斜里岳遠征 第3日目

3:30、起床。
元々は登山口にある山小屋に予約を入れていたのですが、
順延した所為で登山口から60kmも離れた宿スタートになったので
真っ暗な中での出発です。
エゾシカを撥ねないように車を走らせます。


朝霧に煙る斜里岳。
凛として美しいですね。
そして、思ったより高いような…?


登山口である清岳荘に到着。
登山届を提出し、5:50にいざ入山です!


少しの間はこれと言って変哲の無い道ですが…


すぐに一の沢川の渡渉が始まります。
渡渉くらいなら色んな山にあるだろって?


確かに、渡渉が1,2回なら取り立てて騒ぐことでもありません。
しかし、斜里岳は回数が尋常では無いのです。
何回あったなどと覚えていられるような数ではありません。
そして、水勢がまた強い。
本州の山なら確実に橋が架けられるレベルです。


そういう訳で、ルートファインディングは困難を極めます。
とても登山道が付けられたコースとは思えません。
ここは右岸をへつるのか…?
いや、頑張って左岸に渡渉するのか…?


あまりにも渡渉が多いので
渡渉を減らした新道も拓かれているのですが、
驚くべきはこの区間が新道の分かれる下二股より手前ということ。
「付け替えるほどでもない」と判断されているということです。
下二股より上のれっきとした旧道区間は一体どうなるんだ…?


いよいよ下二股を越えて旧道区間の始まりです。
最初の内はまあ普通の急登ですが…


すぐに渡渉、というか最早沢登りになります。
「沢があるんだからルートなんか明白だろう?」
と言わんばかりに赤テープの数もめっきり減りました。
時々刻々と状況が変化するので
恒久的なルートを付けられないということかも知れませんが…


ただ、そんな苦労を労うように
旧道ルートでは美しい滝を拝むことが出来ます。
綺麗ですねー。
…まさかとは思うけど、そんなことある?


やっぱりかー!
想定はしていましたが、この滝もまた「登山道」です!
しかし、バリエーションルートならともかくとして
良くぞこれを一般向けの登山道として指定したな…


滝直下ということで水勢も半端ではありませんが、
ここまでで否が応でも渡渉に慣らされているので
もう皆さん躊躇うことなく渡っています。
ここまで急速に経験値を積める山が他にあるだろうか。


普通なら有り得ない角度から眺められる滝。
左上にこっそり赤テープがあることからも分かる通り、
辛うじて水の流れていない箇所が「登山道」です。
とはいえ、こんな滝登りのような真似は
幾ら斜里岳とはいえこの一度きり…


なんてことは勿論なくて…


一枚岩の滝の真横を登る道が常態化します。
旧道は沢登りを通り越して最早滝登りだな…


これほどまでに滝を身近に感じられる山は
この斜里岳を措いて他に無いでしょう。
滝オタクにとっては聖地かも知れません。


しかし、今現在置かれた状況を冷静に見ると
中々に狂気染みた光景だな…
ただ、一の沢川の水には鉄分が多く含まれており、
そのお蔭で苔が生えていないのでグリップは良いです。
なので、実は見た目ほど怖くはありません。
本当に楽しいです。


しかし、長く連れ添ってきた沢も
いよいよその勢いが息絶え絶えとなってきました。


遂に沢の起点である源頭に到達。
何と登山道のど真ん中から水が湧いています。
ここまで沢に添い遂げた登山道が他にあるだろうか。
しかも、良く分からない無名の山とかではなくて
日本百名山に選ばれている山で、ですよ?


ここからは普通の登山道になります。
普通のと言いつつ結構な急登ですが。
早くも秋の装いに身を包んでいますね。


稜線に出ました。
何と爽快なハイマツ帯!


そして、小さな祠から最後の登りを窮めれば…


斜里岳ことオンネヌプリ(標高1,547m)登頂です!
とても1,600mにも満たない山とは思えぬ達成感です。


最高の天気で国後島もはっきりと視認出来ます。
いつの日か爺々岳にも登ってみたいものだ…


遥か北見まで見下ろしながら暫し昼食休憩です。
いやぁ、良いですなぁ…
いつまでも長居したくなってしまう…


しかし、登山は下りるまでが登山なので
名残惜しいながらも山頂に別れを告げて下ります。


流石にあの滝を下るのは厳しいので、
下山は稜線伝いの新道コースから。
この新道コースが整備される以前は
下山もあの滝を経由していたんだろうか…


熊見峠という不吉過ぎる名前の峠を越え、
ちょこちょこした渡渉(感覚麻痺)を越えて…


清岳荘に下山しました!
実に充実した登山だった!
皆さんにも楽しんでいただけたようです。
…と、この下山の瞬間に登山靴がまさかの分解。
これがあの滝登りの最中だったらと思うと…
色んな意味で運に恵まれた山行でした。


駐車場では立派なエゾシカがお出迎え。
車にはぶつからないでくれよ。


帰りにはついでにオシンコシンの滝にも寄ってみました。
ここも冬(2022/3/6)とは全く雰囲気が違いますね。


知床の日没。


夜は寿司屋で道東の海の幸に舌鼓を打ち、
宿への帰り道で天の川を眺めたりしながら
斜里岳登頂を祝いました。

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