戸隠山

二度あることは三度あると言いますが…


おはようございます。
まさかの3週連続長野県です。
S2000で戸隠神社奥社入口にやって来ました。
隣の町だよ〜みたいな顔して
松本-長野だけで70kmもあるなんて聞いていない。
あと、ガソリン代が有り得ないくらい高い。
それでも鉄道より早くて安いからな…
いっそのこと夏の間だけ松本辺りに住みたい。


それはおいといて、今回はIT(元・旭丘高)と
長野市の怪峰、戸隠山に登ります。
先週と先々週は技術的難易度がそこそこな代わりに
コースタイムの長い小屋泊山行でしたが、
ITと行くのは勿論その真逆、
日帰りな代わりに難度の高い岩場がある山です。
こういう山も挟んでいかないと感覚が鈍ってしまうので…
なんて義務感で来ている訳ではなくて、
やはり身体が求めているので。


まずは戸隠神社奥社で登山の無事を祈って参拝。
早朝6時ですがそれなりに参拝者が居ます。
我々のような登山者ではなく普通の参拝者です。
何故こんな朝早くに?


参拝を済ませたらいざ入山です。
戸隠神社の御神体は勿論戸隠山なので、
登山口には注連縄が張られています。


登山道に入るといきなり滅茶苦茶な急登です。
合戦尾根がまるで子供のお遊びに思えます。
確かに戸隠山は北アルプスではないから
北ア三大急登には入り得ないけど…
この山が如何に切り立っているかが窺えます。


急登なので自然と目線が地面に近くなり、
野草や茸に目が行きます。
この如何にも毒々しい色のキノコ、
まるで紫色のカエンタケのようですが、
調べてみたところムラサキホウキタケという可食の茸だそうです(多分)。
この見た目で食べようと思った人間が居たのか…


ずんずん登っていきます。
右奥にヤバい形の稜線が雲の中から垣間見えていますが、
あれが戸隠山の主稜線です。


主稜線に上がれるポイントが中々現れず、
断崖絶壁を穿った道が続きます。
この断崖絶壁の上に登山道が続いているはずなのですが、
一体どうやってアプローチするのでしょうか。


来る修羅場を前に一抹の清涼感を与えてくれるソバナ
(番組の合間に挟まるCM的な感じで)


さあ始まりました、主稜線に向けて突き上げていく鎖場です。
ここは戸隠山だと前座も前座。
ウォーミングアップとしてこなしていきます。
岩にコウガイビルが張り付いていて大分キモかった。
ヤマビルと違って血は吸ってこないから良いけど…


おや?登山道から分岐する怪しい鎖が…
核心部の前の度胸試しに寄ってみるか。


この岩極めて細いのでとてもでは無いですが立つ気にはなれず、
鞍馬に跨るようにしてジリジリと移動します。
写真では中々伝わらないと思いますが、
両側とも数十m切れ落ちた断崖になっている為
高度感が尋常ではありません。


何とか恐怖心を押し殺して先端まで行って撮った写真。
自分の鼓動で足元(尻元?)の岩が揺れるような感覚を覚える…


戸隠山の洗礼を受けつつも先に進みます。
戸隠山の真髄はこんなものではありません。


斜面を無理矢理攀じ登ってショートカットしている…
のではなく、これが正規ルート。
鎖が無かった時代もここを通れていたのでしょうか?


そして、遂にその姿を表しました、
戸隠山の核心部たる蟻の塔渡りです!
蟻の戸渡りと書かれることもありますが、
その意味するところは同じ。
即ち、蟻の列のような細さの尾根だということです。


で、ここの狂っているところは
そんな細い尾根をトラバースさせるのではなく、
「上」を歩くのが正規ルートだということ。
まるでカイジの鉄骨渡りみたいな芸当を要求されるのです。
別に電流が流されている訳ではないので
手を着き尻を着き進んで行けば良いのですが…


それにしたってこの高度感は来るものがあります。
それを求めて来たんだろ?と言われてしまえばその通りですが。


一番細いのがこの辺り。
幅30cmくらいです。
この形で残っているというのは
裏を返すとこの岩が如何に頑丈であるかの証左なのでしょうが、
とはいえ何かの拍子に折れそうな感覚を抱かせます。


無事に蟻の塔渡りを通過。
距離は大したことないけど、緊張感を強いられる区間だった。
ここを越えられずに手前で引き返している人も居ました。


という訳で、一つ目のピークである八方睨(標高1,900m)に到着。
その名の通り360°の展望がご褒美の山頂です。


別のグループが蟻の塔渡りを通過している様子も見えます。
見ている方も怖い。
あれ?良く見るとトラバース路もあるような…
ただ、あのトラバースは登り返しがある所為で
寧ろ正面突破より難しそうですね。


ちょっと歩いて戸隠山山頂(標高1,904m)に到着。
八方睨より4mだけ高いここが最高峰です。
展望は八方睨の方が良いですが。


稜線歩きを続けます。
断崖絶壁になっている所為で木が生えない場所が多いので、
2,000mに満たない標高ながら眺望抜群です。
蟻の塔渡りを抜けた者に贈られる天空のハイキング…


…というほど爽やか一辺倒な道ではなくて、
下から見ても明らかな鋸歯状の稜線なので
稜線上でも鎖場が連発します。
結構体力を削ってくるな…
蟻の塔渡りだけが目的だと八方睨で引き返して
ピストンする人も居るのが納得です。


それなりに疲労を溜めながら一不動避難小屋に到着。
ここで稜線から離脱して下山します。
逆に言えば、ここを経由してくれば
蟻の塔渡りを抜けずに戸隠山の山頂を踏むことも出来ます。
と言っても鎖場はありますし、コースタイムが長くなるので
素直に蟻の塔渡りを渡った方がベターです。


このルートは沢登りみたいな感じになっているので、
何なら蟻の塔渡りを往復した方が楽だという説さえあります。


ナメ滝の横を下降していく場所。
ちょっと斜里岳(2022/9/25)を思い出す。


最後に出てくるのはこんな草原地帯。
これもこのルートの大きな特徴の一つなのですが、
登山口付近の登山道が牧場の中を突っ切っているんですね。
目印が少ないからルートファインディングが難しい…
つくづくエンターテインメント性に事欠かない山です。


戸隠牧場に出て来て下山。
これにて登山終了です。
お疲れ様でした。


戸隠牧場はキャンプ場もあり賑わっています。
あの強烈な岩稜を遠景に
それを露知らず和気藹々と楽しむ親子連れの姿というのは、
最終決戦を終えて日常に場面転換した
映画の最終カットのような余韻を感じさせます。


我々も戸隠牧場で打ち上げ。
乳製品をふんだんに使った昼食でお互いの健闘を労いました。

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