アラビア旅行 第2日目

7:00、起床。
ホテルでのんびりして時間調整してから、
Uberを呼んで旧市街に向かいます。


Bab Al-Bahrain(バブ・アル=バーレーン)。
「バーレーンの門」という意味で、
外国人に対してはBahrain Gate(バーレーン・ゲート)と
案内されることも多いです。
古式ゆかしい門を想像していましたが、
滅茶苦茶さっぱりした意匠のコンクリート製の門です。
1945年竣工らしいのでこんなものでしょうか。


門を抜けるとそこはSouq(スーク)、つまり市場です。
絨毯や金細工など中東らしい土産物屋が軒を連ねています。
Dubai(ドバイ、2017/3/1)のクソウザい客引きのイメージが
脳裏にこびり付いていましたが、
ここでは全然客引きに遭いませんでした。
バーレーンの気質によるものなのか、
こんな時期に観光する阿呆は居ないからなのか。


空港ではマグネットを見付けられなかったので
ここで入手を試みます。


価格交渉が必要な国は久々だから頑張らねば…
と気合いを入れていましたが、
普通に妥当な値札が付いていてその必要はありませんでした。
観光客が少ないのでこの辺りは素直なのでしょうか?


案内地図を見ていると、伝統的な朝食を提供する
地元食堂があるということだったので行ってみることに。
張り出したエアコンの室外機が唸る路地裏で
男達が行き交う中々ディープな雰囲気。
というか、バーレーンのこの気候でテラス席(?)があるのか…


イスラム教では食事は手掴みで食べるべしという教えがある為、
お店には手を洗う用の洗面所もあります。
蛇口から出てくるのがお湯なんだけど、
これは温めているのか、温まっているのかどっちなのだろう。


ラベンダー風味細切れ麺は昨日散々懲りたので、
Beans & Egg with Cheese(豆と卵チーズ添え)を注文。
想像通りのものが運ばれてきました。
ふふ、周りのお客を見てパクチーが無いことは確認済み…
薄く焼いた大判のKhubz(ホブズ)、
それに生の玉ねぎとキャベツが添えられています。
そのまま食べると辛い生玉ねぎも、
この煮豆と一緒に包んで食べると
不思議と辛さが無くなって甘く美味しくなります。
これなら日本人にも優しい。
ちなみに、斜向かいのアラブ人おじさんは
Balaleet(バラリート)を頼んでいましたが、
麺は半分以上残していました。
地元民でさえそんな感じなのか。


さて、それではバーレーンを発ちます。
バーレーンは小さな国。
ここだけでお盆休み全ては費やせません。
Souqから歩いてバスターミナルへ。


…バスターミナルは何処?
Googleマップではこの建物を指しているけど…
運送会社のオフィスは入っていますが、
旅客輸送を扱っていそうな会社は見当たりません。


あっ、ここか!
まるで人目を忍ぶかのように
表通りとは反対側の面にオフィスがありました。
しかも、バスを運行する会社はSAPTCOという名前のはずなのに
何故か“SPEEDYMOTORS.COM”という看板が掲げられています。


これがバス会社のオフィスです。
やっぱりSAPTCOじゃなくてBASATCOという別の会社の看板が…
バーレーン側の現地法人ということでしょうか?
乗車券はインターネットで購入出来るのですが、
国際便ということもあってここでチェックインする必要があります。
東洋人なんてほぼ居ないからか、
予約確認書を見せなくても
「ああ、お前が予約してきた日本人か」
みたいに顔パスで対応してくれました。
勿論、パスポートとビザは確認されますが。


バスターミナルというか、どう見てもただの駐車場の一区画から
11:30発のバスに乗車。
これが国際便のバスの発着風景だと誰が信じられるでしょうか。
隣の市バスのターミナルの方が100倍立派だな…


種々の資料に
バスは冷房が効き過ぎていて寒い
と書かれていますが、
実際には冷房の効きは微妙で、
隙間風が吹き込んできて少し暑いくらいです。


島国なのにバスで国境を越えるってどういうこと?
と思われるかも知れませんが、
バーレーンは島国といっても隣国とKing Fahd Causeway
(キング・ファハド・コーズウェイ)で結ばれています。
全長25kmという長大さ。


途中、King Fahd Island(キング・ファハド島)という人工島があり、
ここで両国の出入国審査を受けます。
まずはバーレーンを出国。

お次は入国ですが、
「入国スタンプはもう押してある?」
「いや、まだだけど…ていうか今から入国審査じゃないの?」
「じゃあバスを降りて着いてきてくれ」
と一人だけ出入国管理局に行かされることに。
いきなり面倒臭そうな空気が…
と身構えましたが、CANON EOS2000Dで顔写真を撮られ、
両手10指の指紋を取られただけで特に質問も無く終了。


