(無題)

南アフリカ旅行第5日目。
滝見をします。

6:15、起床。
朝食を済ませて宿を出ます。


まずはザンビア土産を買うべく
Mukuni Park Curio Market
(ムクニ・パーク・キュリオ・マーケット)へ。
まだ8時ですが、ちらほらと開いていました。
うおお、アフリカン値段交渉の時間だー!
東アフリカでは散々STに馬鹿にされたので、
今回は頑張ってK80の皿をK50まで下げたりしました。


ザンビア土産を手に入れたら、
タクシーに乗って町の南へと向かいます。


ジンバブエとの国境地帯に到着。
このすぐ傍に滝があります。
と、その前にタクシーから降りた瞬間
闇両替商(?)が声を掛けてきて、
「ジンバブエドル札を買わないか?」
と持ち掛けてきました。
ハイパーインフレを経験した
世界で最も無価値な通貨として、
全世界的にネタにされるジンバブエドル。
インフレーション理論を専攻する者として
これは買わざるを得ない!


という事で、50万、50億、100億、200億、
500億ジンバブエドル札のセットを入手。
やったぜ。
ちなみに、この合計850億50万ジンバブエドルは
最後の為替レートで換算すると3×10-5円相当です。
本当はもっと上の額面があるのですが、
ジンバブエドル札は発行が停止されて8年、
公式に回収が終了して2年が経過している為、
残念ながら見付けられませんでした。
まあ、ジンバブエドル札自体
入手出来るとは思っていなかったので満足です。


それはそうと今日のメインは滝です。
それも滝の中の滝、世界三大瀑布の一つ
Victoria Falls(ヴィクトリアの滝)です!
初の世界三大瀑布。
入園料を払って中に入ります。


とても世界三大瀑布があるとは思えない
カラカラに乾燥した原っぱを歩きます。
何処と無く冬の北関東っぽさがあるような。


おっ、これがお待ちかねのVictoria Fallsだ!
…何か水量が少なくないですかね。
今は乾季だからこんなものなんだろうか。
でも、これだとアイスランドの種々の滝の方が
遥かに大きかったような…


雨季にはこの峡谷一帯が全て滝と化すようです。
なるほど、それなら確かに世界三大瀑布でも納得だ。
ただ、雨季はあまりに水流が激し過ぎて
この遊歩道に近付く事すら出来ないそうです。


Rainbow Falls(レインボー・フォールズ)。
雨季には虹が架かるほど
大量の水が流れ落ちるようですが…


Victoria Falls Bridge(ビクトリアフォールズ大橋)。
あそこがザンビアとジンバブエの国境です。
Victoria Fallsは二つの国に跨がっており、
貴重な外貨収入源として
それぞれの国が凌ぎを削っています。


Danger Point(デンジャー・ポイント)なる場所。
奥の方に山火事のような水飛沫が見えます。
あそこがメインの滝みたいですね。
ザンビア側からは見えないのか…
ザンビア側は主に雨季向けのようですね。


あっ、あんなところにボートが居る!
Victoria Fallsは様々なアクティビティでも有名で、
今見えているラフティングの他にも、
頭上をけたたましく飛んでいる遊覧飛行や、
滝の縁ギリギリで泳ぐデビルズプール、
Livingstone駅(リビングストン駅)から
豪華列車でVictoria Falls Bridgeまで来る
Royal Livingstone Express
(ロイヤル・リビングストン・エクスプレス)等々、
如何に世界の金持ち達からお金を毟り取るか、
ザンビア、ジンバブエ両国が鎬を削っています。


ザンビア側はBoiling Pot(ボイリング・ポット)という
滝壺まで下りる事が出来るそうなので、
早速下りてみます。


谷の中は上と違って森になっています。
滝の湿気が溜まっているのでしょうか。
何処と無く日本を彷彿とさせる、ような…


Victoria Falls Bridgeの下、
Zambezi River(ザンベジ川)の畔まで下りてきました。
滝壺っぽくはないですが、中々の眺めです。
時折、橋からバンジージャンプしているのが見えます。
バンジージャンプは一回US$160也。
あと、沢の対岸にはラフティングをしているらしき
欧米人の集団が居ます。
あそこにも行けるのかな?


という事で、少し上流側で渡渉して行ってみます。
こちら側はあまり道が整備されていません。
岩がごろごろ転がっています。
落石注意の看板があったけど、
この大きさの岩が落ちてきたらどうしろと…


Zambezi Riverに辿り着きました。
ラフティングツアーのインストラクターに
「ヘルメット無しでこっち来ちゃ駄目じゃないか!」
と注意されましたが。
眺めは先程と大して変わらないので、
岩が落ちてこない内に戻ります。
今日は全ての荷物を背負って行動しているから、
登りは相当にキツいな…


帰り道にヒヒの親子がいました。
Victoria Fallsにも沢山のヒヒが生息しているようです。


何とか国境管理所に戻ってきました。
さあ、出国だ!

