(無題)

信越旅行第2日目。
今日はISTLを巡ります。

6:45、起床。
昨晩、今日の行程をどうするか悩んでいました。
元々は篠ノ井線で松本駅まで出て
大糸線を糸魚川駅まで往復するつもりでしたが、
それだと片道3時間掛けて糸魚川駅まで行って、
3時間掛けてまた同じ大糸線を戻って来る上に
駅周辺の観光に使える時間が短いという、
ただ乗り潰すだけみたいな行程になってしまいます。
しかし、日本海側に出て直江津経由で行こうとすると、
北陸新幹線の所為で信越本線と北陸本線が
第3セクター化してしまったので
青春18きっぷは使えないという。
うーん…
北陸新幹線さえ無ければこんな悩みも無かったのに…


7:46発しなの鉄道北しなの線普通妙高高原行きに乗車。
悩んだ結果、直江津経由で行く事にしました。
長野-日本海ひすいラインフリーきっぷという切符を見付けたので。
2日間有効乗り降り自由なところを
1日間の、それも片道しか使わないのですが、
それでも長野-糸魚川の普通運賃より150円だけ安いです。
こんなに安くてやっていけるのかな…?


妙高高原駅で8:45発えちごトキめき鉄道
妙高はねうまライン普通直江津行きに乗り換え。
名前長過ぎィ!
地元民はどう呼んでいるのかな?
トキ鉄妙高線とか?
昔のまま信越線かな?
名前に負けず劣らず編成も長い。
6両編成にするほどの需要はあるのでしょうか?


また新潟県に戻って来ました。
新潟県って車窓だけでそれと分かりますね。
夏は水田で、冬は雪深さで。


スイッチバックの二本木駅も健在です。
この区間は一昨年の冬にも通っていますが、
夏と冬とでは全くの別世界です。
このスイッチバックが無かったら
同じ路線だとは分からないくらいです。


上越妙高駅。
嘗ては脇野田駅という名前で、位置も微妙に違いました。
北陸新幹線との乗り換え駅です。


折角のフリーきっぷなので
特急行き違いの停車時間7分を利用して
高田駅でほんのちょっとだけ途中下車。
やけに立派な駅舎です。
一見和風のようだけど、良く見るとステンドグラスが。
一体何を模したものなのだろう?


直江津駅で9:45発えちごトキめき鉄道
日本海ひすいライン普通泊行きに乗り換え。
ここへ来ていきなり1両編成になります。
窓側席を確保出来なかったので立つ事に。


夏空の日本海を望みながら走ります。
泳ぎたいな…


糸魚川駅で10:28発JR大糸線普通南小谷行きに乗り換え。
本日の目玉、大糸線です。
ISTL、即ち糸魚川-静岡構造線に沿い、
北アルプスの東縁を舐めるように走る大糸線は、
正に地質学者と登山者の聖地。
構造地質学を履修した元・ワンゲル部として来てみました。
北陸本線が第3セクター化した事によって
非常に訪れ難くなってしまいましたが、
それでも訪れたいローカル線です。
お金持ちの人にとっては北陸新幹線糸魚川駅が開業して
逆に訪れ易くなりましたが。


糸魚川駅を出た大糸線は脇目も振らず南下します。


根知駅で行き違い。
大糸線でJR西日本管轄である糸魚川-南小谷の中で
唯一列車交換が可能な駅です。


反対列車をやり過ごしたら再び南下します。
この先は姫川に沿って走ります。


姫川を幾度と無く渡る。
糸魚川-静岡構造線の所為で地盤が脆く、
簡単にはトンネルが掘れない為に
経路決めに苦心惨憺した跡が見て取れます。


10:52、小滝駅に到着。
「急な増水にご注意下さい」という放送が聞こえてきます。


大糸線で秘境駅と言ったらここ、という駅。
今回はここでの滞在時間を延ばす為に
第3セクター経由の経路を選びました。


と言っても、駅探索の為に時間を延ばしたのではありません。
割と普通に観光する為です。
という事で、小滝駅に重い荷物を置かせてもらって
駅前の国道148号線を歩きます。
途中、パトカーと擦れ違って
「(徒歩で)大丈夫ですか?」と訊かれたけど、
送ってくれと言ったら送ってくれたのかな?
というか、そのまま小滝駅に向かっていたけど、
置いてきた荷物が不審物として処分されないだろうか…
まあ、気にしても仕方無いので進みます。


お目当てはこの小滝川ヒスイ峡(翡翠峡)。
昨晩調べていたら出て来て気になったのですが、
最寄りの小滝駅からは5km。
しかも、路線バス等は一切無いという事で、
公共交通利用勢にとっては極めて行き難い場所なのです。
でも、5kmなら時間さえあれば徒歩で行けなくもない…
だからこそ小滝駅での滞在時間を大幅延長したのです。


