(無題)

明けましておめでとうございます!
平成の世もいよいよ30年の大台。
今年もどうぞ宜しくお願いします。
今年の目標は、きちんと論文は仕上げつつも
研究室や東京に囚われない活動的な生活を送る事です。

さて、年が明けると言っても
0時00分というのは人が勝手に設定した基準に過ぎず、
自然界では何の意味もありません。
(それなら1月1日にも意味は無いだろとか言わない。)
やはり、年が明けるのは初日の出から!
という事で、今年も朝日を求める旭丘高の面子で
初日の出を拝みに行く事にしました。

1時過ぎに近鉄名古屋駅で集合。
今年もYR、kuni、FR、アオコという
去年と全く同じ面子です。
時間は1時間早いですが。
1:31発近鉄名古屋線急行鳥羽行きに乗車。
松阪駅で3:11発近鉄山田線普通伊勢中川行きに乗り換え、
3:13、松ヶ崎駅に到着。
去年レンタカーの便利さを知ってしまったので、
今年もまたレンタカーで三重県深南部を目指します。
しかし、去年があまりにも良かったから
あれを超えるような場所は中々難しいな…
と、地図と睨めっこして探しに探し、
やっと見付けた候補地は
東海民にさえあまり馴染みの無い三重県南部、
尾鷲市の中の更に南。
1時間列車の時刻を早めても尚時間が厳しいので
已むなく高速道路を使う事に。
まあ、5人で割り勘すれば大した額ではないですしね。
お伊勢参りの混雑を避ける為に
勢和多気ICから紀勢自動車道に乗り、
尾鷲北ICで一旦道が途切れて、
ほんの少し先の尾鷲南ICから再開する
熊野尾鷲道路に乗って賀田ICで降り、
およそ国道とは思えぬ荒れ具合の国道311号で
入り組んだリアス式海岸の海岸線へ。


何とか駐車場を見付けて車を停められました。
風が吹き荒んでいて寒い!


今回目指すのはこちら。
楯ヶ崎です。
神武天皇上陸の地とされており、
平成30年という節目の年にピッタリです。


ただ、問題はその楯ヶ崎が車道から非常に遠い事で…
山道を40分も歩かねばなりません。
入口のすぐ傍にあった看板には
去年1月にクマが出たという貼り紙が。
元旦からクマに遭いたくはないな…
いや、元旦でなくても嫌だけど。
果たして、初日の出を拝む事は出来るのか?
今年の運勢を決める命懸けの占いの始まりです。

この山道は疎か、そもそもここまで車で走ってきた
国道311号さえ全く灯りが無かったので、
辺りは正に漆黒の闇です。
アオコのヘッドランプを頼りに
落石や枝だらけの道を慎重に歩きます。
落石というか、落岩とも言うべき巨岩が
ゴロゴロ道に積み重なっています。
これが今落ちてきたらどうしようもないな…
更に、前方の茂みで何かが枝を踏み割らす音がして
緊張感はこれまでになく高まります。
恐怖心を紛らわせようと
大声で与太話をしながら先を急ぎます。


海抜0mまで下がってきました。
海岸は山中より安心感がありますね。
が、ここは初日の出が見えるどころか
西の湾内を向いているので、
ここからもう一度岬に登っていかなければなりません。
流石にこんな小さい岬の先にクマはいない…筈。


楯ヶ崎灯台が現れました。
これがあるという事は岬はもうすぐそこだ!


着いた!
楯ヶ崎の千畳敷海岸です。
これまでとは全く違った奇観。
海面から10m以上迫り上がった柱状節理が
まるで劇場の舞台のようです。


うーん、東側に陸繋島があるな…
日の出が隠れてしまわないだろうか…
不安なので遙拝ポイントを探し回ります。
なるべく海に近い方が良いのですが…


ただ、まるで東尋坊のような高度感で、
しかも、東尋坊と違って海に向かって
かなりキツく傾斜しているのでかなり怖いです。
幸いにも滑り易い岩質ではないのですが、
まだ辺りは薄暗いので滑落しないように気を付けます。


ある程度ポイントに目星を付けたところで、
風が寒いので節理の陰に隠れます。
フナムシみたいですね。


遂に今年は真の貸切状態…
かと思ったのですが、
良く見たら磯釣りをしている釣り人が数人居ました。
どうやってあそこまで下りたのだろう…
舟で渡ってきたのかな?