…というところで重大な事実が発覚。
何と、HKのパスポートが見当たらないとの事。
ええ!?海外旅行に於いてパスポートと言ったら
命の次に大切なものなのに!
宿に忘れたかも知れないって…
しかし、幸いにもVictoria Fallsは宿からそう遠くありません。
急いでタクシーを捕まえて宿に戻ります。
ただ、もし宿でも見付からなかったとしたら、
日本大使館のある首都Lusaka(ルサカ)まで
バスで5時間掛けて行かなければならないな…
仮にそうなったら今後の行程をどう組み直すべきか…
結論が出ないまま宿に到着してしまいました。
結果は…
あったのか!
良かった…


国境へ向かう道に大量のトラックが連なっていました。
運転手さんに訊いてみたところ、
積み荷は銅なのだそうです。
そう言えば、ザンビア(旧・北ローデシア)は
カッパーベルトを擁していましたね。


という事で、どうにかザンビアを出国しました。
鉄道併用橋であるVictoria Falls Bridgeを渡ります。
この橋は元々かのセシル・ローズが抱いた野望、
ケープ・カイロ鉄道の一部として開通しました。
勿論一介の乗り鉄として、
出来る事なら鉄道でこの橋を渡りたかったのですが、
現在この橋を渡る旅客列車の設定は殆どありません。
両国の間で運賃収入の分配率の
折り合いが付かないんだろうな…
Rovos Rail(ロボスレイル)という
ギネス級の超豪華列車だけは渡りますが。


Victoria Falls Bridgeから下を覗き見た図。
水面からの高さは111mあり、かなりの高度感です。
ここからバンジージャンプするのか…
やってみたかったな…


地図上はVictoria Falls Bridgeを渡れば
そこはもうジンバブエの筈なのですが、
中々国境管理所が現れません。
木陰で一休みする欧米人観光客まで居ます。
もう少し近付けてくれれば良いのに…


漸く国境管理所が現れました。
ザンビア側と違って狭い建物の中は
大勢の観光客でごった返していましたが、
滞りなくアライバルビザが発行されて入国。
3ヶ国目、ジンバブエ共和国です!

(以降、ハラレ時間UTC+2.0h)


ジンバブエ側にも国立公園があるので入ります。
入園料はザンビア側よりUS$10高いUS$30です。
強気の価格設定に見合うだけの価値はあるのか…


おお、これは凄い!
メインではないDevil’s Cataract
(デビルズ・カタラクト)ながら凄い水量です。
水飛沫も飛んできます。


そして、これがMain Falls(メイン・フォールズ)です!
乾季にしてこの迫力。
流石は世界三大瀑布の一つです。
滝からかなり離れたこの位置でさえ
シャワーのような水飛沫でびしょ濡れになります。


別の角度から見たMain Falls。
天高く水飛沫の舞い上がる様子が分かります。
雨季とかどんな事になるんだろう…


世界三大瀑布はそれぞれの取り柄があり、
年平均水流量が最大なのがNiagara Falls(ナイアガラの滝)、
幅が最大なのがIguaçú Falls(イグアスの滝)、
そして、落差が100mを超えて最大なのが
ここVictoria Fallsです。


柵も何も無いのがアフリカ式。
幾らでも近付く事が出来ます。
何なら落ちます。
ここの辺りで時間が来てしまったので、
急いで駐車場に向かい、
土産物屋と交渉して20兆ジンバブエドル札を入手してから、
タクシーを捕まえて空港に向かいます。


Victoria Falls駅(ヴィクトリア・フォールズ駅)に
留置されていた3両の客車。
あまり有名ではありませんが、
ジンバブエ側からもVictoria Falls Bridgeの上まで
観光列車が走っているそうです。


Zambezi Tram(ザンベジ・トラム)と書かれた
路面電車っぽい車両も留置されているけど、
これもVictoria Falls Bridgeまで行くのかな?
ちなみに、運転手さんの話によれば
旅客列車は走っていないながらも
貨物列車ならばVictoria Falls Bridgeを渡ってザンビアや、
更にその先のコンゴ民主共和国、
タンザニアまで行く列車もあるとか。


ザンビア側の空港は街にも滝にも驚くほど近かったのに、
ジンバブエ側は逆に驚くほど遠いです。
地元のタクシーにお金を落とさせる為でしょうか。
飛行機に間に合うか、若干不安になってきたな…
かなりの速度で飛ばします。


