西遊記 第4日目


6:16、起床。
宿の受付でツアーを手配してもらってから、
朝のLac Rose(ラックローズ)を散歩してみます。
Lac Roseは薔薇色に染まる水の色からその通称が付いており、
正式にはLac Retba(レトバ湖)という名前です。


ローズとは。
あれですかね?
薔薇は薔薇でも花じゃなくて葉っぱということですかね?


しかし、Lac Roseはたとえ薔薇色に染まっていなくとも
歴史的に非常に重要な意味があります。
ここはあのParis-Dakar Rally(パリ=ダカールラリー)の
ゴール地点だったのです。
世界一過酷と言われたラリーレイド大会のParis-Dakar Rally。
その記念碑らしきものがありました。
マリやモーリタニアといった通過国の治安悪化により
現在ではサウジアラビア開催になってしまいましたが、
その意志を継いだAfrica Eco Race(アフリカエコレース)が今も
このLac Roseをゴールにして開催されています。


はためくセネガル国旗。
この謎エリアは何なのだろう…


謎のブランコ。
Lac Roseがピンク色になっていればインスタ映えするのかな?


謎の児童公園。
Babacar No Stressという名前のようです。
これはLac Roseがピンク色になっていても映えなさそう。


係留されていたNo Stress号。
手作り感満載で沈みそうな気がしてストレスがかかりそう。


先に進んでも何も無さそうだったので、
反対方向に進んで集落らしき場所を目指します。
この車はParis-Dakar Rallyで朽ち果てたもの?な訳ないか。


商店や食堂が現れ始めました。
この辺が中心部?
と言っても、町というよりは集落くらいの規模です。


それでも観光地としてはやはり有名なようで、
土産物屋が軒を連ねており早速客引き攻勢を受けます。
嗚呼アフリカ。
さっきのNo Stress児童公園は
客引きが無いという意味でNo Stressだったのか。


では、宿に戻ってツアーに参加します。
申し込んだツアーは2つ。
まずは四駆のバギーで疾走するバギーツアーです。
ここではBuggy(バギー)ではなく
四輪を意味するQuad(クアッド)の名で呼ばれており、
Paris-Dakar RallyでもQuadという部門があります。
今回はPolaris Trail Boss 330(ポラリス トレイルボス330)というATVで
Lac Roseの周りを走ります。
Paris-Dakar RallyのQuad部門で無類の強さを誇る
Yamaha Raptor 700R(ヤマハ ラプター700R)ではないのか…


バギーを運転するのは初めて。
バイクと同じくスロットルグリップで出力を制御します。
変速は無いのでスクーターに近いでしょうか。


「Always use an approved helmet and protective gear
(常に認証されたヘルメットと保護具を装着して乗車すること)」
「Never operate without proper training or instruction
(決して適切な訓練や指導無しに運転しないこと)」
当然の注意書きですが、西アフリカでは通用しません。
我々にフランス語が通じないからなのか、
ほぼ何も説明されることなく着の身着の儘乗車します。
まあ、スクーターみたいなものなら運転は楽…


と言いたいところですが、結構な重量で砂地を走るので
結構ハンドルを取られます。
また、きちんと直進する為には
身体が振られる方向とは逆にハンドルを切る必要があり、
長いハンドルでこれをやるのは意外と難しいです。
STは出発早々草むらに突っ込んでいました。


Lac Roseの集落を離れて砂漠に向かいます。
セネガルはLe Sahara(サハラ砂漠)の南端。
「緑の岬」を意味するCap Vert(ヴェルデ岬)は
Le Saharaが終わって緑が現れた喜びから付けられた名です。
そして、このLe SaharaこそParis-Dakar Rallyの主戦場でした。


これは爽快ですね!
1万kmも走らされるのは絶対に嫌ですが。
今日は薄曇りで日射しが弱いですし、
乾季のセネガルは意外と涼しくて快適なのですが、
これがLe Saharaのど真ん中ともなると…


何処までも続く砂浜。
1万kmの死闘を走り切った車がウイニングランを行う場所です。
Paris-Dakar Rally、そしてそれを受け継いだAfrica Eco Raceは
あまりの過酷さから完走者全員が勝者という理念があり、
優勝者だけでなく完走者全員がウイニングランを行うことで有名です。
この海岸がゴール地点と勘違いされることもありますが、
ここはあくまでゴール後の余興です。


砂浜で一休み。
暖かな陽光の下潮風にあたりながらのんびりするのは
万国共通で心地良いですね…


というこんな何も無い砂浜にも現れる土産売りに草を禁じ得ない。
待ち伏せ攻撃はルールで禁止スよね。


てっきり土産売りとガイドが結託していると思っていたのですが、
STが価格交渉に熱を上げていたら
「もう諦めて行くぞ」
と急かしていました。
仲間なのかそうじゃないのかどっちなんだ。


Lac Roseに戻って来ました。
製塩場を見学します。
(今は全く違いますが)Lac Roseが何故ピンク色になるかと言うと、
Lac Roseは死海を超える高濃度の塩湖の為
ピンク色の高度好塩菌が繁殖し易いから。
その高い塩分濃度を活かして製塩が行われているという訳です。
勿論、塩を買わないかという客引きが大勢居ました。

1時間で予約していたバギーツアーは
寸分の狂いも無く本当に1時間ピッタリでホテルに帰着。
セネガルって時間に正確なんだな…


という訳で、お次はボートツアーです。
上述の土産物屋集落を抜けて
手漕ぎ舟でLac Roseに漕ぎ出します。


漕ぐのは船頭ですが。
ブレードの付いたオールではなく、
ただの長い木の棒を湖底に突き刺して舟を動かしています。
かなり浅いんですね。


そしてRoseとは一体。
どちらかと言えばアオコの色では…?