いつまでもフナムシのままでは居られないので
もぞもぞと動き出します。


いよいよお天道様が顔を出し始めました!
思ったより位置は余裕だった。


という事で改めて、
明けましておめでとうございます!
雲一つ無い快晴の下で初日の出を拝めました。
今年も良い年になりそうですね。


アオコによる恒例の記念撮影タイム。
今年は足場が不安定なので
いつにも増して調整に時間を要していました。


記念撮影も終わった後に辺りを散策していたら、
少し西側に軍艦のような岩を発見しました。
何やら和歌が彫られた板がはめ込まれています。


上に登れそうですね。


上から見た景色。
節理がかなり大きいのでサイズ感が狂いますが、
ここもまた結構高いので怖いです。
神武天皇は巨人だったのでしょうか。


それでは、楯ヶ崎を後にします。
来る時は真っ暗で気付かなかったけど、
もう少しで完全に塞がりそうな勢いだな…


ついでに初詣もしておきます。
さっき一度海抜0m地点まで下りていましたが、
ここに阿古師神社という神社があります。
実はこの二木島湾は伊勢と熊野の境界で、
対岸の熊野側にある室古神社と対を成して
日本有数の霊域を守っています。


これまで見てきたところからも分かる通り、
ここに徒歩で参拝するのは骨が折れるので、
普通は船で参拝するようです。
実際にこのすぐ後に船で参拝している人が居ました。
昔はそもそも道が通じていなかった可能性もありますね。


クマに遭う事もなく無事に国道311号まで戻りました。


駐車場から見える景色は明るいとこんな感じ。
実は一番上と全く同じアングルです。
湾の向かいにある半島は熊野の領域で、
上述の室古神社があります。
相変わらず凄いリアス式海岸だな…


さて、初日の出は拝み終わりましたが、
ここから恒例の観光タイムです。
まずは楯ヶ崎へ来るまでの道すがらで見付けて
滅茶苦茶気になっていたこの分かれ道を曲がってみます。
ただでさえ酷道の国道311号から、
こんなさり気なく分かれる道が
地図からすると唯一外界と通じる道っぽい須野町とは一体…


ええっ!?
これが唯一の道!?
これは衝撃的です。
5人乗りのこの車でさえ気を抜くと脱輪しそうな細さ。
勿論、コンクリート舗装です。
これは今まで行った中でも一番凄いです。
こんな先にある集落とは一体…


…あれ?意外と普通だな。
紀伊半島に来て感覚が狂っているんだろうか。


須野町の全貌。
意外と家はあるな…
町の規模には釣り合わないほど大きな駐車スペースが
単なる人口の少なさとは
また違った空虚さを醸し出しています。
てっきり共用の駐車場かと思ったけど、
それにしては2台しか停まっていないな…
元旦だから皆帰省していそうなものだけど…
ここで車無しの生活はまず不可能だろうし…
気になってこの須野町について調べてみたら…
人口5人!?
年少人口とかじゃなくて、全人口が5人!?
じゃあ、僕等が来た事によって倍になっているのか。
一時期は2人まで減った事もあったとか。
あまりに人口が減ってしまった為、
小学校は疎か郵便ポストまで廃止されてしまったそうです。
郵便局ではなく、郵便「ポスト」です。
何という限界集落…
まあ、この立地なら納得ではあるけど、
偶々寄ってみた集落ながら凄い集落だったな…


駐車すると500円の料金を取られるらしいので、
車の中から見るに留めておきました。
まあ、元旦から見知らぬ男5人が
人口5人の集落をうろついたら
迷惑極まりないでしょうしね…
この須野町へは勿論路線バスなど一切通っていませんが、
予約制の乗合タクシーで来る事は出来るようです。


今度は国道311号で南下します。
須野町を見た後だと衝撃は薄れてしまうけど、
この甫母町も中々だな…
全長8m以上の車は通行禁止です。


高浪から家を守る為か、
3m近い高さの堤防で集落が完全に囲われています。
去年の須賀利集落と同じだな…
リアス式海岸の海沿いに道を通すのは大変だ…


山に道を通すのも大変ですが。
あちこちで法面が崩落しています。
昔ながらの海上交通が案外今も一番便利なんだろうか…


いや、そこは我等が鉄道か。
この二木島駅は地元住民が国鉄に陳情して
何とか設けてもらった駅。
三陸の人達もそうですが、
リアス式海岸だと鉄道の有用性はかなりのものですね。
開通させるのは一苦労ですが…


