中央構造線に沿って 第1日目

さて、納車がギリギリ連休に間に合ったのですから
これはもうドライブしない訳にはいきません。
という訳で、半田まで車で帰省することにしました。

2時台に起床。
ゴールデンウィークの、それも首都圏ともなれば
高速道路は目を覆いたくなる惨状になること必至。
また、愛知県まで行くとなれば高速代も馬鹿になりません。
渋滞を避けつつ高速代を抑えようということで
深夜割引の効く4時前にICを通過してみました。
この時間でも走っている車はそこそこいますね…
とはいえ、中央自動車道で一切渋滞に巻き込まれずに走るのは
これが初めてと言っても過言ではありません。


悪名高き小仏トンネルは何としても未明の内に抜けねば…
笹子トンネルも抜けておいた方が良いかな…
甲府は曲がりなりにも県庁所在地だし混むかな…
なんて休憩の機会を逸し続けていたら、
ノンストップで双葉SAまで走っていました。
もう朝ですね。
富士山が朝焼けに映えます。


日の出。
仮眠でもしようかと思っていましたが、
強烈な朝日を浴びて眠気が吹き飛んだので走り続けます。


山梨県はスルーして長野県に入り、諏訪ICで下道へ。
嘗て(2016/11/3)自転車で走った国道152号をフルオープンで走ります。
朝を告げる鳥の鳴き声、朝露に濡れた樹木の香り…
自転車ではとにかく辛かったという記憶がありますが、
S2000では爽快の一言に尽きますね。
AP2とはいえ回転数を落とさないようヘアピンカーブの度に
ブリッピングしてシフトダウンしないといけないので、
絶対的に楽かと言われたらそんなことはないのですが。
だがそれが良い。


あっと言う間に高遠城址公園までやって来ました。
自転車の時はあんなに苦労した道だったのに…
それでいて風を切る爽快感や
意のままに操れる機動力は自転車と同じ、
いやそれも自転車以上と言っても良いかも知れません。


高遠城址公園は桜で殊に有名ですが、
流石にもう完全に散った後です。
でも、新緑も綺麗ですね。


さて、自動車を手に入れた訳ですから、
鉄道乗り潰しとはまた違う何かを始めたいところです。
…蒐集家の哀しき性です。
色々考えてみて、ダムカード集めをしてみることにしました。
まずは高遠ダムから。


そして、そのすぐ上流にある美和ダムもゲットです。
手に入れたダムカードは運転の邪魔にならないように
トランクに仕舞ってしまいます。
…何か違和感があるような。
ああっ!!


何と、鍵をトランクに閉じ込めてしまいました。
S2000のトランクは開ける時だけ鍵を使い、
鍵を閉める時はただ蓋を閉じるだけで良いのです。
つまり、鍵をトランクの中に置いたまま蓋を閉じると、
最早S2000の鍵を開けることは出来ないのです。
折角眠い目を擦って何百kmも運転してきたのに何ということだ…
しかし、幾ら嘆いたところで後の祭。
大人しくJAFを呼んで待ちます。
こんな山奥だと何時間掛かるのだろうか…
しかも、今システムが故障していて
到着時刻が予想出来ないとか言っているし…


幸い、徒歩圏内に道の駅南アルプスむら長谷があったので、
JAFが来るまで休憩します。


何やら道の駅のパン屋に大行列が出来ていたので、
野次馬根性で買ってみたパン。
これが物凄く美味しい。
そこらのパン屋とは一線を画する味です。
怪我の功名と言うべきか。
あと、ドライブついでの収集物として
道の駅の記念切符も購入しておきました。
ダムカードとどちらを本気で集めるかは悩みどころだな…


道の駅から帰ってきたらベンチで暫く昼寝します。
S2000のシートはフルバケットシート、
つまり一切リクライニングしない上に
座席の縁が身体を包み込むような形をしている為
車内で仮眠を取ることはほぼ不可能に近いので、
こういう機会を捉えて休憩していくことが必要です。


JAFに電話を掛けてから2時間で鍵開け作業が終わったので、
ドライブ再開です。
国道152号はこの日記の題にもした通り
中央構造線に沿って走る何ともストイックな路線。
この溝口露頭のように、中央構造線が地表に現れた露頭も
随所に見ることが出来ます。
一目瞭然ですが、右の黒い層と左の茶色い層の境界が中央構造線です。


何故ここで中央構造線が地表に現れているかと言えば、
美和ダムが作った美和湖によって地面が削れたからです。


中央構造線はここからが本領発揮です。
あまりの地盤の脆さに無人地帯と化した一帯を
国道152号は孤独に走ります。
走っているのがオフロードバイクとか
ジムニーやパジェロミニみたいな車しかいない…


中沢峠と分杭峠という2つの峠を越えて、
大鹿村にやって来ました。
この村はほぼ全域が中央構造線に被っているという
日本屈指レベルで地盤がヤバい自治体です。
これは再び地表に顔を出した中央構造線(北川露頭)。


国道152号も中央構造線の地殻活動の影響をもろに受けていて、
常に何処かしらが工事をしているか通行止めになっています。


国道152号が域内を通る唯一の国道である大鹿村は
改良工事を強く求めていますが…
維持管理だけでとんでもない額が掛かっていそうなんだよな…
ちなみに、リニア中央新幹線もこの付近を通る予定なので、
国道152号の改良工事だけでなく
リニアの建設工事を促進する看板も結構立っています。
国道152号でさえ未だに歯の立たない区間があるというのに、
リニアの超長大トンネルなんて掘れるのかな…?


