日本縦断旅行第8日目。
由布院スタートです。
6:00、起床。
由布院温泉の効能なのか未だに手足がポカポカです。
由布院駅へ向かいます。
朝の由布院駅前。
笠を被ってしまっていますが由布岳が見えますね。
7:03発JR久大本線普通大分行きに乗車。
由布岳を後にします。
大分駅で8:07発JR豊肥本線
九州横断特急2号熊本行きに乗り換え。
今回の旅行で乗る最後の特急列車です。
本当なら卒業旅行には大陸横断特急が良かったな…
始発の大分駅を出て1駅目の滝尾駅で運転停車。
普通こういうのって特急列車は停まらずに
通過出来るようにするものでは…
JR豊肥本線の名所の一つ、
岩戸の景観こと百枝トンネルと百枝橋梁。
断崖絶壁から列車が宙に飛び出す様は圧巻です。
車内からだと分かり難いですが。
右へ左へ蛇行しながら標高を上げていきます。
僕が最後の特急列車をここで使ったのは
この県境区間が中々の閑散区間だからです。
(普通列車が5往復/日、特急列車が2往復/日)
坂ノ上トンネルを抜けると随分と高い場所に出たので、
次の宮地駅までS字カーブで下っていきます。
ここはもう熊本県です。
という訳で、大分県の鉄道は完乗しました!
阿蘇駅で8分間停車。
目の前に阿蘇山が聳えています。
阿蘇山はつい5日前に噴火警戒レベルが3
(火口周辺警報)に引き上げられました。
3って相当高いな…
阿蘇山の噴火も心配ですが、
この地域は平成28年の熊本地震で
甚大な被害を受けた場所でもあります。
JR豊肥本線が大規模な土砂崩れによって
阿蘇大橋諸共消し去られた様は
今でも記憶に新しいのではないでしょうか。
阿蘇大橋も新阿蘇大橋として生まれ変わりました。
風格ある逆ランガー橋が、高速道路みたいな
連続ラーメン橋になったのはちょっと寂しいですが。
そんな大規模な土砂崩れが起きるということは
ここが相当な急傾斜であることを意味しています。
何にも況して勾配が天敵の鉄道。
JR豊肥本線はこの地をどう切り抜けるのか?
正解はスイッチバックです。
考え得る限り速達性とは最も相性の悪い線形。
しかも、ここは通過が出来ずあらゆる列車が
停車を余儀無くされる構造になっているにも関わらず
観光列車でない普通の特急列車が運行されるという、
全国的に見ても極めて珍しい例になっています。
急勾配が理由のスイッチバックでなければ、
秋田新幹線が新幹線を名乗っておきながら
大曲駅でスイッチバックしたりしていますが。
10:32、立野駅に到着。
特急で終点まで行ってしまっても問題無いのですが、
折角なので途中下車します。
立野駅はスイッチバックの途中に設けられた駅です。
熊本方面行きの列車は右の線路から来て
左の線路へと去っていきます。
元々は南阿蘇鉄道の乗換駅として
観光需要で賑わっていましたが、
南阿蘇鉄道は地震で豊肥本線以上に破壊され尽くし
来年夏の全線復旧を目指して未だに工事中で、
現在は中松-高森間で他の鉄道網からは
完全に隔絶された運行を行っている為、
今の立野駅は田舎の一駅として静まり返っています。
それなら南阿蘇鉄道の復旧後に来れば良かったのでは?
と思われるかも知れませんが、
豊肥本線は熊本地震が起こる以前から
しょっちゅう土砂災害で不通になっては
復旧までに1年前後を要してきた歴史があるので、
乗れる可能性がある時に乗らねばなりません。
平成以降だけでも、平成2~3年、5~6年、16年、
24~25年、28年~令和2年に不通になっているのです。
駅舎は何処だ…
やけに長い通路を歩かされて外に出ましたが、
駅舎どころか待合室のような物も見当たりません。
旧プラットフォームらしき構造物が
無惨にも破壊されていました。
新しい駅舎を建てる工事中のようですね。
列車を降りた時に駅舎だと思ったこの建物は
駅と無関係なお菓子屋さんでした。
車内でつまめるように買っていこうかな?
と思ったけど、今日は定休日だった…
駅のすぐ側に立野ダム建設現場を
俯瞰出来る展望台があったので来てみました。
手前を走っている鉄橋は南阿蘇鉄道です。
今日は平日なので正に工事中です。
八ッ場ダムでも見た巨大バケットが動いていま
すね。
立野ダムは南阿蘇鉄道復旧の半年前、
令和5年春の完成を目指しているそうです。
僕が乗る列車が山の上からやって来ました。
スイッチバックにするだけあって圧巻の高低差ですね。
11:07発JR豊肥本線普通肥後大津行きに乗車。
肥後大津駅で11:21発JR豊肥本線普通熊本行きに乗り換え。
ここからは電化区間になります。
1分待ちでの乗り継ぎです。
何処ぞのJR西日本広島支社と違って接続が良過ぎる。
接続が良過ぎる所為で某乗換案内では
乗り換え出来ないと案内されたりします。
4、5年前に時の駅として俄に脚光を浴びた平成駅。
高架下のちょっと陰気な駅です。
平成時代を表現している…?
11:56、熊本駅に到着。
ここでお昼ご飯にします。
しかし、乗換待ちの38分間しかないので
手早く済ませられるようにうどんです。
そう言えば、3年半前も熊本駅でうどんを食べたような…
余裕を持ってホームに戻ると
既に3番線には列車が入線していました。
列車に乗って発車を待つか。
しかし、熊本県随一の幹線である鹿児島本線にしては
やけに古い車両を充てがうんだな…
電化区間なのに何故か気動車だし。
…そんなことある?
