4:49、起床。
昨日はガスガスでしたが、今朝はすっきり晴れてくれました。
ハイマツ帯を抜けて西穂高岳山頂を目指します。
意外と森林限界が高いですね。
丸山を越えると穂高連峰核心部の嶮岨な尾根が見えてきました。
この丸山の平和極まりない景色とは打って変わって
あそこは文字通り一歩間違えれば即死の世界です。
西穂高岳に複数あるピークの内、独標と呼ばれるピークまでは
北アルプス入門者でも登ることがあるのですが、
その独標まででも結構険しい岩場です。
西穂高岳独標(標高2,701m)に登頂。
ここまでは中級者でも行ける山域です。
独標とは「独立標高点」の略で、
国土地理院の前身である参謀本部陸地測量部が地図を作製する際に、
三角点は設置しなかったものの特徴的な地形だとして
現地測量または空中写真による写真測量を行った地点のこと。
上図中青矢印で示した「・印と1m単位の標高」がそれです。
一方、赤矢印で示した「△印と0.1m単位の標高」は三角点です。
見ての通り、実は「独標」は西穂高岳独標以外にも沢山あります。
というか、大半の山は独標です。
ここから三等三角点の西穂高岳を目指します。
上の地形図で見ても明らかな通り
西穂高岳独標から先は急激に地形が険しくなるので、
初級者や中級者は独標で引き返すことが推奨されています
(岐阜県山のグレーディングでは独標までがC難度、
独標から西穂高岳までがD難度)。
ただ、我々としては流石にここで引き返すと不完全燃焼なので進みます。
西穂山荘の人曰く焼岳の火山性地震で岩が崩れているそうで、
至る所にバツ印が付けられています。
パッと見安定していそうな岩も…
組み木パズルのように石が抜けます。
こんなのもう何も信用出来ないじゃん…
何も信用せずに歩きます。
穂高岳は全体的にそうなのですが
西穂高岳はその中でも特に大量のピークが連なっており、
主峰(1峰)から11峰まで番号が振られています。
独標が11峰で主峰に向かってカウントダウンしていくのですが、
余程細かく刻んでいるのか、巻いてしまっているのか、
11個全部見付けるのは至難の業です。
ネームドの11峰(独標)、8峰(ピラミッドピーク)、
4峰(チャンピオンピーク)、主峰(西穂高岳)は判別出来ますが…
振り返るとギザギザした稜線が
(写真は4峰のチャンピオンピーク付近から)。
確かに言われてみれば11個ピークがある…ような?
10個の頂を後にして、最後の厳つい岩場を登り切れば…
西穂高岳主峰(標高2,909m)登頂です!
ロープウェイ利用ということで正直舐めていましたが、
中々歯応えのある岩場でした。
西穂高岳から先の稜線は更にグッと難易度が上がって
E難度超えの超上級者コースとなっています。
ジャンダルムを含む西穂〜奥穂縦走路です。
今の我々ではまだ技量が足りていないので立ち入れません。
こうして眺めているだけでも落石の音が次から次へと聞こえてきます。
えっ、あそこが登山道!?
俄には信じ難い断崖絶壁を歩いている登山者が居ます。
滅茶苦茶落石しているし…
まさか道迷いしていないよな…?
岩場は好きだけど、崩れ易いのは嫌だなぁ…
そんな危険地帯を越え、有名な大キレットも越えて
彼方に聳えるあの特徴的な山容が槍ヶ岳です。
今まで何度も僕の登頂を拒んできた因縁の山…
次こそは絶対にその頂を踏んでやると誓って
槍ヶ岳を睨んでおきます。
再挑戦はそう遠くない未来に…
景色を眺めていたらガスってきたので下山を開始します。
西穂高は昭和42年に高校生11人が死亡した
日本史上最悪の落雷事故が発生している場所でもあるので、
雷が鳴り始めない内に下りきっておきたいところです。
と先を急いでいたら、
8峰ピラミッドピークで何と家族山行中の
会社の登山部の後輩にばったり遭遇しました。
そんなことってある?
ちなみに、彼等は西穂高岳主峰の先の領域にも踏み入れるそうです。
独標まで戻ってきたらいつの間にか黒山の人集りが!
新穂高ロープウェイの始発便で登ってきた人達でしょうか。
行き違いの出来ない狭い鎖場では渋滞も発生しています。
まあ、夏の連休の北アルプスだからな…
どうにか西穂山荘まで戻ってきて西穂ラーメンで一服です。
汗をかいた身体に醤油スープが沁みる…
細麺は絡み合ってネッチョリとしてしまって微妙でした。
さて、帰りのバスの時刻を考えるとここから加速していきたい!
しかし、人が多くて思うようにコースタイムを縮められません。
「お前の方が圧が強いから」と先輩からトップを任され、
中高年グループを抜きに抜いて西穂高口駅まで下山しました。
予想通りロープウェイも大行列だけど、
この分なら早いバスに乗れそうだな…
13:45発のロープウェイに乗車し、
新穂高温泉で汗を流してから14:55発濃飛バス
一宝水経由高山濃飛バスセンター行きに乗り換え。
松本へ向かう先輩方とは平湯温泉で別れて
一人高山で祝杯を上げました。
下山後の身体にフルーツは沁みるぜ…
今日は高山に泊まります。
…名古屋から終電でやって来たIT(元・旭丘高)を迎えて。
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