いつでも気軽に行けるという場所ほど
よっぽど意識しないと行かないもの。
ということで、今日は長年放置してしまっていた
愛知県の鉄道を乗り潰すことにしました。
愛知県の鉄道を乗り潰すにあたって最大の関門はやはり名鉄。
沿線に観光地が乏しく乗車意欲が湧かない上に
大手私鉄の中で最も運賃が高いとされています。
しかも、今年の3/16から更に値上げですよ。
こういうことを言うと老害臭くなってしまいますが、
高校時代名古屋-成岩が650円だったところから
消費税増税に合わせて10円か20円ずつ値上げしていたのを、
次は一気に70円上げて750円ですからね。
まあ、物価は本来上がっていくのがあるべき姿ではありますが、
成岩駅列車半減事件も鑑みると
いよいよかと感じざるを得ません。
そんな訳で、今日は正月特価の迎春1DAYフリーきっぷで
名鉄の未乗区間を片付けることにします。
知多半田駅から7:00発名鉄河和線特急須ケ口行きに乗車し、
神宮前駅で7:29発名鉄名古屋本線特急豊橋行きに乗り換え。
知立駅で7:50発名鉄三河線普通猿投行きに乗り換え。
まずは名鉄三河線の知立以北、通称山線です。
名鉄三河線は豊田市駅で下車して、
新豊田駅から8:32発愛知環状鉄道普通高蔵寺行きに乗り換え。
先月であり去年(2023/12/24)に
新豊田以南を乗り潰す下準備をしておいたので、
今日は新豊田以北です。
8:56、瀬戸口駅に到着。
瀬戸口-高蔵寺は昔(2010/4/24)乗ったことがあるので、
これで愛知環状鉄道は完乗です。
折り返します。
八草駅で9:17発愛知高速交通東部丘陵線藤が丘行きに乗り換え。
お次はリニモです。
東部丘陵線、通称リニモは愛・地球博の際に
会場へのアクセス手段として整備された新交通システムで、
現在の日本では唯一、世界を見渡しても
上海トランスラピッド(2012/3/31)とあと数例しかない
まともな公共交通機関として営業しているリニアモーターカーです。
リニアモーターカーと言っても超高速で走る訳ではありませんが。
そもそも、平均駅間距離が1.1kmしかありませんからね。
9:24、芸大通駅に到着。
乗り潰しだけというのも何なので、ちょっと観光します。
愛知県の数少ない観光地の一つと言えば…
トヨタ博物館です!
最近隣にジブリパークも出来ましたが、
やはり車オタクとしてはこちらに来なければなりません。
まずはトヨタ自動車初の乗用車、
トヨダAA型乗用車がお出迎え。
当時の社名はトヨ「ダ」で合っています。
自動車専用道路の標識のあのイラストみたいなフォルムですね。
この博物館を建てるにあたってトヨタが探したのですが、
戦前の車の為発見することが出来ず、
図面を元に忠実に再現したレプリカを造ったそうです。
トヨタの力を持ってしても国内では発見出来なかったAA型ですが、
世界に目を遣ると2008年にロシアで1台だけ見付かったとか。
流石ロシア。
2階から展示ゾーンです。
まずお出迎えするのは世界初のガソリン車、
ベンツ パテント モトールヴァーゲン。
グランツーリスモ4で出てたなぁ…
GT4では驚異の1馬力とされていましたが、
実際には更に非力でたった0.75馬力だそうです。
後ろを見ると回転体が剥き出し過ぎて怖い。
座席の後ろから垂れたコートとか巻き込まれそう…
という訳で、まずは黎明期の車からスタートです。
このレベルの古さになってくると
遺跡からの出土品を見ている気分になってきます。
馴染みが無さ過ぎて格好良さを感じ難い…
こちらは教科書でも出てくるお馴染みの車、
T型フォードことフォード モデルTです。
世界で初めて生産にベルトコンベアによる流れ作業を採用した
大量生産の元祖とも言える車で、
現代の我々の便利な生活の礎を築いたとも言えますし、
捻くれた見方をすれば環境破壊の嚆矢と言えなくもありません。
いずれにせよ、歴史の転換点となった偉大な名車です。
トヨタ博物館の驚くべきところは、
こういった名車が今も走る状態に保たれているという点でしょうか。
流石に当時の実車ではなくてレプリカだそうですが、
それでも本当に走るというのは凄い。
トヨタ自動車の技術者の技術継承も兼ねているそうです。
この走行動画を見て初めて知ったのですが、
T型フォードの場合アクセルは足で踏むペダルではなく
手で引くレバーで操作するそうです。
まだウインカーもワイパーも無かった時代で
手が暇だったからこそ可能だったのでしょう。
でも、カーブでハンドルを持ち替えたい時はどうするのかな?
F1みたいにロックトゥロックが0.5回転とかなんだろうか。
こちらは屋根の付いた大衆車の元祖、エセックス コーチ。
この車が世に出ていなければ
我々は今でも屋根の無い車に乗っていた…のかも知れません。
エセックス コーチの販売戦略を説明する資料の
社内プレゼン資料感が凄い。
トヨタの社内資料は半角カタカナを多用するんだろうか…
半角カタカナを使いまくる人が居たら元トヨタである可能性が?
こちらは日本の自動車黎明期のコーナー。
祖父母の代ならギリギリ記憶があるかも?
