先週道東で日本百名山巡りをしてきたばかりですが、
今週もまた三連休です。
となれば出掛けない訳にはいかないでしょう。
2週連続で登山するという選択肢もありましたが、
それは流石にキツいかと思って九州に鉄道乗り潰しの旅に来ました。
半年前(2024/2/23-25)にも来たな…
半期終わりに九州に来てしまう質なんだろうか。
今回は小倉駅スタートです。
前回の小倉では市街地には目もくれず馬島に渡りましたが、
今回はちゃんと市街地を周ってみようと思います。
まずはゼンリンミュージアムへ。
住宅地図でお馴染みのゼンリンは小倉に本社があります。
展示物は写真撮影禁止ですが。
この博物館ではゼンリンの地図の変遷というよりは
日本が歴史上の地図の中でどう描かれてきたかが展示されています。
欧州人にとっては日本、特に道東から樺太に掛けてが
最後の「空白地帯」だったそうで、
いつまで経っても形が定まらない様子が良く分かりました。
地名を取ってみても、「尾張」が”Vlloari”(ベルギー、1595年)
→”Vouari”(イタリア、1617年)→”Voari”(イタリア、1641年)
→”Owarri”(オランダ、1655年)→”Owari”(イギリス、1727年)と
何百年に渡って表記がブレブレです。
それとも、日本人の発音自体が「ゔぅぉあり」みたいなのから
「おわり」に変遷していったのを
忠実に文字起こしした結果なのでしょうか?
中々面白いミュージアムでした。
個人的には昭和20年代の森林鉄道の地図とかも期待していたけど、
それは地図じゃなくて最早森林鉄道のミュージアムか…
さて、小倉と言えばもっと有名な企業の本社もあります。
知多半島民にとってみると思い切り競合ですが、
だからこそ気になる面もあります。
便器で国内シェア第1位のTOTOのミュージアムです。
国内シェア第2位は常滑市に本社を置いていたINAXです。
今はLIXILだし本社所在地も品川になってしまいましたが。
INAXは常滑焼からの流れでトイレを作り始めたので
TOTOも何処かの古窯に出自を持っているかと思っていたのですが、
朝鮮半島からの原料輸入や筑豊炭田からの燃料輸入など
主に物流の観点から小倉を選んだそうです。
TOTOと言えば、昭和39年の方の東京オリンピックに際して
ホテルニューオータニの工期を短縮する為に
ユニットバスを開発したことが有名です。
ユニットバスは浴室を丸ごと工場で製造して
後は現場で設置するだけにしたもので、
トイレとお風呂が同じ部屋にあるという意味ではありません。
同じ部屋にしてしまった方が更に工期を短縮出来るので
概して一緒にされるのですが。
平成26年になってホテルニューオータニの倉庫で
その初めてのユニットバスが発見されたそうで、
このTOTOミュージアムでは実物を見ることが出来ます。
当時はユニットバスに電話が付いていたのか…
トイレットペーパーが切れた時に持ってきてもらう用?
でも、そんな高い位置に取り付けたら
座りながらだと受話器を取れないのでは。
ウォシュレットもTOTOの製品です。
が、展示を見ていると
「※ウォシュレットはTOTOの商標です。」
という但し書きがあるものの、「日本初」という文言はありません。
実は、温水でお尻を洗う装置はINAXの方が先に市場投入していたのですが、
ウォシュレットの方が一般名詞化するほど売れたという流れです。
ちなみに、LIXILでの呼び方は「シャワートイレ」で、
物件紹介サイトなどで使われる本当の一般名詞は「温水洗浄便座」です。
今に続く製品の起源だけではなく、
今ではもう無くなったものもあります。
こちらは衛生陶器ミニチュア、つまり便器の模型です。
何の為に用意されたものが分かりますか?
