今日から4連休。
何だか天気が良さそうだな…
世界的大イベントのオリンピックが開かれるのに、
人流を抑える為に庶民は外へ出るな
なんていうのはもう付き合っていられません。
僕の学生生活に次の夏は無いのです。
というわけで、昨夜大急ぎで行程を組んで
出掛けることにしました。
旧駅舎は跡形も無く更地にされているものの、
跨線橋と小屋だけ残されている半田駅。
今回はここからスタートです。
6:49発JR武豊線区間快速名古屋行きに乗車し、
名古屋駅で7:41発東海道新幹線
のぞみ121号博多行きに乗り換え。
青春18きっぷという案もありましたが、
時間を有効活用したいのと、
今回は割と(JR線での)寄り道が少ない行程なので、
普通に連続乗車券を買いました。
学割が使える最後の夏でもありますしね。
京都以西に来るのはコロナ後初です。
9:20、岡山駅に到着。
2年半振りの岡山県にやって来ました!
と言っても、岡山駅は毎回乗り換えだけなので
あまり印象に残っていないのですが…
桃太郎線とかいう日本一ダサい愛称の路線。
いや、東武アーバンパークラインと一騎討ちだろうか。
国鉄時代を感じさせるキハ47に乗ります。
9:29発JR吉備線普通総社行きに乗り換え。
10:08、総社駅に到着。
夏は国鉄時代の気動車で揺られるに限りますね。
クソダサ愛称の桃太郎線ですが、
一応ただ名前を付けただけではなくて
各駅に縁のある伝承が貼られています。
10:19発JR伯備線普通岡山行きに乗り換え。
広島みたいな色をしていますね。
10:23、清音駅に到着。
ここでまた乗り換えます。
実は2つ入口があるのですが、お気付きでしょうか?
正解はここです。
この清音駅には井原鉄道も乗り入れているのです。
しかしまた分かり難い位置にありますね…
JR側は殆ど乗り換え案内を出していません。
総社駅にも井原鉄道専用ホームがあるのですが、
分かり難過ぎて廃止されたのかと思いました。
(改札を出て右手にあります。)
小ぢんまりとした待合室で一休み。
こういう待合室の窓で切り取った風景が好きです。
10:46発井原鉄道井原線普通神辺行きに乗り換え。
大原美術館とコラボしたラッピング車両でした。
綺麗だけど、車窓が完全に潰されてしまっている…
井原鉄道は国鉄井原線、
正確には、国鉄井原線になるべくして
建設されていたものの一度工事が凍結され、
地元自治体によって工事が再開されて
平成11年に漸く開通した第三セクター鉄道です。
元々は井笠鉄道が走っていましたが、
国鉄の工事開始と共に廃止されました。
もし地元自治体が継承しなかったら
地元の私鉄をただ廃止されるだけで終わっていたという、
中々の裏切り具合ですね。
ただ、軽便鉄道だった井笠鉄道と違い、
建設公団作の井原線は滅茶苦茶線形が良いです。
その所為で建設費が高く付いて経営を圧迫するという
お決まりのパターンに嵌まっていますが…
イバラの道を行くイバラ鉄道と揶揄されることも。
ただ、特急の通り道でも無い第三セクターにしては
かなり健闘している方だと思います。
11:19、井原駅に到着。
岡山県と言えば児島が国産ジーンズで夙に有名ですが、
どうやらここ井原でも作っているようです。
何と駅にデニム屋が併設されていました。
土産に一本買ってくかぁ!ってなるんですかね?
建設がバブル期と重なっているからか
円錐型のガラスの塔が目を惹く立派な駅舎です。
時間も良いのでここで昼食にします。
何でも、笠岡ラーメンの名店があるそうだけど…
おっ、これか。
喜多方のラーメン屋を彷彿とさせる雰囲気ですね。
でも、やけに人気が無いような…
えぇ、臨時休業!?
