薩南諸島旅行第11日目。
半田に帰ります。
7:30、起床。
言うなれば今日は帰るだけの日なのですが、
鹿児島に居るのにただ帰るだけというのは勿体無い。
最後の最後まで観光します。
とは言うものの、鹿児島市は既に通算5回目。
さて、後は何が残っているのか…
…そう言えば、入場料が高いからと
これまで敬遠してきた場所があったっけ。
良し、折角だからそこに行ってみるか。
天文館バスターミナルから
8:36発いわさきバス国分・重久行きに乗車。
8:55、仙巌園前バス停に到着。
やって来たのは名勝仙巌園です。
島津光久が築造した島津家の別邸で、
隣にある工場群集成館などと一緒に
「明治日本の産業革命遺産」として
世界文化遺産にも登録されています。
日の丸が掲揚されているのは愛国心啓発の為
では無く、今日が建国記念の日だからでしょう。
反射炉の跡。
反射炉と言うと韮山のものが有名ですが、
ここ薩摩にも反射炉がありました。
その反射炉で造った鉄製の150ポンド砲。
太平洋航路が確立される以前、
鹿児島は東南アジアのみならず
欧州にとっても日本の玄関口となる
文字通り国防の要でした。
歴史的建造物ばかりかと思いきや、
それに紛れてこんなものが。
何故ここに桜島大根…?
桜島小みかんも展示されていました。
克灰袋なんてものも。
火山灰専用のゴミ袋です。
仙巌園目当てで人が来るついでに
鹿児島市をアピールしようとしているのかな?
降灰をアピールされても住みたくなくなるけど。
示現流について紹介するブース。
エェーイという掛け声が
どう聞いてもショッカーにしか聞こえない。
ショッカーは示現流だった…?
鹿児島は大陸に近いだけあって
御多分に漏れず中国人観光客が多く、
池には大量の小銭が投げ込まれています。
今日も春節で大勢の中国人観光客が来ていました。
仙巌園の元・正門。
現在ではここから入る事は出来ません。
この赤い門は赤門では!?
と思いきや、門の色では無く
門の屋根を葺くスズにちなんで
錫門と名付けられているようです。
嘗て、朱色の門は位の高い者しか通れなかったとか。
どうせ理物は弥生門ですよ…
御殿。
明治期には島津家当主の本邸として使われました。
600円を別に支払えば
抹茶と茶菓子付きのツアーで見学出来ます。
巨大なザックがあるのでしませんが。
御殿から見た庭園の眺め。
そう、この景色を見たいが為にここに来たのです!
桜島を築山、錦江湾を池に見立てたという
何とも壮大なスケールの庭園。
その発想力があったからこそ
産業革命を牽引していけたのかも知れません。
しかしこの庭園、日本庭園にしては
何だか西湖や豫園を思い起こさせるような…
どうやら琉球や中国の影響を受けているそうです。
曲水の庭。
これも古代中国に端を発しているとか。
まあ、そんな事を言ったら殆どの日本文化は
多かれ少なかれ中国文化の影響下にありますね。
何やら桜島を望む景勝地が
登山道を登った先にあるという話なので、
迷う事無く登ってみる事に。
順路から外れているので観光客が少なく
落ち着いた雰囲気です。
本来の仙巌園はこんな感じだったんだろうな。
600m足らずの登山道(遊歩道)だというのに
3ヶ所も緊急連絡先の看板がありました。
この道でへばるって人としてどうなんだ…
観水舎の跡。
この滝を眺める為に設けられたとか。
集仙台。
桜島を一望出来ます。
中国からのスモッグで煙っていますね…
ちょっと撮り鉄。
観水舎に戻ってきたところでまた撮り鉄。
ん?何だか見慣れない車両だな…
この艶やかなフォルム、ゆったりとした速度、
機関車1両に客車7両の8両編成…
ななつぼし九州じゃないか!
まさかこんなところで出会うとは…
入場券がセットになっていたので
仙巌園を満喫した後は尚古集成館も見てみました。
博物館なので中は撮影禁止。
薩摩藩が如何に産業革命を起こしていったかを
機械など実物の展示も交えながら説明していて
理系の僕でもなか中々楽しめました。
ただ、無かった事にされる宝島事件カワイソス。
さて、十分に歴史を学んだところで
空港に向かって動き始めます。
12:23発南国交通バイパス経由蒲生・楠田行きに乗車。
(写真は特に関係無いです。)
鹿児島県は同じバス停の同じ向きに
3社くらいやってきて行き先もバラバラなので
県外民にとってはやや難度が高いです。
12:37、竜ケ水バス停に到着。
極めて影が薄いですがバスと鉄道の乗り換え駅です。
竜ケ水駅。
鹿児島駅の隣駅でありながら
自動券売機が無く、ICカードも使用出来ないという不遇の駅。
しかし、だからこそ一度使ってみたいと思っていました。
この竜ケ水駅の特徴は何と言ってもその眺めの良さ。
駅の目の前はすぐに錦江湾が広がり、
雄大な桜島を望めます。
国道10号線が横切っていて
電線がちょっと邪魔ですが。
電線を避けるとこんな感じ。
何かの養殖をしているのが見えます。
餘部駅然り、こういう海沿いの眺めの良い駅は
良く水害を被るものです。
ここ竜ケ水駅も平成5年に起きた豪雨で
壊滅的な被害を受け、
運転手が列車を堤防代わりにして
乗客を避難させたという話でも有名です。
この石碑はその時の土石流で
実際に流れてきた石で作られているそうです。
その水害の後、この付近にあった竜ケ水集落は
その殆どが移転してしまい、
現在の竜ケ水駅の利用者数は1日平均1人未満。
秘境駅の一つとなっています。
この渓谷から土石流が襲ってきたんだろうな…
この階段の右側には今も1軒だけ民家があります。
階段を上った場所から。
晴れていれば最高の眺めなんだけどな…
雨が降ると文字通り陸の孤島と化してしまうので
正に危険と隣り合わせの絶景です。
13:22発JR日豊本線普通都城行きに乗車。
隼人駅でななつぼし九州と擦れ違いました。
やはり観水舎で見えたのは
ななつぼし九州だったんですね。
13:50、国分駅に到着。
賑わってはいるけど何処と無くショボい駅です。
安い唐揚げ屋が駅に併設されていたのですが、
只今閉店中でした。
残念。
14:11発三州自動車鹿児島空港行きに乗り換え。
竜ケ水駅で乗り換えたのは
単に秘境駅巡りの為というだけで無く、
仙巌園から鹿児島空港への最安経路でもあるのです。
鹿児島空港から15:30発GK694便に搭乗。
さらば、鹿児島…!
またいつか…
16:58、中部国際空港に到着。
こうして今回の旅は終わりました。
初めてその存在を知った時から
いつの日か行ってみたいと思い続けてきた三島村と十島村。
そんな場所がこの現代日本に本当に存在するのかと
半信半疑のまま訪れましたが、
想像を遥かに上回る秘境っ振りで
日本も案外広いのだなと感じさせられました。
行き先が行き先なだけあって同行者が現れず、
久々の長い一人旅となって寂しいかと思いきや、
狭く不便な島ならではの人の繋がりがあって
島民の方、大学やNPOの方、工事の方など
とにかく色々な方とお話ししてお世話になって、
今まで経験した事の無い程人の温もりを感じる旅になりました。
不便なのは疑いようの無い事実ですが、
その不便さを補って余りある素晴らしさが島にはありますね。
今回は天候や日程の都合上諦めた
悪石島他もいつかまた訪れたいものです。
感動は、不便の数だけ、そこにある
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