15:13、Victoria Falls国際空港
(ヴィクトリア・フォールズ国際空港)に到着。
ふう、何とか間に合ったな。
出発時刻の1時間以上前だし、
そんなに便数も無いだろうから大丈夫だろう…
あれ、空港内がやけに閑散としているな。
カウンターにも全然人が居ないし…
空港に入るや否や、警備員が近寄ってきて
「ナミビア行きの飛行機か?
すぐにあそこのカウンターに行くんだ。」
と言ってきました。
この展開はもしかして…
いや、そんなまさか…
カウンターの職員に訊いてみると、
“It’s gone.”

…えっ!?
そんな馬鹿な!
まだ1時間も前だというのに!
İstanbul(イスタンブール)で聞いて
二度と聞くまいと誓ったこの言葉が…
しかも、この行き先は週4便しかなくて
これを逃すと次は明後日になってしまうというのに…!
と絶望していたら、
「HAHAHA!冗談だよ冗談!
君は分かり易く顔に出るから面白いなー。
でも、君等3人が最後なのは本当だよ。」
と言われました。
焦った…
心臓に悪いよ…


16:30発SW406便に搭乗。
ナミビア航空です。


あのエア・アイスランドより更に小さい、
驚きの1列+2列の3列シートながら、
それでいてまさかのジェット機です。
外から見るとまるでプライベートジェットのよう。
これがリージョナルジェットか…


でも、ちゃんと機内食は出ます。
アフリカの航空会社はこういうところをケチらず
意外にちゃんとしてくるんだな…
何処ぞの北欧も見習って欲しいですね。

(以降、ウィントフック時間UTC+2.0h)


17:35、Hosea Kutako国際空港
(ホセア・クタコ国際空港)に到着。
4ヶ国目、ナミビア共和国の首都、
Windhoek(ウィントフック)です!

まずは入国します。
FRが顔写真を撮られたり、
全部の指の指紋を取られたりしている隣の窓口で、
僕はほぼ素通りで入国を許可されました。
この扱いの差は何なんだろうか。
FRの担当の入国管理官が
「ちょっと!こいつらジンバブエから来てるのに
そんな適当な審査で良いの!」
みたいに怒っていましたが。

まずは現地通貨のナミビアドルを手に入れます。
空港の両替所で米ドルから両替。
あれ?何だかこの紙幣は見覚えがあるような…
って、これは南アフリカランドじゃないか!
騙されたのかと思いましたが、
迎えに来ていたタクシーのおじさん曰く、
ナミビアではナミビアドルと南アフリカランドが
全く等価なものとして流通しているのだそうです。
まあ、つい27年前まで南アフリカ共和国だったからな…


タクシーに乗り込んで宿を目指します。
運転手さんが掛かってきた電話に対して
流暢なドイツ語で応えていました。
そう、ナミビアは貴重なドイツ語圏でもあるのです。
ドイツ語選択でありながらこれが初めてのドイツ語圏。
折角なので運転手さんに
“Sprechen Sie Deutsch?”(ドイツ語を話すんですか?)
と訊いてみたら、
“Ja,
(ああ、何てったって俺はシュトットガルトで生まれて
20年間暮らしていたんだからな。)
「なーんて、冗談だよ!HAHAHA!」
と返されました。
ただでさえ引っ掛かり易いんだから、
あまり冗談を言われると人間不信になるからやめて欲しい。


それにしても市街地が遠いです。
路面状況は良好なので140km/hでぶっ飛ばしています。
Comandante Armando Tola国際空港
(コマンダンテ・アルマンド・トラ国際空港)
を思い出しますね。
あそこよりも更に市街地が遠いのですが。
何故こんなにも空港が遠いのか尋ねてみたところ、
「この辺りは山がちで平らなところが無いからね。」
との事でした。

小一時間で宿に到着。
さて、夕食を食べなければ…
近くにオススメの店はあるか宿の人に訊いたところ、
「宅配もあるよ。」と返されました。
そう言えば、ここに来る途中にも
宅配ピザのバイクを何台も見たな…
Windhoekでは宅食が一般的なのかな?
Victoria Fallsで散々歩いて疲れていたので、
結局宅配ピザで夕食を済ませました。
明日からは更に疲れるけどな…

脚注
※「ジンバブエドル最後の為替レート」
   3.5京ジンバブエドル=1米ドル≒123円(2015年6月当時)
   cf. 「ジンバブエが自国通貨を廃止、17.5京ドルを5米ドルに交換」 – ロイター通信

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