(無題)

三陸旅行第2日目。
今日こそ三陸鉄道に乗ります。


5:20、起床。
折角なので日の出を見てみることに。


初日の出以来の日の出。
宮古市は本州最東端だけあって早いです。
言うて松戸市と8分差ですが。
田野畑牛乳と岩泉ヨーグルトをたらふく食べたら、
早速浄土ヶ浜へと向かいます。


実に7年振りの浄土ヶ浜です。
前回は浜を申し訳程度に見ただけですが、
今回はちゃんと見ます。


御台場展望台から俯瞰した浄土ヶ浜。
浄土ヶ浜付近だけ真っ白になっていますね。


さっぱ船に乗って海からも見たいと思います。
さっぱ船とは漁師が使う小型の磯舟のことで、
大型の遊覧船では入り込めないような
岸のギリギリまで近付くことが出来ます。
ウミネコが来襲していますね。


髑髏に見える岩とか、ライオンの形をした岩とか、
あまり浄土っぽくないものが多いです。
でも、浄土は死後の世界だから
髑髏はある意味浄土っぽい…のだろうか。


しかし、メインはこれらの岩ではなく、
御台場展望台のある岬を
回り込んだところにあるこの洞穴です。


さっぱ船の機動力を活かして入って行きます。
ヘルメットをしているとはいえ、かなり狭いです。


洞窟の奥では風と共に潮が噴き出しています。
地元の言い伝えではこの洞窟は
八戸まで通じているとか。


そして、洞窟の奥から入口を振り返ると
水面が美しいエメラルドブルーに輝いています。
この洞窟はその名も青の洞窟と言い、
近年SNSによって頓に有名になりました。
ただ、今日は昨日の暴風の影響なのか
ちょっと水が濁っているそうです。
それでも十分綺麗ですが。
さっぱ船での遊覧を終えたら久慈へと向かいます。


久慈までただ戻るのもつまらないので、
今日もリアス式海岸を感じに寄り道します。
北山崎と双璧を成す三陸の断崖絶壁、鵜ノ巣断崖へ。


高さ200mにも及ぶ五連の断崖が
一気に海へと切れ落ちる様は圧巻の一言です。
北山崎とは違い、洞門なども一切無い
プレーンな断崖絶壁になっています。


一歩足を踏み外したら
というか、踏み外さなくても踏みどころが悪ければ
地面が崩れて真っ逆さまではなかろうかという、
覗き込む勇気さえ与えてくれない高度感です。
ウミウはこんな場所に巣を作るのか…
…と、断崖絶壁に見惚れていたら
いつの間にか時間が迫っていたので、
レンタカーに飛び乗って急いで久慈を目指します。


何とか間に合いました。
急いで久慈駅に駆け込みます。


今日は天気が良いからかうに弁当は売り切れ。
立ち食い蕎麦ならぬ立ち食いうどんでお腹を満たします。


というわけでリベンジ成功です!
12:06発三陸鉄道リアス線宮古行きに乗車。


こんなところに懐かしの(というほど間も空いていない)フィジー語が。
ラグビーW杯の会場の一つが釜石だったことから
ラグビー仕様の車両になっています。


沿岸部を走るリアス線ですが、
震災後建造された巨大な防潮堤に阻まれて海は殆ど見えません。


平成29年に開業したばかりの十府ヶ浦海岸駅も
肝心の十府ヶ浦海岸は全く見えません。
ここはそもそも十府ヶ浦海岸から
若干ズレた位置だったりもしますが。


安家川橋梁の上で観光停車。
昨日は国道から見た超立派な橋です。
ただ、車内からはあまり立派度が分からないな…


堀内駅で数分間停車。
1面1線で行き違いも出来ないのに何故?
と思ったら…


どうやらここは「袖が浜駅」として
朝ドラの「あまちゃん」に出てきたロケ地のようです。
観光列車でもないただの普通列車なのに
えらいサービス精神ですね。


大沢橋梁の上でも観光停車。
ここも列車の中からだと絶景具合は分かり難いですね…
どちらかと言うと撮り鉄に向けたサービスでしょうか。


白井海岸駅は誰も降りず、観光停車も無し。
それでこそ秘境駅?


