでいるだけの呼称。
剱岳八ツ峰、槍ヶ岳北鎌尾根、前穂高岳北尾根は
日本三大岩稜と呼ばれるらしい。の一座である奥穂高岳を目指す計画だったのですが、
天気予報を見ると前線の影響で明日から雨模様。
日本を代表する岩峰の一つに雨で登るのは…
しかし、お盆の三連休の壮絶な予約合戦を勝ち抜いて
何とか抑えた山小屋の予約を手放すのは惜しい…
案外降らないという予報も無くは無いし…

と散々悩んだ末、結局奥穂高岳は諦めて
高山から日帰りで登れる良さげな山、
ということで日本百名山かつ3,000m峰でもある
御嶽山を狙うことにしました。
御嶽山は御嶽山で規制で頂上まで行けなかったり、
日記に残してこそいないものの
去年計画して悪天候で中止していたりと、
リベンジ的な要素があったりします。
しかも、実は今年やっと噴火警戒レベルが1まで下がったんですよね。
これはもう登るしかない。

奥穂高岳と比べてしまうとどうしても霞んでしまうものの
御嶽山も何だかんだ登り応えのある山なので、
確実に日帰り出来るようおんたけロープウェイで
標高2,125mの飯森高原駅までアクセスしました。

では入山します。
あれ、10年前は七合目の行場山荘まで愛犬と行けたのに、
今は飯森高原駅を出るとすぐペット禁止になっているんだな…

かなり気合いを入れて整備された登山道。
御嶽山の人気っぷりが窺えます。
濃尾平野から一番綺麗に見えて
一番アクセスしやすい3,000m峰でもあるので、
愛知県民登山客がかなり多いです。

女人堂の遥拝所。
献花台は撤去されていました。

ここから剣ヶ峰山頂へと直登するルートと
トラバース気味に三ノ池へ向かうルートが分岐するのですが、
ただ最短経路をピストンするのは味気無いのと
丁度昨日三ノ池ルートが開通したばかりとのことなので、
若干高難度な三ノ池ルートを進みます。
10年前に歩いたのも実はこのルートです。

10年前の最終到達地点だった元・展望台。
今では名も無き通過点になっています。
僕が行くのは基本過疎地とかなので、
こういう時代の流れを感じさせるフレーズが登場する時は
昔は行けたのに今ではもう行けなくなってしまった…
という諸行無常的な意味合いが込められていることが多いのですが、
今回は珍しくその逆の良い意味合いですね。

ここからは初めて足を踏み入れる地帯。
待っていたかのように地形が険しくなってきました。
そのお蔭でこのルートを選ぶ登山者は少なめです。

これはまた豪快なガレ場。
ここを頼りない細いロープ1本で渡らせるのは
女人堂までの木道と大違いですね。

お次はかなりナメった沢。
名前が付いていても良さそうなものですが不明です。

一応渡渉。
この傾斜とグリップならこの沢を登っても良さそうですね。
北海道の山ならそういう登山道を付けていそう。

2つの沢筋を越えるとトラバースが終わり、
木道で稲妻状に登り始めます。

最後ガレ場を越えれば…

着きました!
御嶽山で最も有名な火口湖、三ノ池です。

龍神伝説があるそうで、
池の畔では修験者が祈祷を捧げています。
ただ、こちらからだと池の全容を掴み辛いので
反対側に回ってみます。

これが三ノ池。
13.3mの水深(時期によって変わりそうだが)があり、
日本で最も深く最も秀麗な高山湖と言われています。
コバルトブルーと形容されていることが多いですが、
火山ガスの影響かターコイズブルーに近い色ですね。

「三ノ池」というナンバリング命名から分かる通り
御嶽山には他にも火口湖があります。
いや、ありましたという過去形の方が正しいのか。
五ノ池まで地名が付けられていますが、
まともに年中水を湛えているのは三の池だけ。
こちらは四ノ池ですが、
この写真で見て右側が欠けている為に
すぐに水が流れ出てしまうので枯れています。
雨が降ると右の欠損箇所から流れ出る水で滝が出来て
日本最高所にある滝、幻の滝となるとか。

では、三ノ池から山頂へと向かいます。

一段上がって高原に出ました。
賽の河原と呼ばれている場所だそうです。
噴火事故があった後だと縁起でも無い。
ここまで来ると急に登山者が増えましたね。
飯森高原駅から直登ルート経由で
摩利支天山を目指す人々でしょうか。

我々が目指すのは最高峰の剣ヶ峰です。
ここからまだ200m以上標高を上げる必要があります。

草原に水が流れた跡みたいなものが何条も。
大雨が降るとここに水が流れるのでしょうか?

