インドネシア旅行第4日目。
文明社会に戻ります。
7:56、起床。
朝食の前に朝の散歩といきます。
Molek(モレック)の線路が村の目抜き通りです。
大量の唐辛子を軒先に並べた商店。
これが諸悪あの激辛料理の根元か…
この時間から既に働いている人も居ますね。
川を渡って鉱業地帯に行ってみます。
昨日見た2本とはまた違う橋です。
この狭い村に3本も橋があるのか…
これはLusang Mining(ルサン鉱業)社が
職員の詰めどころとして使っていたという建物。
中はボロボロになっており、
現在は使われていない…
と思いきや、何と住んでいる人がいるそうです。
Lusang Miningの看板。
右上にロゴがあるBilliton(ビリトン)というのは、
イギリスの鉱業会社のようです。
(現在はBHP Group(BHPグループ)に改称。)
オランダが撤退した後にイギリスが来ていたのか…
今もなお精錬を行っているという現場を見てみます。
金鉱石の精錬ってかなりヤバい薬品を大量に使うはずだけど、
この村にその廃水を処理するような能力はあるのか…?
と思ったら、なんと水しか使っていないそうです。
砕いた鉱石を布に包み、
流水で土を洗い流して金を取り出すという
超原始的な方法を取っているそうです。
実にエコロジーですね。
実際に精錬された金がこちら。
ほぼ銀ですね。
お次は鉱山の中を見せてくれるそうです。
Molekの保線状況から鑑みるに、
この坑道も恐らく全然補修されていないのでは…
落盤が起きないように願いながら進みます。
うーん、狭い!
匍匐前進とまでは行きませんが、
四つん這いにならないと進めないような箇所が多々あります。
インドネシアは男性の平均身長が世界で最も低い(158cm)らしいけど、
それにしても狭過ぎでは…
途中でバイクが打ち捨てられていました。
こんな狭い坑道をバイクで走れるわけがないので
誰かが不法投棄したのでしょう。
と思ったら、バイクで乗り付けてきた坑夫が。
インドネシア人のバイクテクニックは凄い。
現在進行形で鉱石を採掘している人が居ました。
ここである程度余計な土を落としていくそうです。
金が我々の手元に届くまでには
様々な人達の努力が費やされているんですね…
まあ、僕の手元に届く金なんて
電子機器の回路に使われている分だけですが。
それでは、俗世に戻りましょう。
インドネシア人は写真が大好きなのか
坑道を出たところで坑夫達と記念撮影しました。
モノクロにしたらプロジェクトXみたいな写真になって草生える。
集落に戻ってちょっとのんびりしたら
帰りのMolekが発車準備を始めました。
乗り込みます。
日傘を差したお婆さんは後ろの貨車に乗るようです。
客車はすし詰め状態なので、
寧ろ貨車の方が快適なのでしょうか。
と思って眺めていたら、
あれよあれよと乗客が増えていって
客車以上にすし詰め状態になっていました。
これであの迫り来る枝を回避出来るんだろうか…?
そんな不安も抱えつつ11時に発車。
こんな掘割あったっけ?
昨日はあまりにも長丁場過ぎて
後半の記憶が曖昧になっています。
竹で補強(?)された橋(?)。
いや、補強だとしたら竹の置かれるべき位置が上下逆だな。
どうやら歩行者が渡るためのもののようです。
昨日も通ったとはいえ、
改めて見ると狂気すら感じる軌道ですね。
良く見たら完全に横倒しになっているレールもあります。
案の定ここで脱線していました。
「何か知らんがいつもここでよお脱線するのぉ」
とか思っていたりするのでしょうか。
教えてあげた方が良かったかな。
Molekで畑に通勤している人が居ました。
自家用Molekとかもあるんですね。
丸太橋。
立派!(感覚麻痺)
そして、例の土砂崩れ区間に差し掛かりました。
貨車には見張りのお爺さんが乗っています。
と言っても脱線は不可避ですが。
2時間ほどで途中駅まで辿り着きました。
Lebong Tandaiから来る上りMolekの
速達性を優先したダイヤ(?)が組まれているようで、
今回はほぼ待ち時間無くすぐに乗り換えて出発です。
遂にフロントガラスがビニールになってしまった…
ガイドさんは
「この裂けたところからカメラを出せば
綺麗な写真を撮れるぞ!」
と嬉しそうですが…
道中はこんな有様なので、
レンズを傷付けてしまいそうで
怖くてそんな芸当は出来ません。
今日もあります鉄骨渡り。
Molekも脱線しながら何とか渡り切りました。
これで難所は粗方終了。
後は振動に耐えていれば良いだけ…
が、急に止まって何やらエンジンを点検し始めました。
こんなところで機材故障!?
車軸の調整を始めました。
金槌を取り出してトンカンやっています。
大丈夫だろうな…
涼しい顔をして再出発。
流石にこんな奥地を走っているから
故障にもちゃんと対応出来るように訓練を積んでいるんですね。
と思ったら、またしても停車。
今度は何かと訊いたら何と燃料切れだそうです。
ちゃんと運行前点検したのだろうか。
とは言え、こんな僻地を走る列車だし、
流石に予備の燃料くらい積んであるはず…
と思ったら、後続のMolekが追突して
雑な重連運転を始めました。
要所要所で超減速して脱線しないよう調整が要るのに、
押した慣性でそれをやってのけるとは凄い技術だな…
運転技術に全振りして保線や点検を見捨てると
究極的にはこうなるのか。
が、遂にその重連運転も諦めて
完全に止まってしまいました。
どうするんだ…
運転手は後続のMolekで何やらごそごそしているかと思ったら…
何と、後続のMolekからポンプで燃料を汲み出し、
500mLペットボトルに入れて運んで
前のMolekに移し替え始めたではありませんか。
続行運転にはこんな意味があったのか…
今回は燃料切れになったのが先行車両だったから良いけど、
これがもし後続車両だったりしたら
気付かれずに置いてけぼりを喰らってしまうのでは…
15:43、Napal Putih(ナパル・プティ)に到着。
所要時間は4時間半ほどでした。
そのまま街へ直帰するかと思いきや、
ここで謎の会談が開かれることに。
恰幅の良い見るからに位の高そうな人は
Lebong Tandaiの村長だそうで、
僕等が来ると聞いてやって来たそうです。
こんな一介の大学院生にそこまでしますかね?
かなり高額なツアー料金ではあったけど、
どれほど根回ししたんだろうか…
会談を終えたら昼食。
Ikan nila(イカン・ニラ)という川魚だそうです。
味はカサゴとかに近い感じでしょうか。
ではいよいよ帰ります。
何だかやけに急いで運転しているな…
暗くなると危ないからでしょうか。
この速度で運転する方が危ない気がするけど…
と思ったら、陽が完全に暮れてしまう前に
映えスポットである沈殿池に来たかったからだそうです。
流石は写真大好きインドネシア人。
日本人にも嬉しい配慮ですね。
地元民の間では有名なスポットなのか、
僕等の他にも何人か写真を撮りに来ている人が居ました。
燃えるような夕陽。
日が完全に沈んだ後は今度こそ街へと爆走です。
今夜の宿はBengkulu(ブンクル)の三つ星ホテル。
何という文明の香り…!
温水シャワーまで付いているじゃないか!
秘境は勿論大好きですが、
あそこまでの超秘境を潜り抜けた後だと
こういう文明の利器がとても有難く感じられますね。
脚注
※「インドネシア人の平均身長」
cf. Average Height By Country 2020
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