阪奈鉄道乗り潰し 第1日目

小田急沿線、特に神奈川県内に住んでいる人にお馴染みであろう
快速急行小田原行きでの定番の案内、
「この列車は新松田から急行小田原行きとなります」。
新松田駅で快速急行から急行に1段階遅くなるということですが、
新松田-小田原に於いて快速急行と急行の違いは
途中の開成駅を通過するか否かでしかありません。
そして、ほぼ100%の人は新松田から急行に種別変更する
快速急行小田原行きしか見たことが無いはずです。
では、開成を通過するとされる快速急行という種別は
一体何処に存在しているのか?


それは早朝の神奈川県西部です。
海老名始発快速急行小田原行き(新松田5:39発)。
1日を通してこの唯1本だけが、
新松田駅を過ぎても快速急行であり続ける真の快速急行です。
反対方向、小田原→新松田を快速急行として走る列車は無いので、
この1本が新松田以西の快速急行という種別を維持しています。
じゃあもうこの列車が開成を特別通過という扱いで良いのでは…?

という事で、三連休が始まりました。
流石にちょっと珍しい列車を紹介する為だけに
土曜日の4時台に起きたりはしません。
始発の新幹線に乗り継ぐ為という大義名分があります。
小田原駅で6:17発東海道新幹線ひかり533号広島行きに乗り換え、
7:25、名古屋駅に到着。
帰省する…訳ではなくて、ここから近鉄乗り潰しを始めます。
日本最大の路線網を持つ私鉄である近畿日本鉄道。
近鉄週末フリーパスという3日間有効のフリー切符を使って
一気に乗り潰しを図ります。
7:41発近鉄名古屋線急行伊勢中川行きに乗り換え、
伊勢中川駅で9:06発近鉄大阪線急行大阪上本町行きに乗り換え。


10:24、桜井駅に到着。
私鉄として日本最大の路線網を有しているとはいえ、
三重県エリアは既に完乗していることもあって
3日間もあるとそれなりに余裕があるので、
ある程度普通の(?)観光もします。


桜井は吉野杉の集積地として栄えてきた歴史があり、
町を歩いているとそこかしこに材木屋があります。
安倍材木団地というズバリそのままな大字も。


杉の香る路地を抜けてやって来たのは
日本三文殊の一つ、安倍文殊院です。
文殊菩薩と言えば言わずとしれた智慧の仏様。
ポケモンをやっていて思ったのですが、
シャンデラに攻撃の努力値を振ることは無いように、
人も苦手を克服するよりも得意を伸ばして
特化型になった方が良いのではないかと。
という訳で、僕は特攻こと知力に振るべく文殊院へ。


本堂の文殊菩薩像が凄いとオススメされたのもあります。
実際、高さ7mもある木像は圧巻でした。
パッと見銅像かと見間違えるほどの重厚感。
材木の町桜井ならではの木工の業でしょうか。
御朱印も頂いておきました。


最近では亀パンという新名物も推しているようです。
カボチャ餡の入った優しい甘さのパンです。
亀は「噛め」とかかっており、
良く噛んで食べることにより脳を活性化させるとか。
つまりリゾチウムでしょうか。
活性化ってことは一時的っぽいしスペシャルアップかな?

それでは、特攻を鍛えたところで乗り潰し再開です。
桜井駅11:47発近鉄大阪線急行大阪上本町行きに乗車し、
大和八木駅で11:53発近鉄橿原線普通大和西大寺行きに乗り換え。
まずは近鉄橿原線。


12:01、石見駅に到着。
乗り潰しを始めたばかりですが、昼食の為に下車します。


奈良県のご当地ラーメンと言えば天理ラーメンですが、
実は天理スタミナラーメン以外にも
彩華ラーメンというチェーン店も存在しています。
食べ比べるべく来てみました。


予想はしていましたが大行列だったので、
記名したら隣の道の駅レスティ唐古・鍵で時間を潰します。
御朱印帳は買いましたが、
道の駅の記念切符収集も続けています。


ラーメン屋に戻って彩華ラーメン。
天理スタミナラーメンと比較するとスッキリというか、
ニンニクや唐辛子の風味がより明瞭に感じられる味です。
個人的にはこっちの方が好きかも。


昼食を終えたら乗り潰し再開です。
石見駅から13:22発近鉄橿原線普通大和西大寺行きに乗り換え。


平端駅で13:40発近鉄天理線普通天理行きに乗り換え。
数多の中小私鉄を吸収した近鉄にありがちな盲腸線の一つ、
天理軽便鉄道として開業した近鉄天理線です。
元々は近鉄橿原線(の前身である大阪電気軌道畝傍線)ではなく
JR関西本線(の前身である国鉄関西本線)の
法隆寺駅から天理を結ぶ役割の路線でした。
平端-法隆寺は戦時中に休止となりそのまま廃止されましたが。


13:46、天理駅に到着。
近鉄天理線完乗です。
昨夏(2023/7/15)にも来ているから久し振り感が全然無い。
14:00発近鉄天理線急行大和西大寺行きに乗車。


