6:30、起床。
爽やかな日曜の朝です。
折角なのでSydney(シドニー)郊外にある
国立公園に行ってみたいと思います。
通りの喫茶店でモーニング。
ハムチーズクロワッサンとアイスカフェラテで
15AUD(約1,500円)とか嘘だろ…
円安とかそれだけの問題なのか…?
Sydneyの物価はAuckland(オークランド)にも況して高いです。
朝のCentral駅(シドニー中央駅)。
日曜の朝だからか人通りは疎らですね。
Central駅構内。
欧風な頭端式ホーム。
但し、自動改札機がきちんとあるのが豪州式です。
Sydneyの交通系ICカードOpal Cardの窓口が閉まっていて
どうしたものかと思いましたが、
クレジットカードのタッチ決済で入れました。
7:54発Blue Mountains線(ブルーマウンテンズ線)
Parramatta(パラマタ)経由
Katoomba(カトゥーンバ)行きに乗車。
人通りは疎らでしたが、電車の乗車率は高め。
それでも首尾良く2階窓際の席を確保して準備万端です。
…が、待てど暮らせど電車の動く気配が無い。
じっと待っていたら、
「乗客は全員10番線の電車に乗り換えるように」
との案内放送があって強制移動させられました。
車両故障でもあったのでしょうか?
結局、20分遅れての発車となりました。
Penrith駅(ペンリス駅)まではただの近郊路線ですが、
Nepean River(ネピアン川)を渡ると平野が終わり、
いきなり右に左に蛇行しながら山岳路線が始まります。
みるみる内にこんな標高に。
路線名にもなっているBlue Mountains(ブルーマウンテンズ)
の台地の上に登っています。
テーブルマウンテンなんですね。
8:01、Katoomba駅(カトゥーンバ駅)に到着。
Sedona(セドナ、2021/10/9)を思い起こさせる
ちょっとテーマパークっぽい雰囲気の駅前です。
ここからシャトルバスで公園入口に向かう予定だったのですが、
電車が遅延した所為で乗り継げませんでした。
入園券は時間指定があるから次の便では間に合わない…
ということで、公園入口まで歩きます。
Aucklandで鍛えられた今なら
この程度どうということはありません。
Scenic World(シーニックワールド)の入口に到着。
Blue Mountains National Park(ブルーマウンテンズ国立公園)の
中に位置しているテーマパークです。
Blue Mountains National Parkは高低差が激しい為、
園内には移動を容易にする為の交通機関が3つあります。
その中での僕のお目当ては…
Scenic Railway(シーニック鉄道)です!
テーブルマウンテンの上下を繋ぐケーブルカーで、
最大の特徴はその勾配にあります。
最急勾配驚異の52°。
52‰ではありません。
鉄道でお馴染みのパーミルで表すなら1,280‰、
道路でお馴染みのパーセントなら128%です。
このScenic Railwayは世界一急な鉄道路線なのです。
発車していく様子はジェットコースターにしか見えません。
嘗てナガシマスパーランドにあったホワイトサイクロンで
最大勾配が50°だったので、
比喩でなく本当にジェットコースターの角度です。
この急勾配で交走式(2つの列車をケーブルで繋いで
お互いをカウンターウェイトとして用いる)じゃないのか…
車両の椅子の角度は変えることが出来るのですが、
園内交通ということで純粋な交通機関というよりは
アトラクションの面が強いので、
勾配を緩める側(緩めても44°ですが)だけではなくて
勾配を更にキツくするCliffhanger
(クリフハンガー)モードもあります。
その角度なんと64°。
急勾配に感じても横から見ると大したことない
というのは良くありますが、
64°ともなると横から見てもほぼ壁です。
勿論、世界最急勾配を体験しにここまで来たので
Cliffhanger一択で乗り込みます。
オーストラリアンなノリノリアナウンスの後に発車して…
出発するとすぐに天然トンネルの中に入っていて
真っ逆様に滑り落ちていきます!
もっとじわじわ下りていくのかと思いきや、
遅めのジェットコースターみたいな速度です。
周りもジェットコースターみたいな悲鳴を上げています。
角度の分かる写真は中々撮り難いですが、
こんな感じの勾配をしています。
手足を前の座席に突っ張って踏ん張らないと
席から滑り落ちて膝を打ちます。
座席に荷物を載せるのも絶対に止めましょう。
あっと言う間に崖下の駅に到着。
勾配が衝撃的過ぎて言及するのを忘れていましたが、
このケーブルカーは山の上に登る為のものではなくて
崖の下に下りる為のものなんですね。
これも珍しい点かも。
壮大なBlue Mountains National Parkの眺め。
盆地の下まで下りきったというよりは、
崖の中腹で止まっている感じです。
戻っていく列車を撮り鉄。
木々が茂っていて結構撮り難い…
しかし、沿線は崖なのでここ以外まともに撮影出来る場所がありません。
少しアングルを変えてみた写真。
如何に急勾配、というか急角度なのがお分かり頂けるでしょうか。
昔の車両はこんな感じだったとか。
いや、怖過ぎでしょ…
でも、ちょっと体験してみたいかも。
このScenic Railway、今でこそ純然たる観光路線で
何なら園内の遊具の類にさえ見えなくもありませんが、
実はその出自は炭鉱の貨物鉄道です。
だからこそ僕の嗜好にドンピシャで刺さりました。
何故貨物鉄道としてあんなケーブルカーが建設されたかというと、
よりにもよって崖の中腹に鉱脈が発見されてしまったから。
テーブルマウンテンの形状からして崖を迂回することが不可能で、
正面切って崖を攀じ登る他無かったのです。
鉱山は奥地にあることが多いとはいえ、
何がどうなったらこんな位置の鉱脈に気付くのでしょうか。
昔の人の鉱業にかける熱意は相当なものですね。
炭鉱の他は全く開発されておらず、
ジュラシックパークみたいな雰囲気の原生林が広がっています。
というところに目を付けたようで、
Dinosaur Valley(恐竜渓谷)として整備されています。
子供達は大興奮。
錆び付いた遺構や打ち捨てられた看板を見るに、
元々は順当に廃炭鉱の跡を案内していたようです。
ただ、それでは人気が出なかったので
恐竜推しに方針転換したということなのでしょうか。
世知辛い世の中ですね。
坑夫の休憩小屋などはそのまま残されているので、
まるで恐竜が闊歩する中で操業していたかのような印象を受けます。
まあ、エミューやヒクイドリが跋扈する中操業していたら
強ち事実無根とも言い切れないような状況だけど。
テーブルマウンテンの上に戻ります。
帰りはScenic Cableway(シーニック・ケーブルウェイ)で。
これは炭鉱と関係無く園内の施設として建築された交通機関。
ロープウェイでも世界最急レベルの勾配になっているとか。
ところで、上の写真で屹立している巨岩の上には
何と手摺りが付けられています。
昔は展望台としてアクセス出来たのだとか。
一体どうやってあそこまで登ったのだろう…
水平移動用のロープウェイ、
Scenic Skyway(シーニック・スカイウェイ)に乗り継いで
別角度から捉えた写真がこれ。
マジで何処からアプローチするんだ…?
