現時点では仕事は思っていた以上に楽しくて
ストレスは全然溜まっていないのですが、
とはいえ入社から2ヶ月経っていて
知らず知らずの内に疲れが溜まっているかも知れず、
「6月中に1回くらい有休を取れ」とも言われているので、
ここいらで有休を取って出掛けることにしました。
8:05発JL541便に搭乗。
さて、JALのどこかにマイルという制度をご存知でしょうか。
国内線特典航空券の一種なのですが、
極めて安価な代わりに目的地がランダムという、
ミステリーツアー的な仕組みになっています。
但し、ランダムとは言っても予め4つの候補地が提示されて
その中から決定するという形なので、
気に入る候補地4つが揃うまでリセマラすることは出来ます。
今回この機会に初めてこの制度を使ってみることにしました。
僕は四国へ行きたいなーと考えていたので、
4つの内3つが高知、高松、岡山になるようにしていたのですが…
9:52、釧路空港に到着。
…いやね、4つの候補地の内最後の1つが釧路になっていた時点で
何となく予感はしていましたよ。
でもまあ、リセマラも面倒になっていたし、
釧路になったらなったでネタになるから良いかなと思ったので
そのまま申し込んだ訳ですが…
まさか、本当に3ヶ月(2022/3/8)しか間を空けずに
釧路に再訪することになろうとは…
まあ、無雪期の道東は初めてなので、
これはこれで楽しむことにしましょう。
自分で行き先を選んでいたら候補にもならなかっただろうし、
ある意味どこかにマイルの醍醐味と言えるかも知れない。
空港でレンタカーを借りていざ出発です。
まずは、道の駅しらぬか恋問にやって来ました。
記念切符集めです。
S2000だけで集めようかと考えた時期もありましたが、
それだと時間もお金も掛かり過ぎるので…
お次は釧路火力発電所の裏手にある住宅街にやって来ました。
笹藪の向こうにズリ山(ボタ山)が見えます。
しかし、これの為に無名の住宅街に立ち入った訳ではありません。
地図に拠ればこの笹藪を踏み分けた先に…
あった!
ズリ山の手前に流れ落ちる春採の大滝です!
ついさっき地図で偶然見付けて気になったので来てみました。
情報が少な過ぎてこの方法で行けるか不安でしたが…
この滝、実は天然のものではありません。
この付近にある海底炭鉱の坑内水を汲み上げて
排水しているのがこの大滝になっているのです。
その性質上一般公開する類のものではない、
というよりも寧ろ一般人の目を憚りたいようなものなので、
宣伝などは殆ど無く垣間見るだけでも一苦労です。
海岸線は断崖絶壁になっていては全く降りることが出来ません。
大潮の日にウェーダーを履いて昆布を乗り越える他に
滝壺(?)へアプローチする方法は無いそうです。
さて、釧路と言えば勿論炭鉱を忘れてはいけません。
現在の日本で唯一現役稼働する炭鉱が残る街こそ釧路です。
という訳で太平洋炭礦炭鉱展示館へ。
春採の大滝でも少し触れましたが、
現役の太平洋炭鉱があるのはその名の通り太平洋の海の底。
基本的に一般人の目に触れることはありません。
が、実は釧路の海にはこんな大迷宮が広がっているのです。
一般人の目に触れていた物としては
これが何よりも有名でしょう。
日本で最後まで残っていた石炭輸送専用鉄道、
太平洋石炭販売輸送臨港線です。
元々は国鉄の東釧路駅まで通じていましたが、
昭和61年に国鉄への連絡が廃止されて以降は
令和元年の廃止までの33年間、
他のあらゆる路線から完全に隔絶されているという
極めて珍しい路線であり続けていました。
接続を気にする必要が無いのでこれと言った時刻表も無く、
良い感じに出炭したら運ぶ、という方式だったとか。
産出した石炭はこんな石鹸みたいな形でも売られていたとか。
ちょっとお土産に欲しいかも。
という需要を見込んでいた時期もあったのか、
石炭の土産物化に取り組んでいた形跡も見受けられます。
今も何処かで売っているんだろうか。
残念ながらこの展示館は無人なので何も買えません。
展示館の地下には模擬坑道があります。
現役ということもあって近代的な機械を使っているようです。
地上の石炭輸送鉄道は姿を消してしまいましたが、
坑内では今でも現役です。
撮り鉄ガチ勢は潜りに行くんだろうか。
お昼ご飯は釧路ラーメン。
炭鉱夫向けに塩分濃いめの…
と見せかけて、凍てつく海から帰ってきた漁師向けに
素早く提供出来る細縮れ麺の鰹出汁醤油ラーメンです。
でも、焼豚はかなりしょっぱい。
ここから暫く無人の荒野を走ることになるので
水などの買い出しにスーパーに入ったら、
スーパーのど真ん中にバスの待合所がありました。
確かに、冬の厳しい寒さを考えると
屋外ではなく屋内にという思考は分かるけど、
それにしても何故バスを視認出来る窓際じゃなく
スーパーのど真ん中に…?
