白銀の道北旅行 第2日目(書きかけ)


4:45、起床。
まだ足跡も轍も付いていない-12℃の深川を発ちます。


深川駅にやって来ました。
ここから列車に乗ります。


深川駅掲載の路線図。
増毛まで66.8kmあった留萌本線(2015/9/3)は何処へやら、
今は起点の深川駅を入れても留萌本線は僅か5駅、
延長たった14.4kmの日本一短い「本線」となりました。
今から乗るのはそのJR留萌本線の普通列車です。
「普通列車」と聞くとどういう運行の列車を思い浮かべるでしょうか?
大体の人の回答は「全ての駅に停まる列車」か、
あるいは関東人だと「遠くまで行く列車」と答えるかも知れません。


始発の普通列車には逆三角で記事(注釈)が付いているので
それを見てみると…


「▼=北一已・秩父別・北秩父別通過」と書いてあります。
…コナン君張りの観察眼を持った方なら気付いたでしょうか、
僕が「起点の深川駅を入れても留萌本線は僅か5駅」と言っていたことに。


そう、「北一已・秩父別・北秩父別通過」とは即ち
終点の石狩沼田まで一切停車せず全駅を通過するということです。
これを快速列車と呼ばずして何を快速列車と呼ぶのか。
平成7年まで運行されていた快速るもいでさえ
秩父別駅には停車していたので、
快速を飛び越して国鉄時代の急行列車並みです。


方向幕とかどうなっているんだろう?
と気になっていたのですが、方向幕は白紙でした。
高々3年間しか走らせない区間の為に
わざわざ方向幕を用意するのは無駄という判断でしょうか
(留萌本線が深川-石狩沼田なのは令和5〜7年度の間だけ)。


という訳で、5:59発JR留萌本線普通石狩沼田行きに乗車。
乗客は僕を含めて2人でした。
寧ろ貸切状態でないことに驚く。


今の留萌本線には交換設備が無いので、
運転停車も無く石狩沼田駅へと直行します。


6:11、石狩沼田駅に到着。


嘗ては国鉄留萠本線と国鉄札沼線が乗り入れるターミナル駅でしたが、
今やローカル盲腸線の終着駅。
それも来年の3月には廃止されることが内定しています。


その僅かな期間に訪れる葬式鉄の需要を狙っているのか、
駅窓口では色んなグッズも売られているようです。
平日の昼しか買えないのは難度が高いな…
昨日寄っておけば良かったかな。


ちなみに、沼田という駅名は地名から来たのではなく
沼田さんの農場に駅を置かせてもらったことに由来するそうで、
逆にそこから沼田町という地名が出来たそうです。
駅名から地名が出来た例は儘ありますが、
人名が駅名を経由して地名になるのは珍しいですね。


折り返しの6:24発JR留萌本線普通深川行きに乗車。
さっきの実質急行な下り始発列車は、
事実上この上り始発列車の送り込み回送です。
回送だから無駄に停車させたくないということなのでしょう。
何故客扱いしているのかは謎ですが。


6:28、北秩父別駅に到着。


列車が行ってしまうと、
残されたのは空とも雲とも付かない静寂の雪原。
辺りに人の気配は一切ありません。


古き良き朝礼台ホーム。
北海道ならではの形式で、仮乗降場上がりの駅であることを意味しています。


分厚く雪の積もった物置型待合所。
かなり真新しい雰囲気です。


それもそのはず、今の待合所は3年前に建て直されたばかり。
令和7年度末での廃止が決まっているのに?とも思いますが、
旧待合所はこんな風に大きく傾いていて、
いつ倒壊するとも知れない状態だったので已むを得なかったのでしょう。
ちなみに、この旧待合所はJR北海道の所有物ではなく、
かと言って秩父別町の所有物でもないという謎の存在だったそうです。
近所の誰かが勝手に建てたということなのでしょうか。


建て替えにより正式に秩父別町の所有物となった現待合所。
雪が付いた靴で立ち入ると滅茶苦茶滑ります。


北秩父別駅時刻表。
上に貼った深川駅の時刻表の記事に
「◆=北秩父別通過」と書いてあった通り、
ただでさえ少ないJR留萌本線の列車の内
午前の下り列車と午後の上り列車の殆どが通過してしまう為、
北秩父別駅に停車するのは上り2本と下り4本だけです。
下り始発列車の16:21発というのは、現在日本で最も遅い始発だったり。


駅前通り。
流石は元・仮乗降場と言ったところで、
集落らしい集落は全く見当たりません。


ただ、公正を期す為に言っておくと、
上の写真と逆方向(南)には深川留萌自動車道が通っているので
車の走行音は結構聞こえてきます。
秘境感は薄めです。


そうこうしている内に日の出。
これ、日が高くなったら滅茶苦茶に眩しそうだな。


ところで、待合室の周りに何やら
植木鉢が透明化したような氷が並んでいるのですが、
これは一体何なのでしょうか?


