ニュージーランド王国旅行 第7日目


7:56、起床。
メッチャ晴れているんですけど…
昨日がこの天気だったらと思わないでもない。


ただ、Tongariro(トンガリロ山)の方はこんな感じなので、
Tongariro Alpine Crossing(トンガリロ・アルパイン・クロッシング)の
催行条件という意味では大して変わらなさそうです。
そうやって自分を言い聞かせます。
あと、天気予報によれば今日のTongariroは最大風速31m/sで
体感温度-11℃とかになるそうなので…


とは言ったものの、自分の直上がこの晴天なのに
シャトルバスが来るまでホテルで無為に過ごすのも耐えられません。
取り敢えず、晴れているRuapehu(ルアペフ山)方面に
Bruce Road(ブルース・ロード)を登っていってみます。
車道終点のスキーリゾートからもう10分登ったところに
Meads Wall(ミーズ・ウォール)という
The Lord of the Rings(ロード・オブ・ザ・リング)の
ロケ地にもなった景勝地があるそうなので、
そこを目指してみましょう。


…と言いたいところなのですが、
Meads Wallまでは片道8km、標高差500mらしいので、
シャトルバスが来るまでの3時間で往復するのは
正直なところ現実的ではありません。
1時間半でリミットを切って行けるところまで行ってみます。


良く見たらRuapehuが冠雪していますね。
昨夜の雨は山上では雪になっていたようです。


まだ標高1,300m足らずですが森林限界を超えました。
マオリ語でずばり「爆発する穴」の意味を持つRuapehuは
今も尚活発な火山活動を続ける活火山で、
直近では2007年にも噴火を経験しています。
その為、土壌がまだ不安定で森林限界が低くなっているのでしょう。


荒々しい眺めです。
地形の荒々しさに感化されてか道も勾配がキツくなっていきます。
ヒッチハイクしようかな…


Whakapapa Ski Field(ファカパパ・スキー場)に辿り着きました!
車道の終点です。
と同時にここで1時間半の制限時間を迎えました。
丁度良いからここで引き返すか。
別にThe Lord of the Ringsも見たこと無いしな。


…と言ってはみたものの、
ここからMeads Wallまでは片道僅か10分と知り、
ここで引き返したら悔いが残りそうな気がして続行してしまいました。
登山であってはならないマインド。
まあ、下りなら速度も稼げるはず…


という訳で、Meads Wallにも到達しました!
その名の通り、垂直な壁の形に残された安山岩です。


The Lord of the Ringsで登場したというアングル。
The Lord of the Ringsはあらすじすら知らないので
どなたか詳しい方コメントで補足して下さい。


上から流れてくるこの沢がRuapehuを削りに削って
今の形になったということのようです。


では、シャトルバスを逃さぬよう急いで戻ります。
あれだけ晴れていたのにもう曇ってきたな。
やっぱり昨日の方がベターコンディションだったのかも。

15.9kmを休憩込みの3時間11分で歩き切って
どうにかシャトルバスに乗り込むことが出来ました。
また良くない成功体験を積んでしまった。
National Park駅(国立公園駅)に下ります。


列車が来るまで駅舎内の喫茶店で一服。
僕と豪州のどちらが正しいのか白黒付ける為に
性懲りも無くフレンチトーストを頼んでみました。
結果としては僕の勝ちです。
日本人の味方はオージーじゃなくてニュージー語感でこう書いたが、Aussie(オージー)に対応する単語は本当だとKiwi(キウイ)。
品の良いお婆さんが”I’m Kiwi!”と言っていたので差別用語ではないはず。
なんだなって。


どうせ大幅遅延してくるんだろうと高を括っていたら、
意外にもほぼ定刻の2分遅れでやって来た
13:15発Northern Explorer(ノーザン・エクスプローラー号)。
乗り込みます。


National Park駅を出ると間も無く列車は
North Island Main Trunk線(NIMT、北島本線)最大の見所、
Raurimu Spiral(ラウリム・スパイラル)に差し掛かります。
Tongariroの溶岩台地とWhanganui(ワンガヌイ川)の峡谷の間の
200m近い標高差を克服する為に造られたループ線で、
ニュージーランドの土木建築の傑作とされています。


