風の山、那須連山 第2日目


5:58、起床。
昨夜は風が凄くて良く眠れませんでした。
山小屋にしては遅めの起床です。
朝食が6:30なので。


小屋の人に今日の天気予報を聞くと、
稜線上が風が強いものの雨は降っても小雨だろうとのこと。
何とか保ってくれると願って今日も登山開始です。


三斗小屋温泉の源泉を経由して那須連山の主稜線を目指します。
風向きによって登山道に火山ガスがもろに被って臭い。


峰の茶屋からの道よりもちょっと険しめです。
鎖も付けられていますが、流石に鎖を使うほどではありません。


標高1,700m辺りから眺望が開けるようになってきました。
現在地からうねる稜線の右奥に三斗小屋温泉があります。
…あるはずなのですが見えません。
あれだけしっかり温泉街っぽく整備されていたのに
ちょっと離れると人跡未踏の原生林に見えるカモフラージュ性の高さよ。


標高が上がると雲が出てきました。
うーん、天気が微妙ですね…


隠居倉まで来ると完全にガスに包まれてしまいました。
風も少し強まってきています。
しかし、2週間前(2024/7/14-16)のことを思えば
雨が降っていないだけでも…


うおっ!べらぼうに風が強くなってきた!
熊見曽根まで来ると直立すら厳しいほどの暴風になりました。
確かに、前回(2022/6/4)も風が強いなとな思ったけど、
こんな暴風が吹き荒ぶとは…


ここから那須連山の主稜線に入ると岩場が連続するので、
初心者の方々は一旦風を避けられる地点で待機してもらって
経験者3人で偵察に行きます。
主稜線に近付くほど凄まじい風だ…


これは…
写真では全く分かりませんが、
隣に立っている人と会話することさえ儘ならない
台風でも中々経験出来ないような暴風が吹き荒れています。
この状況で初心者が通過するのは無理だな…
となると、西側の沼ッ原へ下山する他ありません。
しかし、沼ッ原にバス路線などは通っておらず、
しかも登山口が圏外だという噂があるので
タクシーを呼ぶことすら出来るかどうか怪しいです。
どうすべきか…


熟考した結果、僕と後輩の経験者の2人で主稜線を突っ切り、
レンタカーを回収して沼ッ原へ先回りすることに。
初心者でなければ余裕、とは口が裂けても言えない暴風なので、
転倒や滑落に注意して慎重に進みます。


ここは2年前に往復した道ですが、
この状況下では新鮮に感じます。
正直これと言って難所の無い無難な山行かと思っていたところで
暴風をスパイスとして楽しんでいる2人。


峰の茶屋まで辿り着くと
軽装備のハイキング客だらけになりました。
主稜線はあんな戦場になっているというのに…


という訳で、無事下山です。
思いがけず刺激的で楽しい山行でした。


沼ッ原組の方が大分コースタイムが長いので、
迎えまでの空き時間を使って温泉で汗を流します。
大丸温泉がまた良いんですよね。


温泉から上がって沼ッ原に来ましたが、
まだ沼ッ原組は下山していないようです。
登山道は全て圏外なので現在地が分からないのですが…
しかし、まだ時間が掛かりそうな予感がするので
沼ッ原湿原を散策してみました。
まぁ…湿原ですね。


ちなみに、この湿原には隣接して沼原ダムというダムが建っています。
この沼原ダム、日本で3番目に堤頂が長いダムで
何と1,597mもの長さがあります。
パッと見そんな長さがあるようには見えません。
写真に収めきれてはいませんが、400mかそこらに見えます。
一体どういうカラクリなのでしょうか?


この沼原ダムは谷を堰き止めて水を溜めているのではなく、
実は四方を全て囲って水を溜めているのです。
ダムというよりはプールに近いですね。
何故か今は一切水が溜まっていませんが。
このダムは一体何の為にあるかというと、
揚水発電の調整池を作る為です。
電力が足りていない時は500m下にある深山ダムへ水を流して
その途中にある沼原発電所で675MWの発電を行い、
電力が余っている時はその余った電力を使って
深山ダムから水を汲み上げて次の発電に備えるという、
関東の文明を人知れず支えている存在なのです。


とか力説した後に車の中で仮眠を取っていたら
いつの間にか沼ッ原組も無事下山したので、
皆で仲良く帰ります。
東北自動車道が渋滞しているから、
レンタカーを返却時刻までに返せるか怪しい時間帯だな…


という訳で、1人で220kmぶっ通しで運転して
どうにか返却時刻に間に合わせました。
打ち上げのステーキが沁みる。
余裕のある行程と温泉のゆる山行と思いきや
色々とスパルタな要素が湧いてきた山行でした。
これくらいの方が満足出来るというのは内緒。

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