今日から三連休。
前回(2024/9/21-23)と違って3日間とも秋晴れのお出掛け日和。
となれば、勿論行かない訳にはいかないでしょう。
会社の登山部の人達と新潟駅にやって来ました。
下車したことは何度かあるものの、観光したことはない新潟市です。
信濃川と阿賀野川が作る越後平野の只中で
市域の3割が海抜0m地帯の新潟市に何故登山部が?
と訝しがる声も多いでしょう。
その理由は至ってシンプルで、
今回もまた新潟市は通過点に過ぎないからです。
即座に新潟港へ。
9:40発佐渡汽船ジェットフォイルぎんがに乗船。
ジェットフォイル、正式名称ボーイング929とは
スクリュープロペラではなくウォータージェット、
即ち水を高圧で噴射する装置の反動により進む船で、
速度が上がると船底から飛び出した翼が揚力を生んで
船体が宙に浮いた状態で進む「翼走」が始まります。
船体が丸ごと浮き上がって進むその姿から
「海を飛ぶ船」とも呼ばれるジェットフォイルは、
水の抵抗を受け難いことから高速航行が可能です。
一般的なフェリーの航海速力が20kt(37km/h)程度のところ、
ジェットフォイルの最大速力は何と46kt(85km/h)。
ボーイング社製であることからも分かる通り、
船と飛行機の間の子のような存在になっています。
ただ、あまりに速過ぎて鯨を避けきれずに衝突する事故が
ちょくちょく発生している為、
この航路の営業運転では最高70km/hに抑えられています。
それでも、カーフェリーの150分に対して所要67分と
半分以下の時間で島に渡ることが可能ですが。
15分前に出港したカーフェリーをあっと言う間に追い越します。
10:47、両津港に到着。
やって来ました、佐渡島です!
超有名な島ながら、いやだからこそ来たことの無かった島。
離島班ではなく登山部として渡島したのは、
北方領土を除くと沖縄本島の次に大きなこの島には
立派な山地が存在しているからです。
車を借りていざ出発です。
まずは昼食から。
ブリカツ丼なるものが名物だと書いてあったので、
青魚好きとして早速試してみました。
ソースとウェルダン気味のブリカツの相性が良き。
腹拵えを済ませたら美しい日本海沿いを走っていきます。
佐渡島は大きいな…
北端に到着。
積雪対策なのかロッジのような外観のホテルが建っています。
そのホテルの裏側にあるのがこの二ツ亀。
この角度からだと若干分かり難いですが、
2つの小山が2匹の亀のように見えるのでこの名が付いたそうです。
日本ではあまり見掛けない気がする
せかいのみちしるべ(あつ森での呼称)。
海外の地名はウラジオストク(2016/9/5-7)だけですが。
これがあると果てに来た感が増しますね。
地形図では本島から切り離された離れ小島として描かれていますが、
実は潮位によって陸繋砂州(トンボロ)が現れて陸繋島になります。
丁度繋がっている時間帯なので渡ってみましょう。
渡りました。
この岩肌を登るのは厳しそうですね…
右側から回り込むルートがあるようですが、
今の時期はかなり藪漕ぎを強いられそうなので遠慮しておきます。
戻ります。
陸繋砂州が防波堤の役割を果たしているのか海面が穏やかで、
水切りをしている人達が居ました。
夏には海水浴場が開かれるので
この美しい海で遊泳することも可能です。
流木を組み合わせて作られたこの小屋(?)は海の家なのか…?
近くには大野亀という景勝地もあります。
大きい亀に見えるから…かと思いきや、
亀ではなくてアイヌ語のカムイ(神)だという説があるとか。
それなら二ツ亀は何だったんだ。
明確な道が付いているので登ってみます。
とんでもない急勾配だし、結構危ないトラバースもあるな…
大野亀(標高167m)登頂。
海から突き出た一枚岩ということで滅茶苦茶眺めが良いです。
伊豆の烏帽子山(2024/3/10)を思い出しますね。
こちらからだと二ツ亀もちゃんと2匹、
もとい2つに見えます。
こちらの大野亀を含め3つの亀は
全て噴出したマグマが固まって出来たものです。
現在の佐渡に活火山はありませんが、
嘗ては火山活動が盛んな土地柄だったんですね。
だからこそ、かの有名な佐渡金山の金脈が生まれた訳です。
暫くのんびりしていたい気もしますが、
14時半とは思えない勢いで暗くなってきているので
足早に斜面を下ります。
というか、佐渡島は大きいから
早く行かないと佐渡金山が閉まってしまう!
