薩南諸島旅行第9日目。
宝島に渡ります。
5:30、起床。
支度を済ませて港に送ってもらいます。
6:15発フェリーとしまに乗船。
今日は50分くらい遅れているな…
朝陽に照らされて南を目指します。
9:25、平島に着岸。
港が小さく良く抜港される為
十島村の中でも特に行き難い島、
即ち日本で最も行き難い島の一つです。
降りてみたい!
…が、気軽に途中下船なんてしたら死にます。
列車だったら途中下車出来るのになぁ…
10:25、悪石島に着岸。
どんどん遅れが増していくこの感じ…
何処かで経験した事があるような…
そうだ、ベトナム国鉄だ!
こんなところにまで東南アジアとの共通点が…?
小宝島が見えてきました。
形が仰向けになった妊婦に見えると言われます。
一目で分かるほど小さい!
大きさは十島村の全有人島中最小の1.00km2。
人口も最少の58人です。
どうやって暮らしているのだろう…
12:05、小宝島に着岸。
平島と並んで良く抜港される島です。
ここまでの口之島~悪石島とは違い、
火山島では無く隆起サンゴ礁の島。
それはもう驚くべき美しさの海です。
あー、降りてみたい!
しかし、目指しているのはこの島ではありません。
この島です。
12:55、宝島に到着。
1時間50分遅れでした。
比喩等では無く、本当に「宝島」という名前です。
戦前はトカラで最も人口が多くトカラ列島の中心だった島。
嘗ての名前は「タカラ島」では無く「トカラ島」であり、
「トカラ列島」の名前はここから来ているそうです。
現在は口之島に次ぐ133人を有します。
宝島の目抜き通り。
これまでの島とは違い、
集落に家が密集しています。
火山島では無く隆起サンゴ礁の島で
他の島に比べて起伏が少ないので
密集しているように見えるのかも知れません。
あと、そもそも面積が小さいというのもあります。
(小宝島、平島に次ぐ小ささの7.14km2。)
正直、中之島より栄えているように見えます。
ただ、幾ら小さいとは言え1周14km。
船が遅れて使える時間も短くなっているので、
効率的に島を巡るべく
コミュニティセンターで電動自転車を借りました。
何はともあれ、まずは島の最高峰
イマキラ岳の頂上を目指します。
大した山では無いので電動アシストを使えば
立ち漕ぎ無しでも登れます。
そこそこ辛いですが。
車道の終点に到着。
ここからは階段を上ります。
階段を上った先にあったのは
トカラウマを模した展望台。
そこに上って望む景色は…
おお…
何と素晴らしい…
南国の暖かな風と眩い陽光が降り注いで…
冬にこれだけの晴天に恵まれて幸せです。
一頻り感動したら次に向かいます。
例によってコンクリート舗装なので、
スピードを出すとガタガタ揺れて
下り道でもそんなに疾走感はありません。
道端に何やら南国な植物が。
これは…バナナか!
宝島では島バナナと呼ばれる
小振りなバナナを生産しています。
道路に堂々と並べられたバナナの木。
何故わざわざ道を塞いでいるのだろう…
一斉にこっちを見てくる牛くん達。
シュール。
ここから牧場の中に入ります。
牛が逃げないよう門はしっかり閉じましょう。
逃げる気概は感じられませんでしたが。
オフロードを走ります。
隆起サンゴ礁の島らしく
ごつごつのサンゴが顔を出しています。
諏訪之瀬島や中之島とは違いますね。
トカラ列島は同じ村でも
島によって全く雰囲気が違います。
十島村だけに十島十色ですね。
道の終点に到着。
ここからは歩きます。
7km2ちょっとの島ながら
振り返ると壮大な絶景です。
宝島の南端、荒木崎灯台に到着。
北緯29度08分。
高校以降で訪れた日本の地では最南端です。
随分遠いところまで来たんだなぁ…
船で散々時間を掛けて来ただけに感慨深い。
折角南の島に来ているので
海水浴場も見てみます。
宝島の北端にある大籠海水浴場。
トカラ列島の島は基本的に岩海岸なので
砂浜は結構貴重です。
干潮なので水は少なめ。
記念撮影。
島を一周して集落に戻ってきました。
これはイギリス坂。
宝島事件の現場です。
どんな坂なのかというと…
こんな坂です。
長閑。
ここで歴史を動かす事件が起きたとは思えません。
宝島小中学校。
ソテツが生い茂っていて南国な雰囲気です。
本土で小学校令が制定されたのは明治19年(1886年)。
それに対し十島村で小学校令が施行されたのは
本土に遅れる事何と44年後の昭和5年(1930年)。
神々の愛した場所と言われる十島村は
行政からは冷遇され続けた場所でもあるのです。
それにしても44年差って凄いな…
今から44年前って言ったら昭和47年だから
札幌オリンピックの年だぞ…
2周目…という訳でもありませんが、
西海岸に降りてきました。
観音洞。
宝島の聖地です。
海賊キャプテン・キッドが財宝をここに隠したとか、
作家ロバート・スティーヴンソンの小説
「宝島」の舞台がここだとか、
比較的最近の伝説も多くあります。
その時代にイギリス人がこんなところに来ていたのか…?
…あ、宝島事件があったのだから
イギリス人がその時代にやって来ていた事は事実か。
サンゴ礁で出来た宝島は
雨による浸食で鍾乳洞が形成されており、
そこに観世音像が祀られているのがこの観音洞です。
洞窟本体。
宝島自体が小さい島なので洞窟も大した大きさではありません。
財宝を隠すにはちょっと狭い気が…
ケービングとかをしたいなら
沖永良部島とかに行った方が良いですね。
良く見ると貝の化石が埋まっていました。
どういう貝なのかは分かりませんが。
二枚貝である事しか分からない…
海岸に出てきました。
大間泊です。
ここもまた素晴らしく澄んだ海です。
泳ぎたいなぁ…
そして、この大間泊は夕陽の名所としても有名。
綺麗だ…
観音洞に財宝を隠したという伝説があるから
宝島という名前になったという話もありますが、
僕はこの島そのものが宝だからなのだと思います。
駆け足な観光になってしまったけど、
涙が出てきそうなほど良い島だった…
こんな島がいつまでも残っていて欲しいものです。
…暗くならない内に宿に戻るか。
宝島にはコミュニティセンターの隣に商店があり、
何とお土産も売っています。
宝島というネームバリューがあるから
観光客やIターン者が多いのかな?
今日は一日この時期らしからぬ素晴らしい天気で
最高の気分で島を巡れた訳ですが、
夕食中に同じ宿に泊まっている人から聞いた話によると
週末は天気が荒れてフェリーが欠航するかも知れないとの事。
それは困った事になるな…
次は悪石島、奄美大島と渡る予定だったのだけど、
もし次の下り便が欠航するとなると
3日間も余計に悪石島で足止めを食らう事になる…
悪石島には金融機関なんて無いし、
そうなったら所持金が底を付いて暴風雨の中野宿なんて事に…
かと言って、携帯電話の電波も通じないこの状況では
この先の宿や船や飛行機の予約を変更するのも儘ならないし…
どうすべきか…
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