伏線を回収しましょう。
一部の人は1日目から違和感を覚えていたのではないでしょうか。
ニュージーランド「王国」とは何ぞや?と。
イギリス国王が兼務する形でニュージーランド国王は居ますが、
正式国名はマオリ語でAotearoa(アオテアロア)、
英語でNew Zealandであり「王国」を意味する単語は付属していません。
実は、ニュージーランド王国と言った時の「王国」は
“Kingdom”ではなく”Realm”の訳語です。
なので、王国と言うよりも「ニュージーランド領」とか
「ニュージーランド連合」と言った方が
より実態に近いものをイメージ出来るでしょう。
そして、それは所謂ニュージーランド単体ではなく、
ニュージーランドを盟主とした国と地域の総体です。
長々と書いてしまいましたが、
敢えて「ニュージーランド王国旅行」と題しているということは
当然この旅でニュージーランドはおまけに過ぎないということです。
早朝のAuckland空港(オークランド空港)へ。
8:40発NZ936便に搭乗。
結構大きめのやらかしをして危うく乗れなくなるところでした。
ニュージーランド航空の職員さん、お手数お掛けしました…
ニュージーランドを発って約3時間、
平坦な台地状の島が見えてきました。
(以降、ニウエ時間UTC-11.0h)
13:42、Hanan国際空港(ハナン国際空港)に到着。
太平洋の島国、ニウエに上陸です!
嘗てはニュージーランド領、1974年に自治権を獲得した国で、
ナウルと同じ一島一国の島国です。
外界からのアクセス手段はAuckland(オークランド)からの
週2便のAir New Zealand(ニュージーランド航空)のみという、
数ある国の中でも指折りのアクセス難度を誇る国となっています。
ちなみに、これでもかなり改善された方で、
2024年4月に増便する前は週たったの1便しか飛んでおらず
一度来たが最後1週間は帰れないという孤島でした。
それなりに貴重だと思われるニウエの入国スタンプ。
これを見て何か気付くことは無いでしょうか。
そう、ニュージーランドを5/3(土)の8:40に出発しているのに
ニウエ入国日は「5/2(金)」になっているのです!
種明かしをすれば単純な話で、
要はニウエが国際日付変更線の東側にあるんですね。
たった3時間の飛行で日付変更線を越えるのが珍しい世界最短では35分で国際日付変更線を跨ぐ路線も存在する(FGI→PPG)。ということです。
しかし、幾ら独立して自由連合に移行したとはいえ、
防衛や外交はニュージーランドにおんぶに抱っこの状態で
剰え唯一の定期便がAuckland便だというのに、
ニュージーランドとほぼ丸一日時差があるのは不便ではないのでしょうか?
まずは空港ターミナルにあったTelecon Niue
(テレコム・ニウエ)の窓口でSIMを手に入れます。
ニウエでは海外キャリアのローミングサービスが一切利用出来ない為、
携帯電話を使うにはこのTelecon NiueのSIMを購入する必要があります。
意外にもeSIMでした。
空港のWi-Fiは使い物にならない遅さなのにこういうところはハイテク。
あと、ターミナルを出たところで観光局の人が
島内(国内)の観光パンフレットを配布していました。
正直太平洋諸国の中でもかなり存在感の薄いニウエですが、
最近は観光立国化しようと頑張っているのでしょうか?
ニウエでは国内(島内)の公共交通機関が一切存在しないので、
足を確保するべくレンタカーも借ります。
想像していたより大分新しい起亜のSUVでした。
運転免許証についての確認が一切無いまま
貸出手続きが終わってしまったので慌てて訊くと、
「警察署で国際免許を見せればニウエの免許証を発行してくれるわよ。
でも、今日は金曜だから週末でお休みね。
週末は警察も休んでいるから免許も気にしなくて良いわ!」
とのことでした。
緩い。
というか、金曜で週末休みとは…?
