マイカーで頻繁に静岡県へ出掛ける身としては
新東名高速道路には感謝してもしきれませんが、
そんな新東名高速道路の最後のミッシングピースとなっているのが
新御殿場-新秦野の静岡・神奈川県境区間です。
実は工事のボトルネックとなっている場所の一つが松田町内にあり、
そこではどんな困難があってどのように解決しようとしているのか、
NEXCO中日本が解説している施設も設けられています。
折角松田町に住んでいるので行ってみることにしました。
まずは松田町北部、寄(やどりき)地区にやって来ました。
一応同じ町内ながら細い山道を
延々走らないと辿り着けない奥地にある為、
一度も来たことがありませんでした。
昭和30年までは寄村という別の自治体だったのも納得です。
まずは地区の食堂で昼食。
山中にあるのに何故か小田原漁港で仕入れたマグロが名物だそうです。
確かに美味しい。
生じゃなくて漬けなのが山中要素かな?
新東名のPR施設は寄地区の入口にあるのですが、
予約した見学時刻までまだ時間があるので
寄のどん詰まりまで行ってみます。
中々荒れた道ですね…
神奈川県道710号開通区間の行き止まりまで来ました。
実はAIオンデマンドバスのバス停も設定されていたりします。
最明寺史跡公園(2024/1/28)と言い、
マニアックなところに設定するものですね。
ここは酒匂川の支流の川音川の更に支流の中津川の上流部です。
想像以上に幽谷の雰囲気ですね。
自分の住んでいる町にこんな場所があったとは…
何故こんな山奥にバス停が設定されたかというと、
やどりき水源林という自然公園があるからです。
様々な企業がこの場所でトラスト運動をしている様子。
水源林と言いつつ、この下流にダムなんてあったっけ?
と思ったのですが、
小田原市は飯泉取水ポンプ所から酒匂川の水を取水して
上水道に利用しているのだそうです。
また、松田町を始めとした足柄上郡の町々は
主に地下水を水源としているので、
延いてはこの森林が貯めた水を使っていることになるのでしょう。
林の中を散策するトレッキングルートもあるそうなのですが、
小雨がぱらついている天気なのと
そもそも新東名PR施設の予約時刻が迫っているので、
今日は雰囲気だけ感じて踵を返します。
という訳でやって来ました、
新東名高速道路 松田事業PR館です!
実物大のトンネル支保工が門代わりという
道路オタクの心を擽る演出でお出迎えです。
ここは新東名高速道路の未開通区間の中でも
中津川橋と高松トンネルの工事について紹介しており、
特に高松トンネルについては
新御殿場-新秦野の開通が遅れている一番の要因として、
如何に地盤が脆いか、湧水が大変かが説明されています。
館内写真についてはネット公開禁止だそうでここには載せられませんが。
個人的に一番面白かったのは、
高松トンネルは上下線でトンネル坑口の大きさが全く違うという話。
上の写真では主塔の工事に隠されてしまっていますが、
下り線の方が3倍も大きな口を開けています。
何故かお分かりでしょうか?
正解は、地盤の関係で中津川橋の下り線用の橋脚は
非常にアンバランスな位置に立てざるを得ず、
橋脚の左右で重さの釣り合いを取る為には
トンネルの中まで橋桁を延長しなければならなかったからです。
実は下り線の中津川橋は高松トンネルの中に20mも突っ込んでいて、
その所為でケーブルやら橋桁やらを包含出来るように
断面を非常に大きく取る必要があったんですね。
勿論、これは入口だけの話で20m経って中津川橋が正式に終わると
普通の断面積のトンネルに移行するそうです。
道路工事の工法ってこういうパズルみたいな要素があって大好き。
記念品まで貰えて大満足のPR館でした。
隣町の山北町にもあるらしいからそっちにも行ってみようかな?
脚注
※「支保工」
トンネルなどの形を維持する為に入れられる支えのこと。
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