南欧旅行第6日目。
ヨーロッパの秘境、アルバニア共和国を巡ります。
2時半頃に国境の町Κακαβια
(カカヴィア)に到着。
降りろというような指示は特に無く、
乗客は皆周りの空気を察して下車しています。
アジア人は元より、旅行客自体僕等しか見当たらないので
恐らく英語は通じないんだろうな…と不安でしたが、
出国審査官とお互い一言も喋る事無く、
空気を察するだけで出国審査は終わりました。
なお、ギリシャの出国印はちゃんと捺されました。
国境地帯の免税ガソリンスタンドで給油したら、
お次はアルバニアの入国審査。
今度は国境警備員がバスに乗り込んで
皆のパスポートを回収しにきます。
アルバニアは「ヨーロッパ最後の秘境」や
「ヨーロッパの北朝鮮」の異名を持つ国で、
入国審査も厳しいのかと思っていましたが、
ちらっと懐中電灯で荷物を照らすだけの
荷物検査のようなものだけで終了し、
パスポートは5分ほどで戻ってきました。
アルバニアの入国印は捺されていないな…
ヨーロッパの国境越えはこれがちょっと残念です。
それはさておき、アルバニア共和国に入国です!
(以降、ティラナ時間UTC+1.0h)
6:20、Tiranë(ティラナ)に到着。
バス会社のサイトでは7:30着となっていたのですが、
あれはアテネ時間だったのでしょうか。
結局、最後の最後までクレイジーなバスでした。
アルバニアにはバスターミナルという概念が無いのか、
街の外れにある謎の交差点に降ろされてしまいます。
Ring Center(リングセンター)という
ショッピングモールの前のようです。
タクシー運転手が声を掛けてきたので
現在地が何処か訊こうとしたのですが、
英語が全く通じずに撃沈。
予想はしていたけど、恐ろしく英語が通じないな…
Rr. Durrësit(デュラス通り)を南東に進みます。
謎の銅像が其処彼処に立っていたり、
ギリシャとは全く異なる雰囲気の街です。
あと、とても喫茶店が多いです。
まだ朝早いので、開いていた喫茶店に入って一休み。
その後、インフォメーションセンターに向かい、
次の街へのバスの情報を仕入れ、
大きい荷物も置かせてもらって街に繰り出します。
アルバニアは共産主義国家として
当初は他の共産主義国から援助を受けていましたが、
スターリン主義原理派とも言える姿勢で
ユーゴスラビア、ソ連、中国と相次いで断交し、
遂には1990年まで鎖国政策を取るに至ったという、
ある意味では金に靡かず
理想を追い求める国と言えなくもないものの、
1997年にはネズミ講によって全国民の3分の1が破産し、
各地で大暴動が発生したという面白国家。
共産主義時代の反動なのか、
奇抜なデザインの建物が並んでいます。
ケバブ屋で少し遅い朝食。
喫茶店は多いですが食べ物はトーストくらいしかなく、
それ以外のものを食べるのには苦労します。
この写真に写っている量の
2倍以上を最終的に注文したのですが、
一人当たり300円足らずという安さでした。
とてもヨーロッパとは思えぬ物価です。
街の中心、Sheshi Skënderbej
(スカンデルベグ広場)の傍にある
Xhamia Et’hem Beut(ジャミーア・エトヘム・べウト)と
Kulla e shahatit(時計塔)。
どちらも無料で入れるとの事でしたが、
Xhamia Et’hem Beutは掃除中のような様子、
Kulla e shahatitは入場料200Lekが要るようになっていて、
アルバニアレクを持っていない僕等は入れませんでした。
あと、この辺りで謎のおじさんに尾行されたので
余り治安は良くないのかも知れません。
バレバレだったので真意は謎ですが。
オスマン朝時代に架けられたという
Ura e Tabakëve(タバカヴェ橋)。
元々は水路に架けられていたのでしょうが、
現在では暗渠となっており、
ただの歩き難い歩道と化しています。
それでも、この橋を渡る人は結構居ますが。
案内板などは特に見当たりませんでした。
普通の街の中に突如として現れます。
Ura e Tabakëveの周りはこんな感じ。
どういう感性をしているんだろう…
これまで見てきた国の中でも
一二を争うくらい奇抜な街並みです。
折角なのでアルバニア土産を物色。
軍の払下げ品や骨董品レベルのライターなどがあり、
前時代感を前面に押し出した品揃えです。
軍用品は中国軍からの輸入品なので
アルバニアらしさはありませんが。
Galeria Kombëtatare e Arteve(国立美術館)。
アルバニアの様々な芸術作品が見られる
…との事だったのですが、
課外学習なのかただの雨宿りなのか
中高生が大勢居て非常に混んでいたのでやめました。
ピラミッドと呼ばれる謎の建造物。
Google mapsにも”Pyramid of Tirana”
(ティラナのピラミッド)と記されています。
何かの施設が廃止された跡のようですが、
何の施設だったのかは謎です。
(maps.meに因ると”Qendra Ndërkombëtare e Kulturës”
即ち「国際文化センター」らしい。)
Pallati i Kongreseve(国会議事堂)。
軒先に報道陣が集まっています。
しかし、テレビカメラを向ける先は議事堂の中ではなく
通りを挟んだ大統領官邸の方。
だったら素直に大統領官邸前で待てば良いのでは…
色々と謎多き国です。
Sheshi Nënë Tereza(マザー・テレサ広場)。
マザー・テレサはアルバニア系なので
アルバニアではマザー・テレサを推しており、
Tiranëの空港の名前もずばり
Aeroporti Nënë Tereza(マザー・テレサ国際空港)。
しかし、この広場には特に銅像などはありません。
謎の銅像が乱立している割には
肝心のマザー・テレサの銅像は無いのか…
Sheshi Nënë Terezaの奥に見えていたこれは
Universiteti Politeknik i Tiranës(ティラナ工科大学)。
ティラ工大です。
何をやっているのか気になる!
