6:05、起床。
目は覚めてしまうのですが、
だからといって朝から外出する訳ではありません。
お昼近くになってからDammam駅(ダンマーム駅)へ。
SAR(サウジアラビア鉄道)Dammam-Riyadh線
(ダンマーム=リヤド線)の起点です。
産油国の当然の帰結として車社会のサウジアラビアですが、
湾岸諸国にしては珍しく旅客鉄道も走っています。
となれば乗らない訳にはいきません。
巨大なターミナル駅。
砂漠っぽい色使いです。
喫茶店があると聞いていたのですが、
Dunkin’ Donuts(ダンキンドーナツ)も
Meed(メード)というコンビニもテナント工事中で、
現時点ではお店の類はありませんでした。
なら自動販売機で何か買おうかと思ったら、
何とこの自販機、本の自動販売機でした。
確かに、長時間乗車だと本も欲しくなる…
けどまずは水と軽食では。
飲料やお菓子の自販機は見付からず仕舞いでした。
11:30に乗車開始。
だだっ広い頭端式ホームですが、
列車の発着は日に2、3本です。
サウジアラビアのことなので、
王族列車が適宜走ったりするのかも知れませんが。
12:07発7番列車に乗車。
乗客はかなり女性が多いです。
なので、トラブルを避ける為車内の写真は撮れません。
父親や夫が訴えると禁錮刑になったりするらしいので…
そう言えば、今日は金曜日か。
丁度今くらいの時間に金曜礼拝があるので
男性は皆モスクに行っているのでしょうか?
砂漠の中を走るので仕方ありませんが、
窓は砂まみれで外の景色は殆ど見えません。
まあ、見えたところでやっぱり砂まみれの景色ですが。
車内販売があったので買ってみた
Labneh(ラブネ)のサンドイッチ。
Labnehとは塩を加えた水切りヨーグルトだそうで、
クリームチーズみたいな感じで美味しいです。
途中駅のAbqaiq駅(アブカイク駅)。
世界最大規模の石油精製施設がある街で、
ちょくちょく敵対勢力から軍事攻撃を受けています。
鉄道駅も狙われるでしょうか。
13:37、Hufuf駅(フフーフ駅)に到着。
2分早着しました。
ここで下車します。
Hufuf(フフーフ)はHofuf(ホフーフ)とも転写される街。
アラビア語は日本語のみならずラテン文字でも
表記揺れが激しいのです。
国連の公用語でもあって超の付くメジャー言語なのに
翻字法が規格化されていないのは、
アラビア語は正式な場ほど母音を省略して書くから
というのが一因としてあげられます。
母音は読み手が自分で補わねばならず、
しかもその補い方にかなりの地域差(≒方言)があるのです。
そんなやり方で言語が成り立つの?
と思ってしまうかも知れませんが、
日本語も振り仮名無しで「日本」と書いた際に、
「にほん」と読むか「にっぽん」と読むかは
人によって異なるので多分似たようなものです
(何なら「ん」も音声学的には個人差がある可能性がある)。
ちなみに、Hufufは世界最大の油田
Ghawar(ガワール油田)の最寄りの街でもあります。
駅舎のデザインは統一されているのでしょうか、
Dammam駅とほぼ同じような造りです。
ここはMeedが営業していました。
こんな感じのコンビニです。
日本のコンビニほど沢山はありませんが。
Uberでホテルへと向かいます。
Dammam(ダンマーム)からHufufに来て感じる違いとして、
英語併記が明らかに減ったこと、
それに運転が極めて荒くなったことが挙げられます。
車間距離とカーブでかかる加速度が公道のそれじゃない。
バーレーンの運転手が
「サウジの奴等は運転が荒いんだよ…」
と文句を言っていた理由が分かります。
冷や汗をかかされながらホテルに到着。
そして、ここで最も決定的なDammamとの違いが明らかに。
水道水が塩っぱい!
風呂場から磯の香りがします。
石油は腐るほどあっても水は極めて貴重なアラビア半島。
サウジアラビアの上水道は海水を淡水化することで
水を供給しているとは聞いていましたが…
でも、それなら何故Dammamでは
そこまで塩味を感じなかったのでしょうか?
