台風10号が接近してきています。
影響が長引くという予報もあるので、
今の内にドライブをしておきます。
熱海峠を駆けます。
高低差のあるヘアピンカーブでラグナセカっぽさがあり面白いです。
斜度13%って本物のコークスクリューとほぼ同じだし。
峠を越えて喫茶店で一服。
伊豆・村の駅にある喫茶店(2024/1/27)の系列店のようですね。
お腹を満たしたら盆地に下ります。
熱海峠直下にあるこの小さな盆地の名は丹那盆地。
古くより水が豊富な土地として知られていましたが、
この真下をJR東海道本線が丹那トンネルで貫く際
そのトンネル工事で地下水が流れ出し、
一転して水不足に陥ってしまったという過去があります。
これが引いては今のリニア中央新幹線南アルプストンネルに対して
静岡県が大井川の水量減少を憂慮する一因となっているのです。
ちなみに、地下水の減少でそれまでのワサビ栽培が出来なくなり
代わりの産業として導入されたのが酪農で、
それが静岡県東部や神奈川県西湘でお馴染みの丹那牛乳の始まりです。
松田町のある足柄上郡でも良くお目に掛かります。
また、15年以上の歳月を要した丹那トンネル建設中には
北伊豆地震が発生して丹那断層が2m以上もずれ、
その所為で丹那トンネルは一直線ではなく
ほんの少しだけS字カーブを描く形で開通していたりもします。
長大トンネルには様々な歴史が秘められていますね。
丹那断層は丹那断層公園で露頭を見られるので是非。
断層って英語で”Fault”なんだ…
英語から輸入された単語なのだとしたら名訳ですね。
もし直訳で「欠陥」とかになっていたら
物性物理で出てくる「欠陥(defect)」とごっちゃになるところでした。
さて、ここで唐突にクイズです。
谷筋の向こうに見えるあの集落、
何という名前の地区か分かりますか?
正解は新幹線区です。
ここは件の新幹線用トンネルを掘る際に
作業員達が住む場所として拓かれた集落なのです。
正確には、今の東海道新幹線向けとしてではなく
戦時中の弾丸列車計画用のトンネルでしたが。
ただ、何故かバス停では「新」が外れて
「幹線上」「幹線下」という名前になってしまっていますが。
Googleマップのストリートビューを見ると、
嘗てはこの位置に「新幹線区全図」と銘された
街区案内板が立てられていたようですが跡形もありません。
僕みたいな人間に面白がって撮られるから、
個人情報保護の観点から撤去されてしまったのかな…
それでも諦めきれずに周囲を探していたら、
新幹線公民館なる建物を発見しました。
この集落が新幹線区と呼ばれている何よりの証拠です。
住所としては新幹線という名は使われていない(字は「上沢」)ので
こういうものが歴史を伝える証人ですね。
南アルプストンネルの工事でも「リニア区」が生まれたりするのかな…
人が定住する集落は無理でも、
塩見岳辺りへの「リニア登山口」くらいは生まれて欲しい。
脚注
※「弾丸列車計画」
東京から下関までは今の東海道新幹線とほぼ同じだが、
そこからは当時日本領だった朝鮮半島に渡ってユーラシア大陸を横断する計画だった。
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