線路の隣には建設中の三陸北縦貫道路が。
南の三陸自動車道、北の八戸久慈自動車道と合わせて
復興道路、三陸沿岸道路を構成しています。
仙台近郊の極僅かな区間を除いて全線無料なので、
全線開通したら交通機関としての三陸鉄道に勝ち目はありません。
今でさえ到底勝っているとは言えませんが。


この普代駅から先、
北山崎や鵜ノ巣断崖を内陸部から巻く区間が
リアス線最後の開通区間です。


海に列車が走っている!?
…あ、水門の模様か。
中々遊び心がありますね。


初めてまともに海岸が見えたハイペ海岸。
結局、ハイペって何だったのだろう。


地元の人(?)の出迎えがあった島腰駅。
嘗ては水色の屋根が特徴的な
メルヘンチックな駅舎が有名でしたが、
津波によって跡形も無く流され、
現在は東京駅を彷彿とさせる煉瓦色の駅舎になっています。
クウェートの支援によって建設されたとか。


この駅は何と駅名標がありません。
この謎めいた駅は一体何なのでしょうか。


正解は開業準備中の新田老駅です。
今年5月の開業予定ですが、
訓練なのか一応この列車も停車していました。


こちらは昔からある田老駅。
ここで対向列車と交換です。


何故か猿の置物が駅名標に登っている佐羽根駅。
「神楽の里」って書いてあるけど、
神楽で猿が出てくるのかな?


って、待合室にも沢山居るな!
近所に彫刻家でも住んでいるのでしょうか。


白井海岸駅に負けず劣らず秘境感のある一の渡駅。
白井海岸駅と違って国鉄時代からあるそうですが、
一体何の需要を見込んで開業したのでしょうか…
砕石?


団地直結の山口団地駅。
究極の駅近団地ですね。


13:57、宮古駅に到着。
三陸随一の都市、宮古市に戻ってきました。


佐羽根駅の彫刻と同じ作者の作品であろう
クロジカ君がお出迎えしていました。
「黒字化」と掛けているそうです。
本当に三陸鉄道が黒字化したら聖地になりそうですね。


14:13発三陸鉄道リアス線盛行きに乗り換え。
えらく古風な列車ですね。


中も大正浪漫な雰囲気です。
観光列車というわけではないはずですが…


ここからは元々JR山田線だったものが
震災からの復旧に伴って三陸鉄道に移管された区間です。
これまでにも況して巨大な防潮堤が築かれていますね。


沿線にある鯨と海の科学館には
津波の浸水高が描かれていました。
大きさの比較になるものが少なくて分かり難いですが、
普通の2階建ての民家なら丸々沈んでしまうような高さです。


岩手船越駅。
一見何の変哲も無い駅ですが、
実は本州最東端の駅です。
駅名標にもこっそり書かれています。
7年前は代行バスでの来訪でしたが、
今度こそ鉄道で訪れることが出来ました。
降りられませんが。


珍駅名で知られる吉里吉里駅。
踏み締めるとキリキリと音のする鳴き砂に由来するという説と、
アイヌ語が由来だとする説があります。


釜石駅で長時間停車。
製鉄の町、釜石です。
懐かしいな…
嘗てはここがJR山田線と三陸鉄道南リアス線の境目でした。


釜石ではラグビーワールドカップの1試合
(本来は2試合の予定だったが、台風19号の影響で1試合中止になった。)
が行われたということで、
今もラグビー関連の展示が多く残っています。


向かいのホームにはSL銀河が停まっていました。
SL…?