何故か入国のスタンプは押されず、
代わりに謎の単語と数字が記入されました。
アラビア語の方は解読不能として、
下段の数字は「4828-69765」と書かれているようです。
ビザの申請番号とは違うのですが、
入国者の管理番号か何かでしょうか?
ちなみに、普段我々が使っている数字は「アラビア数字」と呼びますが、
アラビア数字はアラビア語では使われておらず、
このような「インド数字」(アラビア・インド数字)が使われています。
更に言うと、インドではヒンディー語の場合はインド数字ではなく
デーヴァナーガリー数字が用いられています。
ややこし過ぎる。

入国審査の次は税関。
バスに荷物を残して乗客全員が別室待機させられます。
イスラム教の戒律に極めて厳格なこの国では、
アルコールは発酵の関係で醤油などの調味料に
微量に含まれているだけでもアウトだとか、
健全な男子諸君なら確実に有している系の画像は
パソコン内部のデータまで調べられて没収されるとか、
実しやかに噂されていましたが、
本当に検査したのか?と疑わざるを得ないくらい
10分もしない内に終わって、
荷物は寸分違わぬ位置に放置されていました。
暑くてやる気が出ないのかな。


ちなみに、待機場所の自動販売機は
何と5ヶ国の紙幣を使えると謳うハイテク機でした。
どういう為替レートで換算するのだろう。


何はともあれ、これでサウジアラビア王国に入国です!
2019年に至るまで個人向け観光ビザを一切発給しておらず、
聖地巡礼目的のムスリムと石油関連のビジネスマン以外は
事実上入国不可能という、
世界でも屈指の閉ざされた国でした。
現在ではポスト石油採掘の産業育成の一環として
観光業にも力を入れつつあります。
この国を観光することこそ今回の旅行の最大の目的です。


サウジアラビア側の街、Al-Khobar(アルコバール)に渡りました。
建設中の建物や空き地が目立ち、
まだ開発途中といった印象を受けます。
観光業育成の為にホテルを建てているのでしょうか。


Hilton(ヒルトン)などの有名ホテルチェーンもありますが、
砂漠の中のえらく殺風景な場所にポツンと建っています。
何故わざわざこんな位置に?


バーレーンからサウジアラビアに渡って
まず感じた変化としては、
英語の併記が明らかに減っています。
道路標識もアラビア語単記が多く、
この標識のように数字までインド数字です。
ちなみに、この標識の意味は80km/h制限(+何かの但し書き)です。


Al-KhobarのAlはアラビア語の定冠詞なので、
英語ではKhobarと表記されるようです。
それならLos Angeles(ロサンゼルス)も
Angeles(アンヘレス)にするべきなのでは。


そうこうしている内に終点です。


13:49、Dammamバスターミナル(ダンマーム バスターミナル)に到着。
時刻表では14:24着となっていて
えらく刻んでくるなと思いましたが、
特に時刻表を気にする様子も無く早着しました。
Uberでホテルに向かおうとすると、
「サウジアラビアでは法律により
乗車記録は正確な位置情報と共に政府に提出されます」
という注意書きが表示され、
米国に好かれた北朝鮮という異名を付けられた
その監視国家っぷりが窺えます。


例によって昼間は40℃超えなのでホテル待機します。
ここもまだ沿岸部で湿度も高いので…


1番のテレビチャンネルでは
Makkah(メッカ)のKa’ba(カアバ神殿)の様子が生中継されています。
礼拝の時間だけとかではなくて
四六時中ずっとこの映像です。
観光ビザを解禁したサウジアラビアですが、
Makkahは今でもムスリム以外の立ち入りが固く禁じられています。
ここだけは未来永劫解禁されることはないのでしょう。


日没を待ってDammam Corniche(ダンマーム・コーニッシュ)へ。
昨日のThe Avenue(ジ・アベニュー)もそうでしたが、
アラビアでは海岸にCorniche(コーニッシュ、
アラビア語の発音ではクルニーショ)と呼ばれる
公園が整備されていることが多いようです。
海沿いって湿気が多くて蒸し暑いから
のんびりするのには向いていない気がするけど…


このCornicheは何故か野良猫が滅茶苦茶多いです。
イスラム教では預言者Muhammad(ムハンマド)が
大の猫好きだったということで猫が大事にされているそうですが、
それと何か関係があるのでしょうか。
ただ、Googleマップのレビューを見ると
「野良猫が可愛い!」
というようなことを書いているのは大体英語の口コミで、
アラビア語の口コミの多くは
「野良猫が多くて不快」「カラスもろとも駆除しろ」
みたいな論調なので、
猫が本当に愛されているのか疑わしいところもありますが。
ゴキブリもかなり多くて不衛生なのは間違いないので、
戯れるのはやめておきましょう。
ちなみに、イスラム教で犬は忌避されるそうです。
ムスリムと分かり合えない気がしてきた。


夕食はCornicheにあるAl Baik(アル・バイーク)で。
すっかり気に入ってしまった。
今回はHommos(フムス)も頼んでみました。
茹でてすり潰したヒヨコ豆のペーストに酸味を効かせたもので、
オリーブオイルの香りが良いです。
Balaleet(バラリート)には絶望させられたけど、
あれさえ除けばアラビア料理も結構口に合うかも知れない。

コメント