14:28、大和西大寺駅に到着。
これで近鉄橿原線も完乗です。
写真は最も雄弁に大和西大寺という駅を語る配線です。
日本一分岐器(ポイント)の多い駅だとか。
その数実に28個。
何故大阪駅でも新宿駅でもなく奈良市のこの駅が?
と思われるかも知れませんが、
実は奈良市だからこそなのです。


多くの路線が乗り入れるようなターミナル駅は
普通路線を立体交差させるのですが、
奈良は地面を掘ると遺跡が出土してしまうので
地下化することは出来ず、
かと言って、県内で一番高い建物が
約600年前竣工の興福寺五重塔という奈良県では
高架化も景観保護の観点から難しく、
それでいて大阪・京都・奈良・橿原(→名古屋・伊勢)という
特に利用者が多い4方面の列車が介する結節点なので、
結果として各方面の列車を少しでも干渉させない為に
平面交差を駆使する今の形になったそうです。


14:26発近鉄橿原線急行橿原神宮前行きに乗り換え。
この列車だけでも4個の分岐器と
3個のダイヤモンドクロッシングを越えます。


14:54、橿原神宮前駅に到着。


ここは橿原線・南大阪線・吉野線の3路線が集まる
これまた重要なターミナル駅で、
路線図を見ると3路線が繋がっているように見えますが…


実は、近鉄橿原線だけは絶対に他の2路線へ直通出来ません。
それは何故か?


線路の幅、軌間が違うのです。
大阪上本町から始まる近鉄大阪線系統の各路線(含橿原線)は
軌間が新幹線と同じ1,435mm(標準軌)なのに対し、
大阪阿部野橋から始まる近鉄南大阪線系統の各路線は
軌間が在来線と同じ1,067mm(狭軌)である為、
物理的に直通運転が不可能なのです。
何故そんなことになっているかと言えば、
大阪電気軌道(標準軌)と大阪鉄道(狭軌)という
元は全く別の会社が合併して近鉄が生まれたからです。
関東で同様の事態に陥っている京王電鉄も
井の頭線だけ元々は小田急系統だったりします。


近鉄の特殊なところは、
狭軌の南大阪線系統の車両であっても
標準軌の近鉄大阪線にある五位堂検修車庫で検査を行う為、
検査の時には狭軌の車両も台車を履き替えて回送されること。
その為、橿原神宮前駅構内には台車を替える作業場があります。


3年前の大晦日(2021/12/31)にも参拝した橿原神宮を参拝しておきます。
明日は建国記念の日だからか何か準備をしていますね。


橿原神宮の参拝が予想より早く済んだので、
もう1ヶ所立寄地点を増やしてみます。
橿原神宮前駅から15:58発近鉄吉野線急行吉野行きに乗車。


16:02、飛鳥駅に到着。
飛鳥文化アタック聖徳太子で有名な飛鳥時代に都が置かれた
日本の中央集権発祥の地です。
何故この地に都を…?
ちなみに、飛鳥駅は大手私鉄の中で唯一村(明日香村)にある駅です
(中小私鉄を入れると富山地鉄本線の越中舟橋駅などもある)。


そんなに時間がたっぷりある訳ではないので、
駅前の道の駅飛鳥だけ見て戻ります。
16:25発近鉄吉野線急行大阪阿部野橋行きに乗車。


尺土駅で16:45発近鉄御所線普通近鉄御所行きに乗り換え。
これまた短距離盲腸線の近鉄御所線です。
南和電気鉄道が五条経由で和歌山県の橋本を目指して建設し、
僅か5.2km建設したところで力尽きました。
御所から五条を経て橋本って、JR和歌山線ともろ被りしていない…?
関西の私鉄は国鉄が居ようが真っ向から勝負しに行くのが面白いですね。


16:53、近鉄御所駅に到着。
近鉄御所線完乗です。
16:56発近鉄御所線普通尺土行きで折り返します。
尺土駅で17:11発近鉄南大阪線急行大阪阿部野橋行きに乗り換え。


17:42、大阪阿部野橋駅に到着。
近鉄南大阪線も完乗です。


乗って歩いてもうお腹ペコペコです。
コテコテの大阪こと天王寺にやって来たので、
正統派な大阪名物を頂こうと思います。


思い返してみると、大阪では一度も食べたことが無かったたこ焼き。
外はカリッと中はトロッと、
味付けはソースマヨよりも塩ゴマ油の方が好きかも。
本場だけあって美味しかったです。
たこ焼きらしからぬ値段でしたが…


さて、それでは宿に向かいます。
市内の宿泊費はあまりにも高騰しているので、
それなりの価格の宿は河内にしか見付けられませんでした。
近鉄南大阪線準急河内長野行きに乗車。
近鉄の行き先案内では頭の近鉄の名や旧国名を省くことが多いので、
河内長野は河内が取れて「長野」になっています。
部外者からすると一瞬吃驚しますね。


終点の河内長野駅で下車。
ついでに近鉄長野線も完乗です。
南海高野線が続いているのであまり終着駅感はありませんが。
今日のお宿は河内長野の温泉宿。
そもそも河内長野に宿泊出来るイメージが無いのに更に温泉?
山奥の秘湯とかとはまた違った意味で
隠れ宿っぽさがあって面白いですね。

コメント