何ということだ…
しかし、泣き言を言っても開きはしないしな…
というわけで、近くにあった別のラーメン屋へ。
ロードサイド店にしてはここもえらく小さいですね。
ここもかなりの人気で40分以上待たされました。
持たせて良かった冗長性。
井原ってラーメンが盛んなんだな…
尾道ラーメン風らしい醤油ラーメン。
背脂がパンチを利かせる為というよりも
味をまろやかにする役割を果たしています。
炎天下で待っていたからもう少し塩辛くても良かったけど。
井原駅から12:47発井原鉄道井原線普通神辺行きに乗車。
その気になれば150km/hくらい出せそうな線形ですね。
しかし、宝塚線の脱線事故以降強化された規制を逃れる為に
開業時よりも最高速度が落とされているそうです(110→95km/h)。
神辺駅で13:06発JR福塩線普通福山行きに乗り換え。
井原鉄道はこれにて完乗です。
13:18、福山駅に到着。
福山城が想像の10倍駅近だったので寄ってみました。
どのくらい近いかと言うとこのくらいです。
こんな駅近物件のお城ある?
しかも、戦後に再建されたので築浅です(築55年)。
13:32発JR山陽本線普通三原行きに乗り換え。
造船で栄えた山陽ということで、
JR山陽本線沿線にも数多くの造船所があります。
造船会社に勤めれば瀬戸内に住めるのかな…
しまなみ海道の起点、尾道大橋。
しまなみ海道サイクリングも一度やってみたいですね。
東海道本線もそうですが、山陽本線も
パッと見では海沿いを走っていそうで、
実のところは海を望める区間は殆どありません。
そんな中で殊に美しく瀬戸内海を望めるのが
この尾道から糸崎に掛けての区間です。
綺麗ですねー!
なので、もっと間近に瀬戸内海を眺めましょう。
三原駅で14:08発JR呉線普通広行きに乗り換え。
今月8日の大雨の影響で2週間に渡り運休していましたが、
正に昨日復旧したばかりです。
バラストがやけに白いのでここが被災箇所でしょうか。
ちなみに、JR呉線の、というかJR西日本の
一般的な路盤の状態はこんな感じです。
とか何とか言っていたら車窓に瀬戸内海が広がりました!
ここぞとばかりに減速しています。
この25km/h制限は粋な計らいか、単なるお家芸か。
そして、この安芸幸崎-忠海間が
JR呉線の最も瀬戸内海に近付く区間です。
近付くというか、最早張り出しています。
見て下さいこの際っぷり。
ここに駅があったら下車3秒で海に飛び込めます。
JR呉線が紹介される際は大抵ここの写真が使われます。
大久野島も見えますね。
戦時中に毒ガス製造工場が造られ、
一般向けの地図から存在を消されていた大久野島。
これだけ近いと余裕で視認出来てしまうので、
島の存在まで地図から消してしまうと
「あの島地図に載ってなくない?」
と逆に話題になってしまいそうな気もしますが。
(戦時中の呉線では窓を閉めさせられました。)
最近頓に人気を博している島でもあり、
呉線の車内放送でも触れられていました。
但し、車内放送では流石に毒ガスではなく
「ウサギで有名な大久野島」と案内していましたが。
14:44、竹原駅に到着。
ここで今後の行程を鑑みて車を借ります。
まさかのトヨタ86(ZN6型)です。
これは86目当てというわけではなくて、
竹原駅で唯一借りられたのが
カーシェアリングサービスの86だったのです。
広島県だからマツダの方が良かったかな?
