7:00、起床。
再掲になりますが、9年前の日記では
「西表島もトレッキングとか船でしか行けない集落とか
色々気になるものはあるけどな…」
と言っていました。
「船でしか行けない集落」(船浮集落)は昨日行きましたが、
もう一つ気になっていた「トレッキング」はまだです。
という訳で、今日はトレッキングに出掛けます!
西表島のトレッキングは基本的にガイドを付けなければならないので、
泊まっていた民宿でガイドを依頼します。
西表島でのトレッキングというと
昨夜遠目に見たピナイサーラの滝が断トツ人気で、
大分間を空けてゲータの滝辺りがありますが、
僕が今回狙うのは…
白浜港からシーカヤックでアプローチするナーラの滝です!
ガイドさんからは
「初めてでいきなりナーラの滝を選んだんですか?」
と怪訝な顔をされました。
何故ナーラの滝がマイナーなのかというと、
一言で言えば体力的にキツいコースだからです。
ピナイサーラの滝なら往復でカヤック2時間+登山2時間
(短縮コースならカヤック1時間半+登山1時間)、
ゲータの滝なら往復で沢登り1時間半といったところですが、
ナーラの滝は往復でカヤック4時間+登山1時間。
登山1時間は山屋にとっては誤差みたいなものなので良いです。
問題はシーカヤック4時間です。
距離にして16km。
一応宮古島と奄美大島でシーカヤック自体は経験していますが、
ぶっちゃけどちらもお試しみたいなものでした。
4時間ともなると完全に未知の領域です。
なら何故ナーラの滝なんか選んだんだと言われると、
本当は最難関のマヤグスクの滝(登山往復6時間)が良かったのですが
6月だと暑過ぎてガイドを受けてもらえないと知り、
次に難しいナーラの滝を選んだ次第です。
いざ覚悟を決めて出航!
今日は折悪く大潮でお昼過ぎに干潮を迎える為、
行き帰りとも潮汐の流れに逆らう上に
干潮で露出する干潟を避けて大幅な迂回を強いられる最悪の条件です。
雨風が無いことだけは救いですが…
…いや、晴天だとそれはそれで体力が奪われそうだな。
船浮への水路を右目に、西表島奥地へと入り込んでいく
仲良川(「なかよし川」ではなく「なから川」)を遡上します。
マングローブの中に立てられているあの石碑が
仲良川河口0kmポストだそうです。
こんな辺境の川にも律儀に立てるんですね。
両岸をマングローブに覆い尽くされ、
人の気配を一切感じさせない仲良川。
我々意外にももう一組だけ、ナーラの滝を目指していそうな
ガイドと観光客の2人組を見掛けました。
あちらは2人乗りカヤックでガイドが大体漕いでくれるようです。
旅行会社によっては片道をモーターボートにしたりもするとか。
僕のツアーは往復全行程一人で漕がされるスパルタ式です。
まあ、その方が燃えるってもんよ。
やけに脚の長いマングローブ林。
先程までのマングローブ林はヤエヤマヒルギでしたが、
今見えているのはオヒルギだそうです。
何故こんなに脚(支柱根+幹)が長く見えるかと言うと、
元々は手前にもっと低い木々が生えていたので
それらの樹冠を避けて太陽光を浴びるべく
オヒルギが高く生育していたのですが、
西表島で最大瞬間風速70m/sを記録した平成18年の台風によって
手前の木々が根こそぎ流出してしまって、
この様に高いオヒルギだけが残されたのだとか。
もうほぼ20年経っているのに未だに再生しないんですね。
うねうね蛇行する仲良川をひたすらに遡上します。
この蛇行の所為で直線距離5kmのところで
8kmの舟漕ぎを強いられているのです。
川幅が狭くなってきて、
気を抜くと浅瀬に座礁しそうになります。
カーブでインを攻められないのが焦れったい。
ガイドさんが撮ってくれた写真。
往復16kmを本当に一人で漕いでいることの証拠として、
サングラスしているしセーフかなと思って上げてみる。
民宿のブログを見ると
殆どの人は2人乗りカヤックで挑戦していて、
ソロカヤックは数ヶ月に1人とかいうレベルです。
我武者らに1時間半漕いで船着場に到着。
コースタイムの75%と大分短縮出来ました。
復路も同じだけ漕ぐと思うと気が重い。
仲良川に首まで浸かって火照った身体を冷やします。
気持ち良い!