答は販促用のノベルティ
ではなく、ショールームが無かった時代に
絵や写真では分かり難い立体的な便器のイメージを掴んでもらう為に
販売員が用いていたのだそうです。
ガチャガチャにしたら割と売れそう。
オーソドックスにこれまでTOTOが世に送り出したトイレを
ズラッと陳列した部屋もあります。
こんなに見せつけられるとお手洗いに行きたくなってくる。
トイレの会社のミュージアムですから、
勿論お手洗いに設置されているトイレも違います。
TOTOのフラグシップモデルであるネオレストNXです。
メーカー希望小売価格は何と税込776,600円。
一昔前なら軽自動車が買える値段だな…
一般的なトイレは5万円〜らしいので10倍以上ですね。
違いはと言うと、形状がえらく丸っこいのと
後ろの部分がやけに巨大なことでしょうか。
こちらもまた面白いミュージアムでした。
展示室よりもトイレ掃除の方が力を入れていそう。
ノリで歩いてきてしまいましたが、
TOTOミュージアムは小倉駅から距離があるので
より近い南小倉駅から電車に乗ります。
14:15発JR日豊本線普通小倉行きに乗車。
西小倉駅で14:26発JR鹿児島本線普通直方行きに乗り換えます。
乗車券は博多まで通しで買ってあるから
南小倉-西小倉の切符を買えばOKのはず…
「この乗車券では在来線に乗れませんよ」
在来線に乗るなら買えと言われて140円の区間変更券を買わされました。
新幹線と並行在来線って選択乗車出来る
(どちらの乗車券を買ってももう一方の路線を選んで乗れる)
んじゃなかったっけ?140円って結局何の額?
と色々調べてみましたが、
どうやら小倉-博多67.2kmに対してJR九州が導入している加算額が
この140円に相当しているようですね。
JRはJRでも、経営が安定している本州の3社(東海、東日本、西日本)と
経営の厳しい他3社(北海道、四国、九州)では
同じ距離の乗車券でも運賃が違い、
具体的には後者は本州の運賃に対する加算額を設定しています。
それで、JR山陽新幹線は博多まで全てJR西日本の持ち物なので、
小倉-博多を新幹線で移動する場合の運賃は
加算額無しの1,170円なのに対し、
JR鹿児島本線はJR九州の持ち物なので加算額140円が上乗せされて
運賃が1,310円になるという話です。
この問題が生じるのは多分ここだけ?
14:37、スペースワールド駅に到着。
スペースワールドという奇妙な駅名は
八幡製鉄所の跡地に建てられて平成29年まで存在していた
テーマパーク「スペースワールド」の最寄駅だったことに由来しています。
その跡地にはスペースLABOという科学館が建てられていますが、
今回見たいのはそれではありません。
東田第一高炉史跡広場です。
富国強兵の流れの中で明治34年に操業開始した高炉、
即ち鉄鉱石から銑鉄を生産する施設の跡を見学出来る広場です。
が…駄目っ…!
臨時閉鎖されている…
トーピードカーとか見たかったのに…
仕方無いので次に向かいます。
高炉を外から眺めるだけなら駅のホームからでも見られたな…
14:57発JR鹿児島本線区間快速二日市行きに乗車。
お隣の八幡駅で降りてシャトルバスに乗り換えます。
バスの運転手が「雷は大丈夫か」みたいなことを
無線で訊いていて焦りましたが、
「丁度運行再開した」という返事があって安心しました。
神戸市みたいな急坂の住宅地を抜けて向かうのは…
皿倉山ケーブルカー山麓駅です。
嘗ては帆柱ケーブルと呼ばれ、
北九州工業地域の美しい夜景を俯瞰出来る皿倉山に登ります。
こういう孤立型のケーブルカーが
鉄道乗り潰しにあたって一番見逃しやすいんだよな…
15:20発皿倉山ケーブルカーに乗車。
真新しい車両ですね。
天井までガラス張りになっていて
大山ケーブルカー(2022/6/19)を超える展望の良さです。
流石は新型車。
ついさっきまで雷で運転を見合わせていただけあって
上の方はまだガスが少し残っているようです。
折角登ったのなら眺めが欲しいところだけど…
おや?意外と展望が望めるかも?
山上駅に着いたら、駅舎の屋上に上ります。
そこにあるのは展望台ではなく…
スロープカー乗り場です。
スロープカーとは急斜面を登るモノレールのような移動手段で、
福岡県の嘉穂製作所が国内外に納入しています。
奥只見ダム(2022/7/16)にもありましたね。
イメージとしては屋根の付いたみかんモノレールでしょうか。
…みかんモノレールの知名度がどの程度か分かりませんが。
ちなみに、法律上スロープカーはエレベーター扱いになります。
その為、ケーブルカーと違って鉄道の乗り潰しの対象外です。
逆にエレベーターを乗り潰そうとするオタクが居たら
スロープカーも乗らなければなりません。
To be continued.
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