危ねぇ!
乗っていたのは5分前に出る三角線の列車でした。
発車直前に抜け出せて助かった…
まあ、宇土駅までは鹿児島本線を走るので
それまでに気付いていればセーフですが。
12:34発JR鹿児島本線区間快速八代行きに乗り換え。
先程まで三角線の列車が居た場所で待っていたら、
同じ3番線でも100mくらい離れた位置に停車されて
危うく逃しそうになりました。
罠が多い。
八代駅で13:15発肥薩おれんじ鉄道
普通隈之城行きに乗り換え。
九州新幹線開業に伴って鹿児島本線から経営分離された
第三セクターの肥薩おれんじ鉄道です。
典型的な第三セクター鉄道とでも言うべき高額運賃で、
JRの乗車券を九州新幹線経由で買っている今回は
新八代から川内まで特急券(1,760円)を追加購入して
新幹線に乗ってしまった方が、
肥薩おれんじ鉄道の鈍行でえっちらおっちら
川内まで行く(2,670円)より遥かに安く済みます。
所要時間も6分の1です。
しかし、運の良いことに今に限っては
たった1,500円でフリー切符を買えるキャンペーンが
本来は昨年末までのところ今月末まで延長されたので、
44%オフで乗り潰すことが出来てしまうのです。
まあ、それでも+260円で2時間半も早く着くので
常識人なら誰もが新幹線一択でしょうが…
八代駅を出るとすぐに球磨川を渡ります。
球磨川と言えば一昨年の豪雨が
記憶に新しいのではないでしょうか。
実はその所為でJR肥薩線は八代-吉松間が
未だに復旧するかどうか決まっていないままです。
衝撃的なことにこの区間、
何と代行バスの運行すらされていないのです。
「全便代行タクシーにて坂本まで運行」とありますが、
この坂本というのは八代から2駅11.0kmの場所。
それも代行タクシーは日にたった3往復。
吉松までの残り16駅75.8kmに渡っては、
僅かに一勝地-人吉の12.0kmの間に
申し訳程度の2往復/日の代行タクシーがあるのみで、
その他の63.8kmは何一つ公共交通機関が無い状態で
1年半以上が経過しているのです。
しかし、まだ話には続きがあります。
更に驚くべきことには、
その空白地帯の只中にある人吉駅から延びる
第三セクター鉄道のくま川鉄道は、
既に一部が復旧して折り返し運転をしているのです。
南阿蘇鉄道も現在孤立状態で運行していますが、
あちらは来年には日本の鉄道網に
再び接続する目途が立っているのに対して、
こちらは未来永劫孤立路線として走る可能性があります。
開拓時代の北海道とかならまだしも…
そんなJR肥薩線のいざこざを余所に、
肥薩おれんじ鉄道は東シナ海沿いを長閑に走ります。
絶景ですね。
オレンジよりこのシーサイドっぷりを推すべきでは。
峠の切り通しを越えて遂に本土最南端の県、
鹿児島県に突入しました!
申し訳程度のおれんじ要素。
あまり鹿児島県に蜜柑のイメージは無かったけど。
出水駅で長時間停車。
トンネル工事では何とも縁起の悪そうな駅名です。
露骨に新幹線に誘導してきますね。
…と思ったけど、肥薩おれんじ鉄道としては
新幹線に誘導する旨みは無いのか。
それでも新幹線に接続した方が利用者が増えるのかな?
東シナ海を望みながら再びシーサイドを走ります。
川内駅で15:59発JR鹿児島本線普通鹿児島中央行きに乗り換え。
16:53、鹿児島中央駅に到着。
函館を発って1週間、遂にここまでやって来ました。
何ご飯か分からない時間ですが、
今日はもうこれ以降食事を確保出来る機会が無さそうなので
白くまを食べてお腹を満たしておきます。
ここがゴールではありません。
鹿児島中央駅がゴールでなければ
JR最南端の西大山駅がゴールかと思われるかも知れませんが…
17:46発JR日豊本線普通吉松経由都城行きに乗り換え。
ここからは南ではなくちょっと変な方角に向かいます。
この列車もJR函館本線の藤城支線宜しく
奇妙な経路で走るのですが、
残念ながらまたしてもサボがありません
と落胆していたら…
おじさんが現れて車内からサボを取り出し、
はめ込んでいました。
鹿児島中央駅から都城駅までは
順当に行けばJR日豊本線で一本なのですが、
一日の中で何故かこの列車だけは
JR肥薩線とJR吉都線を経由して
Ωを描くように霧島連山の北麓を迂回しています。
今から向かうのは吉都線の駅なので丁度良いのですが、
果たしてどの程度需要のある経路なのでしょうか…
ちなみに、サボはドア横のこの赤く縁取りされた
小さな口から取り出されていました。
この構造物はエアコンじゃなくてサボ入れだったのか…
桜島を横目に走ります。
隼人駅までは鹿児島市の通勤圏なので普通に混んでいますね。
隼人駅から肥薩線に入ると乗降客はほぼ無くなり、
吉松駅に着く頃には貸切状態に。
上でも書きましたが、
吉松駅より北の肥薩線は未だに代行バスすらありません。
ここから北はループ線とスイッチバックで峠を越える
まともな並行道路の無いような区間なので、
代行バスを設定したくても出来ないのかも知れませんが。
19:50、京町温泉駅に到着。
二夜続けての温泉街です。
…本当に温泉街あるよね?
昨夜の由布院にも況して真っ暗です。
側溝に嵌まらないように注意して宿まで歩きました。
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