(無題)

中国地方旅行第2日目。
次の県に向かいます。

6:00、起床。
車、それもトヨタ86を借りたというのに、
昨日は鉄道でも行けるような場所しか行っていません。
折角なので86の機動力をフルに活かせる、
呉市街を見下ろす展望台に行ってみます。
夜景スポットとしても名高い場所なのですが…
道が狭い!
そして物凄い急勾配!
それでいて普通に対向車が来る!
佐世保を思い起こさせる道です。
造船が盛んな町の外縁は概してこうなのでしょうか…
夜景って言うけど、この道を夜に走りたくない。
いや、ヘッドライトで対向車が分かり易いから
却って安全だったりするのかな…
何にせよ生半可な運転技能で来るのは止めましょう。
しかし、そこは流石ライトウェイトスポーツカー、
こういう山道をひらひら走っていくのは十八番です。
それでいてMR-Sよりも馬力がありますね。
運転に必死だったので写真はありません。
停車スペースも無いし。


というわけで、灰ヶ峰までやって来ました。
灰ヶ峯気象レーダー観測所の為に拓かれた場所です。
ここからの眺めというのが…


これです!
三方を山、残る一方を島に守られた天然の軍港。
家がギッチリ詰まっています。
軍港呉を一望です。
時代が時代なら逮捕ものの写真ですね。


さて、86は朝のうちに返す予定なので、
内陸を走って竹原駅に向かいます。
駅の側のスタンドで満タン給油して返却。
燃費はオドメーターの読みで9.84km/Lでした。
高速道路を一切走っていない上にあの山道だったので、
見掛けMR2並みなのは致し方無いところでしょうか。
いや、スバル製の水平対向エンジンだからだろうか。


9:06発JR呉線普通広行きに乗車。


嘗て山陽と四国を結ぶ航路として大混雑していた
宇高連絡船の補助として開かれた、
仁堀連絡船の発着地だった仁方駅。
最初から最期まで物凄くマイナーな存在だったようで、
国鉄の鉄道連絡船としては全国で唯一、赤字を理由に廃止されました。
寧ろ他の航路の廃止は赤字が理由じゃないのか…


広駅で10:02発JR呉線快速安芸路ライナー広島行きに乗り換え。


牡蠣の養殖筏が浮かぶ広島湾沿いを走ります。
牡蠣も食べたかったな…


10:53、広島駅に到着。
山陽一の大都会です。
と言ってしまうと、岡山県民から反発を受けるでしょうか。


しかし、例によってこういう場所は素通りなので、
ご当地フラペチーノだけ飲んで乗り換えします。


11:15発JR山陽本線普通岩国行きに乗り換え。


この辺りはJR山陽本線が最も瀬戸内海に近付く区間です。
ここまでJR呉線に乗って来た身からすると今更ですが。


12:13、岩国駅に到着。
全都道府県の中で最もご無沙汰だった山口県。
実に8年振りの再訪です。
意識したわけではないのですが、
大学生活始まりの年と終わりの年に来たんですね。


ここで1時間以上の乗り換え待ちなので
お昼ご飯を済ませてしまいます。
焼けるような炎天下を歩いて
目星を付けていたお店に辿り着くと…
えぇ!?また臨時休業!?


失意の中へとへとになって駅前に戻ってきたら、
うどん屋がやっていたので倒れ込むように入店しました。
九州が近いからか、ごぼう天のトッピングです。
疲れた時にうどんは最高ですね。


どうにか昼食抜きを免れたところで
13:29発JR岩徳線普通徳山行きに乗り換え。
広島近郊だけ近代的だった列車が
一気にまた国鉄時代にまで戻りました。


13:39、川西駅に到着。


盛土の急斜面に無理矢理造ったような駅。
一見、地元民以外使わなさそうなローカル駅に見えますが…


炎天下を再び歩いていくと、
大きな錦川と何やら見えてきました。


山口県随一の名勝、錦帯橋です!
釘を1本も使っていない世界的にも珍しい木造アーチ橋です。


木造だと維持費が嵩むのか、通行は有料です。
そもそも渡ると次の列車に遅れそうだしな…


下からじっくり眺めるに留めておきます。
近付くとかなりのスケールですね。


継手や仕口を巧みに使って固定しています。
洪水に悩まされ続けてきた錦川に於いて
1674年から1950年まで276年間流出しなかったとか。


錦帯橋を見て山口観光のノルマをこなしたら、
14:29発錦川鉄道錦川清流線普通錦町行きに乗車。


JR岩徳線から別れて錦川鉄道錦川清流線に入ります。
今日のメインです。
錦川鉄道は旧・国鉄岩日線を引き継いだ第3セクター鉄道。
その名の通り、錦川に沿って走っています。
よりによって錦帯橋の部分だけ迂回していますが。


実はJR山陽新幹線新岩国駅の
事実上の乗換駅があったりするので、
もしかしたら利用する機会がある…かも知れません。
まあ、JRの公式的には乗換駅扱いされていないのと、
そもそも新岩国駅自体山陽新幹線の中で
一番利用者数が少ないので、やはり影は薄いですが。


山間の田んぼを高架で貫く
鉄道建設公団っぽい線形ですが、
開業は公団設立より前の昭和35年です。


錦川清流線の名に違わず
すぐに錦川の縁ギリギリのところを走るようになり、
ビュースポットでは徐行もしてくれます。


川とは反対側にある滝を見せる為にも
数ヶ所で徐行をするのですが…
うーん、わざわざ徐行してまで見せるほどの滝かな?


