下北リベンジ旅行 第1日目

今週末は元々何も予定がありませんでした。
南アルプス縦走で精根尽き果てて
襤褸布になっているかと思って空けていましたが、
思ったより体力が残っていました。
何処か行こうかな、なんて天気予報を見ていたら
あることを思い出しました。
これは…リベンジの機会なのでは?


昨日急遽飛行機とレンタカーを予約して、
羽田空港からの始発便に乗り込みました。
汽水湖の畔に向かって降下します。
汽水湖の傍にある空港と言えば、米子ともう一つ。


9:10、三沢空港に到着。
小川原湖に程近い自衛隊・米軍との軍民共用空港です。
京阪神よりも青森県の方が頻繁に来ている気がする。


ここから下北半島に向かって走ります。
下北半島だけでもう5回目ですが、
自分で車を運転して巡るのは初めてです。


5年振り(2018/4/29)の六ヶ所村。
記憶の中の景色と何一つ変わっていません。
タイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。
六ヶ所原燃PRセンターも変わっていない気がするので
今回はスルーします。


が、こちらは前回見逃したので立ち寄り。
六ヶ所村のお隣、東通村にある東通原子力発電所のPR施設
トントゥビレッジです。


まずはエレベータで3階に上がって
展望台から東通原発を見よう…
という触れ込みですが、
今は補修工事中で足場が組んである上に
そもそも樹木に遮られて殆ど見えません。
まあ、冷却水を蒸発させて特徴的な双曲線型の冷却塔から
もくもくと湯気を出すタイプの海外の原発と違って、
海水で冷却する日本の原発はそもそも外見的な特徴に乏しいですが。


現在は東北電力の東通原発しかありませんが、
東京電力も隣接して同名の原発を建設中です。
東日本大震災以降止まっていますが。
東電は自社管内に原発を造る意気込みを見せて欲しいですね。
津波の危険が少ない東京湾とか。


順路に従って1階に降りると、
奇妙な円筒形をしていた建物が
実は原子炉格納容器を模していたことを知ります。
この小ささでGW級の出力を実現するのだから
エネルギー効率の点ではやはり最強ですね。


で、この階には原発についての解説展示があるのですが、
無造作に4枚のパネルが立てられているだけで
今まで見たPR施設の中で一番投げやりです。
今まで見たのが柏崎刈羽原発(2016/12/23)
六ヶ所再処理施設(2018/4/29)の2つなので、
比較対象が強いだけなのかも知れませんが…

トントゥビレッジは軽く済ませて、
逸る気持ちにせっつかれながら北を目指します。
電話で確認はしてありますが、
1時間あったら状況が変わってもおかしくありません。


まさか人生で3回も来ることになるとは
夢にも思っていなかった尻屋埼灯台。
そうです、ここに来る目的と言ったら唯一つ。


のぼれる灯台スタンプラリーです!
全国に16基あるのぼれる灯台を巡るスタンプラリー。
大王埼灯台(2019/3/22)から始めて苦節4年半、
遂に16基全てを制覇しました!


この尻屋埼灯台は冬期閉鎖されてしまう為に
そもそも開いている期間が半年強しかなく、
しかもその公開期間中であっても
土地柄強風によりしょっちゅう閉鎖するという有様で、
アクセスの困難さも相俟って
文句無しで16基の中のラスボス的存在と化しています。
昨日までに16基制覇を達成していた213人の内
実に49人が尻屋埼灯台を最後にしていたことからも、
その難易度が窺い知れます
(次点は宮古島にある平安名埼灯台の31人)。
斯く言う僕も去年(2022/10/23)強風に阻まれて
心を折られかけた人間の一人です。


この景色が見たかった…!
めげずに頑張ってきて良かった…
感無量です。


今日は北海道もハッキリと見えますね。
16基制覇を祝福してくれているかのような快晴です。


16基制覇を成し遂げた人間には記念品が贈呈されます。
今の日本では200人ちょっとしか所持していない品です。
トートバッグとステッカーと水筒と懐中電灯。
水筒と懐中電灯は灯台っぽさの演出でしょうか。


風が強まらないか気が気ではなくて
ご飯抜きでここまで車を走らせてきたので、
無事に登頂したところで祝杯を上げます。
青森県らしく味噌貝焼き定食で。
最高です。


さて、これでこの旅行の最大の目的を
早くも達成してしまいました。
残り2日半は消化試合感が無くも無いですが、
下北半島にこれ以上心残りを作らないよう丹念に回ります。
まずはむつ科学技術館へ。


