理想のマイカーを探し求めてレンタカーに乗る第2弾。
今日は西春の祖母宅に行くついでに、
岩倉でレンタカーを借りてみました。
例によって2000年代初頭の車なので
扱っている店舗が殆ど無いのです。
今回借りたのは…
世界一コスパの良いミッドシップスポーツカー、
トヨタMR-Sです!
ミッドシップエンジン・リアドライブ、
略してMR(または単にミッドシップ)とは、
車体の中央、座席の後ろにエンジンを置き、
エンジンの力を後輪に伝える方式のこと。
車の中で一番の重量物であるエンジンが
車体全体の重心に近い位置にあることで、
旋回がとても機敏になるという利点があります。
その一方で、ドデカいエンジンが中央に陣取ることで
車内空間はそれだけ圧迫されます。
積載性を完全に投げ捨てて
運動性能に全振りするということで、
F1やスーパーカーなどに採用されるレイアウトなのです。
その為、MR車は価格が1,000万円を超えることもザラですが、
このトヨタMR-Sはと言うと
1999年に発売された当時の新車価格は190万円を切り、
現在の中古車価格は60~100万円程度。
異次元のコスパの良さを誇っているのです。
鷹をモチーフにした専用エンブレムも
中々格好良いですね。
カマキリと揶揄されることもあるそうですが。
リアはこんな感じ。
これだけ張り出しておきながら
何とトランクは入っていません。
この中にあるのはエンジンです。
では、トランクは一体何処にあるのか?
後ろに無いなら前を見よ、
ということでボンネットにあります。
が、このトランク(?)はどう贔屓目に見ても
およそ実用的とは称しがたい代物です。
というのも、ここは本来スペアタイヤをしまう場所なので、
タイヤのゴムの臭いが染み付いているのです。
そんなわけで、事実上唯一の収納スペースは
座席の裏のこの空間だけです。
あのS2000と比較しても
足元にも及ばない積載性。
これがMR車です。
一応、グローブボックスと、
500mLボトルを置いてもシフトチェンジの邪魔にならない
ドリンクホルダーならありますが…
しかし、そうは言ってもやはりトヨタ車で、
意外にも走行性能はかなり実用性を重視しています。
S2000は「攻めないならば走る価値無し」と言わんばかりに
低速トルクがスッカスカでしたが、
MR-Sは街乗りも安心の中低速トルク重視で、
しかも借りたこの車はシーケンシャルMTと言って
クラッチ操作が要らないタイプなので運転はとても楽です。
坂道発進も余裕…
と思いきや、一切クリープしないので
そこは油断すると容赦無くずり下がりますが。
それでも、エンストと無縁なのはやはり精神的に楽ですね。
さて、MR-Sの運動性能を試すべく
八百津町にやって来ました。
半年振りですね。
この旧・八百津発電所など
前回は飛ばした場所を辿っていきます。
丸山ダムのダム湖沿いの隘路も
MRの旋回性能を以ってすれば余裕です。
借り物なので攻めたりはしませんが。
年季の入った赤茶けた橋が見えてきました。
前回バンジージャンプをした新旅足橋の前身、
旅足橋です。
デビッド・スタインマンが考案した、
世界でも5本しか架けられていないという
大変貴重な構造をしている橋です。
吊るされたワイヤーが補剛桁の上弦を兼ねている点が
この構造の特徴なんだとか。
あまりにも珍し過ぎるからか、
構造に対しては名前すら付けられていません。
南河内橋もそうだったけど、
どうして貴重な構造を採用した橋って
こういう人里離れたダム湖に残っていることが多いのだろう…
路肩の駐車スペースに停めて記念撮影。
ブリティッシュレーシンググリーンを彷彿とさせる
ダークグリーンマイカが新緑に合いますね。
この旅足橋は新丸山ダムが完成すると
水没してしまうそうなので、
興味のある方はお早めに。
断崖絶壁の下に刻まれた隘路を走ります。
対向車が来たら堪ったもんじゃないな…
いや、対向車よりも落石の方が確率が高いかな。
そしてこの道、こう見えて何と国道です。
この国道418号は紀伊の国道425号、
四国の国道439号と並んで
日本三大酷道と呼ばれている道なのです。
しかし、ここまで走ってきた道は
国道418号の中では序ノ口も良いところで、
その真髄はこの先のダート区間と
更にその先にある事実上の廃道区間です。
この青看板では国道418号の印に
無情にもバツが付けられていますが、
一応、書類上はまだ現道です。
通行止め看板。
しかし、通行止めと言う割には
車の往来を妨げるゲートの類は一切無く、
落ち葉には真新しい轍が刻まれているので
どうやら少しは利用者が居るようです。
この通行止めの標識は、
哀れな部外者が迷い込むのを防ぐ
国土交通省最後の良心の現れなのでしょうか。
但し、7km先にある町道との分岐からは
本当に通行止
めで完全封鎖されています。
借り物のスポーツカーに乗る僕は、
ここで大人しく町道に逸れて
尾根筋にある丸山バイパスを目指します。
迂回路のこの道もまた酷い有様だな…
枝や落石がこれでもかと散らされていますが、
意外にも底は全く擦りませんでした。
案外最低地上高が高いんですね。
この後は可児御嵩ICから高速道路に乗って
高速安定性を試しつつ帰りました。
合流車線などでの加速はやはり軽やかですね。
ただ、車重が1tを切っている上に
MRというレイアウト上仕方無いのでしょうが、
若干前輪がふわっとするような感覚があります。
岩倉に戻って来たら燃費の確認です。
このタイプの車にしては極めて珍しく
レギュラーガソリンで良いというMR-S。
オドメーターの読みで13.0km/hでした。
あれだけ山道を走ってこれですから、
やはり軽さは正義ですね。
というわけで、MR-Sドライブでした。
オープンスポーツカーというジャンル、
そして販売時期がもろに被っていたこともあって
屡々比較されるMR-SとS2000。
しかし、実際に乗ってみると
その個性は全くと言って良いほどの違いがありました。
誤解を恐れずに言えば、
トヨタとホンダという会社の色の違いが
最も強く現れている例ではないかと。
MR-Sはとにかく気軽です。
(積載性の無さはともかく、)
近所のスーパーへ買い出しに行くのでも
全く気負うことなく走らせられます。
それでいてオープンカーとしての開放感があり、
日常を面白くしてくれる車と言えるでしょう。
カーブをひらひらと蝶のように
自在に曲がれるのは流石MRです。
一方のS2000は気負います。
運転手は主役のエンジンを引き立たせる為に
努力して高め合っていく存在であり、
今日はドライブに行くぞ!と
自らを奮い立たせて運転席に座る必要があります。
日常とは一線を画した
非日常を演出するマシンです。
カーブでスパスパと剃刀のように切れ込む様は
乗用車よりもカートやF1を彷彿とさせます。
レンタカーで1日借りて走る分には
S2000の方が圧倒的に楽しかったけど、
果たしてこれを日常に組み込めるかどうかは…
うーん、実際に乗ってみるとなお迷いますね…
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