昨夜はとんでもない豪雨でしたが、今朝はすっきり晴れました。
昨夜は雨で入れなかった露天風呂で朝風呂を浴びたら、
S2000に乗り込んでドライブ再開です。
今日は前々から気になっていた
山梨県きっての秘境、早川町を巡ります。
事実上唯一のアクセス路である山梨県道37号からして
覆道や法面工事が物々し過ぎる。
それもそのはず、早川町は町内を縦断するように
糸魚川静岡構造線が貫いており
(と言うか、早川町を形成する元になった早川自体が
糸魚川静岡構造線の断層を伝って流れるような川)、
この辺り一帯は特に地盤が脆いのです。
そんな早川町で掘っているのが
あのリニア中央新幹線の南アルプストンネルで、
正に世紀の難工事になっているだろう感を犇と感じます。
そもそも、工事現場に辿り着くだけで大変そう。
土木技術が発達した現代なら
このような過酷な地形でもどうにかゴリ押せますが、
嘗てはどうしていたのでしょうか?
…早川の対岸に何か見えませんか?
左岸の断崖の遥か上方に道が付けられているのが分かるでしょうか。
あれが昭和初期に利用されていたアクセス路だそうです。
水力発電所建設に当たって切り開かれ、
一般人も通行していたとか。
そんな僻地中の僻地である早川町ですが、
実は古くから人の営みがありました。
中でもこの西山温泉の慶雲館は705年開業で
ギネスブックに世界最古の宿泊施設として登録されています。
その割には改築しているのか見た目は新しいですね。
山梨県道37号を35km走って最奥の集落、
奈良田集落に到達しました。
あまりに隔絶された立地故に、周辺の地域とは全く違う
古い日本語の特徴を残した奈良田方言が話されており、
例えば「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」を区別するという
鎌倉時代の発音が残っていたりするとか。
ただ、昭和時代に水力発電所の開発が始まると
外部からの人の流入によって方言は薄れてしまったそうです。
猫の額ほどの平地(と言えるほど平らでもないが)に
ギチギチに民家が建ち並んでいる為、
家々の間に車が走るだけの余地は無く、
どの家も徒歩でしかアクセスが出来ません。
とはいえ、この地でマイカー無しの生活は不可能なので
何処かに集落共有の駐車場が別途設けられているのでしょうか。
こんな奈良田集落にまさかのかき氷屋、
それもお洒落タイプのお店があったので
涼を求めて入店してみました。
これはかなりレベルが高い。
流石に立地的に足繁く通うのは厳しいですが、
それでもまた来てみたくなるお店です。
南アルプス登山と組み合わせてみようかな?
身体を冷やしたら民俗資料館へ。
奈良田の貴重な風俗について展示されています。
この写真は…森林鉄道!?
手前の馬車に隠されて見え難いですが、
奥の丸太を満載したトロッコの位置から
右手前に向かって線路が敷かれています。
調べてみると、早川町には早川林用軌道なる森林鉄道が
昭和28年まで存在しており、
奈良田集落などはそれが唯一のアクセス手段だったそうです。
でもって、奈良田から奥には
昭和18年からたったの2年間だけ存在した
幻の森林鉄道、通称野呂川林用軌道があったのだとか。
それは是非とも廃線跡を見てみたい!
ということで奈良田から更に奥へとS2000を走らせますが…
警備員付きのトンネルに阻まれてしまいました。
ここから先は登山の拠点となる広河原(2017/10/1)まで
通年マイカー規制中です。
一応、路線バスが日に3往復だけ通っています。
広河原に繋がっているのは左のトンネルだけで、
右のトンネルは奈良田第一発電所という
県営の水力発電所に通じています。
平日の営業時間内であれば見学をすることも出来るとか。
残念ながら今日は休日なので外から眺めるだけです。
一応、トンネルの手前からその姿を拝むことが出来ます。
大正から昭和初期に掛けて早川町への交通路が整備されたのも、
基本的には水力発電の開発が第一目的でした。
で、この奈良田第一発電所の対岸に
噂の野呂川林用軌道が走っていたはずなんだけど…
うーむ、とてもそうは見えない…
望遠レンズで対岸を隈無く探してみたところ、
梢の切れ間から石垣らしきものを発見しました。
あれが路盤…なのか?
近寄ってみれば判断が付くでしょうが、
とても接近出来るような地形ではありません。
正に幻の森林鉄道ですね。
歩き回って汗をかいたので奈良田温泉で汗を流します。
赤石温泉じゃなくて奈良田温泉に泊まるという案もありましたが、
残念ながら空室が見付かりませんでした。
その割にガラガラだな…
折角早川町まで来たのだから何かしらお土産を買いたいと思って
ジビエの処理加工施設に来てみました。
鹿肉の加工品などを売っているそうですが…
何と出猟中でした。
仕入れ中か…
お留守番していた猟犬は大喜びで出迎えてくれました。
山梨県らしく立派な甲斐犬ですね。
それでは、早川町を後にする
…前に最後の寄り道。
早川町の入口に程近い角瀬トンネルの脇にある旧道に分け入ります。
苔生した山梨県道37号旧道。
実はここにも嘗て鉄道が通っていました。
早川の電源開発の為に東京電燈(後の東京電力)が敷いた工事軌道で、
馬車で貨物や旅客を運んでいたとか。
まあ、わざわざ旧道に立ち入らなくても
山梨県道37号は現道も含めてかなりの部分が工事軌道の転用ですが。
僕のお目当てはこれ。
高長隧道です。
坑門こそ現代レベルの大きさがありますが、
中で急激に窄まって素掘りになるという珍しい隧道だとか。
が…
坑門のすぐ手前で大規模な土砂崩れが発生していて近付けません。
まあ、近付けたところで真っ暗な廃隧道に
一人で突っ込む気になれるのかという問題はありますが…
早川町、奥深いところだ。
この後は幾つか道の駅を巡ってから
松田町へと帰りました。
やっぱり日本は良いですね。
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