ここは嘗て使われていた船舶「むつ」の
心臓部を丸々展示していることで有名です。
そして、むつの最大の特徴と言えば…


日本初の原子力船であったことです。
原子力発電所が仰々しいことを言っておきながら、
結局やっていることはお湯を沸かしてタービンを回すだけ
というのは有名な話ですが、
タービンの代わりにスクリューを回せば船を進めることが出来ます。


操舵室だけでなく機関室、
つまりは原子炉も展示されています。
宇宙船みたいな見た目ですね。


この原子炉は模型ではなくて
むつで実際に使ってから取り出したものです。
嘗て稼働していた本物の原子炉を一般見学出来るのは
世界でもここだけだとか。
勿論、鉛ガラス越しではありますが。


この機関室だけでも3,180tという途轍も無い重量がある為、
むつから取り外して科学館に設置する際には
日本最大の海上クレーンが出動したそうです。
カウンターウェイトとかどうしたんだろう…


お次はマニアックなスポットへ。
下北半島の時点で全部マニアックだろとか言わない。
舗装が一部だけ白くなっているこの道路、
もうお分かりですね?


そう、これは下北鉄道大畑線の廃線跡です。
レールと枕木は全て撤去されていますが、バラストは残っています。
この先には下北鉄道の廃線跡で唯一
現役当時の姿で残されている駅舎があるそうなのですが…


藪が濃過ぎて全く辿り着けない!
鎌で刈り払いしたい…
ワンゲル部を思い出してちょっと藪漕ぎしてみましたが、
あまりの激藪に敢え無く敗退しました。


望遠レンズを用いてギリギリ姿を捉えることは出来ました。
あれが樺山駅跡です。
現役時代に使われていた道も廃道と化していて
最早残雪期くらいしか辿り付けません。
幻の駅だな…


お次はかまふせパノラマラインというワインディングロードを走って
釜臥山展望台を目指します。
ここもまた整備されなくなったら
一瞬で藪の中に沈むんだろうなという立地ですが、
この道はよっぽどのことが無い限り安泰と思われます。
何故か?


実は防衛省施設へのアクセス路も兼ねているんですね。


その為、最後の最後の区間は立入禁止になっています。
しかし、チェーンも何も無いので
進入出来てしまうのでは?


そんなことを考える悪い子も居るかも知れませんが、
何とむつ市の職員が常駐して監視しています。
ガチですね。
防衛省じゃなくてむつ市の職員なのがちょっと謎ですが。
釜臥山に展望台を置かせてもらう為の条件なのでしょうか?


一般人でも立ち入りが自由なのは
こちらの釜臥山展望台。
強風が吹いていますが上ります。


展望台からの景色。
もう大分日が傾いて
むつ市の大半が釜臥山の影に隠れてしまっていますね。


背後にある恐山。
先々週発売のポケモンSVのDLCの舞台、キタカミの里の中心にある
てらす池のモデルとして話題になった宇曽利湖も見えます。
時期的に聖地巡礼っぽいですが、そういう意図はほぼ無いです。


そして、こちらが防衛省施設の
航空自衛隊大湊分屯基地釜臥山レーダー。
米軍が昭和29年に設置したレーダーに端を発しているとか。
ベレンコ中尉亡命事件の時は全然検知出来ていませんでしたが。


夜景を撮りたいのですが、
直立も儘ならないほど暴風が吹き荒れていて
9月とは思えない寒さなので、
展望台の内部で暫く待機します。


こちらがむつ市の夜景。
光を発する市街の形が蝶のように見えるということで
光のアゲハチョウと呼ばれています。
夜景サミットに出展して海外にも売り込もうとしているとか。
確かに綺麗ですね。
市街以外の暗さも凄い。
真っ暗になると帰り道が怖いので早めに下山します。


夕食は大湊海自カレー
…が売り切れだったので、大湊Sora空っ!なる新グルメ。
航空自衛隊第42警戒隊で食べられている空上げ(からあげ)だそうです。
これもこれで良き。

さて、夕食を終えたら本日の寝床を見付けねばなりません。
この旅行は昨日計画したものなので
ホテルは当然の如く何処も満室。
電話予約しか受け付けていないようなところも満室で
車中泊覚悟で寝袋を持ってきていましたが…


かまふせパノラマラインの近くにある銭湯付きキャンプ場に
寝具持ち込みのバンガローがあるという情報を入手し、
試しに電話してみたら予約が取れたので
今夜は足を伸ばして寝られそうです。
何とも可愛らしい避難小屋みたいな見た目のバンガロー。


中もほぼ避難小屋。
避難小屋に泊まる心細さと安心感の不思議な調和というか、
あの感覚を思い起こさせます。
こういうのも中々楽しいですね。
銭湯は青森県標準なので激熱でした。

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