ベトナム旅行第4日目
それは午前1時頃に始まりました。
言い様の無い腹痛と頭痛。
そして、異常に膨らんだお腹。
寝返りを打つ度に便意を催し、
水の如く迸る便を出してお腹を空にしようとするも、
次第に水便を出す事すら出来ない状態に。
以前、同じ様な水便を出した時は
2,3回で腸の内容物をほぼ出し切り、
その後はぐっすり寝られたものの、
今回は水便が出せなくなっても
一向に回復する気配が無い。
痛みに堪えてどうにかこうにか寝ようとするも、
打ち付けては引き、打ち付けては引き、
波の様に押し寄せ、今にも堤を越えんとする痛み。
どうにもこうにも我慢が出来なくなり、
ホテルの受付に電話して医者を呼んでもらおうとするも、
午前2時という時間からか全く応答が無い。
TKが直接受付まで行ってくれたものの、
人の気配が一切無いと戻ってくる。
救急搬送を頼もうと思ったものの、
ここHuế(フエ)には救急搬送のシステム自体存在しない。
八方塞がりで絶望していたところ、
ホテルの当直と思しき方が部屋に現れ、
身振り手振り、というよりは有りの儘の状態を見せ
病院までのタクシーを呼んでもらう事に。
程無くしてタクシーが到着し、
Huếの救急医療を担っていると思われる
Bệnh viện trung ương Huế(フエ中央病院)へ。
これで一安心かと思いきや、この病院がまた凄まじい。
外部と押し扉一枚で隔てられたら受付の目の前に
無造作に簡易ベッドが並べられ、
隣には痛みを堪えて呻く怪我人、
堪え切れず床に嘔吐する病人、
その吐瀉物に集るハエ。
暫く待っていると別の階に移され
腹部エコー検査を受けさせられるも、
検査後はすぐに元の簡易ベッドへと戻される。
そして、待てども待てども反応が無い。
結局は痛みを堪えて一夜を明かすしかないのかと
運命に絶望しかけたところで漸く看護婦が現れ、
気怠そうな素振りを隠す事も無く
無造作に左腕に点滴注射器を突き刺す。
注射の仕方が拙かったのか暫くして血が溜まってくると
笑いながら注射器を取り外し、
まるで魚の血でも取り除くかのように
簡易ベッドの後ろにある流し台へと血を捨て、
軽くエタノールで拭いた後、再び注射器を腕に刺す。
これが原因で何か血液感染しないか不安だったが、
されてしまった注射を悔やんでも先に立たず、
まさか注射器を使い回すような事はしないだろうと
兎に角ベトナムの医療を信頼して簡易ベッドに臥す。
点滴のお蔭なのか、暫くすると幾分楽になり
そのまま深い眠りへと落ちていった…
夜が明けると何やら医師が現れ、
病室へ移動するよう告げられてカートに乗りました。
てっきり同じ病院の別の棟へ行くのかと思いきや、
病院の敷地を飛び出して朝のHuế市街を爆走。
ゴルフカートみたいなこいつで公道を走って良いのかな…
500m程で見るからに立派なICUに到着。
何でこっちが救急医療をやっていないんだ…
真新しい個室の病室に入れられ、
心電図やら血圧やら何やらの測定器を色々付けられ、
僕1人に対して5,6人も医師が付くなど
何かの被験者にされているような気分でした。
後で聞いた話によると、
この病棟は3,4ヶ月前に開業したばかりで
外国人の患者は恐らく僕が初めてなんだとか。
治療風景をデジカメで撮ったりしていたけど、
宣伝にでも使うのだろうか…
何はともあれ、野戦病院のような病棟から
日本と比べても遜色無い立派な病棟に移ったので
これで一安心と、その後はひたすら寝ていました。
ただ、病気関係の英語は 全然分からないですね。
antibiotics(抗生物質)とか、enteritis(腸炎)とか。
antibioticsはまだ良いんですよ。
anti(反)とbio(生)から何と無く想像出来るから。
enteritisってintestine(腸)も
inflammation(炎症)も関係無いじゃん!
まあ、intestineもinflammationも知らないのですが。
病院なのにwifiがあったお蔭で
Google翻訳を使う事が出来て助かりました。
そして、もう一つ助かった事が。
何と、ICUの向かいにあった
Trường Đại học Y Dược Huế(フエ医科薬科大学)に
昨日通りであった日本人医師の方がいらっしゃり、
TKが偶々会って色々通訳して頂けたのです。
有り難い!
その方の話によると、
赤痢菌類による急性腸炎だろうとの事。
詰まる所、細菌性赤痢という事ですね。
赤痢菌と言っても色々あるので
血便が出たりしないで終わるものもあるそうです。
現代では死ぬような病気では無いので大丈夫との事。
安心した…
何処で誰に助けられるか分かりませんね。
この後はひたすら寝ました。
コメント