ホンダ S2000(AP1型)

以前、車を買おうか迷っている
とこのブログに書きましたが、
色々調べてはみたものの
結局は乗ってみないと分からないよなぁ…
という結論に至り、
丁度有休を消化しようとしていた
AF先輩(元・東大P会)を誘って、
春の陽気の中ドライブしてみることにしました。
春休みの概念すら消失してしまったのですから、
これくらいの息抜きはさせてください…

僕が購入を検討している車種は
今となってはかなり希少になってしまったので、
レンタル出来るお店はごく限られています。
というわけで、まずは千種駅へ。
AF先輩と合流してレンタカー屋へ向かい、
諸々の書類に署名してご対面したのが…


ホンダが1999年に送り出した傑作、S2000です!
子供の頃から好きだった車です。
しかも、前期型のAP1。

S2000はホンダ創立50周年を記念して造られた車で、
1980年代後半から1990年代前半に掛けて
無敵の強さを誇っていたホンダF1を意識しており、
並の乗用車なら6,000rpmかそこらのところを
異例の9,000rpmまで回る、
超高回転型のエンジンが伝説となっています。
エンジンの他にも様々な部品が流用ではなく専用設計になっており、
「リアルオープンスポーツカー」を目指した
ホンダの意気込みが感じられます。

が、その一方で
「最強の車を作り上げるのが第一目的なんだから
ドライバーはそれに合わせろ!」
と言わんばかりの潔さで実用性はガン無視。
狭いトランクに、存在しないグローブボックスやドアポケット、
運転席と助手席の間に1つしかないドリンクホルダーは
シフトチェンジの邪魔になるので500mLボトルすら置けない。
挙げ句の果てには、エンジンが高回転型過ぎて
発進の度にエンストしそうになる有り様です。
(最後の点については後期型AP2で改良されました。)
日々の買い物や渋滞などというものは眼中に無く、
正に走ることだけに全てを注いでいる車なのです。


というわけで、ウキウキのままバイパスを走って浜松へ。
低速トルクが無いというのは良く聞いていたので
エンストしないかビクビクしていましたが、
一旦走り出してしまえば
それはそれは気持ちの良い走りっぷりを披露してくれます。


AF先輩ご所望のハンバーグ店に到着しました。
こんな車を持ったら毎日でも来ちゃいますね。


公園の駐車場で1枚。
古き良きロングノーズ。
スポーツカーながら厳つい威圧感は無くて
何とも優雅な曲線美です。
何処か愛嬌さえ感じますね。
中身はとんでもないスパルタ仕様ですが。


片道100km以上も走ってハンバーグだけは寂しいので、
観光として中田島砂丘に来てみました。
天竜川が運んだ砂によって作られた砂丘です。
鳥取砂丘に比べて白い砂ですね。


巨大な砂山を登ります。
実はこれ、南海トラフ地震の津波を見越した
超巨大防潮堤に砂を被せたものだというのは秘密。


防潮…もとい、砂丘の上から振り返った景色。
こう見ると浜松市って平坦ですね。
P会民には馴染み深い(?)
アクトシティ浜松もはっきりと視認出来ます。


遠州灘に向かって下りていきます。
風で砂と潮が飛んできてカメラに悪そう…


荒々しい遠州灘。
流石に泳いでいる人は居ません。
でも、海って良いですねぇ…
ただ、あまりにも海に近い家に住むと
車が塩害で傷んでしまうのが悩みものですが。
…車も家も買っていないのに心配することじゃないですね。

さて、ここからは名古屋へと戻ります。
往路はバイパスで慣らし運転をしたので、
復路はもうちょっと回してみましょう。

まずは敢えて下道で峠を越えて新城市へ。
コーナリング性能を確かめます。
これは…爽快!
ハンドルを切ったら切っただけスパッと曲がります。
3,000rpm程度を下回らないようにしておけば
登坂でも全く怠さを感じさせません。
実に楽しい!


新城ICからは新東名高速道路に乗り、
いよいよ超高回転型エンジンの本領発揮です。
…と言っても、ギアを落として踏み込んでみましたが、
僕の度胸では7,500rpmが関の山でした。
でも、へっぴり腰で踏んでも
躊躇無く7,500rpmまで回るのは流石ですね。
6,000rpm付近にあるという
VTECの切り替わりは良く分かりませんでしたが。

そして、感じるのが高速走行時の安定性です。
NDロードスターは軽量化の代償なのか
高速走行すると若干ふわふわした感覚を受けることがありますが、
S2000ではそれが皆無です。
横風でヒヤッとすることもありません。
空力設計の賜物なのでしょうか。

名古屋まで帰ってきたら、もう一つの重要な指標の確認。
そう、燃費です。
ガスガズラー、即ちガソリン鯨飲車と揶揄されるのが常のスポーツカー。
果たして、S2000はハイオク燃料をどれだけ飲み込むのか…
…トリップメーターの読みで14.5km/L?
10km/Lは切ってくると覚悟していたので拍子抜けですね。
バイパスや高速道路メインだったとはいえ相当優秀です。
そんなわけで、興奮しきりのS2000ドライブでした。

憧れのS2000を遂に運転したわけですが、
まず、触った時の第一印象はとにかくメカニカル。
NDロードスターのシフトレバーも
触るとエンジンの振動が伝わってきて、
機械を動かしているなぁと感動したものですが、
S2000はそれ以上です。
金属製のシフトノブが取り付けられた
武骨なシフトレバーを弄る度に、
ガチャコンとメカメカしい感覚が伝わってきます。
ちょっとぎこちない電動ルーフの動きも相俟って、
一昔前のメカを動かしているんだと男心を擽ってきます。

しかし、そんなガチャガチャした感触や、
ガムテープだらけの幌に加えて塗装が至る所浮いた
ボロボロの車体(これは整備の問題ですが)とは裏腹に、
アクセルやハンドルの操作に対しては
驚くほど機敏かつ滑らかに反応します。
踏めば踏んだだけ吹き上がるエンジンに、
車線変更の時などに切り返すと
一切ふらつかずピシィッと姿勢が整うステアリング。
コーナリングなんかは吸い付くと表現するほかなく、
そんじょそこらの新型車の追随を許すような性能ではありません。
9,000rpmまで回るエンジンが殊に強調されがちですが、
直線よりコーナリングがとにかく楽しい車です。
こんなのを持ったら毎週末峠に出掛けてしまいそう。

一方で、実用性の無さは前評判通りで、
特に低速トルクの無さには難儀させられます。
アイドリングで繋ぐのは平地でも厳しいので、
駐車の時なんかは一苦労です。
この点はNDロードスターの足元にも及びません。
ちょっと吹かして2,000rpmくらいにすればまぁ…
積載性は何だかんだ言ってトランクがあるので、
2人で2、3泊の旅行に行く分なら十分でしょう。
運転中に取り出したければ助手席の人の膝上か、
後は運転席を前にスライドさせていれば
背もたれの後ろの空間にペットボトルくらいは入りますが…

で、結論を言うと、
滅茶苦茶楽しい!
実用性も何もかもほっぽり出して買いたくなってしまう。
しかし、車という大きな買い物で
そんな衝動買いみたいな買い方をして良いものだろうか。
いや、でもそんなことは今の内しか出来ないし…
うーん…
乗ってみて更に悩むことになってしまったかも知れない…

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