(無題)

越後・南東北旅行第6日目。
磐城、常陸を巡ります。

5:50、起床。
今日は絶対に寝過ごさないという強い意志の下、
夜中に2、3回起きたりしながら無事起床しました。
支度を済ませて駅へと向かいます。


6:52発JR東北本線普通黒磯行きに乗車。


郡山駅で8:00発JR磐越東線普通いわき行きに乗り換え。
今回の旅行最後の目的、磐越東線です。
中通りの郡山から浜通りのいわきまでを結ぶ路線。
今回の旅行の中では米坂線と並んで
最も凶悪なダイヤが組まれている路線でもあります。


普通の田舎を走ります。
これと言って見所は無いです。
嘗てはSLも走っていたそうですが、
見所が無さ過ぎてそれも無くなったとか。
ゆうゆうあぶくまラインの愛称だけが虚しく残っています。


ふたつの宇宙に会えるまち…
マルチバース宇宙論かな?
神俣駅にて。
この辺りには磐越東線沿線随一の観光スポット
あぶくま洞があったり、
田舎特有の暗さを活かした星の村天文台があったりします。
駅から歩くには若干遠いですが。


小野新町駅。
郡山からここまでは1日14往復の列車がありますが、
ここから先は1日たったの6往復となります。
しかも、朝2往復の夕方4往復で
今乗っている列車の次は5時間以上も後になります。
その間に1本でも良いから走らせてくれれば
遥かに観光し易くなるのになぁ…


そんな調子なので地元利用は皆無…
かと思いきや、この区間でもかなり乗ってきます。
意外にもちゃんと地元に根付いているんですね。


しかし、この駅は乗降客皆無でした。
国鉄時代は仮乗降場で時刻表にも載っていなかった江田駅。
元々はここで降りて、近くにある背戸峨廊という
峡谷を散策しようかと思っていたのですが、
降水確率90%という天気予報を見て
雨の中足下の悪い峡谷を5時間も散策するのは辛くない?
という至極常識的な考えを抱いてしまったので
素通りする事にしました。


背戸峨廊のある夏井川渓谷は車窓からも見えますしね。
木々がちょっと邪魔ですが。


小川郷駅には何やら客車らしき物が。
普通の客車とは形が違うような…?
調べたところ、交直流電車の教習車として
水戸鉄道学園で使われたナヤ11形という車両だとか。
たったの3両しか作られなかったそうです。
そんなに貴重なものだったのか…

9:38、いわき駅に到着。
さて、江田駅下車を止めた事で
5時間も時間が余ってしまった訳だけど、どうしようか…
このまま直帰すると昼過ぎには東京に着いてしまうし、
それは幾ら何でも味気無いよなぁ…
そう思って色々と調べてみたら、
とある場所に神懸かり的な接続で行ける事が判明したので
最後にそこへ立ち寄ってみる事にしました。


9:42発JR常磐線普通水戸行きに乗り換え。


10:12、大津港駅に到着。
茨城県最北の駅です。


10:15発北茨城市巡回バス大津港線に乗り換え。
そう、これこそが神懸かり的な接続。
このバスは1日に6本運行しているので
コミュニティバスとしては一般的な本数ですが、
週に3日しか運行されていません。
つまり、半分以上の日は運行されていない訳で、
ふらっと訪れて乗れる類の路線ではありません。
そんな大津港線の運行日は火・木・金曜。
火曜日の今日は走っているのです!
ちなみに、12/29-1/3は正月休みらしいので
年内は今日が最後の運行となります。
幸運だったな…
当然の如く乗客は僕一人です。


10:22、六角堂入口バス停で下車。
少し歩きます。


やって来たのは茨城大学五浦美術文化研究所。
日本美術界の近代化に貢献した岡倉天心が
後半生を過ごした邸宅の跡地にある遺跡です。


岡倉天心は日本美術院の創始者で、
西洋化ばかりを近代化とする風潮に辟易して
この地を拠点に日本古来の芸術を
海外へと発信していった人物だとか。


そんな岡倉天心の建てた六角堂。
この地の景観を気に入った天心が
日本、中国、インドの伝統思想を融合させて造ったとか。


勿論、僕はピアノ以外の芸術にはそんなに興味が無いので
お目当てはこの六角堂が建つ五浦海岸です。
この辺り一帯は茨城県北ジオパークに指定されており、
風光明媚な海岸線が楽しめます。
天心が中国庭園の太湖石に見立てた手前の黒い岩は
メタンを含む海水中で形成された
炭酸塩コンクリーションという鉱物だそうです。


今日は太平洋も荒れているな…
こんな場所に立つ六角堂で
天心は一体何に思いを馳せたのでしょうか。


実はこの五浦海岸も東日本大震災で被害を受けて
六角堂は台座のみを残して流出したのですが、
茨城大学の尽力によって平成24年に再建されました。
茨城県でも津波の被害は大きかったんですね…


「亜細亜ハ一なり」の石碑。
日本、中国、インドの文化を研究した天心が
西洋文化しか文化として認められていなかった当時に
それに対抗する東洋文化の概念を打ち立てる意味で
自著「東洋の理想」の冒頭に書いた一文です。
後に大東亜共栄圏の正当化に使われてしまいました。
今見ると大東亜共栄圏しか思い浮かばないもんな…


こじんまりとして箱庭のような楽しい遺跡でした。
中々オススメです。
公共交通機関で訪れるのは至難の業ですが…
さーのって号みたいにデマンド制で良いから
土休日も運行してくれれば良いのに。


六角堂を別の角度から見るべく、
お隣の五浦岬公園にやって来ました。
六角堂から塔らしき建物が見えたから、
ここからなら六角堂が見える筈…


おっ、見えた!
塔の最上部ではなくその少し手前の
階段の途中からが一番良く見えます。


反対側には大津岬灯台が見えます。
残念ながら、この灯台には昇れません。
さて、お腹が空いてきたから
海鮮を求めて港にでも行くか。


海岸沿いを歩きます。
写真は鵜島の鼻。
ここまでの疲労で肩が痛い…
もっと荷物を軽量化すべきだったな…
いや、身体の方を鍛えるべきだろうか。


大津港にやって来ました。
良し、この旅行最後の食事だ!


冬の茨城と言えばアンコウ。
という事であんこうどぶ汁椀。
あんこう鍋の原型となった料理だとか。
これは美味しい!
ぷりっぷりのアンコウの身もさる事ながら
汁が濁るほどに溶け出したあん肝の風味が絶品です。
疲れた身体に沁みるなぁ…
…じゃあ、そろそろ帰るか。


12:50発北茨城市巡回バス大津港線に乗車。
この大津西町バス停が大津漁協直営市場食堂や
漁業歴史資料館よう・そろーの最寄りバス停のようです。
大津西町郵便局のすぐ南、
藤田精肉店と鈴木精米所の間にあります。


大津港駅で13:18発JR常磐線普通水戸行きに乗り換え。
勝田駅で14:24発JR常磐線普通上野行きに乗り換えて
北千住の下宿にちょっと寄ってから、
東海道新幹線で半田へと帰りました。

冬休みに何も予定が無くて暇そうだったので
これまで行った事の無い空白地帯を埋める感じで
適当に行程を組んだ今回の旅行でしたが、
地元の人にも動物にも癒されて
身体は寒くても心の温まる旅でした。
新潟と山形ではそれを期待していた節があるとは言え、
宮城と福島でも天気が微妙だったのは残念ですが…
陸前江島もいつか再挑戦したいな…

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