雨飾山

4:00、起床。
宿を出て路面凍結に気を付けながらS2000を駆ります。


やって来たのは雨飾高原です。
日の出前にも関わらず5人も交通整理に充当されています。
そんなに人気の山だったとは…
小谷村随一の観光資源ですね。


という訳で、紅葉を求めて今日登るのは雨飾山です。
日の出前の暗がりでもハッキリと分かるくらい
上の方は積雪していて雪飾山になっているな…
一応この事態は予想して軽アイゼンを持ってきていますが、果たして。


まずは湿原の木道を歩きます。
凍っていて滑り易いな…


湿原が終わると彩り鮮やかな登りが始まります。
まだ太陽が向かいの山から顔を出す前から彩度が高いですね。


と思っていたら、彩度が最も低い色、
純白の雪で上塗りされ始めました。
こんなに低い標高から積もっているとは…


やけに枝が覆い被さっている登山道だな…
梢にはほんの1〜2cmくらいしか
雪は積もっていないように見えますが、
それでも枝がこんなに垂れ下がるくらいの重みがあるのでしょうか?


ふと景色が開けました。
薄く積もった雪が音を吸収し、
薄曇りで滲んだ日の出と共に聖堂のような荘厳さを生み出しています。
冬山に登る人の気持ちがちょっと分かった…かも。
FA(元・東大ワンゲル部)はそういうのではなくて
雪で道が無くなっているところに
自分で道を付けていくことに喜びを感じているそうですが。


雨飾山本体が見えました。
完全に冬山の装いだな…
この写真での様子を良く覚えておいて下さい。


荒菅沢に出ました。
ここから尾根を登る急登になるので軽アイゼンを装着します。


モルゲンロートならぬモルゲンヴァイスとでも言うべきか、
雨飾山の山頂だけが真っ白く輝いています。
最後の方はかなり急そうですね。
積雪していて軽アイゼンで登れるんだろうか…


慣れない軽アイゼンに苦労しつつも、
一歩一歩登っていきます。
本格的な積雪ではないので岩がところどころ露出していて
アイゼンを置く位置に気を使います。
そうでなくとも雪道では足運びに気を使いますが。


笹平に出ました!
笹が茂る気持ちの良い台地です。
風が強いかと身構えていましたが、殆ど無風状態ですね。


ここで糸魚川の雨飾温泉からの登山道が合流します。
糸魚川側の方が混雑しないだろうから
こちらから登った方が良いかな?
とか考えたりもしていましたが、
全く踏み跡がありません。
危うくラッセルを強いられるところだったな…


さあラストスパート!
笹平から山頂まで100m程の登りです。


皆慣れない雪に手子摺っているのか渋滞が発生しています。
この状況でも尚これだけの人が押し掛けるんだな…
雪が無かったらどれほどの混雑になっていたのでしょうか。


日本海が見えました!
右中央で粉糖を塗したようになっている山々は
手前から海谷山塊の鋸岳、鬼ヶ面山、駒ヶ岳です。
あの標高ながらかなり岩山チックで面白いらしいので
その内登ってみたいですね。


西には北アルプス主稜線の白馬岳(2023/7/22-23)
その向こうの立山連峰(2019/7/20)が見えます。
真ん中は秋真っ盛りの様子なのに
前景と背景は完全に冬の装いなのが面白いですね。


頂上はもう目前です。
ふかふかの新雪を踏み締めながら向かいます。


雨飾山(標高1,963m)登頂です!
ぶっちゃけ暇潰しくらいの気持ちでしたが、
雪の所為もあって中々の達成感です。


昨夜は相当吹雪いていたのか
石祠への着雪の仕方が真冬のそれです。
現在の僕の装備と技術で登れるのは今の状態が限界だな…


手前が白で一番奥が緑という
三段紅葉上下反転バージョン。


もっと狭い範囲に白も赤も黄も緑も凝縮させた尾根もあります。


南には戸隠山(2023/8/5)が見えます。
アプローチの仕方が全く違うので
全然違う位置にある山のような気がしてしまいますが、
実際にはお隣と言っても良いくらいの位置関係です。


そして、雨飾山と言えばやはりこの眺めが有名。
右手前の笹平に付けられた登山道が
左を向いた女性の横顔に見えることから、
雨飾の女神や雨飾の乙女と呼ばれる眺望です。
登山道は人工的なものなので
横顔の形になるよう計算して作ったのでは?
と考えてしまわないでもないですが。


たっぷり1時間ほど楽しんで
人が捌けてきたら下山します。


日が高くなって雪が融けてきたからか、
朝は見られなかった臙脂色が顔を覗かせています。
登山道の雪も融けてきているのかな?


えっ、これ何処!?
こんなカラフルな登山道を通った記憶は一切無いのですが…


特に衝撃的だったのが荒菅沢のこの眺め。
お気付きですか?
そう、4時間前はこれ↓だった場所です。

ほんの数時間であまりにも変わり過ぎでは…


普通、ピストン山行の下山は消化試合みたいなものなのですが、
今回に限っては登山と下山で二度美味しいですね。
まるで違う山です。
あれだけ覆い被さっていた梢も綺麗に退いています。
…と言うと良いこと尽くめのようですが、
雪が融けたことによって足元はぐっちゃぐちゃです。


泥だらけになりながら下山。
いやー、想像以上に楽しい山だった。


下山後は鎌池で下界の紅葉を愛でたり…


雨飾高原露天風呂で汗を流したりしてから、
往路と同じく5時間掛けてえっちらおっちら松田へと戻りました。

コメント