いや、これって登山者が歩いたところが禿げているだけなのか。
水の流路と人の流れが同じような見た目になるのは面白いですね。

荒涼たる景色の中の二ノ池山荘に到着。
これだけ植生が少ないと土砂崩れは元より、
火山ガスとかが充満している恐れは無いのでしょうか。

山荘の名前となっている二ノ池の現在の姿がこちら。
平成26年の噴火で埋没してしまい、
今では見る影もありません。

一応、小さな小さな池、というか水溜まりが
余燼として二ノ池の存在を後世に伝えています。

俯瞰するとこんな感じ。
嘗ては三ノ池のように美しい姿を見せていたそうです。
見てみたかったな…

それでは、最高峰の剣ヶ峰を目指します。
うーん、ガスってきた…

剣ヶ峰山頂直下の避難シェルター。
先の噴火では噴石などで多くの命が失われた為、
このようなシェルターが設置されました。
三原山にせよ、草津白根山にせよ、浅間山にせよ、
何処も蒲鉾型のシェルターでしたが、
ここは直方体なんですね。

そして、ここへ来て俄かに雲が晴れてきました。
まるで山頂に至る我々を祝福してくれているかのような。

日本有数の山岳信仰の対象である御嶽山。
その御神体たる剣ヶ峰山頂への参道の階段を登れば…

御嶽山剣ヶ峰(標高3,067m)登頂です!
日本第14位の高峰であり、ITと登った中では過去最高峰です。
一般的に日帰りで行けるとされる山の中でも
日本最高峰として良いでしょう。

もろカルデラ湖な一ノ池。
ただ、ここは平成26年より遥か前、
江戸時代の時点で既に涸れてしまっていたそうで、
雨が纏まって降った際に稀に水を溜める程度だとか。

なお、平成26年の噴火の際に火口となったのは
如何にもな見た目をしている一ノ池ではなく、
この地獄谷なのだそうです。
危険な場所は地名を見れば分かると言うけど、
地獄谷とはまた…

恐ろしさも秘めていますが、
だからこそ御嶽山は信仰の対象となってきました。

御嶽神社頂上奥社も再建されたので、
奥社限定の御朱印帳を購入。
各地の山岳信仰の山の御朱印を集めてみたいですね。

山頂を満喫したところで下山します。
行きとは打って変わって最高の眺望!

下山路には直登ルートを取ってみます。
やはりこちらがメインの登山道、というか参道のようで、
数多くの登山者や参拝者で賑わっています。

御嶽山で発見されたことから
その名が付いたとされるオンタデ。
荒々しい地形や気候に負けず健気に咲いています。
またガスってきたな…
山頂で晴れて本当に良かった。

と、ここで登山道が山小屋に吸い込まれていって…

そのまま山小屋の土間に繋がりました。
この石室山荘は小屋の中を登山道が突っ切るという
ちょっと珍しい構造です。
大峯奥駈道の洞辻茶屋も似たような構造でしたね。
どちらも参拝者の多い修験の山だし、
何と言うか商売っ気を感じる。
ここでは小休止に留めて先を急ぎます。

特に難所も無く女人堂まで戻ってきました。

巻けたら下山後に昼食というのも考えましたが、
結構時間が掛かって14時半になってしまったのと、
僕もITも若干高山病のような頭痛があったので、
大人しく女人堂で昼食にします。
何だかんだ3,000m峰なのでね…
昼食を食べていたら、後から入ってきた大学生が
見るからに高山病でグッタリして助けを求めていました。
息も絶え絶えになって立ち往生していた修験者も居たし、
見た目で騙されてしまったけど御嶽山って普通に厳しい山だな…

折角なので、10年前に祖母と愛犬が待っていた行場山荘で
名物ちからもちのぜんざいときな粉餅も頂きました。
疲れた身体に柔めのお餅が効く!

という訳で、無事下山。
急遽計画変更して登った御嶽山でしたが、
登り応えあり見所ありで良き山でした。
本来はこんな代案みたいな心持ちで来てはいけない山なのでしょうが…

無理をすれば今日中に愛知県に帰ることも出来ましたが、
折角なので高山の温泉に浸かって
疲れを癒してからのんびりと帰ることにします。


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