と思ったら、北秩父別駅の待合室に答が貼ってありました。
留萌本線キタアカリというイルミネーションイベントがあるようです。
っていうか、正に今夜なのか!
行程の都合上参加出来ませんが…


散策していたら1本の列車が通過していきました。
これは北秩父別駅のみならず全駅を通過する列車、
つまり旅客列車ではなくて送り込み回送列車です。
つくづく今朝一番の列車が旅客扱いをしている理由が謎ですね。
お蔭で北秩父別駅を訪問出来た訳ですが。


通過していった回送列車が戻ってくるのを待合室で待ちます。
太陽が昇ったとはいえ-10℃切りは寒い…


20分程で再び踏切が鳴ったので朝礼台
元い、ホームに出ます。


7:33発JR留萌本線普通深川行きに乗車。


7:38、秩父別駅に到着。
北を冠さない秩父別町の中心駅です。


木の温もりを感じる駅舎。
広めの待合室には石油ストーブがあって、
長い待ち時間の間に凍えなくて済みます。
日に20人程度しか利用しない駅にしては厚遇ですね。


秩父別駅から歩いて道の駅鐘のなるまち・ちっぷべつに来ました。
さて、ここで記念切符を回収したいところなのですが…
秩父別からはバスで移動する予定で、
そのバス停までの距離が300m徒歩4分。
それで、この道の駅の営業開始が9:00で、バスの時刻が9:04。
万が一にでも逃したりしたら次のバスは2時間20分後です。
行けるかな…


まだ営業開始まで数分あるので、
目の前に聳えているこの謎タワーに登ってみます。
これが鐘楼?


という訳でもなくて、普通に展望台なんですね。
一応申し訳程度に鐘は吊らされていますが。
何故「鐘のなるまち」なのだろう…


9:00になったので開店と同時に入店。
ここでも留萌本線グッズを取り扱っていたので、
石狩沼田駅で買えなかった分を購入。


バス停に急ぎます。
こんなところに巨大な鐘が。
後に調べてみたところ
開拓当時は屯田兵に時を知らせる鐘が毎日撞かれていたそうで、
それが「鐘のなるまち」の由来になっているそうです。


バスが微妙に遅延していて無事に乗れました。
9:04発道北バス56系統留萌旭川線留萌十字街行きに乗車。


JR留萌本線の廃止された石狩沼田-留萌間の代替バスに相当する路線で、
乗客は殆ど乗っていません。
その割にやけに豪華な車両でコンセントが付いていたり、
クレジットカードのタッチ決済に対応していたりしていますが。


道中にあった留萌ブックセンターby三省堂書店。
愛知県でも名駅と一宮にしかないあの三省堂書店です。
何故よりにもよって留萌に!?
気になって調べてみたところ、
平成22年に市で唯一の書店が閉業した際に
市民団体が立ち上がって三省堂書店を誘致したのだとか。
そんなことが可能なんですね。


10:11、留萌駅前バス停に到着。
ここで沿岸バスの1日券を購入します。


…と思ったのに、窓口は月水金しか開いていないって!?
利用者減による業務縮小の波がこんなところにも…


今日はこの後沿岸バスを何度も乗り降りすることになるので、
急いで沿岸バス留萌営業所まで走って1日券を購入。
沿岸バスは留「萌」を拠点にしているということで
かなり早い時期から萌えキャラによる集客を行っていて、
一日乗車券は平成21年から「萌えっ子フリーきっぷ」として売られています。
毎年デザインを変更していて現在第16シーズン、
登場した萌えキャラは累計29人にも及んでいるとか。
このキャラは問寒別めいりんです。


という訳で、ここからは沿岸バスで巡ります。
留萌十字街バス停から10:44発沿岸バス13系統幌延留萌線
幌延深地層研究センター前行きに乗車。


まさか一度の人生の内で3度も通ることになろうとは
夢にも思っていなかった国道232号日本海オロロンラインです。
今回は初の冬期なので印象がまた違いますが。

 

To be continued.

 

脚注
※「仮乗降場」
   国鉄本社の認可を得た正式な駅ではなく、地方の鉄道管理局の一存で設置した簡素な停車場。
   時刻表には掲載されないことも多く、幻の駅とも呼ばれた。
   基本的に利用者が少ない。

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