4:12、起床。
今日が最終日です。
コースタイムが5時間で帰りの送迎バスが12:10発なので、
休憩時間や疲労の蓄積を考えると
日の出前に出発するのが無難なのでしょうが…
この先は樹林帯でほぼ眺望が無い
という話を小屋の女将さんから聞いたので、
日の出だけ拝んでから行くことにしました。
ある程度メンバーを選抜した甲斐あって
標準コースタイムの七掛けくらいで歩けているので…
唯一の遅延事由は写真撮影ですが、
樹林帯ならその心配も無いでしょう。
こんな鬱蒼とした樹林帯が今日の行程の殆どを占めます。
なので、撮る物は茸くらいしかありません。
同行者にキノコオタクが居て興奮していました。
これはベニテングタケ…だと思います。
キノコは類似種が多過ぎて
Googleに訊いても答が定まりません。
上のベニテングタケの方が禍々しい色をしていますが、
この人畜無害そうな顔をしている方が
最強の猛毒キノコとの呼び声高いドクツルタケです。
曲がりなりにも日本百名山の登山道で
目に付く位置に生えていながら大きく成長出来るというのは、
大なり小なり食用に不適であることを意味しているのでしょう。
これが続くと日本百名山は毒キノコだらけになるんだろうか。
大倉尾根に比べると千枚岳からの尾根は傾斜が緩いので、
かなり高い位置まで林業の手が入っていたようです。
森林軌道跡なら興奮したけど、木馬道か…
標識も林業用と思しきものが多くあります。
FHとMってどういう意味なんだろう…
このルートの数少ない見所である駒鳥池。
名前から勝手に爽やかな池を想像していたけど、
何て陰鬱な雰囲気の池なんだ…
こちらはこのルートで唯一爽快な眺めを拝める見晴台。
この3日間で歩いてきた南アルプスの稜線を見遣りながら
暫し休憩します。
…ん?後ろから何か聞こえるような…
おおっ!?車!?
もう廃道同然だろうと思っていた林道から作業車が現れました。
こんな高い場所までまだ林道が現役だったんだ…
「道なき未知を切り拓く」のキャッチコピーが的確過ぎる。
林道は千枚小屋までは続いていないようですし、
何をしに行くんでしょうかね?
一部の登山ツアーでは駒鳥池の裏にあるこの林道の終点まで
車でアプローチして千枚岳まで片道2時間弱で登るものもあるとか。
貴重な水場の清水平で給水。
清水はともかく平…?
この地形で何を思ったら平と名付けたくなるんですかね。
湧水地点からもう少し下ると本当に平らな地形になって
先程見たあの林道の続きと付かず離れずの経路を取るようになります。
地形がなだらかになると道が分かり難い!
林業をやっていた(いる?)だけあって
そこかしこに人が立ち入っているので
余計に正規の登山道を見失い易く、
1回本当に道を逸れて100mほど進んでしまいました。
清水平のなだらかな地形が終わって
特殊東海フォレストの林道が離れていくと、
今度は中部電力の鉄塔巡視路が並走
というか登山道をカバーするようになります。
いや、巡視路にしてはあまりに岩場が多過ぎない?
何処かで分岐したのを見逃したのかな…
と思ったら本当に鉄塔がありました。
電力会社も大変だな…
地味なアップダウンが3日間歩き詰めの身体に堪えますが、
ここが最後の踏ん張りどころです。
岩と木の根で歩き難い急登を下っていきます。
あそこに見えるのは!
千枚大吊橋だ!
これで大井川を渡れば…
舗装林道まで戻ってきたぞ!
10:48、距離27.0km、累積標高3,299m、
コースタイム19時間30分の周回路を完遂して
椹島に帰還しました!!
12:10のシャトルバスの時刻まで
食堂で軽食を食べたりしながらのんびり過ごします。
下山後のソフトクリームとアイスコーヒーが最高過ぎる。
ではシャトルバスに乗って駐車場まで戻ります。
さらば、赤石山脈…!
またいつの日か!
アプローチの運転担当としては
駐車場まで戻ってきたら終わりという訳でもありません。
この山深い奥大井から抜け出さねばならないのです。
道が細いよぉ。
口坂本温泉の入口を間違えた時は泣いた。
安倍川本流まで下りてきました。
これで勝ち確です。
この後は新東名高速道路を走って関東へと帰りました。
北アルプスの岩峰とはまた違った意味で
日本の最高峰に位置していると言って良いであろう南アルプス南部。
辛くなかったと言えば真っ赤な嘘になりますが、
天気に恵まれたこともあって辛さ以上に楽しさが大きく勝る山行でした。
これは南アルプスの沼に嵌まってしまいそう…
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