まあ、郷に入っては郷に従えの精神で運転します。
対向車とすれ違う度に相手の運転手から手を上げて挨拶されます。
抜里にあった手のモニュメントはニウエにこそ立てるべきでは。
首都のAlofi(アロフィ)まで出てきました。
それでも通りに人通りは殆どありません。
ニウエの人口はただでさえ少ない太平洋諸島の中でも飛び抜けて少なく、
2022年時点で僅か1,681人しか居住していません。
これがどれほど少ないかと言うと、
あのツバルやナウルでも約1万人なので
その6分の1ほどという少なさです。
そのあまりの人口の少なさとニュージーランドへの依存度の高さから、
ニウエを国家承認している国と地域は30しかありません(2025年現在)。
これは西サハラ(サハラ・アラブ民主共和国)より少ない数で、
国連にも加盟しておらず、正直未承認国家に近い存在です。
この幟に描かれているのがニウエを承認している国ですね。
宿に着いてチェックイン。
eSIMと観光パンフレットの件で
実は結構発展している国なのかも?
と思いつつありましたが、
宿は冷房無し、温水シャワー無し、ネット無しの安定の太平洋仕様でした。
そして、驚いたことに同じ便で来てこの同じ宿に泊まるもう1人の旅人が
まさかの日本人でした。
ニュージーランド王国は日本人が多いな…
スーツケースを宿に置いたら車で島を回ります。
まずは国で唯一のスーパーマーケットへ。
そうなんです、スーパーマーケットがあるんです。
だからどうしたと言われそうですが、
神津島未満の人口の島ですからね、ここ。
中はこんな感じ。
昨夜行ったAucklandのスーパーマーケットと
雰囲気が良く似ています。
流石に規模は5分の1くらいですが。
離島のスーパーマーケットと言ったらやっぱりこれが気になる。
野菜の品揃えです。
国によっては冷凍野菜と玉ねぎくらいしか無かったりしますが、
ニウエは意外にも品揃え豊富です。
農業大国ニュージーランドの力でしょうか。
白菜1玉 NZ$8(約700円)、キュウリ1kg NZ$13(約1,200円)など
価格設定は離島ならではですが。
チョコレートも冷蔵庫に入っているのは南国ならではですね。
いや、ここは南半球だから北国と言うべきか。
このスーパーマーケットは周囲に色んな小売店を引き寄せて
ショッピングセンターのような長屋を形成しています。
その中にはちょっと特殊なお店もあって、
それがこのNiue Philatelic and Numismatic Corporation。
“philatelic”も”numismatic”も見慣れない単語ですが、
「切手収集」と「貨幣収集」の形容詞系です。
ただの「切手」と「貨幣」ではなく
それを収集するという意味まで包含した単語だそうで、
「ニウエ切手・貨幣収集家向け会社」とでも訳せば良いのでしょうか。
記念切手や記念硬貨で外貨を獲得しようとする
ミクロ国家にありがちな戦略です。
折角だから記念に買おう…と思ったのですが、
ここもまた金土日休みでした。
調べてみたら、ニウエって公務員の週休3日制を導入しているんですね。
…もしかして、ニュージーランドと1日の時差があるのって
金曜日に
「いやー、ニュージーランドが土曜日になっちゃったからなー、
仕事したいけど出来ないなー」
って言って休む為なのか…?
(以降、メモ書きネタバレ注意)
[画像]
雰囲気が完全に薩南諸島とかの居酒屋だ…
Alofi中心部から若干の距離があるから
歩いてふらっと立ち寄る感じの立地でもないけど、
ニウエって飲酒運転の基準はどうなっているんだろうか。
気になって訊ねてみたところ、
「3杯までなら飲んでも大丈夫よ!」
と言われました。
[画像]
ならば折角なので、ニウエのクラフトビールを注文。
3杯まで運転可というから小さいグラスなのかと思いきや
がっつりパイントジョッキで来ますやん。
これを3杯飲んで運転はストロングスタイル過ぎる。
[画像]
食事はChirashi(ちらし)を注文。
ちらし寿司…と言うよりも三色丼に近い雰囲気で、
ピリ辛に味付けされたマグロの照り焼きと
ピーマン、キュウリの微塵切りがご飯に乗っています。
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