小滝駅の名の由来となった小滝集落。
国道から少し入ったところにあります。
ヒスイ峡はこの更に先です。


新潟県道483号線から離れて林道に入ります。
かなりの急坂です。
暑い…


不意に集落が現れました。
瀬野田集落という名だそうです。
何とも長閑な良い雰囲気だ…
答志島は絵に描いたような長閑さの港町でしたが、
こちらは絵に描いたような長閑さの山里です。
人の気配はありませんが。


鳴き岩。
岸壁に強風が吹き付けて穴が空き、
その穴に風が吹き付ける事で音が出るんだとか。
そんな強風が吹くのか…
今は風が無さ過ぎて暑いけど。


お目当ての岩山が見えてきました。


ヒスイ峡展望台に到着。
小滝川を挟んで明星山に向かい合っています。


展望台にはこんな表示が。
流石は雪国。
半田だと3.5mどころか3.5cmだって滅多に積もらないのに。


正面から見た明星山。
人を寄せ付けない威圧感ですね。
流石にこれを正面から登るような人は…


…居るんですね。
ここも谷川岳一ノ倉沢と並び、
日本有数のロッククライミングの聖地として名高く、
秋は多くのクライマーが取り付いているそうです。
今日は暑いので流石に居ませんが。


この辺りは世界有数の豪雪地帯ですが、
この一帯は何とサンゴ由来の石灰岩で出来ています。
熱帯地方の海で出来たサンゴ礁が
プレートテクトニクスによって
3億年もの年月を経てここまでやって来たのだとか。
地球の動きって凄いな…


また、この峡谷はヒスイ峡と呼ばれている通り、
日本で唯一のヒスイ産出地として知られており、
日本全国の遺跡から出土した勾玉などのヒスイは
全てここから産出したものと考えられているそうです。
そんな大昔からここが知られていたのか…
ちなみに、暫く忘れ去られていたらしく、
昭和13年になって漸く「再発見」されたとか。


明星山を眺めていたら、
何やらこれまで歩いてきた道が塞がれてしまいました。
え?通行止め?
何故!?
どうやら、この糸魚川市に大雨警報が発令されたからとの事。
それ、糸魚川市って言っても相当広いから
この辺りは大して関係無いんじゃ…
合併はこんなところにも弊害をもたらしているんですね。

さて、今来た道が通行止めになってしまった以上、
この道を突き進んで抜けるしかありません。
直進するとここから小滝駅まで約12km。
滞在時間を延ばしたとはいえ、
かなりギリギリだな…
お腹も空いてきたけど、食堂はここから4km以上先だし…
何やら川魚の塩焼きを売っている屋台があったので
小腹を満たす為に食べよう…
と思ったら、注文を受けてから捌くので
30分くらい掛かってしまうとの事。
それじゃあ流石に間に合わないな…
と残念がっていたら、
先に食べていた家族のお父さんが
良かったらとニジマスの塩焼きとお寿司を下さいました。
更に、お客さんが少ないからと
屋台のおじさんが上の食堂まで
車で送ってくれる事になりました。
本当に有り難い!
新潟県の人は優しいですね。
ちなみに、屋台のおじさんは普段小平市に住んでいて
夏の間だけ故郷の小滝に帰ってきているのだそうです。


そんな訳で、高浪の池までやって来ました。
ヒスイの成分が溶け込んでいるのか、
ヒスイ色に染まった水が印象的な池です。


明星山を望むビューポイントがあるそうなので
そこまで行ってみます。


うーん、明星山のてっぺんだけ雲がかかっているな…
残念ながら、逆さ明星山とはいきませんでした。


ちなみに、この高浪の池は浪太郎という
体長3.5mの巨大魚が棲んでいる
…という伝説(?)があるそうです。
でも、この写真は平成元年のものらしいけど、
そこから30年近く経った今もいるのかな?


それでは、駅に向かって歩きます。
ここまで送ってもらったとはいえ、
ここから小滝駅まではおよそ8km。
時間が厳しい事に変わりはありません。
しかも、雲が出て来たな…
大雨警報か…
何とか駅に着くまでもってほしいけど…


駅への道の途中で見付けたもの。
これが何だか分かるでしょうか?


正解は鉄塔です。
鉄塔を下から見上げると
美しい模様が見えると聞いたのでやってみました。
…遊んでないで歩かなくては。


行きに通ってきた道は林道でしたが、
こちらは一応県道(新潟県道483号)なので
先程よりは幾分高規格です。
鬱蒼としていた林道とは違い、見通しも良いです。


姫川が見えたぞ!
でも、まだ結構遠いな…


道端に延命地蔵なるものがありました。
ここは嘗て千国街道という塩の道だったそうです。
昔の街道って結構凄いところを通っているよな…
というよりは、道が変わってしまうと
旧道はあっと言う間に
自然に飲み込まれてしまうと言うべきでしょうか。
そう考えると、道の整備って大変なんだな…