こうして川に浸かったり、
そもそも汗でずぶ濡れになったりするので下は最初から水着です。
ここから登山になります。
陸路になってしまえばこっちのもんよ!
登山部の本領を発揮していきます。
倒木があったり若干荒れてはいますが、
何処ぞの深南部に比べたらどうということはありません。
熱帯だけあってヒルは怖いけど。
再び仲良川に出てここからは沢登りです。
この気温と湿度だと沢登りの方が快適。
鳩間島でも蝶が沢山飛んでいましたが、
ここでも吸水している蝶が沢山います。
ミカドアゲハという種類だそうです。
激しい水勢を意に介さず突き進んでいくと…
辿り着きました、ナーラの滝です!
登山部分はあっと言う間ですね。
ガイドさんは昼食の準備をしてくれているので、
その間に滝壺で泳いで身体を冷やします。
西表島の奥地で滝行すれば煩悩も消えるだろうか。
昼食の八重山そば。
散々汗をかいた後に塩と出汁の効いた八重山そばは最高!
コーレーグース島唐辛子を泡盛に漬け込んだ調味料。
度数30度前後あるのでかけ過ぎに注意。もかけたいところですが、
シーカヤックの飲酒運転は駄目とのことでありませんでした。
ノンアルコーレーグースの誕生が待たれる。
滝壺泳ぎと八重山そばで体力を回復したら
下山(?)を開始します。
帰るまでがトレッキングなので…
帰りの道中にガイドさんが見付けたサキシマキノボリトカゲ。
触っても尻尾を切り離さない為、
西表島のトカゲの中で唯一手に取ることが許されているとか。
勿論、西表島は全域国立公園なので捕獲は厳禁です。
カヤック係留地点まで戻ってきました。
残り8km…
ここまで来たらやったるぞ!
行きは気付いていなかった謎の桟橋跡。
ガイドさん曰く、昔はここで耕作が行われていたとか。
こんなに通うのが大変な場所で…?
後に調べてみたところ、仲良田節という民謡が歌われるほど
嘗ての仲良川流域には水田が拓かれていたそうです。
あれ、ここの干潟ってこんなに広かったっけ…
もう満ち潮になっているはずなのにさっきより潮位が低い。
白浜集落が視認出来たぞ!
…しかし、直線経路だと干潟で座礁してしまうので、
大きく迂回せねばなりません。
目の前に人参をぶら下げられたのに
そこに直行出来ないもどかしさよ。
という訳で、帰りも1時間半漕いで白浜港に帰着。
シーカヤック16kmを漕ぎ切りました!
これで海での経験値も大幅に積むことが出来ました。
腕と脚の疲労の差が凄い。
明日腕上がるかな…
操舵を足元のペダルでやるタイプだったので
腿もそれなりに張っていますが。
祝杯を上げるべく住吉地区の居酒屋へ。
宿のある上原地区には全然飲食店が無いのですが、
西表島の居酒屋の多くは宿までの送迎をしてくれているので安心です。
お通しがパイナップルなの流石過ぎる。
一人今日の勝利を噛み締めます。
西表島は基本的に陽キャの島なので、一人で来たと言うと
「友達とか誘わなかったんですか?」
と必ず訊かれるのですが、
あんなシーカヤックとかある島だと
体力的に誘える人が物凄く限られるんだよなぁ…
そういう訳で、次はマヤグスクの滝に挑戦したいので
同行して下さる方を大募集中です。
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