錆び付いたハートのオブジェが
緑色の湖面で所在無さげに佇んでいます。
当然、我々以外に舟に乗っている観光客は居ません。
まあ、舟に乗らないといって他に何かやることがある訳でもないのでね…
何やかんや楽しかったです。


では、宿に戻って昼食です。
こちらは宿の人にオススメされたBaobab(バオバブ)のジュース。
リンゴのような酸味で若干の粉っぽさと繊維質を感じます。
意外と飲み易いです。
Baobabに可食部があったんだ…


そして、こちらが
「ラマダン中なのでセネガル料理を作れない」
と言っていたところを泣き落としして作って頂いたセネガル料理。
セネガル料理の代表、Thieboudienne(チェブジェン)です。
出汁と油の利いたピリ辛炊き込みご飯に
鯛っぽい風味の魚が載せられたという感じで、
これが凄く日本人好みな味で美味しい!
日本の食堂にこのメニューがあっても
普通にこれを選びたくなるくらい美味しい。
最後の最後で何とかセネガル料理を食べられて良かった…


では、セネガルを満喫出来たところで空港に向かいます。
何か滅茶苦茶渋滞しているのだが…


運転手さんが痺れを切らして対向車線の路肩を爆走してくれました。
どうやら、バンが衝突事故を起こしていたようです。


運転手さんの機転で何とか間に合った
Blaise Diagne国際空港(ブレーズ・ジャーニュ国際空港)。
早く鉄道をここまで延伸して欲しい。


17:15発KP54便に搭乗。


さらば、セネガル!
客引きは確かにウザかったですが、
客引き以外は皆優しいし、ご飯も美味しくて良い国でした。
治安も割と良くて危険を感じる場面は殆ど無かったですしね。
観光スポットの少なさがネックですが…


眼下にLac Roseが見えました。
全面的に緑色じゃないか…
形がちょっとハートっぽいような?


今乗っているのは99%の人が知らないし乗らないだろうASKY航空です。
「アスキー」ではなく「アスカイ」と読むようです。
トーゴのLomé(ロメ)を拠点にした航空会社で、
西アフリカ・中央アフリカ内の地域輸送を担っています。
Loméをハブにしているもののトーゴの会社という訳ではなく、
西アフリカ諸国が協力して立ち上げた航空会社です。
一国できちんとフラッグキャリアを維持出来るほど
経済的に体力のある国は残念ながら西アフリカには無いので…
この辺りはエチオピアやケニアが頑張っている東アフリカ、
南アフリカ共和国が引っ張っている南アフリカとは大分違います。


日本の常識からすると中々理解し難いところですが、
西アフリカ諸国から最もアクセスし易い国は
経済的・文化的に繋がりの深い旧宗主国で、
次点で旧宗主国の周辺の欧州諸国、
それにハブ空港を有するトルコ、エチオピア、ケニアが続いて
一番アクセスし難いのは皮肉にも隣近所の西アフリカ諸国なのです。
実際、今回の旅で行程のボトルネックとなったのがここの移動でした。


大西洋を飛び越え、向かう先は…

(以降、カーボベルデ時間UTC-1.0h)


17:30、Nelson Mandela国際空港
(ネルソン・マンデラ国際空港)に到着。
アフリカ最西端の国カーボベルデ共和国の首都Praia(プライア)です!
カーボベルデという名前を知っている人が10人に1人、
カーボベルデの位置を知っている人が100人に1人、
カーボベルデに行ったことのある人が1万人に1人とか、
そういうレベルで日本人に馴染みが無いのではないかという国。
何処にあるのかと言うとセネガルの西、
アフリカ大陸の西の大西洋上です。
西を目指す旅なので。


注意深い方は気付いたかも知れませんが、
Cabo Verde(カーボベルデ)の名はDakarのある
Cap Vertから来ています。
領土外の地名が国名の由来になっているという珍しい国ですが、
これは元々「ヴェルデ岬の近くにある島々」みたいな
呼ばれ方をされていたからです。
9つの有人島から成る島国で、今降り立ったのはその中でも
最大の島であるIlha de Santiago(サンティアゴ島)です。


宿の人が手配してくれたタクシーに乗り込んで宿に向かいます。
道がちゃんと舗装されていることに感動を覚える。
ちなみに、カーボベルデの公用語はポルトガル語。
ポルトガル語に似ているスペイン語や、
何だかんだ観光立国らしいので英語は通じるだろう
…と思っていたのですが、どちらもほぼ通じません。
単語レベルならスペイン語が少し通じる瞬間もありますが…
どういう訳かフランス語が通じる率は高いです。


宿にチェックインしたら夕食を摂るべく地元民で賑わう食堂へ。
確かに、ポルトガル語って聞き流していると
ちょっとフランス語っぽい響きのような?
しかし、単語はスペイン語に大分似ているはずだし、
文字で書かれているメニューなら
中南米(2023/4/28-5/7)で培ったスペイン語が少しは役に立つだろう…


そもそも文字が達筆過ぎて読めない…
結局給仕の人に訊いて注文しました。


Búzio Grelhado(巻き貝のグリル)と
Peito Frango Grelhado(鶏むね肉のグリル)。
文字で読んでもスペイン語と全然違った。
Frangoって何…Polloじゃないの…?
料理はまあまあ美味しかったです。


帰り際にデザートということで、
夜遅くにも関わらず親子連れで賑わっていたアイス屋へ。
Bissap(ビサップ)とBrigadeiro(ブリガデイロ)のアイス。
Bissapは昨日飲んだジュースのあれで、
Brigadeiroはブラジルのチョコ菓子だそうです。
どちらも美味しい!
言語の通じ無さに若干の不安は覚えますが、
取り敢えず第一印象は良い感じのカーボベルデです。

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