5:58、起床。
さあ、いよいよこの旅行も大詰め、勝負の日です。
今日はアフリカ最西端の村を目指します!
多少悪路かも知れないけどレンタカーがあるんだし、
勝負の日という表現は大袈裟では?とか思ったそこの貴方。
ここがアフリカであるという事実を忘れていますね?
アフリカ最西端の村、Monte Trigo(モンテトリーゴ)へは
車道が1本も通じておらず、
最寄りの集落であるここTarrafal(タラファル)から
延々11.2kmも荒野を歩かなければ到達出来ないのです。
携帯電話の電波は通じず、エスケープルートも一切無い一本道。
そこで何か不測の事態が生じたとしたら…
覚悟を決めて踏み込みます。
一応、宿の人に訊いて
朝8時に出れば大丈夫だろうとの情報を得たので従います。
Tarrafalから数百mほどは車道整備が進んでいます。
もしかすると、Monte Trigoまで車道を延ばす計画があるのでしょうか?
向こうの山肌に見える道もかなりしっかりした形に見えるから、
意外と車道化工事が進んでいるのかな?
と思った途端にこれです。
歩道にしても酷いな…
最後の最後の関門ならともかく、
11.2kmの道の初っ端からこれというのは先が思いやられます。
どうやら、ここにはワジ(枯れ谷)が横切っていて
降雨の度に道が削られてしまうようですね。
本気で車道化するなら洗い越しで誤魔化すのではなく
ちゃんとした橋を架けないと駄目そう。
というか、歩道にしても吊り橋くらい架けても良くない?
と思ったら急に高規格になったり。
ここ轍があるようにも見えるんだけど、
車が入って来られるようなルートがあるのか…?
縦しんば車が進入してきたとてすぐにこんな道になりますが。
というか、対岸の歩道の様子で否が応でも認識してしまうんだけど、
この歩道思い切り基礎の部分が崩れ落ちている真っ最中じゃない…?
余程大丈夫だとは思いますが、
気休め程度に山側に寄って歩きます。
こんな道が延々と続きます。
この写真で左下に伸びる道の跡のようなものも見えるので、
これでも「新道」なのかも知れませんが。
おおっ!?
遥か彼方に集落らしき影が見えるぞ!
…彼方過ぎない?
えっ、あんなところまで歩くの?
集落名の由来となったMonte Trigo(トリーゴ山)の裾野の端に
確かに建築物の建ち並ぶエリアが見えますが…
11.2kmという数字の持つ重みを可視化されて
正直めげそうになっていますが、
ここで引き返したところでTarrafalまでも大して距離が変わらないので
文字通り進むも地獄退くも地獄です。
ならば進む地獄を選びます。
枯れ谷への下り登りが体力を奪ってくる…
ちなみに、上の写真の枯れ谷を遠望するとこんな感じです。
増水時に道が断ち切られて
復旧時に下流への迂回を余儀無くされているのが見て取れます。
こういうのがまた体力を奪うんですよね…
そして、Monte Trigoの裾野に入ったことにより
強烈な日光を遮る物が一切無くなってしまいました。
暑い…
持ってきた水の量が明らかに足りていなさ過ぎる…
しかし、道の整備状況は明らかに改善している…
ということは集落ももう近いはず…!
熱中症一歩手前の身体に鞭打って歩き続けます。
あーもうまた枯れ谷じゃないか!
谷ならせめて水分補給をさせてくれ!
そして道路状況が再び悪化してきた…
もしかして、ここから集落までの間に
まだ大規模な崩壊現場が存在するのか…?
しかし、もうMonte Trigoは目と鼻の先…
流石に、流石にもう心を折るような枯れ谷は存在しないはず…!
おおっ!
君は明らかに家畜化されているロバ!
ということは、ロバを飼っている人の家も近いはず!
きたあああ!
歩くこと4時間、遂にアフリカ最西端の集落
Monte Trigoに到達しました!!