もくもくと白煙を上げる日本製鉄の発電所を横目に
列車は更に南へと向かいます。


「三鉄沿線を花で飾ろう」
という看板が余計に寂しさを増す甫嶺駅。
いつか花で埋め尽くされる日は来るのでしょうか…


16:35、盛駅に到着。


ここからは岩手開発鉄道も延びています。
セメント輸送を目的とした貨物鉄道で、
平成4年までは旅客営業もしていました。


「笑顔をつなぐ‥ずっと」
と感動路線で行くと見せ掛けて
「サンマが美味い大船渡」
といきなり現実路線に引き戻した
鵜ノ巣断崖並みの落差のキャッチフレーズ。
どうしても伝えずにはいられないくらいサンマが美味しいんですね。


東北は今ポケモンとのコラボを推し進めていて、
岩手県は岩に手ということでゴローニャ
イシツブテをメインキャラに据えているとか。


一方、大船渡はサイホーンが推しポケモンのようです。
いわタイプもじめんタイプもみずタイプに弱いから、
津波被害を被りがちな三陸としては縁起でもないような…
ましてやサイホーンなんて水4倍だし。


さて、ここからはJRに乗り換えるわけですが、
何やら路線図が曲がりくねっています。
一区間だけの盲腸線に謎のループが2つも。
一体どんな復興の仕方をしたというのでしょうか。


正解はBRT化です。
BRTとは(主に鉄道の廃線跡を転用した)
専用道を走るバス路線のこと。
バスなので便によって経路を変えられるというわけです。
17:02発JR大船渡線BRT陸前矢作行きに乗り換え。


大船渡線は勿論、大船渡を通るからその名前が付いたのですが、
BRT区間の鉄道としての復旧は完全に断念され、
今月末で鉄道事業は廃止されることになりました。


海面からは結構高さのある場所を通っているので
津波の被害を蒙るようには見えませんが…
それくらい凄まじい高さの津波だったのでしょうか。


元々単線だった大船渡線のを専用道に作り替えているので、
バスも途上では行き違うことが出来ません。
その為、細浦駅で交換していました。
この辺りは完全に鉄道ですね。


小友駅の先で専用道が終わって一般道に。
この交通量なら、交換待ちが要らない分
専用道より一般道の方がよっぽど早いのでは…?


17:49、陸前高田駅に到着。


15mを超える大津波に襲われ、
比喩ではなく文字通り壊滅した陸前高田市。
大規模な嵩上げ工事が行われている真っ最中のようです。
震災遺構として残すつもりなのか1棟だけ、
嵩上げ工事から取り残されているビルがありますが、
果たして元は何階建てのビルだったのでしょうか。


整地中の現場には人っ子一人居らず、
ただただ寒風の吹く音しか聞こえません。


18:14発JR大船渡線BRT気仙沼行きに乗り換え。


18:53、気仙沼駅に到着。
ここはもう宮城県です。


気仙沼駅には一ノ関駅からポケモントレインが乗り入れるので、
その縁なのかピカチュウがお出迎えしています。
でんきタイプなら津波には強い…?


19:05発JR気仙沼線BRT本吉行きに乗り換え。
気仙沼線も末端区間がBRT化されており、
かつその区間は大船渡線BRTと共に
今月末で鉄道事業は廃止されることが決まっています。
その為、鉄道としての気仙沼線は気仙沼に通じておらず、
大船渡線が代わりに鉄道として気仙沼まで連絡しており、
一方の大船渡線は鉄道としては大船渡まで行っておらず、
三陸鉄道リアス線が大船渡(盛駅)まで延びているという、
全く以って奇妙な状況になってしまうのです。
JR気仙沼線→JR柳津線
JR大船渡線→JR気仙沼線
みたいに改称すべきでは。


19:14、南気仙沼駅に到着。
上越国境の避難小屋みたいな円筒型の駅舎ですね。


周囲には空き地が広がっています。
先週専用道上のこの地に移転される前は
気仙沼市街のど真ん中に停留所があったとか。
(Googleマップでは未だにそちらの場所が表示されます。)
専用道化して大幅に不便になってしまったな…


さて、気仙沼と言えばフカヒレが有名。
奇しくも今日は僕の25歳の誕生日です。
というわけで、ちょっと贅沢して食べてみました。
葛のようなぷるぷるした食感と、
ほろほろと解ける繊維が何とも言えぬ心地良さ…
そして餡が美味しい。
本当はバクーのナウルーズで祝う予定でしたが、
これはこれでありですね。

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