またしても集落が現れました。
夏中という集落だそうです。


公共交通機関は毎週水曜日の乗合タクシーのみ。
小滝駅からは3kmで歩けない距離ではないですが、
そこまでは急な山道。
まして冬は何mも雪が積もるのに
車に乗れなくなったらどうするのかな…
しかし、俗世と隔絶されたような良い場所です。


小滝集落まで下りてきました。
郵便局の隣に1軒だけ土産物屋があります。
13km歩いて余りに暑かったのでアイスを買いました。


反対列車が来たのでちょっとだけ撮り鉄。
大糸線は雪景色の方が様になりそうですね。
無事、列車が来る前に小滝駅に到着。
あっ、やっぱり荷物が調べられている…
下着と洋服で分けていた着替えは一つの袋に纏められ、
物理学演習のノートはゴミに分類されていました。
これは一応院試勉強用なんです…


15:37発JR大糸線普通南小谷行きに乗車。


ガッチガチに護岸された姫川を遡上します。
これだけコンクリートまみれだと
風情も何もあったもんじゃないな…
そんな事を言っていられないくらい
水害が酷いという事なのでしょうが。


そんな姫川に付かず離れず、
大糸線は中々凄いところを走ります。
ところどころかなり徐行して
この車窓を存分に見せてくれている…


という訳でもなく、JR西日本ローカル線特有の
カーブでの超徐行でした。
R=980mのカーブで25km/h制限なのか…


平岩駅には除雪車が控えていました。
冬にはきっと大活躍する事でしょう。
エビを彷彿させる色と形状です。


南小谷駅で16:20発JR大糸線普通信濃大町行きに乗り換え。
ここからはJR東日本になります。
あと、電化区間になります。
もう高山本線と大糸線は
JR西日本からJR東海とJR東日本に
全部移管しちゃった方が皆幸せなのでは…
1日に1本だけではありますが、
千葉・新宿駅から直通の特急あずさが来ている駅です。
正直、こんなところまで特急列車を走らせるのか…
というくらい何も無い場所です。
新宿駅で7:30発のあずさ3号の行き先
「南小谷」が何処なのか分かる人は一体どれだけ居るのか。
というか、そもそも何割の人が漢字を読めるのだろうか。


この大糸線南部は西側に北アルプスを望みながら走る為、
西側の席だけ全てボックス席になっています。
大糸線専用仕様なのかな?


今は雲がかかっていて全然見えませんが。
こんな日に北アルプスに登っていたらと思うと
ぞっとするな…


JR東日本側にも勿論除雪車はあります。
こちらは青色です。
JR西日本と対照させているのかな?
イメージカラーはJR西日本が青で、JR東日本は緑だけど。


ところでこの運賃表、何か気付きませんか?
そう、17番の駅が抜けています。
何故17番が欠番になっているのかというと、
嘗てここにあった駅で大事故が発生し…


…という訳ではなく、ただの臨時駅です。
ヤナバスキー場前駅。
その名の通りヤナバスキー場に隣接していますが、
肝心のヤナバスキー場は大糸線以上に経営不振に陥っているとか。
正直言ってスキーは鉄道なんか目じゃないくらい落ち目だからな…


仁科三湖の一つ、木崎湖。
この湖の畔にある駅の名は…


ずばり、「海ノ口」です。
小海線にも佐久海ノ口駅という駅がありましたね。
長野県民は昔から海に対する憧れが強いのかな?


信濃大町駅で17:19発JR大糸線普通富士見行きに乗り換え。
これで後は乗っていれば宿の最寄り駅に着くな…
と一息吐いていたら、何やら車内放送が。
「この先、中央東線に於いて大雨が降っている為、
この列車松本から先は運休となります…」
…えっ、大雨で運休!?


確かに、南東の方は暗雲が立ち込めているな…
どうすべきか…
取り敢えず、松本駅で今の運行状況を訊くしかないな…

18:16、松本駅に到着。
中央東線(塩尻駅以東)への列車は全て運休!?
そんなに凄い大雨が降ってるの!?


中央西線への列車は動いているとの事なので
18:23発JR篠ノ井線普通中津川行きに乗り換え。


18:40、塩尻駅に到着。
大混雑です。
さて、現在の運行状況は…
上諏訪から先が運休中、辰野-岡谷間も運休中…
本当は辰野周りで行くつもりだったけど、
この際四の五の言ってられないな…
幸い、目指す岡谷駅までは動くらしいし、
素直にみどり湖経由で行こう!


17:19発JR中央本線普通上諏訪行きに乗り換え。
現在時刻は19:09です。
思ったよりは待たされなかったな。


19:22、岡谷駅に到着。
一時はどうなる事かと思ったけど、
何とか辿り着けたな…


宿まで歩きます。
何だか以上に暗い気がするけど、
大雨で停電でもしているのかな?
それとも、岡谷は常にこんな感じなのかな?
今はもう霧雨になっています。


夕食はご当地ファミレスで食べました。
濃い一日だった…

コメント