(無題)

上越峠越え合宿第2日目。

6:30、起床。
朝風呂に浸かったりしてのんびり支度します。

さて、今日は一体どうしたものか…
元々の予定では酷道、もとい国道352号で
秘境奥只見を走るつもりだったのですが、
この経路上にある枝折峠は
来月ヒルクライム大会が開かれるほどの激坂、
剰えこの地域はド田舎と呼ぶのも躊躇われるほどのガチ秘境で
沿道130km以上に渡って鉄道駅は一切ありません。
本調子でもかなりの苦戦が予想されるのに
満身創痍のこの状態では危険極まりありません。
考えた結果、軽い峠越えを挟みつつ
リカバリーがしやすいよう街へ向かう事に。
初夏の美しい新潟を前に
切り上げて撤退するという選択肢はありません。


まずは水分補給。
折立集落の裏山にあった
釈迦堂のいぼ水で給水します。
もう少し美味しそうな名前は付けられなかったのか。
湧き水自体は冷えていて美味しいのですが。


釈迦堂から俯瞰した折立集落。
次こそは奥只見を越えてやって来るぞ!


今日も今日とて越後の水田は美しい。
しかし、この灼き付けるような陽射しから
身を隠す場所が一切無いというのは辛い。
風も殆ど吹いていなくてとにかく暑いので、
自分が走る事によって対気速度を得ます。


国道352号は並走交通機関皆無で危ない…
という事で、一応鉄道路線が並走している国道252号で。
しかし、この路線というのはあのJR只見線なので
現実的にバックアップとして使えるかは微妙なところです。
この区間は特に本数が少ないしなぁ…


どうせ来ないだろうと日陰で休んでいたら、
列車の来る音がして慌てて走って撮った図。
1日4往復の内の1本が来るとは…


地元の人に愛されているのが伝わってくる上条駅。
このまま只見線に沿って行っても
六十里越という面白い峠越えがあるのですが、
如何せん宿が只見線沿線には取れなかったので
ここで早くも只見線と別れて
国道290号で北に向かいます。


もしかして、あのザレている山が
これから目指す峠なんだろうか…


地図で何の気無しに適当に選んだ峠道ですが、
結構サイクリストとすれ違う上、
結構な急坂なのでそこそこの峠だったようです。


この峠の名は石峠。
入広瀬と栃尾を結ぶ峠で、
戊辰戦争の戦場にもなったそうです。
しかし、頂上部は例によってトンネル…
嫌だー、トンネルは走りたくない!(トラウマ)
ん?この地図によると、
トンネルの少し手前で分岐する旧道があるようだな…


この右に分岐しているのが旧道のようです。
チェーンは掛けられているけど、
通行止めの表示は何処にも無いな…
情報皆無のまま突撃するのは流石に怖かったので
取り敢えずスマホでググってみたのですが、
20年前に通行したという情報と、
15年前には「道路崩落のため通行止」の看板があった事しか分からず、
その後どういう状況になっているのかは一切不明。
通行止めの看板が外されたという事は
現在は通行出来るという事なのか…?
しかし、ここは豪雪地帯新潟。
20年以上も放置されてきたであろう峠道が
無傷なまま残っている訳がありません。
寧ろ、誰も道として認識しなくなった事で
通行止めの看板が不要さえなったと考えるべきでしょう。


とか何とか理由を付けて新道を進みます。
二居トンネルの転倒以来チャレンジ精神が失われている。


石峠トンネル。
平成4年開通の新しいトンネルです。
ここまで坂のキツさと日陰の少なさのダブルパンチで
干乾びるそうなほど汗をかいていましたが、
トンネルの中からは冷蔵庫を思わせる冷気が漂ってきます。
このトンネルもかなり地下水が滴っているっぽいな…
覚悟を決めて突入します。


新しさ故か路面がしっかりとしていて
あっさり抜けられました。
涼しくて気持ち良かった。


ここからは一気に下って行きます。
これこそ峠道の醍醐味!


