(無題)

インドネシア旅行第5日目。
名残惜しいですがSumatera(スマトラ島)を発ちます。

7:00、起床。
Bengkulu(ブンクル)に来る時は
泣く子も黙るインドネシアのフラッグキャリア、
ガルーダインドネシア航空を優雅に使いましたが、
帰りは節約のために大人も泣き出すライオン・エアです。
日本にも系列のタイ・ライオン・エアが就航しているので
名前を聞いたことのある人も多いかもしれませんが、
ライオン・エアは元々インドネシアのLCCです。
何よりも有名なのがその危険性。
4ヶ月前にJakarta(ジャカルタ)で
乗員乗客全員が死亡する墜落事故を起こしたり、
つい4日前にもオーバーラン事故を起こしたりしており、
AirlineRatings.comによる格付けでは
サービスについて5段階中2つ星、
安全性では7段階中驚異の0つ星を叩き出しています。
本来は9:55発のJT637便に搭乗するはずだったのですが、
昨日いきなり14:45発のJT635便に
勝手に変更された旨のメールが来て、
乗る前からヤバさ全開の航空会社です。
とは言え、Molekよりは安全だろう…


さて、思いがけず5時間も
Bengkuluでの時間が延びてしまったので、
ガイドさんに頼んでちょっと郊外に行ってみます。
しかし、こんな要望をしても一切嫌な顔をせず
追加料金も求めてこないというのは、
有難さを通り越して申し訳無ささえ感じてくるな…


峠道を登って高地に向かいます。
日本なら「九十九折り」と称するところですが、
インドネシアでは「九折り」と言うそうです。
少なくないですかね…


Taman Konservasi Puspa Langka(希少花卉保存園)に到着。
Bengkuluは花でその名を知られた土地であり、
その中でも特に有名なのがあのラフレシアですが、
ラフレシアは2年の寿命で3〜5日間しか開花しないので
残念ながら今は咲いている個体が無いそうです。


しかし、ラフレシアではないものの、
同じくらい有名なBengkuluの花が
丁度咲いているというので見てみます。
急斜面に拓かれた農園を進むと…


現れました!ショクダイオオコンニャクです!
ラフレシアと世界最大の花の座を争う巨大な花。
とんでもない大きさです。
2人掛かりで漸く取り囲める程の仏炎苞、
3m近い高さの花序。
自分が小人になってしまったかのような錯覚を覚えます。


そして、ラフレシアに負けず劣らず
滅多に咲かない幻の花でもあります。
後で調べた情報によると、7年の寿命で
僅かに2〜3日間しか開花しないのだとか。
以前来た日本人観光客は花が咲くまで3日間粘り、
韓国から来たテレビクルーは1週間待ったそうで、
本来なら、飛行機が振り替えられて暇になったからと
ふらっと来て見られるような花ではないそうです。


また、ラフレシアに負けず劣らず臭い花でもあります。
今は開花から2日経っているので
腐った魚のような臭いが仄かにする程度ですが、
最高潮の際には渓谷一帯が腐臭で満たされる程だとか。
その強烈な臭気で虫を誘き寄せて受粉するそうです。
臭くてデカくて珍しい花の故郷、
それがSumateraのBengkuluなのです。
同じく臭いで有名なドリアンもあったり。
臭いフェチの聖地?


案内してくれた農園主が、
良かったらショクダイオオコンニャクの苗を
植えていかないかと持ち掛けてきたので、
お言葉に甘えて植えさせていただくことに。
Bengkuluに僕の名前を冠した
ショクダイオオコンニャクが一輪植えられました。


その後はお決まりのティータイムを挟んでから
農園を去ってFatmawati Soekarno空港
(ファトマワティ・スカルノ空港)へ向かいます。


峠道から俯瞰したBengkuluの熱帯雨林。
真ん中にひょっこり盛り上がっているのは
Kandis hill(カンディス・ヒル)という丘で、
ロッククライミングの聖地だそうです。
まだまだ幾らでも冒険の余地がありそうですね。


Fatmawati Soekarno空港に到着。
ここでガイドさんと運転手さんとお別れです。
正直、見積もりを聞いた時は高いと思ったツアーですが、
終わってみればそれを遥かに上回る価値がありました。
根回しとか心付けとか値段交渉とかは
全てガイド側が済ませてくれていたようで、
有りがちなチマチマと小金をせびるようなやり方は
ただの一度たりともありませんでした。
これだけ気持ち良くツアーを過ごせるなら、
非常に有用なお金の使い道だったと言えます。
研究室の良く分からん飲み会に費やすより何万倍もマシです。
…と言うと、お金で全てを解決したみたいな言い方ですが、
お金があると分かれば更に集ってくる国も山ほどあるので、
やはり一番大きいのはBengkuluの人達の
心温まるホスピタリティでしょう。
本当にこの地が気に入ってしまいました。
Terima kasih!


チェックインして搭乗口に向かいます。
勝手に便を振り替えるなんて
ライオン・エアは酷いと言いましたが、
ガルーダインドネシア航空も含めて
午前の便は全て欠航しています。
大統領がBengkuluに来ていると言っていたけど、
もしかするとその関係なのかな?
そう考えると、同日便に振り替えてくれただけ
良い航空会社…なのかもしれない。


14:45発JT635便に搭乗。
機内設備は非常にくたびれており、
何処から入り込んだのかハエが飛び回っています。
Bengkuluでは何もかもがあまりにも上手く行ったので
運を使い果たしていないか心配ですが、
まだ幸運が続いていることを祈ります。


さらば、Bengkuluよ…!
Molek(モレック)の存在を知って
衝動的に来た場所でしたが、
ご飯は美味しいし、冒険に満ち溢れているし、
そして何より誰も彼も信じられないくらい親切で、
これまで色々行った中でも屈指の旅行先でした。

15:53、Soekarno Hatta国際空港
(スカルノ・ハッタ国際空港)に到着。
幸運の女神はまだ僕に味方してくれていました。
現代的な第2,3ターミナルとは違い、
空調も碌に効いていない第1ターミナルに到着です。


16:50発BNI City(BNIシティ)行きの空港鉄道に乗車。
今夜の宿は市街地にあります。
地図を見るに、終点のBNI City駅よりも
その1つ手前で降りた方が近そうだな…
空港鉄道の発着駅だし、タクシーとかも居るだろう。


17:20、Duri駅(デュリ駅)に到着。
おや…?


何だこの混沌たる駅前は!
何ということでしょう、
4日前は暗くて良く分かりませんでしたが、
このDuri駅はCommuter(コミューター)への乗り換えと
スイッチバックの為の運転停車を兼ねた停車駅で、
この駅で外に出ることを想定していないような雰囲気です。
タクシーがいないどころか、
駅前の通りは狭いのと混み過ぎで
物理的にタクシーが到達し得なさそうです。
しかし、もう降りてしまったものは仕方ない…
オート三輪のタクシー、Bajaj(バジャイ)はいたので
身振り手振りでホテルを伝えて連れて行ってもらいます。


帰宅ラッシュと重なってしまったのか何たる混沌。
車線も何もあったものではありません。
Bengkuluと違ってセコセコしているな…
とは言え、運転手が途中で道に迷って
道端で座っていたおじさんに道を訊ねたり、
長閑なインドネシアも感じさせつつ宿に到着。
昨夜から更にランクを上げて
バスタブ付きの部屋で優雅に過ごしました。

コメント