スバル WRX STI(VAB型)

理想のマイカーを探して様々な車を運転してきましたが、
スポーツカーオタクなら当然チェックしておくべき
あのメーカーの車はまだ調べていませんでした。
という訳で、大学へD論を提出しに行くついでに
レンタカーで借りてみることにしました。
祐天寺にあるレンタカー屋で借りるのは…


スバルのフラグシップモデル、WRX STIです!
僕以上の世代には「インプレッサWRX STI」
という名前の方が馴染みがあるでしょうか。
今はもう参戦していませんがスバルと言えばラリーであり、
青のインプレッサWRX STIは世界ラリー選手権で
90年代に圧倒的な強さを見せ付けて
日本車黄金時代の一翼を担いました。
元々は普通の車であるインプレッサ
の中のスポーツモデルであるWRX
の更にワークスチューンであるSTIという扱いでしたが、
平成26年にインプレッサからWRXが独立しています。


去年まで新車販売していたということで
古い車ばかり見ていた僕には珍しく現代の車ですが、
実は、エンジンは昭和63年から基本設計がそのままの
名機EJ20を載せていて、
古き良き時代の遺伝子を受け継いでいます。
これだけの長きに渡って存続するエンジンは
日本車に於いては特に稀です。
水平対向と呼ばれるエンジン形状を今も続けているのは
スバルの他にはポルシェだけという珍しさ。
では、この車は30年前から時が止まった
生きた化石なのかと言えばそうでもありません。
エンジンこそ初代から受け継いでですが、
ある点は時代の要請から全く変わっているのです。

車体がデカいんですね。
そもそも純粋なスポーツカーというよりも、
あくまでちゃんと家族皆で乗れる車(セダン)の延長、
所謂スポーツセダンというタイプなので、
2人しか座れない車に比べて大きいのは当然です。
しかしながら、それだけには留まらず、
何と幅は10mm、長さは30mm、
スバルのSUVであるフォレスターよりも大きいのです。
初代インプレッサWRX STI(GC8型)と比べると
高さ60mm増、幅135mm増、長さ330mm増で260kg増。
主に衝突安全性の要求を満たす為
(車体が大きければ事故に遭っても怪我し難くなる。)
なのですが、小回りが利き難くなることは勿論、
ニュートンの運動方程式より明らかな通り
重くなると加減速力が悪くなってしまうのが
スポーツカーとしては致命的です。
やっぱりもったりしているのかな…

と思いきや、カタログ上の数値よりも
何故かコンパクトに感じます。
大馬力のエンジンや反応の良いステアリングが
重さや大きさを感じさせない
機敏さを実現しているのでしょうか。
にしても、不思議なくらいコンパクトに感じる…
新車なんてどうせ安全装備てんこ盛りで
軽快さなんて無いんだろうと高を括っていたので、
これは良い意味で予想を裏切られました。
こう言うとスバリストとトヨタファンの双方から
集中砲火を浴びてしまいそうですが、
個人的な感覚としてはMR2を思い出しました。


懐かしの甲州街道を走って東京都唯一の道の駅、
道の駅八王子滝山までやって来ました。
低速トルクも充分あるので甲州街道でも余裕ですね。
ただ、巨大なリアウイングには思わぬ罠があって、
車線変更で左後方確認をする際に
リアウイングが一瞬他車に見えて焦ります。
ここまで巨大にする必要はあったんだろうか。


道の駅に売っていたジェラートで小腹を満たしたら、
大垂水峠でWRX STIの運動性能を見ます。
綿々と受け継がれてきたEJ20の真価や如何に…


…遅い車に蓋をされて全然分かりませんでした。
せめて制限速度までは出して欲しかった。
ただ、低回転低速度で急坂を登っていても
トルク不足を全く感じさせないのは流石ですね。
過給器設定モデルにありがちな低速トルクの細さは無い…
と言いたいところですが、この写真に写っている
傾斜の付いた駐車場に停める際に何度もエンストしました。
変速を補助する目的で付けられたのであろう
手厚いシンクロ機能の所為で
クラッチの繋がる感覚が捉え難くなって、
半クラ維持は寧ろ難しくなっているような気が…


相模湖の畔のドライブインで昼食。
国道20号沿いのドライブインは
ご多分に漏れず殆ど廃業してしまっていますが、
今でもひっそりと残っているお店がありました。
ドライブイン巡りというのも楽しそうですね。


さて、国道20号大垂水峠での反省(?)を活かして、
もっと交通量が少なそうな峠を目指します。
生活道路に毛が生えた程度の神奈川県道33号で北へ。
こんな細い道でも車体の大きさに難儀しません。
そして、今度は交通量皆無なのでギアを落として
キチンと回転数を上げてみると…
うおおぉっ!?
何という加速!
甲州街道では3000rpmかそこらで
やっぱりEJ20は力強いな~
なんて腑抜けたことをほざいていましたが、
4000rpmを超えてターボが効くようになると
重力の向きが変わったかのような鬼加速を見せます。
流石は308馬力…
パワーウェイトレシオは4.86kg/PSで、
あのマツダRX-7 タイプRSに肉薄しています。


急な峠道ではしっかり荷重移動させてやらないと
FRやMRでは不安定になりやすいのですが、
スバルは四駆の権化だけあって安定性抜群ですね。


雪の残る甲武峠を越えて檜原村にやって来ました。
懐かしの村役場喫茶で一服です。
以前と変わっていなくてホッとしました。
さて、ここからどうしようかな…
直帰するとまだ少し早そうだし…

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という訳で、奥多摩周遊道路を走ってみました。
先日の大雪で通行止めになっていましたが、
1時間前の15時に解除されたのを知って来ました。
檜原村役場から駆け付けたのだから一番乗り…
と思いきや、割とお仲間が居ました。
平日の真っ昼間から暇なんだなぁ…(ブーメラン)
この後は八王子ICから中央自動車道に乗って帰りました。

さて、何だかベタ褒めみたいになってしまっていますが、
そうは言っても車も人も良い点ばかりとはいきません。
では、スバルの車の最大のデメリットは何か?
…察しが付いている方も多いかと思いますが燃費です。
スバルの象徴である水平対向エンジンも四輪駆動も、
どちらも燃費にはマイナスに働くのです。
小さな車を造っていないという原因もありますが、
平均燃費は国産乗用車メーカーの中で最下位。
そんなメーカーが昔からの伝統を守って造った
フラグシップスポーツカーの燃費や如何に…

インパネには9.5km/Lと表示されていて、
まあ確かにそんなものかなと思いながら給油して
オドメーターから実燃費を算出してみたら、
何と6.87km/Lになりました。
お前はアメ車か!?
ただ、ガソリンを入れたスタンドがセルフではなく、
これから無人の荒野にでも行くのかというくらい
店員が限界までガソリンを注入していたので、
普通にノズルからのガソリンが一旦止まるところで
給油を止めていたらもう少し良くなったはず…
という、最大限好意的な解釈をしたとしても、
精々7km/L台になるだけです。
こんな車を去年まで新車販売し続けていたスバルは
率直に言って凄いと思うし、これからも貫いて欲しい。
4人以上乗れる車を買うならこれが第一候補ですね。

脚注
※「ワークスチューン」
   自動車メーカー自身がレース参戦の為に車をチューニング(改造)すること。
   スバルのSTIと日産のNISMOが特に有名。

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