ホテルが独自の浄水器を付けていたとか?
一先ずお昼寝します。
Adhan(アザーン)がより大音量になっているのも違いかな…
日が暮れたところでUberを呼んで
Jabal Al-Qarah(アルカラ山)へ。
一部のオタクがオフ会でも開きそうな名前ですが、
サウジなんでハイボール飲んだら逮捕かも。
気を付けるかも。
サウジアラビアの中でも特に古くから文明のあった土地で、
Al-Ahsa Oasis, an Evolving Cultural Landscape
(アハサー・オアシス、進化する文化的景観)の一部として
世界文化遺産にも登録されているのですが、
日本では全然知名度がありません。
地球の歩き方でもスルーされる始末です。
歴史について簡単に紹介する部屋を抜けると、
風雨によって浸食された奇岩が立ち並ぶ
Jabal Al-Qarahが姿を現します。
メサの一種らしいのですが、
米国で見たものとはかなり趣が異なります。
規模は大分小さいですが、芸術性は高いです。
そして、Jabal Al-Qarah最大の特徴は
非常に背の高いAl-Nashab(アルナシャブ洞窟)でしょう。
メサに入った亀裂が成長して出来た洞窟で、
年間を通して気温が一定の為、
盛夏の今はまるで天然の冷房のように
涼風が奥から吹き出してきます。
古来から人が住んでいたのも頷けます。
洞窟の幅は丁度人一人がギリギリ歩けるくらい。
対向者が来ると離合可能場所まで
どちらかが後退する必要があります。
特に案内も無く道が分岐し始めたのですが…
一体どちらが正解なのでしょうか。
この道は行き止まりか…
行き止まりは比較的すぐに現れるので
そこまで複雑ではありませんが、
頭の中で意識して地図を描いていないと迷いそうです。
これ、方向音痴の人には結構キツいのでは。
あれ?全ての分岐が行き止まりになってしまったぞ?
もしかして、何かのギミックを作動させないと
道が拓けないタイプのダンジョン?
なんてことはなくて、
行き止まりの洞窟をピストンするのが順路のようです。
謎の角柱が林立するエリア。
やっぱり何かのギミックを解くと先に進めるタイプ…?
最後は壁画が描かれたエリアがあって終了。
この壁画、大分新しく見えるのですが
観光向けに彫ったものでしょうか?
でも、世界遺産にそんな改変って許されるんだっけ?
中々面白い遺産でした。
ただ、Jabal Al-Qarahは山頂に登れると聞きましたが、
それについては登山道が分かりませんでした。
マグネットを探しに土産物屋に入ってみると、
何故かピカチュウとルフィが。
Jabal Al-Qarahと何の関係が…?
ピカチュウは「進化」するからと
一時期サウジアラビアから締め出しをくらっていましたが、
再入国出来たんですね。
Hufuf市街地に戻って夕食。
鶏の丸焼きをご飯に乗せたKabsa(カブサ)と
付け合わせにMoussaka(ムサカ)。
サウジアラビアの地元の食堂でご飯を食べると
必ず食事直前にテーブルにビニールシートが掛けられるので、
新型コロナ対策か何かかと思っていましたが、
このお店でその謎が解けました。
現地の人はお皿の中の料理を
一度テーブル(というか、座敷席の床)にぶち撒けてから
皆で手掴みして食べるんですね。
実践はしませんでしたが。
Uber代をケチって食堂から徒歩でホテルに向かっていると、
何やら5.75の数字を掲げたホームセンターのようなお店が。
5.75とは一体…?
ミネラルウォーターがあれば欲しいから入ってみよう。
なるほど、5.75というのは商品の値段が
SAR5.75(約220円)という意味なんですね。
百均ならぬ5.75均。
6でも5でもなく5.75になっているのは謎だけど。
SAR5.75はサウジアラビアの物価からするとそれなりの価格なので
缶詰なんかだと3個セットでの値段になっています。
日本の百均と同じく日用品も売っています。
こんなところでも金ピカなのがアラブっぽい。
ちょっとしたアラブ雑貨を買うには
土産物屋へ行くよりも便利でしょうか?
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