暑さと坂で体力を消費したので
道の駅R290とちおで昼食。
冷やしラーメンと栃尾名物の分厚い油揚げ。
焼き目の付けられた油揚げが香ばしくて美味。
冷やしラーメンは工夫している感は伝わってくるのですが、
脂が凝固していてちょっと微妙でした。


栃尾集落を過ぎると再び峠越えです。
国道290号はJR信越本線より
15kmほど東を走っており、
新潟県を南北方向に貫く国道としては
最も山塊に近いところを走っています。
その為、必然的にちょこちょこした峠が多いです。


峠部分のトンネル長を少しでも減らす為、
更に内陸側の新潟県道9号に移ります。
かなり開けているし、水田も多いのにこの人気の無さは何だ…


梨ノ木トンネルで峠を越えます。
トンネルとは言っても県道なので
予算削減の為にギリギリまで短くされており、
照明こそありませんが特に怖さは感じません。


トンネルを抜けると三条市です。
金物で有名な三条市ですが、
実はこんな山奥もあります。
とは言っても平成17年の合併前は下田村でしたが。


道の駅漢字の里しただに到着。
漢字の里なのに自分の名前は平仮名なのか…
漢字(下田)だと「しもだ」と読まれてしまうからでしょうか。


この道の駅漢字の里しただは国道289号沿いにあり、
国道289号は長年開通していない開かずの国道として有名。
新潟県と福島県の間にある峠道は
実際の距離は八里程度でありながら
距離が十倍にも感じられるほどの悪路だという事で
「八十里越」という名前が付いています。
国道289号の八十里越区間は現在
何と登山道が国道指定されており、
日本でも指折りの点線国道として有名です。


その知名度故かこの道の駅も八十里越をアピールしており、
現在工事中の八十里越道路を見学するツアーも組まれています。
トンネルは既に貫通しており、
あとはトンネルと道路を繋ぐ橋梁を残すのみだとか。
全通する前に登山道国道を踏破しなきゃ(使命感)


道の駅傍にある名勝八木ヶ鼻。
この景勝地からも地形の険しさが窺えます。


この先に八十里越が…
自転車での峠越えは出来ませんが、
いつの日か行ってみたいものです。


しかし、今日のところは更に北へと向かいます。
思ったよりも勾配がキツくて辛い…
しかも、何個も何個も小さな峠が現れます。
樹林が風を遮って暑い…
だがこれでこそ峠越え合宿!


最後の峠を越えて加茂市に入りました!
これで後はもう本当に下るだけ…
待てよ。
加茂市と言えばあれがあった筈…
という事で、新潟県道9号で素直に下れば良いものを
もう暫く国道289号に付き合って再び坂を上ります。
疲れた…
しかし、地図からするにそんな大した距離では無い筈…


あった!


冬鳥越スキーガーデンに残された
旧・蒲原鉄道冬鳥越駅の跡です。
この周りのスキー場は蒲原鉄道直営で、
一時は日に2,500人もの観光客を集めた事もあったそうですが、
他のスキー場との競争に敗れて利用者は低迷、
路線諸共昭和60年に廃止されました。


静態保存されている車両は非常に保存状態が良く、
今にも動き出しそうな面持ちです。


頑張って現役っぽさを出そうとしてみた図。


内部も非常に綺麗です。
誰が整備しているのでしょうか。
冬鳥越駅を見終えたら満足して今度こそ平野に下ります。
加茂のドラッグストアで一休みしていたら、
自身も最近クロスバイクを買ったという
おじさんが話し掛けてきて、
ロングライドについて色々と語り合ったりしました。


日本一の信濃川に沿って走ります。
やはり堤防道路は走りやすい。


と思っていたのに…
何だこの途切れ方は!
橋の手前でいきなりガードレールに阻まれます。
せめて横断歩道で向こう側に渡らせてくれ…
しかも、並走する新潟県道1号の交通量がかなり多いので
交差点を越える為に車道に出るのも一苦労です。


そんな峠越えとは一味違う苦労をしつつも
何とか燕三条のある信濃川の中洲に辿り着きました。
今日は暗くなる前に着けたな…


燕三条駅。
新幹線駅に対して在来線駅がショボ過ぎる。
燕三条駅は出入口の名前が西口・東口ではなく
「燕口・三条口」になっています。
対立している三条市と燕市らしさがありますが、
他県民からすると分かりにくい。


前は三条市でカレーラーメンを食べたので、
今回は燕市で燕三条系ラーメンを食べます。
所謂背脂チャッチャ系なのですが、
見た目に反して諄くありません。
疲れた体に美味しい!
さあ、合宿も残り1日か…
明日はどうしようかな…

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