7:04、起床。
苛烈な太陽は避けるべき存在とするアラブ文化の影響か、
全然陽光の入らない部屋だったので寝坊しました。
まあ、午前には何も予定が無いのですが。
サウジアラビアだと日当たりの良い部屋は
日本と逆で安くなったりするのかな。
ホテルのチェックアウト時刻ギリギリまで粘ってから
お昼時に食堂へと向かいます。
Saudi Cooler(サウジクーラー)で一服。
Saudi Champagne(サウジシャンパン)の別名
だという話を聞いていましたが、
こちらは炭酸が入っていなかったので、
Champagneは炭酸入り、Coolerは炭酸無しなのかも知れません。
Saudi Cooler目当てで入ったこの食堂は中華料理屋です。
中国と言えば世界一豚肉が好きなお国柄。
それが豚肉厳禁のサウジアラビアでお店を出したら
一体どうなるのか…
と気になって入ってみましたが、
普通に牛肉と鶏肉メインになっただけでした。
日本豚挽き肉のイメージで頼んだ麻婆豆腐は
豆腐のみのヴィーガンメニューになっていました。
…おや?
麻婆豆腐の底に隠されるように数個の肉片が…
まさかこれは…
と思いましたが、僕の知覚する限りでは
塩辛く漬け込まれた牛肉のようでした。
いや、ヴィーガンメニューの欄にあったので
牛肉混入でも大問題ではありますが。
見るからに東アジア人の僕を見て
同胞の誼で入れてくれたのでしょうか?
さて、夕方になったらツアーに参加します。
ツアーの集合時刻がデフォルトで15:00というのも流石サウジ。
アラビア仕様に改造された四駆のピックアップトラックで出発です。
Riyadh(リヤド)から北西へと向かいます。
流石は産油国、舗装の質が良い。
基本的にはひたすら砂漠なのですが、
偶にこのようにナツメヤシが立ち並ぶオアシスが現れます。
この整然と並んだ様子は人工林でしょうか?
オアシスの路肩にはデーツの屋台が出ています。
デーツとはナツメヤシの実のことで、
中東では昔から愛されてきたお菓子です。
普通はドライフルーツとして売られていますが、
この屋台では色的に生のデーツを売っているのでしょうか。
まずやって来たのはSadus(サドゥース)の廃村。
オアシスの水を頼りに村が拓かれたものの、
150年前にオアシスの水が枯渇して全村移住したとか。
我々の車の運転手は英語が大分覚束無く、
このMasjid(モスク)の建造年を「fifty years ago」と言っていたものの、
50年前の建造物にしては素材や工法が古過ぎないか…?
と訝しがっていたら、正しくは500年前でした。
アラビア語も数字くらいは学んでおくべきだったかな…
Sadusの少し先からは
ラクダが乱入してくる未舗装路になります。
このラクダって野生なんだろうか。
いや、掘立小屋に向かって帰っていきますね。
飼われているラクダのようです。
この灼熱の砂漠の中であんな掘立小屋で生きていけるのだろうか…
砂漠っぽさを出そうとしてみた一枚。
しかし、ちょっと風が吹いたら消えてしまいそうな
轍数本だけの道で良く迷いませんね…
分岐でも精々廃タイヤが無造作に置かれているだけで
案内のような案内は何もありません。
部外者が来たら遭難確定です。
そんな道で普通に90km/hとか出すんだから狂気です。
パリダカールラリーじゃないんだから…
そう言えば、2020年大会からパリダカはサウジアラビア開催ですね。
突如何も無い砂漠のど真ん中で車を降ろされてしまいました。
ツアーの行程表が適当だから何が含まれているのか良く分からん。
どうやらこの穴の中に入っていくようです。
良くだだっ広い砂漠の中でこんな穴を見付けたな…
入口の狭さに反して内部はそれなりの広さがあります。
砂漠なのに湿気があるのですが、
何処から水が来ているのでしょうか。
奥へ進んでいくと岩塩が現れました。
海岸から400km以上離れたこの地で塩は貴重でしょう。
誰かが岩塩の地層の存在に気付いて
採掘しようとしてこの洞窟を発見したのでしょうか。
洞窟を出て再び車で暫く走り、
駐車スペース(?)に車を停めてここからは歩きます。
夕方なのでもうある程度涼しく…
などというのは幻想だと嫌というほど思い知らされてきて
そんな期待は全く抱いていませんでしたが、
気温は未だ42℃あります。
まだ車道は続いているのに何故歩かされるのだろう…
しかも、「日没が近いから急げ!」とメッチャ急かされるし。
どんどん起伏が激しくなって
道の先が見通せないほどです。
「丘の頂点では右側通行」という啓発ポスターを思い出します。
徒歩で汗だくになる我々の横を
颯爽と警察車両が通り過ぎていきます。
国境地帯でも無し、貴重な動植物がいる訳でも無し、
一体何を警備するというのでしょうか?
辿り着きました!
Edge of the World(世界の縁)です!
「世界の果て」とも訳される断崖で、
Riyadh(リヤド)近郊の有名観光地の一つです。
その割には我々以外の観光客が見当たりませんが。
Edge of the Worldは南北800kmにも及ぶ
Jabal Tuwaiq(トゥワイク山脈)の東端で、
数百mもの高さの断崖絶壁が地平の先まで続いています。
素人目には付け入る隙の無い断崖に見えますが、
クライマーなら嬉々として登攀するものなのでしょうか。
先程の警察も断崖の縁に車を停めて景色を眺めています。
遭難者を探したりとかそういう?
こんな荒野、文字通りの「空白地帯(Rub’ al Khali)」に
密猟者とかが居るとは思えないし…
と思ったら、小鳥が飛んでいました。
サバクヒタキ?
異常とも言えるほど人馴れしていて、
カメラを近付けても全く動じないどころか
こちらがその場を去ってもついて来ます。
北アルプスのライチョウの比じゃ無いな…
人から水や餌を分けて貰ったりしているのでしょうか。
もっと崖際まで寄ってみます。
崖に腰掛けるなどして記念撮影。
撮影用にThawb(トーブ)を買っておけば良かったかな。
ちなみに、アラブ人男性が付けているあの衣装がThawbなのですが、
湾岸諸国だとその半分は日本製だそうです。
日没を過ぎるとあっと言う間に暗くなってきました。
運転手が急かしていたのが分かります。
真っ暗になりきる前に車に戻ります。
月明かりを手掛かりに砂道を進みます。
イスラム諸国が月を国旗に配う理由が分かる気がします。
車に戻ると夕食の準備が出来ていました。
これがアラビアンスタイル!
お皿は絨毯に置いて食べます。
夜になると風が出てきてちょっと食べ難いかも。
夕食を終えたらRiyadhに戻ってツアーは終了。
砂漠の暮らしを満喫出来た半日ツアーでした。
Riyadhに戻ったらそのままUberを呼んで
King Khalid国際空港(キング・ハーリド国際空港)へ。
ベンチで仮眠を取りながら帰国便を待ちます。
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