眠気に抗いながら険しい西海岸を走ります。
ギリギリ間に合いました。
こちらが今年世界文化遺産に登録された佐渡金山です。
ただ、江戸時代の坑道を見学する宗太夫坑コースと
明治時代の坑道を見学する道遊坑コースがあるのですが、
閉館ギリギリの為どちらか一方しか見学出来ないそうです。
どちらにするべきか…
明治時代の道遊坑コースにしました。
その理由は…
明治時代ならトロッコが導入されているからです。
何なら、明治どころか平成元年まで
佐渡金山は金鉱石を掘っていたそうです。
これが佐渡金山で使われていた日本輸送機(現・三菱ロジスネクスト)製
2トン蓄電池式機関車。
炭鉱(2022/6/10)と違って金鉱ならディーゼルでも火災の危険は低いのでは?
と思いましたが、
そもそも狭い坑道で貴重な酸素を消費するのは御法度ですね。
こういう廃線もそそられますね〜。
関西電力黒部専用鉄道(2019/8/5)を思い出します。
退避坑もありますね。
と思いきや、これは無宿人休憩所の跡だそうです。
こんな場所で休憩させたのか…
流石に江戸時代のものだそうですが。
トンネルをコンクリートで巻き立てる際にも塞がなかったのは
恐らく退避坑としても使えるという判断がされたのでしょう。
本物の待避所はこんな広さがありました。
これが平成基準なのか。
数百m程で外に出ました。
今通ってきた山には深い切れ込みが入っています。
道遊の割戸と呼ばれる採掘跡です。
山の頂に露出していた金鉱石をどんどん掘っていって
遂にはこの状態に至ったとか。
山全体を崩したり水平に掘るのではなく
垂直方向に掘っていくというのが、
マグマによって熱せられた熱水が金を溶かして
岩盤の亀裂から湧出することにより生成する金鉱脈らしさを表しています。
そういう訳で立坑も当然あります。
一時は深さ667mにまで達したそうですが、
昭和27年に鉱山が縮小した際に
このような小さいエレベータに取り替えられたそうです。
外には鉱石満載で静態保存された貨物列車も。
心憎い演出ですね。
小屋のような整備場も公開されていました。
鉱山で使われていた様々な機械が保存されています。
充電位置に置かれた蓄電池式機関車と転車台。
井桁状にレールの敷かれた転車台なんて初めて見た。
機関車を1台出し入れする際に
一々他の転車台も回さなくても済むようにということでしょうか。
キャップランプ(ヘッドライト)も勿論充電します。
左にある甕にはバッテリー液を入れていたとか。
バッテリー液って希硫酸なのにこんなオープンに保存していたのか…
閉館時間ギリギリまで見学して
世界文化遺産佐渡金山を満喫出来ました。
夜になっても楽しめる金山跡もあります。
ライトアップ中の北沢浮遊選鉱場跡です。
浮遊選鉱場とは鉱石を砕いて界面活性剤と混ぜて泡立て、
親水性の岩石と疎水性の金属を選り分ける施設のこと。
ちょっと直感に反する気もしますが、金は浮く方です。
まさかのゲーミング浮遊選鉱場。
もうちょっと風情をだな…
こちらはゲーミングにならないシックナー。
シックナーって何?と思いましたが、
英訳の”Thickener”を見て分かりました。
巨大な漏斗のような構造で泥化した鉱石を沈殿させて
「濃くする」為の施設なんですね。
佐渡金山周りを色々見ていたら遅くなって
多くの店が閉まってしまったので、
夕食は探し回って見付けたハンバーグ屋。
離島にあるまじき本格洋食でした。
佐渡島は中々洗練された島ですね。
ちなみに、今夜の宿は三連休で全然普通のホテルが取れなかったので
山奥にあるモーテル型のラブホテルでした。
そういう施設まであるのか…
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