白砂の海岸線が美しい新鹿町。
あー、紀伊に古民家の別荘でも買って
夏や冬の間滞在したいな…


うおっ、シカだ!
流石は新「鹿」町。
「熊」野市のクマでなくて良かったな…
シカの方は全く逃げる気配がありません。
鹿肉食べたくなってきた。


さて、お次は主にkuniの希望の場所へ。
僕にとっては初訪問ではなく、思い出の場所です。
またしても国道311号から逸れて
集落内の細い細い道を進みます。
驚いた事に、駐車場代わりの路上停まっている車は
その大半が三重ではなく名古屋ナンバーです。
名古屋で就職する人が多いのでしょうか。
あと今更だけど、これ転回出来るのかな…


どん詰まりの民家の軒先をちょっと拝借して、
kuniのドライビングテクニックにより
何とか転回する事が出来ました。
こんな大変な思いをしてやってきたのは…


もうお分かりですね?


そう、2年前に訪れた波田須駅です!
勿論、秘境駅は列車で訪れるべきというのが僕の信条ですが、
車で訪れるとこれはこれで
秘境駅の立地の凄まじさが分かりますね。


YR、kuni、FRの3人はおねむなようで
駅のベンチでうたた寝していました。
運転していたのは殆ど僕とアオコなんだけどな…


丁度やってきた上り特急列車を撮影。
うーん、あまり秘境感が無いな…


逆に海側から下り普通列車を撮ってみた図。
うーん…これも秘境感には欠けるな…
まあ、秘境駅は実際に訪れて
全身で雰囲気を感じるものですね。


何故か一番運転していた僕とアオコが
一番元気に走り回っています。
これもいつもの事ではあるけど。


最後にもう一つ、僕の希望で更に南下してやってきました。
僕の希望ばっかりですね…
熊野市の景勝地、鬼ヶ城です。
須野と波田須を見た後だと凄い観光地に見えるな…
熊野市の一大観光地である事には違いありませんが。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素として
世界文化遺産にも登録されているそうです。
でも、こういう人に溢れたメジャー観光地は…


おお、凄い!
全然良かったです。
これは世界遺産になるだけの価値がある。


嘴のような形は波による浸食、
蜂の巣のような形は風による浸食で出来たのだそうです。
玄武岩質の楯ヶ崎と違って砂岩質ですね。


まるで海綿の如く穴が開いています。
鬼ヶ「城」という事は、この穴はトーチカ…?
ちなみに、この上には嘗て本当に城があり、
鬼と恐れられた海賊が陣取っていた為、
かの坂上田村麻呂が征伐したという伝説が残っています。
坂上田村麻呂君何処でも征伐に出掛けてますね。


猿戻し。
猿でさえ登れないという事でしょうか。


こちらは犬戻し。
鬼ヶ城と鬼が島を掛けているのかな?
とすると、キジしか潜入出来ないな…
まあ、鬼は対空砲とか備えていなさそうだし、
キジによる空襲だけである程度制圧出来るんだろうか。


そして、ここにも釣り人が。
釣り人の執念は凄いな…
紀伊半島は黒潮も近いし、
釣り人にとっては聖地のような場所なんでしょうね。


鬼ヶ城の西端にある弁天神社。
阿古師神社ではお賽銭を入れられなかったので、
こちらでも参拝しておきます。
人生という長い航海の無事を祈って…


鬼ヶ城遊歩道を歩き通しました。
同じ道を戻るのはつまらないので、
帰りは国道42号のトンネルで
鬼ヶ城の根元をショートカットします。


って、国道42号のトンネルは自動車専用!?
更に奥に旧道、というか熊野古道があるそうですが、
松本峠という峠を越えねばならないようなので
諦めて大人しく来た道を戻ります。

この後は尾鷲の市街で紀伊の海鮮に舌鼓を打ってから、
眠気覚ましに懐メロカラオケ大会を開きながら
紀勢自動車道で松阪に帰りました。
やはり、紀伊深部は…最高やな!
今年も1年頑張っていこう!

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