という事で入ってみました。
誰も何も言ってこない辺り、
大学のセキュリティの緩さは世界共通なんですね。
研究室の写真が貼られていました。
これはファン・デ・グラーフ型高電圧発生器?
加速器の研究でもしているのかな?
親近感が湧きますね。
中庭。
本当は講義室も覗いてみたかったのですが、
何処にあるのか良く分かりませんでした。
掲示されていた時間割に因ると
数値解析の講義が行われているそうですが…
ブエ市大みたいに条件付き確率の授業かな?
お昼時になったので、
裏路地にあったお洒落なレストランへ。
アルバニアはアドリア海を挟んで
イタリアの向かいにあるだけあって
パスタやリゾットなどが美味しいです。
しかも安い。
イタリアの上位互換ですね。
レストランを出たら日本語の落書きを見付けました。
謎の謝辞。
ティラ工大でも日本語の教科書を持っている人が居たし、
意外と日本語が浸透しているのかな?
また、救急車には日の丸が描かれていました。
Skënderbeg(スカンデルベグ)の銅像。
37年間だけではありますが、
オスマン朝から独立を勝ち取った英雄だそうです。
それでは、特に何も見ていない気もしますが、
Tiranëを後にします。
15:00発Metropol社のバスに乗車。
草原の中を走ります。
バルカンらしさがある。
ただ、大草原というよりは
ちょこちょこと家が建っている草原です。
何も無いところで突如停車して
パスポートが回収されました。
国境まではまだ大分あると思うんだけど…
暫くしたら国境に達するより前に戻されましたが。
国境に向かって山脈に挑み始めます。
河原にはセメント工場や採石場が見受けられます。
川に割と大井川っぽさがある。
かなり山深くなってきました。
この道はかなり新しい高速道路っぽいけど、
この道が開通する以前はどうしていたのかな?
トンネルで峠を越え、
国境に辿り着きました。
出国スタンプは捺されないかな…
と思っていたら、出国審査さえなく素通りしました。
それで良いのかアルバニア。
それに対して、入国審査ではバスから全員降ろされ、
X線を使って荷物検査までされ、
入国スタンプもしっかりと捺されました。
ここからはヨーロッパで最も新しい国、
コソボ共和国です!
(以降、プリシュティナ時間UTC+1.0h)
高速道路のSAのような場所でミニバスに乗り換え。
乗ってきたバスはこのまま首都に向かいます。
19:03、Prizren(プリズレン)に到着。
1時間遅れでした。
タクシーの客引きは居ましたが
特に食い下がる事も無く、
歩いていくと言ったら道を教えてくれました。
コソボは2008年に独立宣言をしたばかりの
ヨーロッパで最も新しく、
世界でも南スーダンに次いで新しい国家。
故に最近までセルビアとガチ紛争していて、
つい2週間前も「コソボはセルビアです」と
日本語を含む世界各国語で書かれた列車が、
セルビアからコソボに向かって送られて
コソボの治安部隊が出動する事態になるなど、
現在も完全に停戦したとは言い難い状況にあります。
なので、街も荒廃しているのかと思いきや
驚くほど発展しています。
大型ショッピングモールが軒を連ね、
街行く人々にも暗さはありません。
再建したばかりなのか建物は真新しいです。
Prizren中心部。
宿のお兄さんは非常にノリが良く、
怒濤の勢いで宿や街についての説明を受けて
そのままオススメのお店に連れていかれました。
お兄さんオススメのレストランで夕食。
コソボ料理は基本的に肉を焼くばかりなので
どれも彩りがかなり似ていますね…
でも、どれも美味しかったです。
料理に加えてビールを9本も空けて
一人700円足らずは安い!
コソボは良い国です。
酔って心地良くなって談笑に興じながら
Prizrenの夜は更けていきました。
コメント