折角の機会なので86の試乗としても活用します。
86はスバルと共同開発されたライトウェイトスポーツカー。
平成24年から始まって現在も販売が続いており、
今の街で最も良く見掛けるスポーツカーでしょう。
それがスポーツカーを選ぶような人間にとって
利点と言えるのかは一概には分かりませんが。
見た目や構造こそ全く違いますが、
若者も気軽に手を出せる価格帯で扱い易いスポーツカー
というコンセプトはMR-Sに通ずるものがあります。
「遅いスポーツカー」を自負しているのも共通点です。
その操作感はと言うと、ハンドルは若干重い程度で、
クラッチペダルは重いわけではないのですが、
目一杯踏み込んでからクラッチを繋ごうとすると
ペダルが床に張り付いてしまうような感覚を覚えます。
折角86を借りたばかりだというのに
もう駐車場に停めてしまいます。
上述の通り、あくまでも足として借りたので…
やって来たのは竹原港。
こんなに沢山の島を目の前に浮かばされて
渡らないでいられるわけがありません。
この辺で島に渡ると言ったら、
やっぱり大久野島を思い浮かべる人が多そうですが、
地図でもっと気になる島を見付けてしまったのです。
船が出るまで暫し時間があるので、
えらく年季の入った瓶に入ったラムネで一服。
潮風に吹かれるガラス瓶の露…
夏ですねぇ…
窓口で乗船券を買います。
ただの往復券で何故5枚綴りになるんだ…
15:45発大崎フェリー同盟21便ないす おおさきに乗船。
かなり大きなカーフェリーです。
中はガラガラですが、車はほぼ満車状態でした。
どうやら、車と共に渡るのは基本的に
地元客のみという想定で船を造っているようですね。
穏やかな瀬戸内海を滑るように進みます。
潮風が心地良い!
自然豊かな島がそこかしこに浮かぶ中で、
たった一つだけ要塞みたいな小島もあります。
森だらけで人の気配を感じられない島を回り込みます。
集落を抱いた島が見えてきました。
ここにも造船所がありますね。
16:14、白水港に到着。
大崎上島に上陸しました!
瀬戸内海で本土に架橋されていない島としては
小豆島に次ぐ大きさの大崎上島。
櫂伝馬競漕という船での競争祭が有名な島です。
レースに勝った集落は1年間マウントを取れるとか。
しかし、僕のお目当ては大崎上島ではありません。
16:30発大崎上島町営フェリー6便に乗り継ぎ。
離島の町の更に離れ小島へ向かいます。
車両甲板に大半のスペースを取られていて
旅客スペースがかなり狭いです。
しかし、密になる心配は皆無です。
乗客は僕一人しか居ないのですから。
僕の払った290円の為にこのデカい船が動いているのか…
まあ、復路で誰か乗ってくるかも知れませんが。
先程「森だらけで人の気配を感じられない」
と言ったあの島が近付いてきました。
そうなんです、実は無人島じゃなかったんです。
16:40、生野島に到着。
船員さん曰く10人くらいしか住んでいないという島。
本当は下船して次の船で帰ろうと思っていましたが、
「生野島は見るもん何も無いしねぇ、
歩けば時間潰せるけどとにかく暑いよ~
この船は行きで生野島に5分停泊するから、
その間にちょっと降りてみるくらいにしたら?」
と強く薦められたので、そうすることに。
この5分間停泊は公式サイトでも触れられていない裏情報
…と思いきや、時刻表を具に見てみると、
復路では生野島→白水港が所要10分なのに対し、
往路では15分を要していて謎の5分間のラグがあるので、
推理小説の探偵並みの洞察力があれば
5分間停泊の事実に気付ける…かも知れません。
港の待合所。
お婆さんが1人座っています。
船には乗らないのかな?