今とは似ても似つかないエンブレム。
漢字で「豊田」とデザインされています。
これはこれで格好良い。
今のTをモチーフにしたマークの歴史は意外に浅く、
平成元年に採用されたものだそうです。
昭和時代はトヨタのエンブレムではなく
それぞれの車種毎にオリジナルのエンブレムを付けていました。
今でもカローラやクラウンは独自エンブレムですね。
3階の戦後コーナーからは馴染みのある車も出てきます。
何なら運転したことのある車も出てきます。
日本でも人気のミニです。
僕が運転したのはローバー ミニクーパー1.3i(2022/2/17)で
これは初代のモーリス ミニ・マイナーなので、
正確には違うグレードですが。
悪石島(2023/12/9)で見掛けたシトロエン2CVも。
「ユニークなボデースタイル」と紹介されていました。
当時からフランス車はそういう評価だったんですね。
ユニークさなら日本車も負けていません。
この富士自動車(富士重工業=スバルではない)フジキャビンは
FRP(繊維強化プラスチック)製のボディを纏った三輪車で、
昭和30年代の車とは思えない近未来的な形状をしています。
ただ、中身は当時としても低性能だったそうで、
たったの85台造ったところで生産を終了したそうです。
そんな失敗作を挟みつつも、
この時代は今のマイカーに通じる
数々のロングセラーが生み出された時代でもあります。
左から、ホンダN360(今のN-BOX)、スズキ フロンテ360(今のアルト)、
マツダ キャロル(今はアルトのOEM)です。
トヨタ カローラとスバル360は別枠で展示されていました。
別枠と言えばこちらも勿論別枠。
トヨタ2000GTとトヨタ スポーツ800(ヨタハチ)です。
2000GTは今や1億円超の超高級車となりました。
新車当時から今で言う2,000万円くらいの価格だったそうですが。
ヨタハチの方は中古価格500万円くらいのようなのでお手頃かも?
トヨタ2000GTの前には何故かジャガーEタイプも。
説明文曰く「割安な価格」だそうですが、
今や中古価格は1,000万円超です。
最後は平成以降のスポーツカー。
おお、レクサスLFAの実物は初めて見た。
平成22年に発売された和製スーパーカーで、
音楽にも強いヤマハが協力したことにより
「史上最高のエンジン音」と称されることも多い名車です。
開発費を掛け過ぎて新車価格3,750万円でも赤字だったとか。
SDGsの企画展も覗いてみました。
この2台は2人乗りの電動マイクロカー。
近年のコンパクトシティ構想に合わせた最新のEV…
ではなく、昭和45年の東京モーターショーでお目見えしたコンセプトカーです。
時代は巡りますね。
この他、自動車グッズの展示などもあったりして
車好きには堪らない博物館でした。
流石世界のトヨタ。
では、自動車から鉄道に戻ります。
芸大通駅から11:56発愛知高速交通東部丘陵線藤が丘行きに乗車。
長久手古戦場駅で下車して昼食に岐阜タンメンを食べ、
改めて12:46発愛知高速交通東部丘陵線藤が丘行きに乗ります。
12:54、藤が丘駅に到着。
愛知高速交通完乗です。
ここで名古屋市営地下鉄に乗り換えます。
ここ、何故かモノレールが地下で地下鉄が高架という
どう考えても逆な構造になっています。
13:00発名古屋市営地下鉄東山線高畑行きに乗り換え、
伏見駅で13:28発名古屋市営地下鉄鶴舞線豊田市行きに乗り換え。
名古屋市営地下鉄を完乗して名鉄に復帰します。
梅坪駅で14:17発名鉄三河線猿投行きに乗り換え。
14:24、猿投駅に到着。
自転車では来ていた(2011/10/9)ので何と無く乗った気になっていましたが、
名鉄で来たのはこれが初めてです。
まあ、一般的な目的地である香嵐渓(2016/3/24)とかは
ここからコミュニティバスに乗り換えないと行けないから、
利便性が低いんだよな…
14:31発名鉄三河線普通知立行きで折り返します。
知立市の市街地にありながら、
名鉄の全駅の中でも有数の利用者数の少なさである三河知立駅。
直線距離で500m足らず、歩いて8分もあれば着く位置に
3倍以上列車本数のある名鉄名古屋本線の知立駅がある為、
好き好んでこちらの三河知立駅を使うのは
猿投方面からやって来た地元民くらいです。
知立駅に近過ぎるというのは名鉄も問題視しているようで、
知立駅付近の高架化に伴って900m移設されることが決まっています。
900mも動かしたらそれはもう新駅では?
さあ、いよいよ大詰めです。
知立駅で15:17発名鉄三河線普通碧南行きに乗り換え。
三河線の知立以南、通称海線です。
こちらも高架化工事が着々と進んでいますね。
その後は特筆すべきこと無く15:52に終点の碧南駅に到着。
これにて名古屋鉄道の路線を完乗しました!
最後になったのは半田市の目と鼻の先にある碧南駅。
まさかの…と言いたいところですが、
これはぶっちゃけ薄々予想していました。
名鉄ではぐるーっと神宮前まで迂回させられるので、
直線距離はたった6kmの成岩-碧南に運賃が1,240円にもなる上に
1時間半以上の時間が掛かります。
車なら衣浦トンネルを通って15分ですからね。
まあ、そもそも碧南に用事が無いという点が一番大きいかも知れませんが。
これで長年塩漬けにしていた愛知県の鉄道を乗り潰せました
…と思って意気揚々と帰宅したのですが、
後からあおなみ線を見逃していたことに気が付きました。
何たるミス…
という訳で、愛知県の鉄道完全乗車はお預けです。
脚注
※「ロックトゥロック」
ハンドルを左に目一杯切った状態から右に目一杯切った状態まで回すまでに
何回転回すことが出来るかという数値。
数値が大きいほど沢山ハンドルを回さないと曲がれない一方、回す力は小さくて済む。
現代の乗用車では3回転前後が多い。
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