何はともあれ、本格的なドライブ開始です。
北海道道142号を駆けます。
道東の大動脈たる国道44号からは1本ずれているので
車通りは殆どありません。
そして、近年改良工事でもあったのか
沿道に全くと言って良いほど集落が見当たりません。
しかし、全くの無人地帯を貫いているという訳ではなくて、
現道から一本奥まったところに集落は点在しており、
時たまこのような脇道が現れます。
一応、住民が居るということで路線バスも走っていますが…
学校のある日のみ1日1往復だけというダイヤです。
しかも、全線に渡って鉄道には一切かすっておらず、
宿泊施設があるような場所も通らないので
バスオタクにとっては相当乗車難度の高い路線でしょう。
北海道道142号からちらりと見えた集落はこんな感じ。
意外と新そうな家ですね。
昆布を干すと思しき空き地が広がっています。
そしてこの北海道道142号、
公式には北太平洋シーサイドラインという
ありきたりな愛称が付けられていますが、
一部界隈からは難読街道と呼ばれている
…のではないかと思ってしまうくらい、
沿道は難読地名の宝庫です。
このアッチョロベツなんかは特に強烈。
どういう漢字を書くか分かりますか?
正解は「嬰寄別」です
(何故かこの看板の一文字目は隺に契という
謎の漢字を使っていますが)。
このブイマも強烈。
漢字は「冬窓床」です。
…アッチョロベツは仕方無かったと思うよ?
アッチョロなんて発音は漢字に無いし、
どうやったって難読地名になってしまうのは分かる。
でも、ブイマならもう少し自然な漢字の当て方があったのでは…
肝心の冬窓床集落はと言うと、
今では無人化してしまったようで
冬窓床へ続く林道は閉ざされてしまっています。
こちらのソンテキなどは
最早道が何処にあったのかさえ定かではありません。
ちなみに、漢字は「初無敵」です。
無駄に格好良い。
公の愛称である北太平洋シーサイドラインっぽい写真も載せておきます。
何処まで行っても無人地帯ですね。
北海道道142号が北へと進路を変えるところで
ちょっと寄り道します。
グラベルになってしまった道を爆走。
カーブでそこはかとなくドリフトしているのを感じる…
前方で何かが道を横切るのが見えて慌てて車を止めたら、
小狐の兄弟がいました。
可愛らしいですね。
エキノコックスの危険性があるので触ってはいけませんが。
どん詰まりである尻羽岬に到着。
これもまた難読地名で「シレパ岬」と読みます。
凄くお間抜けな絵しか思い浮かばない字面だけど、
もうちょっと良い漢字は無かったんだろうか。
駐車場に車を停めて岬の先端を目指します。
えらく長い道程ですね…
北太平洋に映える美しい草原地帯。
…語彙力が貧弱だから
「Windows XPの壁紙みたい」という表現しか思い浮かばない。
とんでもない位置に鳥居が立っていますね。
帆掛岩と言って航海の安全を願っているそうだけど、
一体どうやってあんな場所に立てたんだろうか…?
帆掛岩を過ぎると道が急に不明瞭になりました。
幸い地形はなだらかなので
どういう経路だろうが歩こうと思えば歩けますが。
尻羽岬先端に辿り着きました!
厚岸湾を挟んだ向かいには大黒島が見えます。
何やら意味深な鉄杭が刺してありますね。
どういう意味なのだろう…
何かの封印?