港前から延びる唯一の道。
家が全然無い…
もう少し内陸部に入ってみると数軒の民家がありました。
ただ、人が住んでいそうな気配はありません。
島を離れてしまったのでしょうか。
港の駐車場は異様に広いのですが、
生野島は1人1台トラックを持っていたりするのでしょうか。
きっかり5分で生野島を離れます。
不思議な島だった。
ちなみに、現在島に残っている住民が住んでいるというのが
島の東部にあるこの「くさの浦」という集落です。
嘗て幾つか存在した集落の中でも
よりによって一番港から遠い集落です。
港から遠いと不便だからいの一番に無人化しそうな気もするけど…
さて、実はこの町営船、生野島へ行って終わりではありません。
今度は「要塞みたいな小島」が近付いてきました。
遠目にはまるで軍艦のように見えます。
瀬戸内の軍艦島とも呼ばれるこの島。
小さな島は悉く開発され尽くして
島の地面は殆ど見えません。
軍艦島と同じですね。
ただ、この島が本家軍艦島(端島)と決定的に違う点は、
この島は未だに「現役」だということです。
現役でなければ町営船が貴重な燃料を費やして
わざわざ寄港したりはしません。
17:05、契島に到着。
島全体が東邦亜鉛の所有になっており、
日本で生産される車のバッテリーに使われる鉛の
何と4割以上にも上る量がこの小さな島で精錬されているそうです。
というか、現在日本で鉛鉱石の精錬を行なっているのはこの島だけ。
こう見えて日本の第二次産業に欠かすことの出来ない超重要な島なのです。
今日は祝日だからか島は静まりかえっていますが。
そんなわけで、部外者の立ち入りは厳しく制限されています。
それならば、何故町営船が片道たったの290円で
誰でも運んでしまうのかは良く分かりませんが…
大崎上島町民でここに勤めている人が多いのでしょうか。
一般人が立ち入り出来るのは町営船が着く桟橋だけです。
乗って来る人も居ないので1分足らずで離岸します。
昨夜衛星写真で見て衝撃を受けて来てみた島でしたが、
近くで見るとなお衝撃的な島でした。
中がどうなっているのかも見てみたいところですが…
町営船は復路でも律儀に生野島に寄港します。
港に居た島民はこの復路の寄港で乗ってくる
ものだとばかり思っていましたが、
作業員らしき人1人しか乗って来ませんでした。
あの島民達は港で何をしていたのだろう…
17:35、白水港に帰着。
全く不思議な町営船だった。
さて、大崎上島は38.3km2と伊豆大島の4割程の面積にも関わらず、
何と9つも港があります。
伊豆大島は天候で使い分ける2つだけだというのにです。
竹原港からの大崎フェリー同盟の便も、
間に峠も何も無い一直線の海岸線に
たったの1.5kmだけ離れて隣り合う2つの港に交互に発着します。
来た時は白水港で素晴らしい接続を見せてくれましたが、
今度は次に出る20分後の便が隣の垂水港発なので
20分以内に1.5km歩き切らねばなりません。
町営船の船員さんは
「暑いから大人しく35分後の白水発の便を待った方が良いよ」
と言っていましたが。
汗だくになりながらも、割と余裕で間に合いました。
17:55発大崎フェリー同盟34便に乗船。
(なお、この翌週の8月1日のダイヤ改正で
垂水発のフェリーの発時刻が10分繰り上げられたので、
この乗り継ぎは事実上不可能になりました。)
18:15、竹原港に到着。
小さな島旅が終わりました。
ここからは86にその機動力を
思う存分発揮してもらいます。
やって来たのは忠海にある冠崎公園。
住宅街の中に盛り上がった小さな丘が
そのまま公園として整備されています。
何故こんな何の変哲も無い公園にわざわざやって来たのか?
その道では極めて有名な場所だからです。
だけど、ちょっと草が茂り過ぎているような…
ここ、JR呉線の撮影地なんです。
今朝通ったJR呉線の最も瀬戸内海に近付く区間を
俯瞰出来る場所として昔から使われてきました。
ただ、かなり距離があるので望遠レンズでないととても無理ですね…
例によって広角レンズしか持っていないので、
少しでも近付くべく俯瞰は諦めて近くの漁港に来てみました。
広角だとこれくらいが限界ですかね…
さて、もう遅くなってしまったので
86で今夜の宿へと急ぎます。
上述の通り遅いと言われることの多い86ですが、
登坂などでトルク不足を感じることはありませんし、
FRらしい機動性の良さはしっかりあるので、
瀬戸内のくねくねした道にはとても合った性能と言えます。
広島県はミニバンがどれもやけに速いのですが、
煽られたりすることも皆無です。
50km以上休憩無しで運転して
呉市までやって来ました。
中々良いナイトドライブだった。
今夜は呉に泊まります。
呉名物のみそだきで乾杯です。
愛知とはまた違う塩辛い赤味噌が一日汗をかいた身体に沁みる…
串1本に5分くらい掛けてしみじみと味わいました。
久し振りの一人旅は最高だな…
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