道の駅歌舞伎の里大鹿に到着。


JAF待ちの時間でパンは食べましたが、
あれだけだとロングドライブのエネルギーには足りないので
ここで山菜そばも頂きます。
パスタみたいな盛り付けですね。
山菜が美味しく感じる歳になってしまったんだなぁ…

さて、この後は中央構造線博物館でも行こうかと考えていましたが、
これだけ天気が良いのに屋内施設というのもな…


ということで、道の駅で紹介されていた
展望台へ行ってみることにしました。
こんな細くてガタガタで急勾配の林道を延々走ります。
え?そんな林道に邪魔くさく停めるなって?


降りて路上にある鋭利な石を退かさないと
パンクしそうなんですよ…
落ち葉は綺麗に掃かれているのに石が転がっているということは、
この場所が数週間に一度というようなスケールではなく
遥かに高頻度で落石のある地域であることを示しています。
実際、往路で石を退かしたのに復路でまた落ちていたので、
数十分に一回くらいはあるのかもしれません。
ここに数分停車していることすら危ないのかも…


あれ?S2000と見せ掛けて実はジムニーとか買ってたの?
と思われてしまいそうな道ばかり走っていますが、
何とか無傷で夕立神展望台まで辿り着きました。


赤石岳を始めとした南アルプスの山々を間近に望めます。
北アルプスや中央アルプスと比べて
アクセスが圧倒的に困難な南アルプス南部は、
こうして近くで拝むことすらままならない山域です。


振り返ると木曽駒ヶ岳を始めとした中央アルプスも望めます。
実は北アルプスも僅かに見えます。
山上でもないのに3つの日本アルプスが全て見える地点というのは
相当に珍しい場所ではないでしょうか。
…長々見ていたら林道が落石で埋まるかも知れないので戻ります。


国道152号(とその不通区間の迂回路である蛇洞林道)は
地蔵峠近辺が令和2年7月の豪雨からずっと通行止めになっていて
大鹿村から南へ抜けることが出来なくなっているので、
長野県道59号で一度伊那谷に出ます。
実は地蔵峠、令和元年9月に通行止めが解除されたばかりでした。
もっと言えば、さっき通ってきた分杭峠も
去年はほぼ通行止めだったし、
地蔵峠の南にある青崩峠はその上を行く崩れ易さだし…
冷静に考えれば国道152号は狂気の沙汰以外の何者でもありません。
だからこそ頑張って欲しい。


丁度長野県道59号沿いには
ダムカードを配布している小渋ダムがあるので、
ついでに回収していきましょう。


…と思ったのに品切れ!?
そんなパターンもあるのか…
ダムカードはあくまでダム側の好意で配布されているというか、
ぶっちゃけダムカードを配ることによって
ダムにとって何か金銭的なメリットがある訳ではないので、
簡単に配布中止になったりします。
でもってそういう情報がとにかく得にくいんだよな…
僕は困難さには燃える質ですが、
運ゲーは嫌いなので萎えています。


ダムカード収集欲が一気に削がれて
道の駅の記念切符に絞ろうという気分になってやって来た
道の駅南信州とよおかマルシェ。
ちなみに、道の駅はダムカードよりも遥かに多い
1,200近くの数が存在しているそうです。
先は長い。


数の多さもさることながら、
営業時間の短さも道の駅の難しさです。
でもって、どういう訳かGoogleマップには
正しい営業時間の載っていない道の駅が多いんですよね…
閉店ギリギリで道の駅信濃路下條の記念切符は入手しました。
お城とS2000という異色の組み合わせ。
お城に合う車があるかは分かりませんが。


やりたいことは一通り済ませたので、
今日の宿がある売木村までやって来ました。
売木村と言って通じる人は果たして何人居るでしょうか。
長野県南端に位置する村の一つで、
愛知県に接しています。
高速道路を使っても県庁まで3時間は掛かるという辺境。
これぞ車でないと来られない場所です。
隣の根羽村にはロードバイクで来たこと(2016/11/4)がありますが…


馬刺しと大量の山菜が信州らしい。
そして掛け流しの温泉。
300km以上走ってきた身体が癒されますねぇ…
…明日もまだまだ長いのですが。

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