長い、余りにも長い道のりだった…
何故か0.2kmだけ値が増えている看板。
誤差でしょうか。
正直、カーボベルデの11kmを舐めていました。
しかし、喉はカラカラだしお腹はペコペコ…
それなのに水も行動食も無いので
ふらふらになりながら食堂を探します。
最西端の集落の中の最西端の建物が食堂でした。
アフリカ最西端で食べる昼食が沁みる…
遂に最西端に辿り着いたことを折角なら誰かに自慢しようと、
嘗ては共に東アフリカも巡っていながら
新婚旅行先にイタリアを選ぶまでにInstagramへ心を売ってしまった
皐月(元・名古屋工業大)にテレビ通話をしたりもしました。
昼食とテレビ通話を終えたところで急に眠気が…
疲労が一気に来た…
堪らず机に突っ伏して寝ていたら、
食堂の人から
「そんなに眠いなら屋上で一緒に昼寝するか?」
と誘われたので、ご一緒することに。
アフリカ最西端の家の屋上で昼寝するという謎の経験。
風が吹き通って気持ち良い…
僕が寝落ちしている間、
STは食堂の前の砂浜で泳いでいたそうです。
体力お化け過ぎる…
さて、昼食を摂って昼寝もして40%くらい回復しましたが、
依然として我々はTarrafalから11km以上離れた地点に居ます。
そして、悲しいことに我々の今夜の宿は
ここMonte Trigoにはありません。
つまり、今日中にTarrafalまで戻る必要があります。
熱中症寸前のこの状態でまた4時間歩くのか…?
否、その点については抜かりありません。
この地には「エスケープルート」が存在するのです。
アフリカ最西端という響きは我々以外にも一定数の人の心を揺さぶるようで、
地元の漁師が小遣い稼ぎに舟に観光客を乗せて
Tarrafal – Monte Trigo間の渡船業を行っているのです。
先程昼食を摂った食堂がその仲介もやっているので、
勿論頼んでおきました。
欧米人の老夫婦と同乗してTarrafalを目指します。
水飛沫がヤバそうなのでメインカメラはザックの奥深くに仕舞い込んで
防水カメラで行きます。
往路はあんなところを歩いてきたんだなぁ…
と言いつつ、地形が険し過ぎて道を視認出来ません。
ここに道を通す方も凄い。
だからこそあれだけ崩れていた訳ですが。
…あれ?
我々の舟だけ他の舟から引き離されているような…
どんどん減速しています。
って浸水しているじゃん!
ただのマグカップで水を掻き出しているけど、
それで本当に間に合うよね…?
我々まで排水に付き合わされました。
渡船なら寝ていれば着くと思ったけど、
アフリカ最西端は舟といえども甘くないか…
嗚呼、Tarrafalの集落が見えるー!
沈没する前に辿り着いてくれー!
1時間掛かってやっとTarrafalに着岸。
疲れた…
渡船を以てしても尚、楽ではない道のりでした。
船頭が僕等を気弱な日本人と見て
追加料金をよこせと宣ってくる面倒な追加イベントも発生しましたが、
経験を積んできた僕等の敵ではありませんでした。
どうにかこうにか生還出来た…
それなりの登山をした後みたいな達成感です。
そして、ここで追加の残念なお知らせです。
実は今夜の宿泊地はTarrafalですらないのです。
即ち、ここから宿泊地、
具体的には島の反対側にあるあのPorto Novo(ポルトノヴォ)まで
このMTのダスターを運転しなければならないのです。
体力が有り余っているSTに任せれば良いと思うかも知れませんが、
彼はMT車の運転が出来ないので僕がやらざるを得ません。
それでももうやるしかない!
幸い、昼寝で眠気は飛んだので気合いで頑張ります。
1時間掛けてどうにかPorto Novoに辿り着きました。
日記で書いたら1行で済ませられちゃうんですけどね…
実際には…
それにしてもハードな一日だった…
でも、アフリカ最西端を極めるというこの旅の最大目的を達成出来て
実に充実感も得られた一日でした。
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