ガサガサという物音がしたので
驚いて振り向くとエゾシカの群れがいました。
何だ鹿か…
しかし、狐も鹿もいるということは
羆が出て来ても不思議ではありません。
足早に撤収します。
逆向きだと尚のこと道が分かり難い!
何故もう少し刈り払いをしてくれないのだろう…
それくらい観光客が少ないということか。
さて、難読街道もそろそろ大詰めです。
この仙鳳趾(センポウシ)は牡蠣で名を馳せているので
ご存知の方も居るかも知れませんが、
ここは日本屈指の難読地名でも有名な土地。
大字の仙鳳趾の下にある、小字の「重蘭窮」です。
何と読むか分かりますか?
残念ながら公式の案内は見付けられなかったのですが、
正解は「チプランケウシ」です。
…冬窓床よりはマシ?
北海道道142号が終わり、
JR根室本線に並走する道東の背骨、
国道44号に切り替わりました。
尾幌駅で1日6往復しか走っていない列車に遭遇してしまった。
国道44号は走り易いことこの上無いですが、
厚岸近辺のほんの一瞬以外全然海が見えないので
すぐにまた道を逸れて北海道道123号を走ります。
こちらもまた北太平洋と草原の組み合わせが爽やかな無人地帯です。
こんな様子で実は既に16時過ぎですが、
涙岬でちょっとだけ散策します。
これが涙岬。
涙を流す乙女の横顔に見える…そうなのですが、見えるでしょうか。
壁にもたれ掛かりながら70°上を向いている感じ…?
あちらの奇岩の名前は立岩だそうです。
涙岬と比較するとやけに平凡な名前ですね。
急に天気が悪くなってきたと思ったら湿原に入りました。
霧多布湿原です。
いつもこういう霧の掛かった天気なのでしょうか。
霧の中を走って根室半島の付け根にある落石岬まで来ました。
落石岬と言えば湿原の中を
紅白の灯台まで延びる木道が有名な岬ですが、
僕のお目当てはそちらではありません。
灯台とは反対側へ道無き道を歩いていきます。
尻羽岬以上にルートが分かり難い…
草原地帯で何処でも歩けてしまう分
道が収斂し難いのでしょうか。
そもそも観光スポットではないという点の方が大きいかな。
辿り着きました!
三里浜です。
その界隈ではかなり有名なスポット。
とあるものが映り込んでいますがお分かりでしょうか。
そうです、JR根室本線です。
別当賀-落石間で海に再接近するこの地点は
古くからお立ち台(撮影地)として有名。
道東らしい雄大な景色を望めるのですが、
上述の通りそこまでの道程は楽ではありません。
狙っていた列車に何とか間に合って一安心。
冬の写真もあったりするけど、
6月の今でさえ結構寒いのに冬ともなったら
列車を待っている間に凍傷を負いそうだな…
レンタカーの機動力を活かして駆けずり回ってきましたが、
そろそろ日没でタイムリミットなので宿に向かいます。
巡航速度が速くなりがちなのに
宿までの途上で3回もエゾシカの飛び出しがあって
一瞬たりとも気が抜けません。
どうにか無事故で霧多布に戻って来ました。
オレンジ掛かった街灯が哀愁を誘います。
嘗ては天然昆布で賑わった時期もあったそうですが、
今ではご多分に漏れずシャッター街となっています。
しかし、この浜中町はあのルパン三世の作者
モンキー・パンチの出身地ということで
空き店舗をこのようにルパン三世スポットに転換しています。
パッと見本当に営業しているお店のようですが、
芸術作品みたいな扱いなので中には入れません。
ただ空き家にしておくよりは賑わいもあるし面白いですね。
(但し、この時は全然知らなかったのですが、
残念ながらこの霧多布座は正に今日6/10を最後に
老朽化が原因で取り壊されてしまうそうです。)
実際に開いているお店があるか心配でしたが、
寿司屋が一軒開いていたのでお邪魔しました。
やはり道東と言えば海鮮ですね。
今夜の宿はここ。
…ちゃんと建物が映っていますよ。
露光をミスっていないかって?
本当にこんな暗さです。
中々に衝撃的な立地です。
野鳥観察が趣味(本業?)のご主人が
霧多布岬に建てたログハウスを宿泊施設として運用しているのだとか。
道東らしさ全開ですね。
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