大峯北奥駈道 第2日目

大峯奥駈道縦走第2日目。

4:00、起床。
うーん、昨日の疲れが…
日の出を待ち、5:18に出発。

昨夜のサイトで食材を幾らか使ったから
幾分荷物が軽くなるかと思ったのですが…
全然軽くなってないな。
白菜半玉が重さの原因ではなかったのか…
今日も20kg前後の荷物を担いで登ります。


阿弥陀ヶ森の女人結界門。
別に番人が居たりする訳ではありませんが。


6:55、大普賢岳山頂(1,779.9m)に到着。
本日最初のピークです。
え?山頂からの景色を写せ、って?


はい、どうぞ。
山頂からの絶景です。
わあ、綺麗だなあ(棒読み)
昨日の午後からずっとガスってるな…
この先危険箇所もあるのに…

しかし、天候は全く回復せず、
というか、寧ろ悪化して雨さえ降り始め、
雨が降りしきる中鎖場を進む事に。
滑りそうだ…


9:35、行者還岳山頂(1,546.5m)に到着。
行者はここで帰っちゃうみたいです。
しかし、ワンゲル部は進みます。

行者還岳から先は少し緩やかな道…
と思ったら、まさかの崩落箇所。
崖崩れで道が完全に消えていました。
しかし、回り道などありません。
崩れた崖にへばり付いて進みます。
掴んでいた土が崩れた時は
本気で死を意識しました。
そして、やっとの思いで聖宝ノ宿趾に到着。
ここから次の山頂までは僅か900m。
その900mの間に300m以上登るのです。
昨日の大天井ヶ岳など比では無い急登。
未だ嘗てこんなに長い900mがあっただろうか。
これが修行か…!


14:03、弥山山頂(1895m)に到着。
着いた…
死にそうです。
しかし、今日泊まる小屋までまだ4、5kmあります。
歩くしかない…!


15:06、八経ヶ岳山頂(1,914.9m)に到着。
近畿最高峰らしいです。
意外と近畿って高い山が無いんだな…
弥山がきつ過ぎてこちらの感動が余り無いです。

近畿最高峰に喜んでいる暇はありません。
小屋が遠いのです。
日没までに宿泊地に着けなければ、
それは山では死を意味します。
疲れ切った身体に鞭打って進みます。
八経ヶ岳から先は登山客が居ないのか、
手入れが全く行き届いておらず、
崖崩れしている箇所が頻出。
それらを必死の思いで抜けていくと
突如現れた垂直の岩壁。
吊り下がっている頼りないロープ1本。
ロープがあるという事は…
ここを進むのか!?
何度も言いますが、
20kg前後の荷物を背負っています。
しかし、行かねばならない…
ええい儘よ!
と、半分まで登ってみたものの、
これは明らかにおかしいという話になり
別のルートが無いか探す事に。
ガスっていて稜線が見えない…
そして見付かった別のルート。
「崖崩れしている箇所を下る」
…え?
それ本気で言っているんですか?
いや、これちょっと足をかけるだけで
ボロボロ石が崩れていきますよ…?
…やるしかないのかー!
何度も落ちそうになりながら
崩落した崖を下る。
何とか下る事が出来ました。
どうやら、本当にこのルートだったようです。
世界遺産ってこんなに危険なものだったのか…

そんなこんなで手間取っていたら、
日没まで1時間を切りました。
おかしい…
時間的にそろそろ舟ノ垰に着いても良い筈…
舟ノ垰から小屋までは
例の鬼の様な読みで30分。
しかし、日没まで40分を切っても見当たらない。
ガスっている上に道はやけに分かり難い。
そして、焦る大学生達。
これはまさか…
…遭難!?
お、落ち着け、まだ慌てるような時間じゃ…
これはヤバいだろー!
こんな所で夜を迎えたら間違い無く死ぬ!
渾身の力を振り絞って進みます。
日没まで残り26分というところで
やっと舟ノ垰に到着。
休憩もせずに小屋へと急ぐ。
頼む、間に合ってくれ…!
僕はまだ人生でやりたい事が山程あるんだ…!
しかし、無情にも時は過ぎ、
18:12、日没。
そんな…
こんな事が…
ここまでか―


―18:17、楊子ヶ宿に到着。
着いた…?
着いた…!
着いたー!
日没後数分間の薄明かりを頼りに
どうにかこうにか小屋に辿り着きました。
危なかった…

今日は本当に死ぬかと思いました。
これほどまざまざと死を意識させられたのは
今までの人生でこれが始めてです。
今日の行動時間は13時間。
先輩方も計画の無謀さを認識し始め、
隊が疲労困憊している現状も鑑みて
大峯奥駈道制覇は諦め、
半分の大峯北奥駈道を制覇して、
明日下山する事になりました。
しかし、それでも相当な強行スケジュール。
果たして、生きて帰る事は出来るのか…

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