Blue Mountains National Parkには
このような奇岩が幾つも存在しており、
その中でも特に有名なのがこのThree Sisters(三姉妹)でしょう。
またしても(2021/10/10、2022/8/12)姉妹なのか。
乗り場が混雑していて写真が撮れなかったので
さらっと流してしまいましたが、
Scenic Skywayというのはこれです。
渓谷をショートカットして崖から崖へと移動するロープウェイ。
あのゴンドラの上に乗るというアクティビティもあるとか。
やってみたかった。
Katoomba Falls(写真左)と一緒に。
200m以上の落差がある滝だそうです。
Three Sistersに向かってトラックを歩いてみます。
道の付け方次第では水平歩道(2023/10/14-15)みたいになりそう。
枝にアカクサインコが止まっていました。
そう言えば、Aucklandでは鳥を見られなかったな…
Three Sistersの目前まで来ました。
流石にあの上に展望台は無いようですね。
Three Sistersまで階段で更に近付いてみます。
これまたかなりの急勾配な鉄階段…
着きました。
Three Sistersの長女に架かるHoneymoon Bridge(ハネムーン橋)です。
吊り橋効果を狙ってね!ということなのでしょうか。
いや、ハネムーンなら既に婚約済みか。
このHoneymoon Bridge、
残念ながら落石の危険が高いということで
現在では通行禁止になっています。
残念…
豪州でも安全規制は強まりつつあるということなのでしょうか。
実はここからテーブルマウンテンの底まで
徒歩で下っていくGiant Stairway(巨大階段)があり、
Scenic Railwayまで歩いていくことも出来ます。
行こうか大分迷いましたが、
コースタイム的にScenic Railwayの運行終了時刻
ギリギリになりそうだったので止めました。
戻ります。
道端に何やら動く物体があると思ったら、
ハリモグラが鼻を土に突っ込んでいました。
こんな観光客の多い道で普通に活動しているものなのか。
中々面白い国立公園でした。
観光地化はかなり著しいですが…
帰りは路線バスで駅に戻ります。
戻ってきたら激しい驟雨があって、
Giant Stairwayを止めておいて良かったと心底思った次第。
山の天気は変わり易いですね。
皆さんホームで手持ち無沙汰そうに待っています。
今の内に撮り鉄に最適な立ち位置を探って…
って、何か変な鳥が架線に止まってる!
キバタンというオウムの一種だそうです。
豪州はインパクトのある野生動物が多いですね。
キバタンに気を取られていたら、
電車撮影のベストタイミングを完全に逃しました。
撮り鉄殺しの鳥だな…
16:20発Blue Mountains線Central行きに乗車。
18:17、Central駅に到着。
戻って来ました。
さて、Sydneyと言えばあれも見ておきたいところではあります。
という訳で、Haymarket電停(ヘイマーケット電停)から
Sydney Light Rail(シドニー・ライトレール)L2系統
Circular Quay(サーキュラー・キー)行きに乗車して
Circular Quay(サーキュラー岸壁)にやって来ました。
AucklandだけではなくSydneyも
リアス式海岸のPort Jackson(ポート・ジャクソン湾)で
海上交通が発達しています。
最深では直線距離で19km離れた
Parramatta(パラマタ)まで所要1時間26分なんて便もあったり。
電車だと1時間15分くらい掛かるようなので意外と良い勝負をしてます。
そして、このCircular Quayから見えるのが
あの有名なSydney Opera House(シドニー・オペラハウス)です。
丁度満月が真上に来て綺麗。
1973年竣工で2007年に世界文化遺産に登録された
世界で最も若い世界遺産です。
お隣のSydney Harbour Bridge(シドニー・ハーバーブリッジ)の方が
40年以上歴史が長いのですが、
こちらは世界遺産としては緩衝地域の指定に留まっているそうです。
このくらいの橋なら割と色んなところにある、ってことなのでしょうか。
夕食はSydney Harbour Bridge近くのハンバーガー屋で。
とってもオーストラリアンにカンガルー肉バーガーです。
ビーフはビーフでオージービーフがあるから
それもオーストラリアンかも知れないけど。
この2日半すっかり旅行気分になっていますが、
これはあくまで出張。
カンガルー肉で英気を養って明日からのお仕事に備えます。
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