建設費を抑える為なのか分かりませんが、
集落の多くや国道が錦川左岸にあるにも関わらず、
錦川清流線は頑なに右岸を走り続けます。
その結果何が起こるかというと…


このように、駅と集落が錦川によって完全に分断されています。
この南桑駅に至っては車道が駅に通じていません。


その為、利用者は歩行者専用橋を渡って
対岸の集落にアクセスする必要があります。
錦川が増水した時とかどうするのかな…
いや、その時は錦川鉄道が運休するのか。


南桑駅を過ぎると錦川清流線は
全線の中でも一際錦川に近付きます。
列車からそのまま川に飛び込めそうです。


なんて考えていると駅が現れました。
清流みはらし駅と書かれています。
対岸に民家は一切見当たりません。


それどころか、対岸に渡る橋さえ存在しません。
つまり、錦川に飛び込まない限り外界に出られないのです。
秘境駅中の秘境駅と言えるでしょう。
しかし、何故こんな場所に駅があるのか?
それは、この駅が秘境駅となることを明確に意図して設けられたからです。
ここは観光列車しか停まらない臨時駅なのです。
今や秘境駅は鉄道会社が積極的に造る時代なのか…


錦川の暴れ具合を仄めかす沈下橋などを望みつつ、
終点までひたすら錦川に沿って走ります。


15:29、錦町駅に到着。
「にしきまち」だと思っていた貴方、
東日本出身ですね?
ここは西日本です。


洒落た公民館っぽい見た目の錦町駅。
今日はわりかし賑わっています。


錦町駅の隣、錦川清流線の線路の先に
何やらメルヘンチックな列車が停まっています。
これはとことこトレイン。
旧・国鉄岩日線の未成線跡を使った観光トロッコです。
雙津峡温泉まで行けます。


夏真っ盛りですが、トンネルからは涼しい風が吹き出しています。
天然(?)のエアコンですね。
…でも、何でこんなに勢い良く吹き出してくるのだろう。


うぉっ、列車が来てたのか!
親子連れで賑わっています。
未成線跡探索は鉄道の趣味の中でも
かなりディープな部類に入りますが、
ここはそういう雰囲気でも無いんですね…


とことこトレインはさっきのが最終便なので
大人しく宿に向かいます。
16:02発錦川鉄道錦川清流線普通岩国行きに乗車。


川西駅で17:25発JR岩徳線普通徳山行きに乗り換え。


18:33、徳山駅に到着。
この後の乗り継ぎを考えると
ここで夕食を食べておきたいところです。


探し回って開いている喫茶店的なお店を見付けました。
鉄板に乗せられて名古屋を彷彿とさせる焼きそばです。
いや、山口県だから瓦蕎麦かな?


薄暮の徳山駅。
何故か浴衣姿の人で賑わっています。
夏祭りでもあるのかな?


上の写真、徳山駅の外観のはずなのに
掛かっている看板が「徳山駅」ではなくて
「周南市立駅前図書館」になっているのに
気付いた方は居るでしょうか。
ここは駅と完全に一体化した図書館で、
TSUTAYAの経営母体が管理をしているという
新しい形式の図書館です。
下関を除くと山口県に4店舗しかないスタバも入っています。
山口県限定フラペチーノでも飲もうかと思いましたが、
行列していたので断念しました。


19:26発JR山陽新幹線こだま861号博多行きに乗り換え。
ここまで来ると山陽本線も頼りにならないので
積極的に新幹線を活用していきます。


日露戦争時に造られた海軍練炭製造所に端を発する
周南コンビナートの夜景を横目に西へ向かいます。


19:39、新山口駅に到着。
1区間だけのチョイ乗りです。
新幹線でないと上手く接続しないんですよね…


県庁所在地の新幹線駅の割には
岩国駅や徳山駅に比べて活気が一切感じられません。
県庁からは10km以上離れているから仕方無いのか、それとも…


19:57発JR山口線普通宮野行きに乗り換え。
SLやまぐちで有名な山口線です。


20:16、湯田温泉駅に到着。
SLが停車するからか古風な駅名標になっています。
田舎丸出しの真っ暗な背景ですが、
こう見えて県庁最寄り駅の山口駅の隣駅です。


こういう場所は鉄道沿いじゃなくて
幹線道路沿いが栄えているから仕様が無い、
という声も聞こえてきそうですが、
その幹線道路沿いでこれです。
何故下関でも岩国でも徳山でもなく
この地を県庁所在地に選んでしまったのか…

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