ただ、ループ線は車内からだと中々分かり難いので
展望車には親切に航空写真が掲示されています。
これだけの規模のループ線にしてはトンネルは短めです。
豪州もそうでしたが、たとえ距離が長くなっても
トンネルを少なくするのが正義という設計思想のようですね。


これから下っていく線路が眼下に見えました。
スキール音を響かせながらカーブをゆっくり走ります。


Raurimu Spiralを通過。


Raurimu Spiralを通過して台地下のTaumarunui駅
(タウマルヌイ駅)に到着。
おっちゃんが寝ている…


走っている内に豪雨になってきました。
さっきのハイキング中に遭遇しなくて良かった。


Raurimu Spiralで標高を下げても
未だにちょっとした高台に居るので、
牧草に覆われた丘陵地帯をじわりじわり下っていきます。


標高を下げ切ってOtorohanga駅(オトロハンガ駅)に到着。
特に乗降客も無くすぐに発車
…すると思ったのですが、中々動き出しません。
何やらピーピーと警報音が鳴り響いています。
まさか人身事故?


ではなくて車両故障でした。
いや、余計問題では。
幸いエンジン系統とかではなくてトイレのセンサーか何かのようでしたが。


不安要素を孕みつつも再度発車。
いつの間にか厚い雲が晴れて、
雨に濡れた牧草に陽光が反射して眩いです。


Hamilton駅(ハミルトン駅)に到着。
ここまで来ると大分都会になってきました。
Auckland(オークランド)都市圏に入ったのでしょうか。


この辺りで
「駅からはタクシーを使う人も居ると思うけど、
Human parasites(※原文ママ、人の姿をした寄生虫共)がいるから
ボッタクられないように注意してくれよな!」
と車掌から案内放送があり、
送迎を頼んでいるかもしくはUberをダウンロードしているか
車掌が乗客に確認して回り、
そのどちらも無い場合は車掌がタクシーを手配するという
手厚い乗客保護サービスが展開されていました。
Aucklandってそんな世紀末都市だったっけ…?
乗客に老夫婦が多いので気を遣っているのでしょうか。


そして日没。


最後の停車駅、Papakura駅(パパクラ駅)。
ここはもう完全にAucklandの通勤圏です。
Auckland空港(オークランド空港)へ行くなら
終点まで乗り通すよりもここで降りた方が便利です。
もっと言えば、ここじゃなくて
Puhinui駅(プヒヌイ駅)で降ろしてくれた方が便利なんだけど。


19:05、20分遅れで終点Auckland Strand駅
(オークランド・ストランド駅)に到着。
North Island(北島)縦断を完遂しました!


驚くほどショボい駅舎内。
Wellington駅との落差が酷過ぎる。


外見はもっと酷いです。
完全にコンテナです。
もうちょっとどうにかならなかったのか…
現在のAucklandの中央駅はBritomart駅(ブリトマート駅)ですが、
2003年まではこの位置にAucklandの中央駅が立地していました。
一度は完全に廃止されましたが、
2011年のラグビーワールドカップに合わせて再整備、
その後Northern Explorer専用駅となって今に至ります。


そう、専用駅なのです。
豪華観光列車でしか乗降出来ないレア駅であると同時に、
ここで近郊電車に乗り換えたり出来ないという不親切仕様です。
いや、あの英連邦であるということを鑑みると、
庶民と動線が交差しないようにする親切だったりするのでしょうか。
車掌は乗客皆がタクシーや送迎車を手配したのを確認して去っていきました。
僕もUberで宿に向かいます。


夕食は近くのCarl’s Jr.(カールスジュニア)で。
日本にも4店舗の支店がある米国発のチェーン店ですが、
せめてものニュージーランド要素として
飲み物はLemon & Paeroa(レモン&パエロア)にしてみました。
これレモンか…?っていうくらい甘い。


明日からは物資が容易には手に入らないと想像されるので、
大型スーパーマーケットにも寄って食料品を買い込んでから
宿に戻りました。
いよいよ本番です。

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